上 下
47 / 154
美味を求めて

44.お久しぶりです

しおりを挟む
 仕組みはよくわからないけど、【親分猿オヤビンキの証】――猿の顔のお面のようなもの――を頭に付けて進んだら、太鼓を使ってなくても子分猿ヘンチモンキに会わなくなった。

 時間制限なく、太鼓みたいな効果があるのかな?

 ……見た目はちょっと嫌だけど、誰に見られるわけでもないんだから効率重視! この谷間を抜ける頃には外せばいいかなー。

 そんなことを考えつつ、岩猪ロックボアを倒したり、新たなモンスター踊花ダンスフラワーに爆笑したりしながら飛んだ。

 踊花ダンスフラワーに爆笑したのは、モンスターの姿が面白かったからだけじゃないんだよ。

 ひまわりみたいにひょろっとした背の高い大きな花が、根っこを足みたいに使って近づいてくる姿が踊ってるみたいだった。葉っぱをリズミカルに動かしてたし。
 そんな愉快な姿の踊花ダンスフラワーの主な攻撃方法は、『リーフカッター』と『笑い粉』。

 葉っぱがカッターの刃みたいに飛んでくるのは結構凶悪だったけど、それより笑い粉がひどい。踊花ダンスフラワーが放つ花粉を吸い込むと、強制的に笑っちゃうんだ。爆笑しすぎて呼吸困難になりかけるなんて、人生で初めてだったよ。

 笑いながらリーフカッターを回避するのは、今までのバトルの中で一番死を感じた状況だったかもしれない……。

「――でも、そんな苦労はもう終わり。【笑撃耐性】スキルをゲットしたからね!」

 これほど嬉しいスキル獲得アナウンスが今まであっただろうか。
 爆笑しながら倒した踊花ダンスフラワーが消えていく姿を見て、拳を天に突き上げる。僕はやったぞー!

 ここまでに何度笑い死にそうになったかは、考えないことにする。
 笑撃耐性スキル、これからは頼んだよ。

「というわけで、今度こそサクサク進もう」

 踊花ダンスフラワーに惑わされて進行速度が遅くなってたし、ちょっとスピードアップ。
 飛翔フライで進んでたら、向かい側からなにかが飛んでくるのが見えた。

「え、なに……? ――あっ!?」
「……見たことがあると思ったら」

 あっという間によく見える距離に来て、カミラがパチリと目を瞬かせる。
 まさかここで出会うなんて思わなかったよ。

「カミラだー! 久しぶり!」
「ん。モモ、元気そう」
「元気だよ! カミラはなんでここにいるの?」

 近くの岩場に着地。
 カミラからすっごく視線を感じて、親分猿オヤビンキの証を頭につけたままだと気づいた。
 ……そそくさとしまって、気を取り直してカミラとおしゃべり。僕が変なお面をつけてたことは、忘れてください。

「……私は元々第二の街オースが本拠地。冒険者ギルドから帰還指令が来たから、戻る途中」
「あ、そうなんだ!」
「ついでに、なぜか溶けてた街道をちょっと整備しておいた。これで、小規模の商隊は通れるようになるはず」

 イグニスさんの後始末をしてくれたんだね。ありがとう。

「じゃあ、街道整備はもう必要なさそう?」
「まだ。はじまりの街の冒険者に、現地までの資材運びの依頼が出るって聞いた。異世界冒険者が資材を運んだら、高ランクの冒険者が代わりに街道を塞いでるモンスターを倒すってことになってるらしい。今はこの近くで、作業員と冒険者が街道整備拠点を作ってる」

 指南役だった異世界の住人NPC冒険者と仲良くならなくても、別ルートでボスモンスター討伐ミッションを達成できるようになるってことかな。生産職メインで遊んでて、バトルが苦手な人はありがたいかもね。

「そっかー。僕は資材運んでないから、代わりに倒してもらうのはダメだね……」

 しょんぼり。依頼が出るのははじまりの街みたいだし、どの道僕はそのルートでボスモンスターの障害を突破できない。

「モモはあのモンスターを倒してこっちに来たんじゃないの?」

 カミラがきょとんと目を瞬かせて首を傾げた。

「僕が倒したっていうか、倒れたのを見たモンスターは岩犀ロックライノだよ」
「……なるほど。小象タイニーエレフは見てないってこと」

 新たに現れたモンスターは小象タイニーエレフって名前らしい。
 どんなモンスターなのかなー?

「――それなら、私が一緒に行く?」
「え、いいの!?」

 思わず食い気味に反応しちゃった。カミラがちょっと驚いてる。

「……ん、いい。モモはもう第二の街に行けるわけだし。資材運びの依頼を受けられないのは、不公平だから」
「ありがとー!」

 カミラ大好き!
 万歳をしながらお礼を言ったら、ちょっと微笑んでくれた。この微笑みのレア感も久々~。

 特に準備することもないので、カミラと一緒に飛んでボスモンスターのところへ向かう。
 カミラは風魔術風弾ウィンドバレットを詠唱破棄して連続使用することで飛んでるんだって。

「――詠唱破棄スキル、あるんだ!?」
「ある。私は魔術学院で習得した」
「なぁに、それ?」

 カミラ曰く。
 魔術学院は王都にある魔術士育成のための教育機関。素質がある人は誰でも入れるし、そこで学べは色んな魔術やスキルを習得できるんだって。詠唱破棄スキルはその一つ。

「――王都は遠いなぁ……」

 早く詠唱破棄スキル、ほしいんだけど。
 むむ、と僕が唸ってたら、カミラは「スキル屋で交換すればいい」と言った。

「スキル屋ってなに?」
「各街にあるスキルを交換できる店。不要なスキルを、カタログに載ってるスキルに交換してくれる」
「え、そんな店があったんだ!?」
「はじまりの街にはない」

 第二の街以降に実装されてるってことね。
 不要なスキルをほしいやつに交換かー。たぶん一対一の交換じゃないよね。いくつ必要かわからないから、ちょっと調べてみないとな。不要なスキルっていうのが、今のところあんまりないし。

「……スキル取得のために、もっと行動してみようかな」

 スキルの入手難易度は、人それぞれらしい。
 体術士は【ダッシュ】とか【キック】とか、体を動かす系のスキルを入手しやすいって情報を見たことがある。魔術士だとなんだろう?

「ん。予想しなかった行動でスキルを入手できることがある。いろいろ試してみるといい」
「そうする! 教えてくれてありがとー」

 そんな話をしている内に、ボスモンスターが見えてきた。
 ……小象タイニーエレフって、動物園で見る象より大きい。全然小じゃないよ。牙も長いし、見るからに強そう。

「あれは音波で範囲攻撃してくる。私が倒すにしても、防御と回復は自分でしっかりやって」
「りょうかい! でも、僕もちょっと攻撃してみたい。どの属性が効く?」
「鑑定してみるといい」

 カミラに勧められて、全鑑定スキルを使用。

――――――
小象タイニーエレフ
 土・木属性モンスター。頭の上で花を大切に育てている。花を傷つけられると、怒り狂って手がつけられなくなる。主な攻撃方法は『音波』『地揺らし』『踏みつけ』『吹き飛ばし』。得意属性【風】苦手属性【火】
――――――

「火属性が効くのかー。……でも、花を傷つけたらヤバくない?」
「それに気づいたの偉い。あいつを倒す時、極力花を傷つけない方が楽。足元狙うのがベスト」
「なるほど。じゃあ、僕は火の矢ファイアーアローで足元攻撃するね」
「ん、適度に攻撃避けて」

 小象タイニーエレフに僕たちが気づかれた。
 カミラを見て、ちょっと怯んでるのは、一回バトルしたことあるからかな。僕がいるから、このままバトルに進むみたいだけど。

 とりあえず火の矢ファイアーアローで先制!

 ――パオーン!

「ぎゃっ!?」

 ぐわっと視界が揺れた。これ、音波攻撃かな? 耳が良い僕には効果覿面……体力が削れてるよー……。

天からの祝福アンジュブレス!」

 体力回復のためにスキル使用。回復ヒールも覚えたいなぁ。

「これ、私にも効果ある。ありがと」

 そう呟いたカミラが小象タイニーエレフの方へ杖を向け、「火炎絨毯イクスプロージョン」と唱えた。

 草原狼プレアリーウルフとのバトルで見た、火の絨毯が小象タイニーエレフの足元を灼熱の炎で包む。

 ――パオッ……!

 小象タイニーエレフが狼狽えてた。結構ダメージくらってるみたい。さすがカミラだ。

 カミラを補助するため天の祈りアンジュプレを使う。パーティーメンバー全員の魔力を回復する効果があるからね。

 カミラが火属性の魔術を繰り出し続けるのを眺めながら、僕もちまちまと攻撃したり、回避したりと忙しい。

 鼻から息を吐き出す『吹き飛ばし』攻撃で、うっかりボスエリアから追い出されそうになってヒヤヒヤした。敵のモンスターから離れすぎると、バトル棄権扱いになるらしいから。

「――……これで、最後。焔柱イクスピラー

 特大の炎が小象タイニーエレフを包んで、勝負は決着した。

〈〈ノース・サウス街道エリアボスが、プレイヤーによって初めて討伐されました〉〉

 あ、またワールドミッション達成しちゃった感じ……?

〈初討伐報酬として称号【初物好き】、スキル【花舞はなまい】を入手しました〉

 おお!
 称号は初めてバトルするモンスターに対して、攻撃力が五%上がる効果があるんだって。いいね。

 スキル【花舞はなまい】は、魔力で生み出した花びらを乱舞させて攻撃するらしい。敵の視界を悪くする効果もあるとか。
 花びらが舞うって、なんか雅? 使うの楽しみだな~。

小象タイニーエレフを倒しました。経験値とアイテム【小象タイニーエレフの牙】【小象タイニーエレフの皮】【木魔石】を入手しました〉
〈種族レベルが17になりました。魔術士レベルが8になりました〉

「レベルが上がったー!」
「おめでとう。回復サポートありがとう」

 涼しい顔で近づいてきたカミラに「いえいえー」と返す。僕がしたことは、本来カミラには必要なかっただろうけど。喜んでくれたなら僕も嬉しい。

「ふー……これで、はじまりの街に帰れる確率が上がったよ。カミラ、ありがとう!」

 改めてお礼を伝えたら、カミラが小さく首を振る。

「感謝されるほどのことじゃない。ここからの帰り道は一人でがんばって。私は第二の街に戻らないと」
「そっか。カミラも気をつけてね。今日はほんとに助かったよ。また会ったらおしゃべりしようね!」
「ん。またね」

 カミラは第二の街と太陽の位置を確認して、ちょっと急ぐ雰囲気だ。引き止めたらダメだろうと、笑顔で手を振って別れる。
 きっと、また会えるよね。

「……よし。ここから先は自力でがんばるぞ!」

 気合いを入れ直して、いざ前進だー!


******

◯NEWモンスター
踊花ダンスフラワー
 木属性モンスター。根っこを使って、葉っぱを振りながら踊るように移動する。主な攻撃方法は『リーフカッター』『笑い粉』。笑われると凶暴さが増す。笑われるのが自分の花粉のせいだとは気づいていない。得意属性【土】苦手属性【火】

小象タイニーエレフ
 土・木属性モンスター。頭の上で花を大切に育てている。花を傷つけられると、怒り狂って手がつけられなくなる。主な攻撃方法は『音波』『地揺らし』『踏みつけ』『吹き飛ばし』。得意属性【風】苦手属性【火】

◯NEWスキル
【笑撃耐性】
 オートスキル。笑いの衝動に耐えやすくなる。

◯NEWシステム
【魔術学院】
 王都にある魔術士を育成する教育機関。素質があれば、だれでも入ることができる。
 講義や訓練を規定数受けると、スキルを習得可能。

【スキル屋】
 はじまりの街以外の各街に存在する。所持スキルとカタログ内スキルを交換できる。交換に必要な所持スキルの数は、希望するスキルによって異なる。

◯NEW称号
【初物好き】
 効果:初めてバトルするモンスターに対して、攻撃力が五%上がる。
 エリアボスを初めて討伐した者に与えられる称号。

◯NEWスキル
花舞はなまい
 魔力で生み出した大量の花びらを乱舞させて攻撃する。デバフ:暗闇の追加効果がある。

◯NEWアイテム
小象タイニーエレフの牙】レア度☆☆
 二メートルほどの長さの牙。生産活動の素材になる。

小象タイニーエレフの皮】レア度☆☆
 二メートル四方ほどの大きさの皮。鞣すと生産活動の素材になる。

【木魔石】レア度☆
 木属性の魔石。

******
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

お前は家から追放する?構いませんが、この家の全権力を持っているのは私ですよ?

水垣するめ
恋愛
「アリス、お前をこのアトキンソン伯爵家から追放する」 「はぁ?」 静かな食堂の間。 主人公アリス・アトキンソンの父アランはアリスに向かって突然追放すると告げた。 同じく席に座っている母や兄、そして妹も父に同意したように頷いている。 いきなり食堂に集められたかと思えば、思いも寄らない追放宣言にアリスは戸惑いよりも心底呆れた。 「はぁ、何を言っているんですか、この領地を経営しているのは私ですよ?」 「ああ、その経営も最近軌道に乗ってきたのでな、お前はもう用済みになったから追放する」 父のあまりに無茶苦茶な言い分にアリスは辟易する。 「いいでしょう。そんなに出ていって欲しいなら出ていってあげます」 アリスは家から一度出る決心をする。 それを聞いて両親や兄弟は大喜びした。 アリスはそれを哀れみの目で見ながら家を出る。 彼らがこれから地獄を見ることを知っていたからだ。 「大方、私が今まで稼いだお金や開発した資源を全て自分のものにしたかったんでしょうね。……でもそんなことがまかり通るわけないじゃないですか」 アリスはため息をつく。 「──だって、この家の全権力を持っているのは私なのに」 後悔したところでもう遅い。

殿下が望まれた婚約破棄を受け入れたというのに、どうしてそのように驚かれるのですか?

Mayoi
恋愛
公爵令嬢フィオナは婚約者のダレイオス王子から手紙で呼び出された。 指定された場所で待っていたのは交友のあるノーマンだった。 どうして二人が同じタイミングで同じ場所に呼び出されたのか、すぐに明らかになった。 「こんなところで密会していたとはな!」 ダレイオス王子の登場により断罪が始まった。 しかし、穴だらけの追及はノーマンの反論を許し、逆に追い詰められたのはダレイオス王子のほうだった。

旦那様に離婚を突きつけられて身を引きましたが妊娠していました。

ゆらゆらぎ
恋愛
ある日、平民出身である侯爵夫人カトリーナは辺境へ行って二ヶ月間会っていない夫、ランドロフから執事を通して離縁届を突きつけられる。元の身分の差を考え気持ちを残しながらも大人しく身を引いたカトリーナ。 実家に戻り、兄の隣国行きについていくことになったが隣国アスファルタ王国に向かう旅の途中、急激に体調を崩したカトリーナは医師の診察を受けることに。

七年間の婚約は今日で終わりを迎えます

hana
恋愛
公爵令嬢エミリアが十歳の時、第三王子であるロイとの婚約が決まった。しかし婚約者としての生活に、エミリアは不満を覚える毎日を過ごしていた。そんな折、エミリアは夜会にて王子から婚約破棄を宣言される。

婚約破棄で追放されて、幸せな日々を過ごす。……え? 私が世界に一人しか居ない水の聖女? あ、今更泣きつかれても、知りませんけど?

向原 行人
ファンタジー
第三王子が趣味で行っている冒険のパーティに所属するマッパー兼食事係の私、アニエスは突然パーティを追放されてしまった。 というのも、新しい食事係の少女をスカウトしたそうで、水魔法しか使えない私とは違い、複数の魔法が使えるのだとか。 私も、好きでもない王子から勝手に婚約者呼ばわりされていたし、追放されたのはありがたいかも。 だけど私が唯一使える水魔法が、実は「飲むと数時間の間、能力を倍増する」効果が得られる神水だったらしく、その効果を失った王子のパーティは、一気に転落していく。 戻ってきて欲しいって言われても、既にモフモフ妖狐や、新しい仲間たちと幸せな日々を過ごしてますから。 ※第○話:主人公視点  挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点  となります。

神のいとし子は追放された私でした〜異母妹を選んだ王太子様、今のお気持ちは如何ですか?〜

星里有乃
恋愛
「アメリアお姉様は、私達の幸せを考えて、自ら身を引いてくださいました」 「オレは……王太子としてではなく、一人の男としてアメリアの妹、聖女レティアへの真実の愛に目覚めたのだ!」 (レティアったら、何を血迷っているの……だって貴女本当は、霊感なんてこれっぽっちも無いじゃない!)  美貌の聖女レティアとは対照的に、とにかく目立たない姉のアメリア。しかし、地味に装っているアメリアこそが、この国の神のいとし子なのだが、悪魔と契約した妹レティアはついに姉を追放してしまう。  やがて、神のいとし子の祈りが届かなくなった国は災いが増え、聖女の力を隠さなくなったアメリアに救いの手を求めるが……。 * 2023年01月15日、連載完結しました。 * ヒロインアメリアの相手役が第1章は精霊ラルド、第2章からは隣国の王子アッシュに切り替わります。最終章に該当する黄昏の章で、それぞれの関係性を決着させています。お読みくださった読者様、ありがとうございました! * 初期投稿ではショートショート作品の予定で始まった本作ですが、途中から長編版に路線を変更して完結させました。 * この作品は小説家になろうさんとアルファポリスさんに投稿しております。 * ブクマ、感想、ありがとうございます。

刷り込みで竜の母親になった私は、国の運命を預かることになりました。繁栄も滅亡も、私の導き次第で決まるようです。

木山楽斗
ファンタジー
宿屋で働くフェリナは、ある日森で卵を見つけた。 その卵からかえったのは、彼女が見たことがない生物だった。その生物は、生まれて初めて見たフェリナのことを母親だと思ったらしく、彼女にとても懐いていた。 本物の母親も見当たらず、見捨てることも忍びないことから、フェリナは謎の生物を育てることにした。 リルフと名付けられた生物と、フェリナはしばらく平和な日常を過ごしていた。 しかし、ある日彼女達の元に国王から通達があった。 なんでも、リルフは竜という生物であり、国を繁栄にも破滅にも導く特別な存在であるようだ。 竜がどちらの道を辿るかは、その母親にかかっているらしい。知らない内に、フェリナは国の運命を握っていたのだ。 ※この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「アルファポリス」にも掲載しています。 ※2021/09/03 改題しました。(旧題:刷り込みで竜の母親になった私は、国の運命を預かることになりました。)

晴れて国外追放にされたので魅了を解除してあげてから出て行きました [完]

ラララキヲ
ファンタジー
卒業式にて婚約者の王子に婚約破棄され義妹を殺そうとしたとして国外追放にされた公爵令嬢のリネットは一人残された国境にて微笑む。 「さようなら、私が産まれた国。  私を自由にしてくれたお礼に『魅了』が今後この国には効かないようにしてあげるね」 リネットが居なくなった国でリネットを追い出した者たちは国王の前に頭を垂れる── ◇婚約破棄の“後”の話です。 ◇転生チート。 ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇なろうにも上げてます。 ◇人によっては最後「胸糞」らしいです。ごめんね;^^ ◇なので感想欄閉じます(笑)

処理中です...