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第三章 インゼル共和国編
29.裏で進む
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ヴェステから来ている者たちは、ニュールが倒れなかった時点で闇石での攻撃は失敗だったと判断した。そして魔物の目をしたニュールの魔力高まるの煌めきを感じ、塔周囲から一目散に退避し始める。
指揮を取っていた青の将軍は闇石の魔力が収束してから、急ぎ白の塔まで近づいていた。
『これで奴を排除できたなら良いが、何らかの形で生き残るなら私が最期を与えるために死力を尽くして戦わないと…』
実際に手合わせして青の将軍が得た感覚は、超越した者への脅威だった。
そして闇石を使用すべきという結論に至ったのだ。
決断は将軍自身の運命をも選び取ってしまった…と本人が知ることは無いだろう。
幕引きの瞬間を得る青の将軍フォルサム・グロンダビル。
それは突然襲い来る力の強制により始まった。
黄色い暴力的な魔力の輝きが高まり降り注いで来るのを感じると同時に、自分の中にある大切な魔力の流れが転がり落ちる毛糸玉の様に伸び、その先を誰かに握られてしまったと感じる。
その握り絞められた部分にジワリと力が加わる。
その力が及ぶと共に実感する。
まるで中身だけ縊り殺されて行くような…呼吸は続くのに意識はもう二度と戻らないであろうと言う絶望的感覚が徐々に心を満たしていく。
逃れようと叫ぼうと逃げようとするが、既に身体の自由がどこにも無い。
他人に体を制御される不自由さを実感する。
『エルシニアに操られていた少女もこの様な感覚だったのか…』
自分の思考に納得する。考えることは永遠に続けられるかと思われたが終わりの時はやってくる。
氷の世界に取り残された様な感覚…取り残されたことさえ少しずつ感じなくなり流れの中に流されて消えていく。
最期の状態が、得も言われぬ恐怖に怯える自分であった事を残してくれる器や思考はもう自分には無いのだった。
大量の人形が形成される程の魔力の放出が感じられ、其れが収まる頃。
まだ戦闘は続いていると思われるのに活動を始める者がいる。
あっけなく最期を迎えた回路切れた繋がり強き者達は、暗躍する者達の戦利品として回収されていく。
気付く者少ない裏での新たな戦いが既に始まっていたのだ。
「今回の一番の目玉は青だったがやはり難しかった様じゃな…隠者達の器も既に半数ほど繋げられてしまったわい。やはり遠見の鏡を通してでは難しいのぉ」
「御屋形様、今回なぜ、その喋り方で過ごされているのですか?」
「何か問題でもあるかのぉ」
お茶目に戯れふざける。
「見た目と喋りの落差が激しいです…」
「折角今の気分に合ってたのに!! ちょっとアレに用があったから、さっき迄あっちの姿だったんだよ」
目に見える主と従者は左程変わらない年齢の様だった。
青年と言うにはまだ年若い、少年を卒業して間もないといった風情の容貌。遠くから見たら友達同士でおしゃべりする姿に見えるであろう雰囲気だった。
「やっぱり青が取れなかったのは悔しいなぁ…」
その主らしき者は少し残念そうに言う。
「もし青を手に入れても、此方からでは元の位置に戻せないです。だから、取っても意味は無かったですよ」
少しでも気を紛らわせようと更に今回の成果を強調してみる従者らしき者。
「しかし隠者4名と内包者400名近くは結構な収穫なのでは?」
「雑魚などいくら居ても変わら無いよ!やっぱり取るなら頂上取らないと…まぁ商品は無いよりある方が良いけどね…」
取りたかった理由は特にあるわけでは無く、単に欲しかっただけの様だった。
よくある上位の者が持つ我儘か。
「向こうも本気で直接人間を送って回収してましたからねぇ~」
力の入れように少し感心するように話す。
「相当数注ぎ込んだのだから回収は必須でしょ?こっちだって君が行けば良かったんじゃない?」
無茶ぶりであるのは百も承知しての、欲しかった者が手に入らない故の八つ当たりである。
「嫌、流石にサルトゥスの別口に行かせて、こっちも…って言うのは勘弁して下さいよ!!」
だが反論には答えず、自分で振った話題なのに見事に流して元の流れに戻る主らしき者。
「でも青を人形にしてしまうとは予想外だったかな。結構お気に入り何じゃないかって思ってたんだけどな…だから一応アレに忠告しに行ったんだ。何らかの使い所があってなのか、何者かの意思が入ってるのか…」
そして自身の思索にふける。
『今回の儲けは微妙だったなぁ。楽しくて美味しっくて、ちょっとピリリと香辛料の香りする残忍で華麗な商売に繋げるには何を選ぶべきか…少なくとも刺激的に時を忘れたいなぁ…』
「まずは直接、あの子達に会ってみたいな…」
小さく楽しそうに希望を呟くのであった。
「やはり無駄となった様だな」
その不遜な態度の居丈高な男は、さも当然の様に豪奢な椅子に深く腰掛け足を投げ出し溜息をつきながら述べる。
「…無駄…ではありません。私の希望していた忠実な駒が手に入りました」
高飛車な男の態度に媚びへつらうことなく答える者も、不敵な笑みを浮かべ余裕の雰囲気で返す。
その言葉に興味を示し質問を返す。
「その方が動かすのか?」
「私自身ではありません。私はあくまでも人形ですから…」
まるで自身が劣るものであるかのように謙遜し答える。
「随分と生き生きとした人形よのぉ…」
「人形と言っても常駐している我々はあなた方と同じ状態、一個人とも言えます」
自身を人形だと述べた男は、顔を半分覆うマスク姿の中に艶麗な微笑みを浮かべ応答を続ける。
この不遜で鉄面皮な男の事を、尊大な男は眺め思う。
『最初遭遇した時の方が、余程人形らしかったものよ…』
3の月前程、ヴェステ王宮の奥深くに行き成り現れた人物が居た。
その場所に突如現れた事への驚きもなく、動じる事もなく、ひどく構う様な事もなく語り合いに応じる者。その珍妙な侵入者に直接対するのはヴェステ王国第15代国王シュトラ・バタル・ドンジェだった。
金の長い髪束ね目元を隠す面を付ける男が、気付いた時には王の前に立っていた。
深窓に留まる時は護衛も側近も侍る事を許諾しない王、故に直々の応対となる。
口許に現れる敵意無き笑みは、その面の内の造形の良さをも浮かび上がらせる。
無頼の輩と言う訳では無いようで、先触れ無く現れたと言う以外は礼儀正しく高貴な者へ対応し慣れている様子が窺えた。
グレイと名のる其の者は、王と対等に口を利き取引を申し出てきた。
王は粗方の内容を聞き問い質す。
「…では、そなたの言うように我の側へ仕える事許すならば、我に世の理を見せてくれると言うのだな。クックックッ面白い!」
王は腹の底から面白そうに笑う。
「突然この場所に現れてその様な大きな事を述べる者に今まで会った事がない、重畳よ!」
続けた言葉そのままに楽しんでいる様子だった。
「おとぎ話の魔神がそのままに現れたかの様だな!!」
その大言壮語を訝しむ事も無く、警戒する事も無かった。そして更に問う。
「…して、我の側で何をしてくれる?」
「全ての謎の答えを与えよう…」
都合のよい事だけで無いはず…であるのは、王も十分承知している。
「側に仕えることでお前に何の得があるのかも教えてもらおう」
利と利が釣り合っていなければ齟齬が生じる。
「私は世界の中心地に存在せねばならない故に王と共にあることが必用」
「目的は?」
王の問いに端的に答えるグレイ。
「見定める為」
「ふむ、面白い。受け入れよう…そしてお前に世界の中心眺める事を許そう」
王はその素性不明の者を受け入れ今ここに居る。
ふと数の月前を思い浮かべ楽しみ、王は面白さが倍増したことを実感した。
その数瞬後にグレイからの返答がある。
「私共の人形は表層は千差万別ですが、1層下は同一です。なので皆様方とはやはり違います…」
王は返答を軽く聞き流し、本題を振る。
「…して、この後の展開はどうするのじゃ?」
その質問に、にこやかに答えるグレイ。
「タラッサの塔を完全に掌握しようかと…後、そろそろ巫女を手に入れるための網を巡らせたいです」
「塔の方は、もう手に入っているのでは無かったのか?」
以前に聞いた話との相違点を王は突く。
「若干言い訳じみてしまいますが、人の心残すものは難しいのです…だから楽しいのですが…」
通常の人形とこの者と違うと言う事は理解できていたが、其れでも大きな相違点に驚きを覚え本筋とは違う質問をしてしまう。
「楽しいと言う感覚は有るのか…」
「あくまでも表面上はちゃんとした一個人ですから…最終的な方針が一致すると言うだけです…愉悦も快楽も嫉妬も憎悪も悲哀も全て存在します。ただし其れを求めたり表す表層下は人と違い一緒なのです」
「それで統一された方向に向かうとは疑わしいな…」
王は、通常の人間同士に近いならば多種多様であり統制は難しいと考える。
「切れない繋がり…と言うのは便利で厄介なのです。例え少しだけ表層の一部が違う方向へ向かったとしても、主目的に向けて他が引っ張るのです。表層は表層下に…深層に逆らえない」
「…ほぅ繋がりとな」
「それは皆さま方もご一緒でしょ…切れない繋がりは足枷にもなるのです」
「確かに切れぬ繋がりは要らぬ」
王は心凍る強者の口調で芯から同意した。
「今回は誰を釣り…誰で誰で楽しむか…選ぶのが楽しみです…」
華麗なる笑みを浮かべ楽しそうに微笑むグレイに、王も久しく感じていない高揚感を共に得るのであった。
指揮を取っていた青の将軍は闇石の魔力が収束してから、急ぎ白の塔まで近づいていた。
『これで奴を排除できたなら良いが、何らかの形で生き残るなら私が最期を与えるために死力を尽くして戦わないと…』
実際に手合わせして青の将軍が得た感覚は、超越した者への脅威だった。
そして闇石を使用すべきという結論に至ったのだ。
決断は将軍自身の運命をも選び取ってしまった…と本人が知ることは無いだろう。
幕引きの瞬間を得る青の将軍フォルサム・グロンダビル。
それは突然襲い来る力の強制により始まった。
黄色い暴力的な魔力の輝きが高まり降り注いで来るのを感じると同時に、自分の中にある大切な魔力の流れが転がり落ちる毛糸玉の様に伸び、その先を誰かに握られてしまったと感じる。
その握り絞められた部分にジワリと力が加わる。
その力が及ぶと共に実感する。
まるで中身だけ縊り殺されて行くような…呼吸は続くのに意識はもう二度と戻らないであろうと言う絶望的感覚が徐々に心を満たしていく。
逃れようと叫ぼうと逃げようとするが、既に身体の自由がどこにも無い。
他人に体を制御される不自由さを実感する。
『エルシニアに操られていた少女もこの様な感覚だったのか…』
自分の思考に納得する。考えることは永遠に続けられるかと思われたが終わりの時はやってくる。
氷の世界に取り残された様な感覚…取り残されたことさえ少しずつ感じなくなり流れの中に流されて消えていく。
最期の状態が、得も言われぬ恐怖に怯える自分であった事を残してくれる器や思考はもう自分には無いのだった。
大量の人形が形成される程の魔力の放出が感じられ、其れが収まる頃。
まだ戦闘は続いていると思われるのに活動を始める者がいる。
あっけなく最期を迎えた回路切れた繋がり強き者達は、暗躍する者達の戦利品として回収されていく。
気付く者少ない裏での新たな戦いが既に始まっていたのだ。
「今回の一番の目玉は青だったがやはり難しかった様じゃな…隠者達の器も既に半数ほど繋げられてしまったわい。やはり遠見の鏡を通してでは難しいのぉ」
「御屋形様、今回なぜ、その喋り方で過ごされているのですか?」
「何か問題でもあるかのぉ」
お茶目に戯れふざける。
「見た目と喋りの落差が激しいです…」
「折角今の気分に合ってたのに!! ちょっとアレに用があったから、さっき迄あっちの姿だったんだよ」
目に見える主と従者は左程変わらない年齢の様だった。
青年と言うにはまだ年若い、少年を卒業して間もないといった風情の容貌。遠くから見たら友達同士でおしゃべりする姿に見えるであろう雰囲気だった。
「やっぱり青が取れなかったのは悔しいなぁ…」
その主らしき者は少し残念そうに言う。
「もし青を手に入れても、此方からでは元の位置に戻せないです。だから、取っても意味は無かったですよ」
少しでも気を紛らわせようと更に今回の成果を強調してみる従者らしき者。
「しかし隠者4名と内包者400名近くは結構な収穫なのでは?」
「雑魚などいくら居ても変わら無いよ!やっぱり取るなら頂上取らないと…まぁ商品は無いよりある方が良いけどね…」
取りたかった理由は特にあるわけでは無く、単に欲しかっただけの様だった。
よくある上位の者が持つ我儘か。
「向こうも本気で直接人間を送って回収してましたからねぇ~」
力の入れように少し感心するように話す。
「相当数注ぎ込んだのだから回収は必須でしょ?こっちだって君が行けば良かったんじゃない?」
無茶ぶりであるのは百も承知しての、欲しかった者が手に入らない故の八つ当たりである。
「嫌、流石にサルトゥスの別口に行かせて、こっちも…って言うのは勘弁して下さいよ!!」
だが反論には答えず、自分で振った話題なのに見事に流して元の流れに戻る主らしき者。
「でも青を人形にしてしまうとは予想外だったかな。結構お気に入り何じゃないかって思ってたんだけどな…だから一応アレに忠告しに行ったんだ。何らかの使い所があってなのか、何者かの意思が入ってるのか…」
そして自身の思索にふける。
『今回の儲けは微妙だったなぁ。楽しくて美味しっくて、ちょっとピリリと香辛料の香りする残忍で華麗な商売に繋げるには何を選ぶべきか…少なくとも刺激的に時を忘れたいなぁ…』
「まずは直接、あの子達に会ってみたいな…」
小さく楽しそうに希望を呟くのであった。
「やはり無駄となった様だな」
その不遜な態度の居丈高な男は、さも当然の様に豪奢な椅子に深く腰掛け足を投げ出し溜息をつきながら述べる。
「…無駄…ではありません。私の希望していた忠実な駒が手に入りました」
高飛車な男の態度に媚びへつらうことなく答える者も、不敵な笑みを浮かべ余裕の雰囲気で返す。
その言葉に興味を示し質問を返す。
「その方が動かすのか?」
「私自身ではありません。私はあくまでも人形ですから…」
まるで自身が劣るものであるかのように謙遜し答える。
「随分と生き生きとした人形よのぉ…」
「人形と言っても常駐している我々はあなた方と同じ状態、一個人とも言えます」
自身を人形だと述べた男は、顔を半分覆うマスク姿の中に艶麗な微笑みを浮かべ応答を続ける。
この不遜で鉄面皮な男の事を、尊大な男は眺め思う。
『最初遭遇した時の方が、余程人形らしかったものよ…』
3の月前程、ヴェステ王宮の奥深くに行き成り現れた人物が居た。
その場所に突如現れた事への驚きもなく、動じる事もなく、ひどく構う様な事もなく語り合いに応じる者。その珍妙な侵入者に直接対するのはヴェステ王国第15代国王シュトラ・バタル・ドンジェだった。
金の長い髪束ね目元を隠す面を付ける男が、気付いた時には王の前に立っていた。
深窓に留まる時は護衛も側近も侍る事を許諾しない王、故に直々の応対となる。
口許に現れる敵意無き笑みは、その面の内の造形の良さをも浮かび上がらせる。
無頼の輩と言う訳では無いようで、先触れ無く現れたと言う以外は礼儀正しく高貴な者へ対応し慣れている様子が窺えた。
グレイと名のる其の者は、王と対等に口を利き取引を申し出てきた。
王は粗方の内容を聞き問い質す。
「…では、そなたの言うように我の側へ仕える事許すならば、我に世の理を見せてくれると言うのだな。クックックッ面白い!」
王は腹の底から面白そうに笑う。
「突然この場所に現れてその様な大きな事を述べる者に今まで会った事がない、重畳よ!」
続けた言葉そのままに楽しんでいる様子だった。
「おとぎ話の魔神がそのままに現れたかの様だな!!」
その大言壮語を訝しむ事も無く、警戒する事も無かった。そして更に問う。
「…して、我の側で何をしてくれる?」
「全ての謎の答えを与えよう…」
都合のよい事だけで無いはず…であるのは、王も十分承知している。
「側に仕えることでお前に何の得があるのかも教えてもらおう」
利と利が釣り合っていなければ齟齬が生じる。
「私は世界の中心地に存在せねばならない故に王と共にあることが必用」
「目的は?」
王の問いに端的に答えるグレイ。
「見定める為」
「ふむ、面白い。受け入れよう…そしてお前に世界の中心眺める事を許そう」
王はその素性不明の者を受け入れ今ここに居る。
ふと数の月前を思い浮かべ楽しみ、王は面白さが倍増したことを実感した。
その数瞬後にグレイからの返答がある。
「私共の人形は表層は千差万別ですが、1層下は同一です。なので皆様方とはやはり違います…」
王は返答を軽く聞き流し、本題を振る。
「…して、この後の展開はどうするのじゃ?」
その質問に、にこやかに答えるグレイ。
「タラッサの塔を完全に掌握しようかと…後、そろそろ巫女を手に入れるための網を巡らせたいです」
「塔の方は、もう手に入っているのでは無かったのか?」
以前に聞いた話との相違点を王は突く。
「若干言い訳じみてしまいますが、人の心残すものは難しいのです…だから楽しいのですが…」
通常の人形とこの者と違うと言う事は理解できていたが、其れでも大きな相違点に驚きを覚え本筋とは違う質問をしてしまう。
「楽しいと言う感覚は有るのか…」
「あくまでも表面上はちゃんとした一個人ですから…最終的な方針が一致すると言うだけです…愉悦も快楽も嫉妬も憎悪も悲哀も全て存在します。ただし其れを求めたり表す表層下は人と違い一緒なのです」
「それで統一された方向に向かうとは疑わしいな…」
王は、通常の人間同士に近いならば多種多様であり統制は難しいと考える。
「切れない繋がり…と言うのは便利で厄介なのです。例え少しだけ表層の一部が違う方向へ向かったとしても、主目的に向けて他が引っ張るのです。表層は表層下に…深層に逆らえない」
「…ほぅ繋がりとな」
「それは皆さま方もご一緒でしょ…切れない繋がりは足枷にもなるのです」
「確かに切れぬ繋がりは要らぬ」
王は心凍る強者の口調で芯から同意した。
「今回は誰を釣り…誰で誰で楽しむか…選ぶのが楽しみです…」
華麗なる笑みを浮かべ楽しそうに微笑むグレイに、王も久しく感じていない高揚感を共に得るのであった。
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