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4話

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月曜日、学校に行く日の朝。
スマホのアラームが鳴り、鉄のように重い身体を起こす。
階段を下りて、洗面所で顔を洗って、お母さんとお父さんのいるリビングに行く。

「おはよう」

お母さんとお父さんに挨拶をしてから、食卓につく。いつもと変わらない朝ごはんが用意されていた。いつも通りにいただきますと手を合わせて、トーストを一口食べる。
お母さんはカップにコーヒーをいれて、ソファーに座っているお父さんの隣りに座った。
特に喋ることなく朝食を食べ終わって、自室に戻り、学校に行く準備をする。
制服に袖を通して、いつもより丁寧に髪を整える。
ローファーを履いて、少し心配そうな顔をしたお母さんとお父さんに見送られて、私は玄関をでた。
 いつもと変わらない通学路。でも玲奈がいないって思うと、少し寂しく感じる。いつも隣りを歩いて、なにげない話をした通学路。
そんな通学路を歩いて、学校に行く。
 教室に入るとき、少し怖くて立ち止まった。
久しぶりの学校だし、今まで玲奈がされていたことが、私もされるんじゃないかって怖かった。でも私は、玲奈の人生のぶんまで生きるって決めたんだから、こんなとこで止まっていられない。だから私は、勇気をだして教室のドアを開けた。

「おはようー」

教室のみんなに挨拶をしても、その挨拶が返ってくることはなかった。普段よく話す子達も、今日は教室の隅でひそひそと話していた。
他のクラスメイトも教室の隅で何かに笑っているようだった。
私は、なんで笑われているのか分からず、とりあえず自分の席に座ろうとして、机に鞄を置こうとすると、机の上に1枚の紙が置かれていることに気づいた。
その紙には、『バカ、死ね、学校に来るなよ、きもい、早く死ねば?』とかたくさん書かれていた。
そこでようやく、今まで玲奈がやられてきたいじめの標的が自分になったことに気づいた。
私は、教室にいてもたってもいられなくなって、机の上の紙をぐちゃぐちゃにして、教室を走ってでた。
その日から、クラスのみんなは私を無視するようになって、日にちが経つとそのいじめはどんどん酷くなっていった。
クラスで避けられるなんて当たり前、毎日のように靴が隠され、机に油性ペンでらくがきなんてされる日もあった。
そんなことが一ヶ月も続いて、私は人生で初めて仮病を使って学校を休んだ。
お母さんには、咳が出て少し熱っぽいから休むって嘘をついた。
本当は学校に行くのが嫌になっただけ。
学校に行くと、またクラスの人にいじめられると思うと、ベッドから起き上がるのもつらかった。
ずっとベッドから出られないままで、お昼のチャイムでようやくベッドから出るきになった。
リビングに行くと、お父さんもお母さんも仕事に行っていて誰もいなかった。ただ、机の上に冷めきったトーストと目玉焼きが置いてあった。
私は、小さくいただきますと挨拶をして、トーストを食べた。
何も味がしなかった。
ごはんを食べ終えると、私はまた自室に戻ってベッドに倒れこんだ。
すると、倒れこんだ勢いなのか床にひとつの封筒が落ちてきた。
手紙だった。玲奈が最後に残した手紙だ。
気づくと私は、その手紙を床から拾いあげて、読んでいた。
そうだ、玲奈だって今の私みたいにいじめられていたんだ。
いじめられていたのに、ずっと辛かったはずなのに、玲奈はずっと笑っていた。
私には、玲奈みたいに笑って振る舞うなんて無理だ。
私は玲奈みたいに強くない。
玲奈だったら、きっと、もっと強く生きれたのかな?
私はもう限界だよ。
本当はもっと生きたい。でも、もう限界なんだよ。
ごはんを食べても味はしないし。
学校なんて楽しくない。
何をしても、何も感じない。
こんなんなら死んだ方が楽だ。
でも、死ぬ前にお父さんとお母さんには手紙を残したかった。
私は、机の引き出しから手紙のセットを取り出して、ひたすらに両親にむけての手紙を書いた。
いつ死のうとかは、まだ決めてない。
ただ、限界が来たときのために。
 次の日。
 さすがに二日連続で休むのは気が引けて、嫌になりながらも玄関を開けた。
歩こうにも、足が鉄のようにかたくて、足が進まなかった。
なんとか学校に着くと、いつものように靴がトイレのゴミ箱に捨てられていた。
ただただ、教室の隅で長い長い一日を過ごした。
やっと帰れえるって思っても、帰るきになれなくて。それでも、親に心配はかけたくないから、重い足を動かす。
帰り道に何度も足を止めつつも、何回も死にたいと思いつつも、頑張って歩いた。
でも、それももう限界だった。
踏切で立ち止まったとき、ふと頭に過った。
このまま踏切を飛び越えれば、今よりもずっと楽になれるんじゃないかって思った。
飛び越えたら、玲奈に会えるんじゃないかって。
駄目だっていうのは分かっている。
でも、もう限界なんだよ。
もうこんな人生なんて死んだ方が全然ましだ。
この踏切を飛び越えったって、絶対に玲奈に会えるとはかぎらない。
そんなことは分かっている。
でも、私はその踏切を飛び越えた。
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