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18 みんなに妹を紹介します
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フェルミィとキセノと一緒に、カフェテリアのテラス席でお茶を楽しむ。
二人に、私の可愛いテルルを紹介することになっているのだ。
…正直、少しだけ不安はある。テルルと会って、キセノはどんな反応をするかな…と。
「お姉さま~!」
入学式を終えたテルルが小走りにこちらへやってきた。
「テルル、お疲れ様。紹介するわね。私の友達のフェルミィとキセノよ。学園では特に仲良くしてもらってるの」
私が二人を紹介すると、テルルがペコリと頭を下げた。
「テルル・オキシーと申します。姉がいつもお世話になっております」
「よろしくね、テルルちゃん!」
「よろしくな、テルル嬢」
挨拶を済ませたあとは、なぜか会話が私の学園生活のことに移っていった。
テルルがやたらと聞きたがったからだ。主に私の交友関係を。
なんか、私の話題ばっかりでちょっと恥ずかしい……。
さりげなく、キセノの表情を注視する。
初めてテルルと会って、どう思ったかな…?
やっぱり、私よりもずっと可愛いって思ったかな……。
「フェルミィさんは、姉ととても仲が良いんですね」
「入学式からずっと一緒にいるからね! 私は一番の親友だと思ってるわ!」
「まあ…それほどまでに…。わたくし、ちょっと嫉妬してしまいそうですわ…」
「わあ~テルルちゃんは、お姉ちゃん大好きっ子かぁ~」
「はい!」
……人がシリアスモードに入ってるのに、妹と親友の会話が恥ずかしすぎてキセノに集中できない! 何話してるのよ、二人とも!
「キセノさんは、どうなのですか?」
「え? 俺? 何が?」
「姉とはどのくらい仲がよろしいのですか?」
ふぉおおおおお!? テルルゥゥゥ!?
そ、そこ突っ込まれると、お姉ちゃん心の準備が!
あ、いやいや。何も慌てることは無かったわ。私とキセノは仲のいい友人。そう、友人だもの。私は余裕を取り戻してキセノの返答を待った。
「……俺は、セレンのことをとても大切に思っているよ。俺にとって唯一無二の女性だ」
「ふぁっ!?」
思わず奇声が漏れた。えっ! い、今、何て!?
それはどういう意味なの!?
キセノが、とても優しい目で私を見ている。
「…セレン。俺は……」
「おい、セレン! お、お前、またその平民と一緒にいるのか! やっぱり友人がいないんじゃないか!」
急にキンキンした声がキセノの声を遮った。
何だかデジャブだ。同じようなことが前にもあったわね……。
私がげんなりと声のした方を見れば、案の定タンタルが立っていた。
「他にも友人がいるなんて言っておきながら、いつもそいつといるじゃないか! どういうことだ!?」
「はぁ? たまたま彼と一緒の時にばかり遭遇しているだけでは? というか、別に私に友人が多かろうと少なかろうと、タンタル様には何の関係もないでしょう」
「かっ、関係なくは……」
「私のことがお嫌いなのはよく分かりましたから、いちいち絡まないでくれませんか? 不愉快です」
「なっ!? 私は嫌いなんて言ってない!!
「そうでしたっけ? まあでも会うたびに“冴えない女”なんて言われていれば似たようなものですわ」
「そ、それはっ…違…わ、私は、セレン、お前のことが…!」
急にタンタルが近寄ってきた。
まさか暴力振るう気じゃないでしょうね?
「そこまでですよ、サマリウム様」
すっとキセノが私とタンタルの間に入った。
…まただ。キセノはいつも、私のことを守ってくれる……。
「あまり大声で怒鳴るのは、女性に対してよろしくないでしょう。彼女の友人や妹君も、心配していますよ」
「……妹?」
タンタルがキセノの視線をたどると、ギャッと悲鳴を上げた。
「テ、テルル!! お前もいたのか!!」
「まあ失礼ですわね、タンタル様。わたくし最初からずっとここにいましてよ。姉以外目に入らなかったのかしら?」
「わ、私は失礼するっ!」
あっという間にタンタルが遠ざかっていった。全力疾走で。
まるで厨房に出る黒光りする虫を見たような反応だ。
私の可愛いテルルに対して、失礼しちゃうわ。
せっかくキセノといい雰囲気になっていたのが台無しだ。
結局、この日はそのまま解散となった。
タンタル、許すまじ!!
二人に、私の可愛いテルルを紹介することになっているのだ。
…正直、少しだけ不安はある。テルルと会って、キセノはどんな反応をするかな…と。
「お姉さま~!」
入学式を終えたテルルが小走りにこちらへやってきた。
「テルル、お疲れ様。紹介するわね。私の友達のフェルミィとキセノよ。学園では特に仲良くしてもらってるの」
私が二人を紹介すると、テルルがペコリと頭を下げた。
「テルル・オキシーと申します。姉がいつもお世話になっております」
「よろしくね、テルルちゃん!」
「よろしくな、テルル嬢」
挨拶を済ませたあとは、なぜか会話が私の学園生活のことに移っていった。
テルルがやたらと聞きたがったからだ。主に私の交友関係を。
なんか、私の話題ばっかりでちょっと恥ずかしい……。
さりげなく、キセノの表情を注視する。
初めてテルルと会って、どう思ったかな…?
やっぱり、私よりもずっと可愛いって思ったかな……。
「フェルミィさんは、姉ととても仲が良いんですね」
「入学式からずっと一緒にいるからね! 私は一番の親友だと思ってるわ!」
「まあ…それほどまでに…。わたくし、ちょっと嫉妬してしまいそうですわ…」
「わあ~テルルちゃんは、お姉ちゃん大好きっ子かぁ~」
「はい!」
……人がシリアスモードに入ってるのに、妹と親友の会話が恥ずかしすぎてキセノに集中できない! 何話してるのよ、二人とも!
「キセノさんは、どうなのですか?」
「え? 俺? 何が?」
「姉とはどのくらい仲がよろしいのですか?」
ふぉおおおおお!? テルルゥゥゥ!?
そ、そこ突っ込まれると、お姉ちゃん心の準備が!
あ、いやいや。何も慌てることは無かったわ。私とキセノは仲のいい友人。そう、友人だもの。私は余裕を取り戻してキセノの返答を待った。
「……俺は、セレンのことをとても大切に思っているよ。俺にとって唯一無二の女性だ」
「ふぁっ!?」
思わず奇声が漏れた。えっ! い、今、何て!?
それはどういう意味なの!?
キセノが、とても優しい目で私を見ている。
「…セレン。俺は……」
「おい、セレン! お、お前、またその平民と一緒にいるのか! やっぱり友人がいないんじゃないか!」
急にキンキンした声がキセノの声を遮った。
何だかデジャブだ。同じようなことが前にもあったわね……。
私がげんなりと声のした方を見れば、案の定タンタルが立っていた。
「他にも友人がいるなんて言っておきながら、いつもそいつといるじゃないか! どういうことだ!?」
「はぁ? たまたま彼と一緒の時にばかり遭遇しているだけでは? というか、別に私に友人が多かろうと少なかろうと、タンタル様には何の関係もないでしょう」
「かっ、関係なくは……」
「私のことがお嫌いなのはよく分かりましたから、いちいち絡まないでくれませんか? 不愉快です」
「なっ!? 私は嫌いなんて言ってない!!
「そうでしたっけ? まあでも会うたびに“冴えない女”なんて言われていれば似たようなものですわ」
「そ、それはっ…違…わ、私は、セレン、お前のことが…!」
急にタンタルが近寄ってきた。
まさか暴力振るう気じゃないでしょうね?
「そこまでですよ、サマリウム様」
すっとキセノが私とタンタルの間に入った。
…まただ。キセノはいつも、私のことを守ってくれる……。
「あまり大声で怒鳴るのは、女性に対してよろしくないでしょう。彼女の友人や妹君も、心配していますよ」
「……妹?」
タンタルがキセノの視線をたどると、ギャッと悲鳴を上げた。
「テ、テルル!! お前もいたのか!!」
「まあ失礼ですわね、タンタル様。わたくし最初からずっとここにいましてよ。姉以外目に入らなかったのかしら?」
「わ、私は失礼するっ!」
あっという間にタンタルが遠ざかっていった。全力疾走で。
まるで厨房に出る黒光りする虫を見たような反応だ。
私の可愛いテルルに対して、失礼しちゃうわ。
せっかくキセノといい雰囲気になっていたのが台無しだ。
結局、この日はそのまま解散となった。
タンタル、許すまじ!!
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