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はじまりの街
34.なぞなぞ探検するよ
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釣りして、料理して、ノース街道でレベリングして——と過ごしていたら、あっという間に一週間が過ぎちゃった。楽しすぎて飽きる気配が微塵もないな~。
リリとルトにアリスちゃんを会わせることもできたし、二人はシークレットエリアの探索をしてるんじゃないかな。シークレットミッションがたくさん出てきて楽しいんだよね。
僕はシークレットエリアで掘り出し物をみつけて、着々とホームインテリアを揃えてます。ホーム持ってないけど。
「んー……まだ、聖なる地の謎が解けた人はいないのかー」
掲示板を確認してポツリと呟く。
気になって時々確認してるんだけど、答えに辿り着いた人は現れない。いわゆる攻略組って言われる人たちは、ノース街道の奥の方まで進んでるらしいんだけど。
そろそろ第二の街が開放されるのかな? そこまで進んでも、聖なる地に関する情報がないから、ただのフレーバーテキストなんじゃないかって考察まで出てきてる。
ルトは「シークレットエリアのミッションとか、このゲームは隠し要素が多いんだから、なにかしらの意味はあるんじゃないか」って言ってた。僕も同意。
攻略を進めるのに関わるかどうかはともかく、面白い展開が待ってそう。
というわけで——。
「探してみるか!」
気合いを入れて、ノース街道に出発。
万が一死に戻りしてもいいように、アイテムボックス内のアイテムは、必要最低限の物だけ残してストレージにしまってきた。
それに、無理しない程度にバトルをした結果、種族レベルが15になったから、そうそう死に戻りはしないでしょ。ノース街道の奥まで行ったら無理かもしれないけど。
しかも、また種族固有スキルを入手できたんだよね。今度はパーティー全体の魔力を継続的に微回復する効果がある天の祈りっていうスキル。
このスキルと魔力自動回復スキルをあわせて使うと、あら不思議! 魔術を使っても魔力が減らな~い!
まだ、僕がレベル2までの魔術しか使えなくて、魔力消費量が少ないっていうのも理由だろうけど。
「るんるんるん~」
鼻歌を歌いながらバトルフィールドを飛ぶ。
たまに着地した時にモンスターとバトルになるけど、埴輪人形やゴーレムなら逃げ切れる。だてに素早さを上げてないからね。
他のモンスターは木の罠で拘束してから、水の槍で仕留めるのが一番効率が良い方法だって学んだ。
これをするために、木魔術も育てたんだよ。
「よし、到着!」
ほどほどにモンスターと戦いつつ、やって来たのはリリたちと採掘した洞窟前。
攻略組が謎を解明できてないってことは、奥へ進むより、寄り道するのが正しいのでは? ってことで、まずここが思い浮かんだんだ。
一番手前の採掘ポイントまでしか探索してないし、奥はまだ謎めいてるからね。
掲示板を軽く探してみたけど、ノース街道で採掘してる人はほとんどいないみたい。鍛冶士としてメインで活動する予定の人も、今はレベリングをがんばってるんだって。
「いざゆかん、採掘へ——って違う、聖なる地を求めて!」
杖を掲げて気分を上げてみたけど、本心が漏れちゃった。
錬金術って結構鉱物使うから、採掘したいんだよね~。そのために自動採掘機も作ってきたんだ。
明かりは【松明α】を用意したよ。前に作った松明(木の枝+草玉)に石炭を錬金したら、使用可能時間が五倍になったんだ。
「準備完了、出発!」
一人だとちょっぴり寂しいので、声を出してテンション上げます。
洞窟を道なりに進んでたら、洞窟蝙蝠や洞窟鼠に不意打ちされる。
でも、防御力高いからダメージはほとんどくらわないし、すぐ回復するという楽勝具合。僕ってば、強ーい。
「——おっと、採掘ポイント発見」
ちょっと広くなった洞窟内の採掘ポイントに自動採掘機をセット。スタートさせたら次々に採掘できる。楽だな~。
「ここ、リリたちと採掘したところと同じだ。どれくらいの時間で採掘ポイント復活するんだろう?」
杖を構えながら考える。ガツガツと掘り進めてる音がうるさいなぁ。自分で掘るより音が大きく感じる。
「——やっぱり来たな、鉄のゴーレム!」
音につられてやって来た巨体を見据えた。絶対来ると思ってたんだよ。
木の罠をかけて接近を止めながら、ひたすら水の槍で攻撃。
物理系の攻撃手段は持ってないから、接近されたら自分の防御力と回避力に頼るしかないんだよね。
回避スキルはレベリング中に入手したけど、使わないといけないほどに追い詰められたくない!
「ふぅ……やっぱり防御力高い敵は手強いなぁ」
光になって消えていくゴーレムを見送って、一息つく。
自動採掘機は次々に採掘ポイントを掘り進めてて、最後の一つがもうすぐ掘り終わりそうだ。近場の採掘ポイントを自動で巡るって、ハイテクだよね。ちょっとロボット掃除機っぽさがある。
しばし、りんごを齧りながら休憩。うまうま。そろそろ他の果物も食べたいです。
最近、市場でりんご以外の果物を見ないんだよ……。これは早く第二の街オースとの交易を回復させないといけないなぁ。
「——よし。さくさくと奥に進もう」
停止した自動採掘機と採掘できたアイテムをアイテムボックスにしまって、再び洞窟を進む。ここから先は、行ったことがない場所だ。
見た感じは、これまでの洞窟と変わらないんだけど——。
「……おお? エリア表記が【ノース採掘場跡】ってなってる」
やっぱりここは、放棄された採掘場なんだね。ところどころに壊れたツルハシとかトロッコの線路とかあるから、そうなんだろうと思ってたけど。
道なりに進んでたら、壁に開いた穴を発見した。人間だったら、四つん這いになってギリギリ通れる大きさかな。
僕なら、多少狭さは感じるけど普通に通れそう。
「これは……行く? 行っちゃう?」
ここまで、洞窟蝙蝠や洞窟鼠ばかり現れるから、ちょっとだけ飽きてきてたんだ。
洞窟はまだ続いてるけど、脇道に逸れちゃってもいいかな。……うん、探索を楽しみに来たんだし、行かなきゃ損だよね!
ということで、どんどん進みます。正面から敵が来た場合に備えて、杖を構えとこう——って思ったら、早速来た!?
「——突進土竜じゃん! お前、ここにもいたんだね!?」
てっきり、ノース街道の草原エリアにしかいないんだと思ってた。
慣れというものは凄い。突進土竜を見た瞬間に、反射的に木の罠から水の槍のコンボ技を繰り出してたんだもん。一発ノックアウトだよ。やったね。
〈突進土竜を倒しました。経験値と【頑丈な鉄のツルハシ】を入手しました〉
またツルハシをもらった。普通の鉄のツルハシより耐久性があるみたい。
でも、僕は自動採掘機の楽さを実感しちゃったんだよなー。果たして、自分の手で再び採掘する日が来るのかな。
「——というか、ここってもしかして、突進土竜が掘った穴……?」
サイズ的にぴったりな気がする。突進土竜がツルハシを持ってる理由も、これで納得できるし。
さらに進んでたら、道がどんどん分岐していく。そして、突進土竜との遭遇率が高い。
ここは突進土竜が作った道ってことで確定かも。
「これ、僕、ただの迷子になるのでは?」
ちょっぴり不安になったけど、マップを開いたら、きちんとこれまでの道順が記録されてた。……僕、道がない空白地帯を歩いてることになってるみたいだけど。
「——だ、大丈夫。帰れるから、うん、問題ない……」
脇道に逸れすぎた疑惑をなかったことにする。いつかどこかに辿り着くさ! もしかしたら、正規ルートを短縮できてるのかもしれないし。
突進土竜を倒しながら進むこと三十分ほど。さすがに飽きてきました。もっと違うモンスターか、目新しい景色を見せてくれー!
「むむっ……スラリン喚ぶか」
退屈しのぎにはなるでしょ。釣りの連携技でスラリンもレベルアップしたらしく、初めて会った時より強くなってるっぽいし。
釣りって、バトルほどじゃないけど経験値が入るみたいなんだ。スラリンは小さい魚を吸い込んで大量に捕まえてたから、塵も積もれば山となる的に経験値が貯まってるんだろう。
でも、正確なレベルとかはわからない。スラリンのステータスは見れないんだもん。たぶんテイマーになったら、わかるようになるんだと思う。
「【召喚】スラリン」
「きゅぴ!」
現れたスラリンは『お、また洞窟だね!』とやる気満々な感じ。実はスラリン、しっかりとバトルしたかったのかな?
地道に召喚を繰り返した結果、召喚スキルがレベル3になったので、十五分間一緒に行動できるんだ。
死なない程度に、好きにバトルしてみていいぞー。死んじゃうと、六時間再召喚できなくなるから避けてほしい。
「スラリン、突進土竜が来たよー。レッツ、バトルだ!」
「きゅぴー!」
軽く指示出したら、突進土竜に飛びついたスラリンがあっさりと吸収を始めた。透明度が下がって、スラリンの中は見えない。
……溶けてるとこ、判別できなくてよかったな……?
「えっ……つよ……」
予想外な結果に固まっちゃう。
もしかしてスライム、レベルアップによる成長率が半端ないのでは? プレイヤー種族選択の希少種ガチャでスライムが出ても、最初にレベリングを上手くできれば、凄く強くなれた感じ?
「きゅぴ!」
「……よくできましたー!」
勝利したスラリンは、なんだか誇らしげ。
驚いたけど、とりあえず褒め称えておきます。跳ねてるスラリン可愛い。でも、そんな跳ねてると——。
「きゅぴっ!?」
「天井にぶつかっちゃうよね~。落ち着きなよ」
狭い洞窟なのでしかたなし。
天井にぶつかった反動で、地面にベチャッと潰れてるスラリンを見たら、なんだか面白くなってきた。こんなに平べったいスラリン、初めて見たよ。
笑ってたら、なんか不穏な音が聞こえた気がして耳を澄ます。聴覚鋭敏スキルを使用。
「——っ、スラリン、こっち!」
「きゅぴ?」
きょとんとしてるスラリンを引っ掴んで、来た道を駆け戻る。
その次の瞬間に、天井が崩落した。ちょうどスラリンがぶつかったところだ。
「ふぃー……あのままだったら、スラリン潰されちゃってたね」
「きゅぴー……」
スラリンと一緒に、落ちてきた岩と天井の穴を観察。なんか、入れそう? というか、上に空間があるみたいなんだよね……。
岩が道を塞いじゃってるから、前には進めなそうだし、上に行ってみるか。
「スラリン、一緒に行こう」
「きゅぴ!」
気合いを入れ直した様子のスラリンを連れて、探索再開です。
******
◯NEWスキル
【天の祈り】レベル1
パーティーメンバー全員の魔力を微回復する。この効果は五分間続く。
【回避】レベル1
敵の攻撃を回避しやすくなる。オートで発動する。
◯スキル変化
【木魔術】レベル2
【木の罠】を使える。地面から蔦が飛び出し、狙った敵一体を拘束する。行動阻害効果がある。
【召喚】レベル3
一回のバトルに二体のモンスターを召喚可能。
テイマーではない職業では、モンスターのバトル参加可能時間は十五分。
◯NEWアイテム
【自動採掘機】レア度☆☆
錬金術で製作可能なアイテム。採掘ポイントに設置すると、自動で採掘する。一度設置すると、半径十メートルの範囲にある採掘ポイントを自ら探して採掘を継続する。
【頑丈な鉄のツルハシ】レア度☆☆
モンスターからドロップする頑丈なツルハシ。採掘の際に使うと、速度・量・品質が少し上がりやすくなる。耐久性20。
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リリとルトにアリスちゃんを会わせることもできたし、二人はシークレットエリアの探索をしてるんじゃないかな。シークレットミッションがたくさん出てきて楽しいんだよね。
僕はシークレットエリアで掘り出し物をみつけて、着々とホームインテリアを揃えてます。ホーム持ってないけど。
「んー……まだ、聖なる地の謎が解けた人はいないのかー」
掲示板を確認してポツリと呟く。
気になって時々確認してるんだけど、答えに辿り着いた人は現れない。いわゆる攻略組って言われる人たちは、ノース街道の奥の方まで進んでるらしいんだけど。
そろそろ第二の街が開放されるのかな? そこまで進んでも、聖なる地に関する情報がないから、ただのフレーバーテキストなんじゃないかって考察まで出てきてる。
ルトは「シークレットエリアのミッションとか、このゲームは隠し要素が多いんだから、なにかしらの意味はあるんじゃないか」って言ってた。僕も同意。
攻略を進めるのに関わるかどうかはともかく、面白い展開が待ってそう。
というわけで——。
「探してみるか!」
気合いを入れて、ノース街道に出発。
万が一死に戻りしてもいいように、アイテムボックス内のアイテムは、必要最低限の物だけ残してストレージにしまってきた。
それに、無理しない程度にバトルをした結果、種族レベルが15になったから、そうそう死に戻りはしないでしょ。ノース街道の奥まで行ったら無理かもしれないけど。
しかも、また種族固有スキルを入手できたんだよね。今度はパーティー全体の魔力を継続的に微回復する効果がある天の祈りっていうスキル。
このスキルと魔力自動回復スキルをあわせて使うと、あら不思議! 魔術を使っても魔力が減らな~い!
まだ、僕がレベル2までの魔術しか使えなくて、魔力消費量が少ないっていうのも理由だろうけど。
「るんるんるん~」
鼻歌を歌いながらバトルフィールドを飛ぶ。
たまに着地した時にモンスターとバトルになるけど、埴輪人形やゴーレムなら逃げ切れる。だてに素早さを上げてないからね。
他のモンスターは木の罠で拘束してから、水の槍で仕留めるのが一番効率が良い方法だって学んだ。
これをするために、木魔術も育てたんだよ。
「よし、到着!」
ほどほどにモンスターと戦いつつ、やって来たのはリリたちと採掘した洞窟前。
攻略組が謎を解明できてないってことは、奥へ進むより、寄り道するのが正しいのでは? ってことで、まずここが思い浮かんだんだ。
一番手前の採掘ポイントまでしか探索してないし、奥はまだ謎めいてるからね。
掲示板を軽く探してみたけど、ノース街道で採掘してる人はほとんどいないみたい。鍛冶士としてメインで活動する予定の人も、今はレベリングをがんばってるんだって。
「いざゆかん、採掘へ——って違う、聖なる地を求めて!」
杖を掲げて気分を上げてみたけど、本心が漏れちゃった。
錬金術って結構鉱物使うから、採掘したいんだよね~。そのために自動採掘機も作ってきたんだ。
明かりは【松明α】を用意したよ。前に作った松明(木の枝+草玉)に石炭を錬金したら、使用可能時間が五倍になったんだ。
「準備完了、出発!」
一人だとちょっぴり寂しいので、声を出してテンション上げます。
洞窟を道なりに進んでたら、洞窟蝙蝠や洞窟鼠に不意打ちされる。
でも、防御力高いからダメージはほとんどくらわないし、すぐ回復するという楽勝具合。僕ってば、強ーい。
「——おっと、採掘ポイント発見」
ちょっと広くなった洞窟内の採掘ポイントに自動採掘機をセット。スタートさせたら次々に採掘できる。楽だな~。
「ここ、リリたちと採掘したところと同じだ。どれくらいの時間で採掘ポイント復活するんだろう?」
杖を構えながら考える。ガツガツと掘り進めてる音がうるさいなぁ。自分で掘るより音が大きく感じる。
「——やっぱり来たな、鉄のゴーレム!」
音につられてやって来た巨体を見据えた。絶対来ると思ってたんだよ。
木の罠をかけて接近を止めながら、ひたすら水の槍で攻撃。
物理系の攻撃手段は持ってないから、接近されたら自分の防御力と回避力に頼るしかないんだよね。
回避スキルはレベリング中に入手したけど、使わないといけないほどに追い詰められたくない!
「ふぅ……やっぱり防御力高い敵は手強いなぁ」
光になって消えていくゴーレムを見送って、一息つく。
自動採掘機は次々に採掘ポイントを掘り進めてて、最後の一つがもうすぐ掘り終わりそうだ。近場の採掘ポイントを自動で巡るって、ハイテクだよね。ちょっとロボット掃除機っぽさがある。
しばし、りんごを齧りながら休憩。うまうま。そろそろ他の果物も食べたいです。
最近、市場でりんご以外の果物を見ないんだよ……。これは早く第二の街オースとの交易を回復させないといけないなぁ。
「——よし。さくさくと奥に進もう」
停止した自動採掘機と採掘できたアイテムをアイテムボックスにしまって、再び洞窟を進む。ここから先は、行ったことがない場所だ。
見た感じは、これまでの洞窟と変わらないんだけど——。
「……おお? エリア表記が【ノース採掘場跡】ってなってる」
やっぱりここは、放棄された採掘場なんだね。ところどころに壊れたツルハシとかトロッコの線路とかあるから、そうなんだろうと思ってたけど。
道なりに進んでたら、壁に開いた穴を発見した。人間だったら、四つん這いになってギリギリ通れる大きさかな。
僕なら、多少狭さは感じるけど普通に通れそう。
「これは……行く? 行っちゃう?」
ここまで、洞窟蝙蝠や洞窟鼠ばかり現れるから、ちょっとだけ飽きてきてたんだ。
洞窟はまだ続いてるけど、脇道に逸れちゃってもいいかな。……うん、探索を楽しみに来たんだし、行かなきゃ損だよね!
ということで、どんどん進みます。正面から敵が来た場合に備えて、杖を構えとこう——って思ったら、早速来た!?
「——突進土竜じゃん! お前、ここにもいたんだね!?」
てっきり、ノース街道の草原エリアにしかいないんだと思ってた。
慣れというものは凄い。突進土竜を見た瞬間に、反射的に木の罠から水の槍のコンボ技を繰り出してたんだもん。一発ノックアウトだよ。やったね。
〈突進土竜を倒しました。経験値と【頑丈な鉄のツルハシ】を入手しました〉
またツルハシをもらった。普通の鉄のツルハシより耐久性があるみたい。
でも、僕は自動採掘機の楽さを実感しちゃったんだよなー。果たして、自分の手で再び採掘する日が来るのかな。
「——というか、ここってもしかして、突進土竜が掘った穴……?」
サイズ的にぴったりな気がする。突進土竜がツルハシを持ってる理由も、これで納得できるし。
さらに進んでたら、道がどんどん分岐していく。そして、突進土竜との遭遇率が高い。
ここは突進土竜が作った道ってことで確定かも。
「これ、僕、ただの迷子になるのでは?」
ちょっぴり不安になったけど、マップを開いたら、きちんとこれまでの道順が記録されてた。……僕、道がない空白地帯を歩いてることになってるみたいだけど。
「——だ、大丈夫。帰れるから、うん、問題ない……」
脇道に逸れすぎた疑惑をなかったことにする。いつかどこかに辿り着くさ! もしかしたら、正規ルートを短縮できてるのかもしれないし。
突進土竜を倒しながら進むこと三十分ほど。さすがに飽きてきました。もっと違うモンスターか、目新しい景色を見せてくれー!
「むむっ……スラリン喚ぶか」
退屈しのぎにはなるでしょ。釣りの連携技でスラリンもレベルアップしたらしく、初めて会った時より強くなってるっぽいし。
釣りって、バトルほどじゃないけど経験値が入るみたいなんだ。スラリンは小さい魚を吸い込んで大量に捕まえてたから、塵も積もれば山となる的に経験値が貯まってるんだろう。
でも、正確なレベルとかはわからない。スラリンのステータスは見れないんだもん。たぶんテイマーになったら、わかるようになるんだと思う。
「【召喚】スラリン」
「きゅぴ!」
現れたスラリンは『お、また洞窟だね!』とやる気満々な感じ。実はスラリン、しっかりとバトルしたかったのかな?
地道に召喚を繰り返した結果、召喚スキルがレベル3になったので、十五分間一緒に行動できるんだ。
死なない程度に、好きにバトルしてみていいぞー。死んじゃうと、六時間再召喚できなくなるから避けてほしい。
「スラリン、突進土竜が来たよー。レッツ、バトルだ!」
「きゅぴー!」
軽く指示出したら、突進土竜に飛びついたスラリンがあっさりと吸収を始めた。透明度が下がって、スラリンの中は見えない。
……溶けてるとこ、判別できなくてよかったな……?
「えっ……つよ……」
予想外な結果に固まっちゃう。
もしかしてスライム、レベルアップによる成長率が半端ないのでは? プレイヤー種族選択の希少種ガチャでスライムが出ても、最初にレベリングを上手くできれば、凄く強くなれた感じ?
「きゅぴ!」
「……よくできましたー!」
勝利したスラリンは、なんだか誇らしげ。
驚いたけど、とりあえず褒め称えておきます。跳ねてるスラリン可愛い。でも、そんな跳ねてると——。
「きゅぴっ!?」
「天井にぶつかっちゃうよね~。落ち着きなよ」
狭い洞窟なのでしかたなし。
天井にぶつかった反動で、地面にベチャッと潰れてるスラリンを見たら、なんだか面白くなってきた。こんなに平べったいスラリン、初めて見たよ。
笑ってたら、なんか不穏な音が聞こえた気がして耳を澄ます。聴覚鋭敏スキルを使用。
「——っ、スラリン、こっち!」
「きゅぴ?」
きょとんとしてるスラリンを引っ掴んで、来た道を駆け戻る。
その次の瞬間に、天井が崩落した。ちょうどスラリンがぶつかったところだ。
「ふぃー……あのままだったら、スラリン潰されちゃってたね」
「きゅぴー……」
スラリンと一緒に、落ちてきた岩と天井の穴を観察。なんか、入れそう? というか、上に空間があるみたいなんだよね……。
岩が道を塞いじゃってるから、前には進めなそうだし、上に行ってみるか。
「スラリン、一緒に行こう」
「きゅぴ!」
気合いを入れ直した様子のスラリンを連れて、探索再開です。
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◯NEWスキル
【天の祈り】レベル1
パーティーメンバー全員の魔力を微回復する。この効果は五分間続く。
【回避】レベル1
敵の攻撃を回避しやすくなる。オートで発動する。
◯スキル変化
【木魔術】レベル2
【木の罠】を使える。地面から蔦が飛び出し、狙った敵一体を拘束する。行動阻害効果がある。
【召喚】レベル3
一回のバトルに二体のモンスターを召喚可能。
テイマーではない職業では、モンスターのバトル参加可能時間は十五分。
◯NEWアイテム
【自動採掘機】レア度☆☆
錬金術で製作可能なアイテム。採掘ポイントに設置すると、自動で採掘する。一度設置すると、半径十メートルの範囲にある採掘ポイントを自ら探して採掘を継続する。
【頑丈な鉄のツルハシ】レア度☆☆
モンスターからドロップする頑丈なツルハシ。採掘の際に使うと、速度・量・品質が少し上がりやすくなる。耐久性20。
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