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30.決着

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 さようなら、アキトさん。これからも私は貴方の事を愛しています。

 視覚同調と聴覚同調をオフにして、これでよしと。あとは、アキトさんが無事に逃げたら記憶を消すだけです。

 ……ちょっと未練がましかったですね。最後の言葉は必要ありませんでした。いえ、記憶の件も必要ありませんでしたね。

「ふふふ、ミローネ。先ずは、たっぷりと私がいたぶってあげる。その後で、騎士団の男共に輪姦させて、その尊厳をたっぷりと地に堕としてあげるわ」

「……」

「黙りね。いいわ、その方が、いたぶって叫ばせる甲斐があるってものよね。益々楽しみになってきたわ」

 ふう、本当に最低の女ですね。私の身体は性者であるアキトさんにたっぷりと調教を受けています。そんな簡単に堕とせるとは思わないで貰いたいですね。

 ただ、私が騎士団の男達を相手にして泣き叫んで許しを請えば、スーネリアとヘルミナにその矛先が向く確率も下がるでしょうし、堕ちた振りは必要ですね。

 そう、演技をして、ケーナに媚びを売ればいいのです。反抗的な態度を取ってから媚びを売れば、その分ギャップとなって、相手に刺さります。

 私の本心を確認する方法がないケーナには、私の媚びを信じるしかないでしょう。あまりに簡単に落ちすぎると疑われる可能性もありますから、タイミングが重要ですね。

「ふふふ、楽しみねミローネ。右手と左手のどっちから潰すのが良いかしら。それくらいなら貴方に選ばせてあげるわよ」

「……」

 ケーナは笑みを浮かべてこちらを見ます。私はその笑みに対して、無表情を貫きます。

 感情を表に出してはいけません。もし私が感情を表に出せば、ケーナはそこをついてきますから。

「本当にたのしみねぇ」

 ケーナは私の反応がないことを確認すると、前を向いて歩いていきます。

 耐えて、助けが来る可能性は……ありませんね。今の状況から私を助けるには、国の軍隊レベルの戦力が必要です。アキトさんは、記憶を消してしまいますし……ふう、少し心が揺れちゃいました。

 ……未練を断ち切れていませんね。

 やっぱり、忘れられるものではありません。

 仕方ありません。もう一度アキトさんとの思い出を振り返りましょう。見つめ直して、完全に思い出にしてしまうのです。そう、お母様の時のように。

 ……最初にあったときは、ちょっと頼りなさそうでした。受付嬢好きのド変態でもありましたね。

 イーシャの時は土下座までして、真摯に向き合っていました。この頃からでしょうか、アキトさんをもっと信頼してみようと思ったのは。

 スーネリアの時は何だかんだと言いながら、ノリノリで襲っていましたね。感度上昇が効かない体質をあれほど呪った事はありません。

 ヘルミナの時は謝らないといけません。私の楽しさを優先させてしまいました。

 トリルは……やっぱりトリルのことは気がかりです。イーシャがトリルを抑えられるでしょうか。

 レベル上げはかなり無茶をさせてしまいました。これについては謝り忘れましたね。

 ……ふう、たった14日間しか一緒にいなかったのに、これだけ離れるのが恋しい存在になるとは思いもしませんでした。

 最後にもう一度だけ、心の中で叫んで終わりにしましょう。それで、区切りをつけるのです。

 ふぅ、せーの。

 アキトさん、愛してます!

 …………ふぅ。

――強制契約が破棄されました。

 え? 今なんて? 強制契約が破棄された?

 聞き間違い? ええと、視覚同調と聴覚同調をオン。……駄目です同調出来ません。ステータスは? ……アキトさんの名前が見つかりません。

 ……本当に強制契約が解除されています。一体、どうやって?

「あら、そんなに焦った顔をして、とうとう怖くなって来ちゃったのかしら?」

 強制契約が破棄されたと言う事は、アキトさんが助けに? いやいや、落ち着け、私。トリルがいる以上、アキトさんの力では、トリルの拘束を解くことはできません。そうです、何故か強制契約が解除されただけで、アキトさんは助けになんて来れないんです。あっ、でも記憶消去が出来なくなったから、アキトさんはずっと諦めないんじゃないでしょうか。

 ……ふう、アキトさんがもしかしたら何時か助けに来てくれるかもしれないと、期待してしまいました。

 今後、アキトさんが力をつけて助けに来てくれたとしても、それはもっとずっと先の事です。早くても三年以上先の事。期待してはいけません。

「今度はニヤニヤしたりして、本当に精神がおかしくなって来たのかしら。少しは楽しませて頂戴ね」

 いけません。ケーナの前で感情を表しては。平常心、平常心です。

 すーはー。すーはー。

 ………………

「さあ、着いたわよ」

 深呼吸している間に、目的の部屋に着いたようです。

 これは、拷問部屋でしょうか。こんな場所を家の中に作るなんて、悪趣味ですね。

「入りなさい」

「うわあああああああ!」「ぎゃああああああああ!」「やめろおおおおおおお!」

 何でしょうか? 悲鳴が飛び交っていますが。

「……騒がしいわね」

「隊長! 大変です!」

 何かが起きたようですね。

「どうした?」

「男が一人屋敷の中に侵入してきて暴れています」

 それって、アキトさん、ですよね? トリルは止めなかったのでしょうか? いや、それよりもどうやって騎士団の連中を相手に出来る力を手に入れたのでしょうか? アキトさんは騎士団の騎士一人と同じ程度の戦闘力しかないはずです。

「ふむ、面白い。私が返り討ちにしてやろう」

「面白そうね。私も行くわ。その男を捕まえて、その男の前で、ミローネを拷問にかけましょう」

 本当に悪趣味な女です。こうなることが嫌だからアキトさんを逃がしたのに。アキトさん、何で戻って来ちゃったんですか。

「ミローネは何処だあああああああ!」

 アキトさんの声。近いです。

「そこか! 見つけたぞ!」

 アキトさん! 本当に助けに来てくれたんですね。

「貴様か。その溢れんばかりの力。面白い。行くぞ!」

「うおおおおおおおおお!」

 ああ、アキトさんとウィルダがぶつかります。ウィルダに勝てるはずないのに何で戻ってきてしまったんですか……

「ぐはっ!」

 あら? ウィルダを一撃で吹っ飛ばしてしまいました。

「ミローネ! 無事か!」

「は、はい。無事ですよ」

 アキトさんが目の前に、嬉しい。ですが、どうやってここまでの力を?

 真鑑定を使ってと……レベル385! これは、えっと、ユニークスキル『棒姉妹』ですか。効果は、

///////////////////////////////////////////////

棒姉妹:今まで性交渉をした事がある者のレベルを自身のレベルに加える。
    また、一部のスキルを除いて、相手のスキルを使う事も可能。
    ただし、効果発動時に生きている者に限る。
    効果時間 1時間
    クールタイム 72時間

///////////////////////////////////////////////

 ……とんでもないスキルを手に入れましたね。

「何をやっているのウィルダ! 本気を出しなさい!」

 そうです、ウィルダはあの程度の攻撃では、まだ戦闘不能にはなっていないはずです。

「……面白い! 面白いぞ! 私も本気で相手をしよう!」

 立ち上がったウィルダから青白い闘気が溢れています。どうやら、ユニークスキル『レベル2倍』を発動したようです。

「アキトさん、気をつけてください。彼女のレベルは現在360、アキトさんと殆ど差がありません」

「任せろ。俺は絶対に負けない」

「うおおおおおおおおお!」

「はあああああああああ!」

 すごい衝撃です。

 あっ、壁に穴が開いて外に出ました。

 力は互角? いえ、僅かにアキトさんが押しています。元のレベルが高いウィルダの方が、スキルポイントが多い分、基礎能力値で上回っているのであまり差はなさそうですけど。

「やるな! 私と互角に戦える奴がいるなんて、思いもしなかったぞ!」

「今の俺と互角に戦える何て、アンタどれだけ化け物なんだよ!」

「ははは、嬉しいぞ! もっと、私と踊ってくれ! ぬっ、小賢しい!」

 アキトさんが黒い糸を、あれはトリルのスキルですね。一瞬で断ち切られていますが。

「これなら、どうだ!」

 物理的な力はアキトさんの方が僅かに高いようですが、スキルの熟練具合や戦闘経験ではウィルダに軍配があがるようです。

 もどかしいです。ここで命令が使えれば、確実にアキトさんが勝つのに。

 私には、応援する事しかできません。
 
 アキトさん、頑張って!

◇◆◇◆

「ははは! どうした? もう終わりか? もっと、もっと私を楽しませろ!」

 駄目だ、ウィルダには俺の攻撃が通用しない。

 俺が繰り出す攻撃は、ウィルダにことごとく防がれて、効果がない。

 何か、何かないのか? このままだと、棒姉妹の効果が切れて、おしまいだ。

 有効そうなスキルは放って見たが、俺も殆どのスキルが初見で上手く使いこなせない。それどころか、隙が出来て危険ですらある。

 だが、俺の使い慣れている闘神のスキルは、ウィルダも持っていて、通用しない。魔法もまだ、こんな高速で戦闘をしながら使うことはできない。

 他に使い慣れているスキルと言えば性者のスキルだけど、性者のスキルは戦闘ではとても……いや、待てよ。もしかしたら、いけるか? ウィルダは状態異常無効の能力を持っていない。いけるかも。

 俺は一縷の望みをかけて、スキルを発動する。

――感度操作Lv10(+)を使用しました。
――感度上昇Lv10を使用しました。

 これで、ウィルダの身体に触れられれば。

 行くぞ、黒獄糸。

「むっ、その糸はさっきも見たぞ」

 俺は、黒い糸でウィルダの目をくらませて、後ろに回りこむ。

「同じ事を繰り返すとは、私を舐めているのか!」

 ウィルダは俺の動きを読んでいて、俺に向かって剣を振り下ろす。

 俺はその剣を躱さず、左脇腹で受け止める。

「ぐうぅぅ」

 もの凄い衝撃を受けながらも闘気で守られた俺の体はそれを受け止める。

 ウィルダの剣をグッと掴み、僅かに露出するウィルダの生の肌に触れた。

 ここだ。弱点掌握発動。

 そして、指で弱点をなぞった。

「くうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡」

 ウィルダは、それだけで、全身をガクガクと震わせて、大きな隙を作る。

「これで、終わりだ!」

「あああああああああああっ♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡」

 渾身の一撃がウィルダの顔面に決まり、ウィルダは絶叫しながら吹っ飛んで壁に激突した。

「こ、こんなっ♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡技がっ♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡あっ……」

――屈服が使用可能になりました。スキルを使用しますか? Yes or No?

 ウィルダは身体を震わせていたが、ガクリと崩れ堕ちて、動かなくなった。どうやら、激しい快感に身をさらし、気を失ったようだ。

 さすがのウィルダも感度上昇Lv10には耐えられなかったか。とりあえず、屈服は使用しておこう。

――屈服を使用しました。

「ウィ、ウィルダ、何を遊んでいるの! 貴方が負けるはずないでしょう!」

 振り返ると、ケーナが何やら叫んでいる。そのケーナにミローネが接近していた。

「隙だらけです」

「しまっ――がはぁっ!」

 ミローネが気合いの入った一撃をケーナにお見舞いする。ケーナはくの字に折れ曲がり、ミローネの拳の上に乗っている。

「ふふっ、貴方がうろたえているところを初めて見ましたよ」

「み、ミローネ……くそっ……わたしのや……」

 ケーナはガクリと脱力し、ミローネの拳の上で気絶したようだ。

「ミローネ」

「アキトさん、助けに来るなって言ったのに助けに来るなんて、本当にしょうがない人ですね」

「仕方ないだろ。俺はミローネの事が好きなんだ」

「ふふっ、私もアキトさんの事が大好きですよ。助けに来てくれて、ありごとうございます。私、すごく嬉しかったですよ」

 ミローネが良い笑顔を見せてくれて、俺の中に何やら熱いモノが湧き上がってくるのを感じる。

 それは何だか、自分の中で処理できない、熱い感覚で、身体が熱くなり、俺は目の前のミローネの唇に唇を重ねた。

「んっ♡……」

 ちゅっ♡ちゅっ♡……ちゅっ♡ちゅうっ♡ちゅぱっ♡ちゅぱっ♡……

 ミローネも俺の突然のキスを拒否することなく応じてくれる。

 気持ちいい。このまま、最後までミローネと……

「くふふ、お二人とも最後の仕事がまだ終わっていませんよねぇ」

「やりたいのは分かりますけど、ここでするのはどうかと思います」

 慌ててキスを止めて声がした方を見ると、トリルがイーシャを抱えて立っていた。

「な、何でトリルがここに?」

「アキトさんが活躍するのを見逃す訳にはいかないと思いまして、アキトさんがミローネ先輩を助けに向かった後、すぐにイーシャを連れてやって来ました。ウィルダ・アドヴィンクルを倒してしまうとは、さすがアキトさんですねぇ」

「ケーナさんが気絶している今の内に、抱いてしまった方がいいと思います」

 イーシャに当然の指摘をされ、俺もミローネも少々気まずくなる。

「わ、私は分かっていましたよ。ちょっとアキトさんが強引に迫って来たので、どうしようかと思っていた所です」

 すぐにミローネは裏切った。

「まあ、あれだ。とにかく今は、ケーナを抱いてしまおう」

「ふふっ、そうですね。ただ、ケーナにはしっかりと意識が戻った状況で、アキトさんに抱いて貰います。丁度、ここに良い部屋がありますから」

 ミローネが扉を開けた部屋の中には、何やら椅子とかノコギリとか金槌とかがあって、やばそうな感じだ。

「この部屋は?」

「恐らく拷問部屋でしょう。私をこの部屋で拷問にかける気だったようです」

「そ、そうか。その、俺はあんまり痛い系には耐性がなくてだな」

「ふふっ、大丈夫です。この部屋で使用するのは、身体を固定する拘束具だけですよ。それに、ケーナはこの部屋で目を覚めたら、とても驚くし恐怖すると思いませんか?」

 確かに、こちら側が唯のセックスしかする気がないとしても、ケーナにそんな事は分からない。

「あっ、この鞭いいですね。これで、私がケーナの恐怖心を煽りましょう。ケーナもアキトさんの力で新しい扉が開かれるでしょうね」

「くふふ、羨ましいですねぇ。私もここでアキトさんに嬲って貰いたいものですねぇ」

「こ、この道具はどうやって使うんでしょう?」

「折角ですし、イーシャとトリルにも手伝って貰いましょうか」

 いや、トリルはともかく、イーシャはケーナの恐怖心を下げそうな気がするが。

「私、頑張ります」

 イーシャが何やら意気込んでいるので、まあいいか。俺はケーナを快楽漬けにするくらいしか出来ないし。本格的にセックスが始まれば、周りの事なんて見えなくなるだろう。

「ところで、見張りはどうするんだ?」

「それなら、私達が引き受けるわ」

 声のした方を見ると、スーネリアとヘルミナもこちらに歩いて来ていた。

 そう言えば、ミローネを探してるときについでに助けたんだったな。

「それじゃあ、先ずはケーナを拘束しましょう。あっ、その前に受付嬢の制服に着替えさせた方がいいですよね?」

「ああ、頼む」

「くふふ、制服ならここにありますよ」

 何処からともなく、トリルは受付嬢の制服を取り出した。

「よし、先ずは服を脱がしますよ」

「はい、手伝います」

 皆でケーナを受付嬢姿に着替えさせ、椅子に座らせて、大股開きで開脚して、両脚を固定する。

 両腕も椅子の上部にある拘束具でしっかりと固定した。

 これで、準備は整った。

 ケーナの支配から解放する為、それと、お仕置きの為、セックスを開始するのだった。
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