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クラスの女子たちとランチをとるようになって数日。私はすっかり皆と仲良くなっていた。女の子は恋バナとスイーツの話題で盛り上がれば、すぐに打ち解けられるのだ。私の独断と偏見だけど。
放課後、皆でスイーツの食べ歩きもした。焼きたてクレープ美味しかったよ!
意外にも私とメーラさんはお菓子の好みが似ていたので、気付けば二人でお菓子の話ばかりしていることが多くなった。
「リモーネ様もカスタードのお菓子がお好きなんですね」
「そうなの!プリンとかシュークリームとか大好き!どうして卵ってあんなに美味しいのかしら・・・」
「本当ですねぇ。あ、そういえば今度新しいプリン専門店ができるらしいですよ」
「まぁ!では一緒に行きましょう!」
「はい!楽しみですね」
ふふふっと二人で笑う。やったね!金髪美少女とデートの約束だ!
私がニヤニヤしていると、視線を感じた。後ろに目を向けると、思い切りばっと視線が逸らされる。何やってんだろ、アルジェント様。
「リモーネ様?どうしました?」
「あ、いえ・・・」
・・・そっか。私の隣にはメーラさんがいるから、彼女を見てたのね。
一瞬、胸がチクっとしたが、私は冷静に深呼吸した。
大丈夫。私はちゃんと、アルジェント様とメーラさんを取り持ってみせるわ。
放課後、魔法陣研究部の扉を開けると、そこにはオルカとランチア、そしてなぜかリコルドが、全員で頭を抱えて考え込んでいた。え、何この状況。
「・・・どうしたの?何かあった?」
恐る恐る聞く私に、オルカが顔を上げた。
「あー・・・いや、ちょっとリコルドから衝撃的な報告があって・・・」
あれ、オルカがリコルドを呼び捨てにしてる。いつのまに仲良くなったんだろ。
「待て、オルカ。それはまだリモーネには・・・!」
「あ、ああ、そうか」
え~?二人、ちょっと距離近くない?急に仲良しさんになるなんて、イケない女子の妄想の餌食になるよ?
「リモーネ。とりあえずこっちに座って?ハトさんサブレ作ってきたのよ」
「ハトさんサブレ!食べる食べる~!」
ランチアに手招きされ、席に着く。ランチアのハトさんサブレは、形が可愛いし美味しいし最高なのだ。
男性陣は追及されずにほっとしているようだが、こっちが見逃してあげたんだからね。
最近、どうもリコルドの動きが怪しい。彼はもしかしたら不穏分子なのかも?
サクサクとハトさんサブレを齧りながらリコルドをじっと見つめると、彼は居心地が悪くなったのか給湯室へ逃げた。
・・・なによ。ちっちゃい頃はよく一緒に遊んでたのに。
リコルドもアルジェント様みたいに、少しずつ疎遠になっていくのかな・・・。
私が寂しさを感じていると、目の前に紅茶が置かれた。
「・・・どうぞ、召し上がれ」
輪切りのレモンを添えた、ストレートティー。
「・・・私の好み、覚えてたんだ」
「そりゃまあ、幼馴染だからね」
「リコルドは甘い方が好きだよね。お砂糖二つにミルクたっぷり」
「別にいいだろ!」
男なのに甘党なのはちょっと恥ずかしいと思っているのか、リコルドが赤くなってプイっとそっぽを向く。このしぐさも幼い頃から変わらないな。
いつの間にか私の胸の中の寂しさは薄らいでいた。
放課後、皆でスイーツの食べ歩きもした。焼きたてクレープ美味しかったよ!
意外にも私とメーラさんはお菓子の好みが似ていたので、気付けば二人でお菓子の話ばかりしていることが多くなった。
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「そうなの!プリンとかシュークリームとか大好き!どうして卵ってあんなに美味しいのかしら・・・」
「本当ですねぇ。あ、そういえば今度新しいプリン専門店ができるらしいですよ」
「まぁ!では一緒に行きましょう!」
「はい!楽しみですね」
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大丈夫。私はちゃんと、アルジェント様とメーラさんを取り持ってみせるわ。
放課後、魔法陣研究部の扉を開けると、そこにはオルカとランチア、そしてなぜかリコルドが、全員で頭を抱えて考え込んでいた。え、何この状況。
「・・・どうしたの?何かあった?」
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あれ、オルカがリコルドを呼び捨てにしてる。いつのまに仲良くなったんだろ。
「待て、オルカ。それはまだリモーネには・・・!」
「あ、ああ、そうか」
え~?二人、ちょっと距離近くない?急に仲良しさんになるなんて、イケない女子の妄想の餌食になるよ?
「リモーネ。とりあえずこっちに座って?ハトさんサブレ作ってきたのよ」
「ハトさんサブレ!食べる食べる~!」
ランチアに手招きされ、席に着く。ランチアのハトさんサブレは、形が可愛いし美味しいし最高なのだ。
男性陣は追及されずにほっとしているようだが、こっちが見逃してあげたんだからね。
最近、どうもリコルドの動きが怪しい。彼はもしかしたら不穏分子なのかも?
サクサクとハトさんサブレを齧りながらリコルドをじっと見つめると、彼は居心地が悪くなったのか給湯室へ逃げた。
・・・なによ。ちっちゃい頃はよく一緒に遊んでたのに。
リコルドもアルジェント様みたいに、少しずつ疎遠になっていくのかな・・・。
私が寂しさを感じていると、目の前に紅茶が置かれた。
「・・・どうぞ、召し上がれ」
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「・・・私の好み、覚えてたんだ」
「そりゃまあ、幼馴染だからね」
「リコルドは甘い方が好きだよね。お砂糖二つにミルクたっぷり」
「別にいいだろ!」
男なのに甘党なのはちょっと恥ずかしいと思っているのか、リコルドが赤くなってプイっとそっぽを向く。このしぐさも幼い頃から変わらないな。
いつの間にか私の胸の中の寂しさは薄らいでいた。
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