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7.お茶会

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 メルシャン伯爵家のお茶会は、美しい庭園で立食形式で開かれていた。たくさん置かれたテーブルの傍で、令嬢たちが思い思いに歓談している。
 領地の緑茶を紹介するための会であるからか、既に花の香りと共に豊かな緑茶の香りが漂っている気がした。

 招待状を手にして到着したマリアは、予想以上の歓待を受けながら、今回のお茶会の主人ユアナ・メルシャン伯爵令嬢のところに向かった。

「――ようこそいらっしゃいました、マリア様。出席いただけて嬉しいですわ」
「私もようやく出席できて光栄ですわ。メルシャン伯爵家の緑茶葉は良質だと聞いていますもの。一度、お茶会で味わってみたくて、今日はそれを楽しみに来ましたのよ」
「まあ! それは良いことを聞きましたわ。ぜひ当家自慢の緑茶を味わってくださいませ!」

 少しリップサービスも入れたが、マリアの言葉に嘘はない。メルシャン伯爵の領地でとれる緑茶葉が良質であることは有名なのだ。ただ、販促が下手なだけで。
 歓喜の表情を浮かべるユアナに背を押されるように、数多の茶葉が並ぶテーブルに案内される。主人自ら、マリアを歓待してくれるらしい。
 儀礼的な挨拶だけを交わして、ほとんど相手にされていないロイズには、それを特に気にした様子はない。たいていのお茶会は、婚約者同伴であることも多いとはいえ、基本的には女性主体のものだからだ。


「こちらが平民向けに流通させている茶葉ですわ。少し渋みと苦みがありますけれど、それがいいと貴族階級で好まれる方もいますわ。香りが強いのも好まれる理由ですわね」

 茶葉を紹介されると同時に、メイドが淹れた緑茶を渡される。

「――確かに渋みと苦みがありますわね。でも……この香り、私も好きですわ」
「ああ、確かに、これは職場で飲むのもいい気がしますね。眠気覚ましになりそうです」

 お茶を淹れる技術が優れているからか、それとも茶葉自体の品質が良いからか、十分美味しく感じた。ロイズも気に入ったようだ。
 それに微笑みながら、マリアは少し思案する。この緑茶は非常に香りが強い。その分、お菓子に使ったら良い風味が出そうだ。

 その後もいくつか茶葉を紹介されるが、マリアが商売に使いたいと考えたのは、最初の茶葉だった。もちろん、ただ飲むだけなら高品質なタイプの方が好きだったので、そちらの契約もしたいところだけれど。

「――ユアナ様。少し商売の話をさせてくださいませんか?」
「っ……もちろん! ぜひ、お願いしたいですわ!」

 ユアナの目がキラリと輝いた。お茶会の狙い通りの提案だったのだから、その表情は当然だろう。

 マリアたちは別室に場所を移して、詳しい話をすることになった。

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