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第一章 エリミア辺境王国編
おまけ2 エシェリキアのその後
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継承権の剥奪とその他の刑が決まるまでの謹慎処分の間、エシェリキアの頭の中ではある考えが堂々巡りをしていた。
『なぜ自分は大それた行いをしてしまったのだろうか…』
大賢者様からの報告にてサランラキブがヴェステの間者であったとの知らせがあり、ギリギリの所で極刑だけは免れることになった様だ。
決まっているのはそれだけだった。
知らずうちに誘導されていた自分の中にある正義が、歪められた物であったこともその後大人から諭される事で理解出来た。
今まで積み上げたつもりであったモノは何一つ積み上げられて無かったことにエシェリキアは愕然とした。
『理解はしても納得はできない…』
そんなエシェリキアにとっての謹慎と言う処分と言う取り敢えずの罰は、半分は現実を受け入れられない自らが望んだ引きこもりの様なものでしかなかった。
もう、あれから2の月が経ち友好使節として赴く予定の者達は各地へ向かったと聞いた。
あのフレイルさえ、自ら道を選びサルトゥスへ向かったと言う。
そもそも、" あのフレイル " と考えてしまうが、彼女が実際に何をしたわけでも無いことは十分理解したつもりだった…だが年月を経た思い込みは正常な理解を歪めてしまい感情がついていかない。
あの異色の色合い持つ者の力が、この国の厄難となる可能性を持っていると判断した。それは純粋にこの国の臣となるべき立場の時の感情であり、今もそれは捨てきれない考えだ。
そんな悶々とした思いから、様々な無駄な考えが繰り返し頭の中を巡る。
今まで散々偉そうに語っていた自分が、何ら生産的活動をしていないのは十分解っていた。
さらに、仲間だった者に取り返しのつかない事態を引き起こしてしまった浅はかな行動と、事件により周囲から見捨てられてしまった現実は受け入れがたい重しとなり背後にのしかかる。
従者一人さえ居ない軟禁生活は、より一層エシェリキアの自虐的気分と暗い考えを増す。
『どの様な状態であっても、私のことを気にする者など皆無であることは事実…』
その時、自室の扉が大きな音と共に開け放たれた。
とうとう処遇が決まり連行されるのかと思った…が、そこにはモモハルムアが選任の儀を終え正式な守護者となったフィーデスと共に立っていた。
選任の儀も後日、改めて無事執り行われたのだ。
今回、自分が参加できなかったのは当たり前の事なのだが、目の当たりにすると情けなさが溢れてくるのを感じる。
「情けないです」
扉から入ってきたモモハルムアがエシェリキアに向き合い吐き捨てるように言った。自分の感じている思いをそのままを言葉にして伝えられ愕然した。
「いい加減に目を覚ましてください」
低く押し殺すような声で言葉を発しながら、守護者見習いと共にツカツカと近づいてきてエシェリキアの横を少し通り過ぎてから止まった。
その瞬間はなにが起こるか全く予想していなかったので呆然としてしまった。
エシェリキアが振り向く前に向き直ったモモハルムアは、全力で腕を振りあげ背後からエシェリキアの背を思いきり叩いた。
確実に赤く…腫れるような威力のヤツだった。
打った手も痛いだろうと思える強さ。
痛みに絶句しながら振り返ると、そこには目に怒りの涙を溜めたモモハルムアが居た。
「こんな時にいじけて後ろばかりを見て、しかも反省もせず引きこもる。色々な事が起こり国が不安定な今、我々が前を向いて立たずしてどうするのです」
モモハルムアの言葉をただ是認するしかなかった。
何も見えて居なかった自分を目の前につきつけられ…共にある世代としての気遣いに、真に深く反省の思いが湧く。
自分は今回の件で継承権が無くなるのは確実…それは当然のことだったのだ。
だけど、こう言う人間と共に並び歩き次代を担えたらそれもありでは…とエシェリキアに甘い考えが浮かんだ。
しかし、すぐ消え去る淡い期待であった。
「私はあの方が帰ってきて私に向き合ってくれるまで、前を向いてこの国を少しでも善き方向に導ける様に努力します。貴方はどうするつもりですか?」
この時エシェリキアは、この激しくも美しい先を見据える目を持つ獰猛な肉食魔獣に踏みつけられている様な気分になった。
『悪くない気分…むしろ…』
背中からゾワゾワと昂るような気持ちが湧く。
『この方の片腕となる道を探るも良いかもしれない。この方が思いを寄せる奴に成り代わる努力をしてみるのも有りか…』
一気に様々な先へ向けた考えが、後ろ向きだったエシェリキアの中から溢れ出る。
見た目に反して待機狩猟型魔物的であるモモハルムアの思いを逸らすのは、一度その獲物を手に入れさせて満足しないと他に興味は移りそうもない…と判断する。
『この方の狩猟に付き合うのも一興か…』
沙汰はまだ下らないが、少しどころか進んでやってみたいことが出来てきた。
この国の偽らぬ現状を把握せねばならない。それは、この先、この方がどの様な立場に立とうとも役に立つだろうとエシェリキアは考える。
久々にサランラキブは前向きな楽しい気持ちになった。
そして考え1つで楽しくなれることを思い出し、とりあえず今の状況を脱出しこの方の配下になる道を探ることに決めたサランラキブであった。
『なぜ自分は大それた行いをしてしまったのだろうか…』
大賢者様からの報告にてサランラキブがヴェステの間者であったとの知らせがあり、ギリギリの所で極刑だけは免れることになった様だ。
決まっているのはそれだけだった。
知らずうちに誘導されていた自分の中にある正義が、歪められた物であったこともその後大人から諭される事で理解出来た。
今まで積み上げたつもりであったモノは何一つ積み上げられて無かったことにエシェリキアは愕然とした。
『理解はしても納得はできない…』
そんなエシェリキアにとっての謹慎と言う処分と言う取り敢えずの罰は、半分は現実を受け入れられない自らが望んだ引きこもりの様なものでしかなかった。
もう、あれから2の月が経ち友好使節として赴く予定の者達は各地へ向かったと聞いた。
あのフレイルさえ、自ら道を選びサルトゥスへ向かったと言う。
そもそも、" あのフレイル " と考えてしまうが、彼女が実際に何をしたわけでも無いことは十分理解したつもりだった…だが年月を経た思い込みは正常な理解を歪めてしまい感情がついていかない。
あの異色の色合い持つ者の力が、この国の厄難となる可能性を持っていると判断した。それは純粋にこの国の臣となるべき立場の時の感情であり、今もそれは捨てきれない考えだ。
そんな悶々とした思いから、様々な無駄な考えが繰り返し頭の中を巡る。
今まで散々偉そうに語っていた自分が、何ら生産的活動をしていないのは十分解っていた。
さらに、仲間だった者に取り返しのつかない事態を引き起こしてしまった浅はかな行動と、事件により周囲から見捨てられてしまった現実は受け入れがたい重しとなり背後にのしかかる。
従者一人さえ居ない軟禁生活は、より一層エシェリキアの自虐的気分と暗い考えを増す。
『どの様な状態であっても、私のことを気にする者など皆無であることは事実…』
その時、自室の扉が大きな音と共に開け放たれた。
とうとう処遇が決まり連行されるのかと思った…が、そこにはモモハルムアが選任の儀を終え正式な守護者となったフィーデスと共に立っていた。
選任の儀も後日、改めて無事執り行われたのだ。
今回、自分が参加できなかったのは当たり前の事なのだが、目の当たりにすると情けなさが溢れてくるのを感じる。
「情けないです」
扉から入ってきたモモハルムアがエシェリキアに向き合い吐き捨てるように言った。自分の感じている思いをそのままを言葉にして伝えられ愕然した。
「いい加減に目を覚ましてください」
低く押し殺すような声で言葉を発しながら、守護者見習いと共にツカツカと近づいてきてエシェリキアの横を少し通り過ぎてから止まった。
その瞬間はなにが起こるか全く予想していなかったので呆然としてしまった。
エシェリキアが振り向く前に向き直ったモモハルムアは、全力で腕を振りあげ背後からエシェリキアの背を思いきり叩いた。
確実に赤く…腫れるような威力のヤツだった。
打った手も痛いだろうと思える強さ。
痛みに絶句しながら振り返ると、そこには目に怒りの涙を溜めたモモハルムアが居た。
「こんな時にいじけて後ろばかりを見て、しかも反省もせず引きこもる。色々な事が起こり国が不安定な今、我々が前を向いて立たずしてどうするのです」
モモハルムアの言葉をただ是認するしかなかった。
何も見えて居なかった自分を目の前につきつけられ…共にある世代としての気遣いに、真に深く反省の思いが湧く。
自分は今回の件で継承権が無くなるのは確実…それは当然のことだったのだ。
だけど、こう言う人間と共に並び歩き次代を担えたらそれもありでは…とエシェリキアに甘い考えが浮かんだ。
しかし、すぐ消え去る淡い期待であった。
「私はあの方が帰ってきて私に向き合ってくれるまで、前を向いてこの国を少しでも善き方向に導ける様に努力します。貴方はどうするつもりですか?」
この時エシェリキアは、この激しくも美しい先を見据える目を持つ獰猛な肉食魔獣に踏みつけられている様な気分になった。
『悪くない気分…むしろ…』
背中からゾワゾワと昂るような気持ちが湧く。
『この方の片腕となる道を探るも良いかもしれない。この方が思いを寄せる奴に成り代わる努力をしてみるのも有りか…』
一気に様々な先へ向けた考えが、後ろ向きだったエシェリキアの中から溢れ出る。
見た目に反して待機狩猟型魔物的であるモモハルムアの思いを逸らすのは、一度その獲物を手に入れさせて満足しないと他に興味は移りそうもない…と判断する。
『この方の狩猟に付き合うのも一興か…』
沙汰はまだ下らないが、少しどころか進んでやってみたいことが出来てきた。
この国の偽らぬ現状を把握せねばならない。それは、この先、この方がどの様な立場に立とうとも役に立つだろうとエシェリキアは考える。
久々にサランラキブは前向きな楽しい気持ちになった。
そして考え1つで楽しくなれることを思い出し、とりあえず今の状況を脱出しこの方の配下になる道を探ることに決めたサランラキブであった。
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