19 / 193
第一章 エリミア辺境王国編
19.蠢きに巻き込まれて行く
しおりを挟む
選任の儀の1つ週を前にする頃、エシェリキアより国の禍根となる者を排除するための活動をすると言質を取りサランラキブとその配下は動き出した。
既にこの国の中にはヴェステの間者が現在40名ほど潜んでいる。
普段は各都市に潜み計画の実行に向けて静かに蠢く。
この5年をかけて密かに入り込んだ。
より実践を経験している精鋭の《影》も3名付き、一人はその中でも更に優れた《四》だった。
このエリミア辺境王国は大した特産物も鉱石も無く、取り立てて商売になるような物が手に入る場所でも無かった。国名の辺境が語るように、地理的にも袋小路であり土地としても利用価値は少なく面白味は皆無である。
ただ、一度国内に入ってみると解るが、文化水準と使われている機構の整合性が取れていない。
この国の都市に存在する機構は今の技術では産み出せないようなものなのに、管理され利用されていること事態がおかしい。
《超越遺物》
各国の重要文献を探しても、痕跡すら残っていないような機構や技術の総称。どの国でもこれを再現する事は難しい。
ヴェステ王立魔石研究所
纏められている資料にもたいしたことは載っていない。
この国で存在して利用されてる、その機構に対する疑問や関連した話が一切漏れ出てこない違和感。
『だからこそ、あの御方は自身の手で謎を解きたいのだろう』
サランラキブはあの御方を思い恍惚とした表情のなかに沈む。
「エリミアに存在すると思われる超越遺物は、大賢者の中に眠る莫大な情報礎石に基づいて利用されているか、残された文献等によって制御されているのではと思われる」
ヴェステの研究機関で直接回答された報告は中途半端であった。
ほとんど漏れてこない噂をかき集め、賢者の塔の秘密を解明したくて見悶えているであろう、あの御方の尊いお姿が目に浮かぶ。
『是非手に入れて差し上げねば自分自身が許せない』
そう決意し、サーラはサランラキブとなりこの国に入った。
だが、この国を侵略するための侵入は簡単ではない。
老朽化していて隙だらけの様だが、全周囲を取り囲む境界壁は健在である。
この壁の外にはそれぞれ、広がる砂漠と国境門前の渓谷、山側は人が踏み入る事の出来ない険しき峰々があり、残る場所は魔物が跋扈する樹海がある。
侵入するに当たって障害となるであろうものに囲まれている。
大規模な軍隊を用いて長期で攻略する事はできるであろう。
だが、密かに落とすのは難しい。
しかも、境界壁は綿密に連携した魔石によって繋がり動く強固な結界であると言うことは研究の成果として報告されている。
過去その壁の謎や、外から無効化することに挑んできた者達は沢山いたが、そこに至った者はまだいない。
防衛機構としては完璧と言える水準である。
この技術は未だ完全に再現する事は出来ていない超越遺物の一つであるが、弱点は解明している。
その強固な結界の中にいる人々は完璧ではない。
欲もあれば、抜けもある。
人の心ほど不安定で危うく攻略しやすいものは無いと研究所での勉強で理論を学び、それを更に実践で試してきたサランラキブには手に取るように理解できた。
実際、サランラキブや潜入した者達が入ったのは堂々と正面の国境門からである。
『僕にならこの国を内から破壊することは容易い。あの方の期待に答えなければ…』
既に心の境界を越えてしまったサランラキブには至高の御方のために尽くすことしか思い浮かばないし、それ以外に何が起きようと手段でしかないものに意味はない。
選任の儀のある昼下がり。
街中の噴水の縁に座り、幼い子供のように水を玩びながらサランラキブは実行部隊を纏める影達に確認した。
近くの建物の隙間に忍び、サランラキブ以外の物がその存在を悟ることなど無い状態で影達は潜む。
「準備は出来ているな」
「御意」
「時間を合わせて実行せよ」
その指令で無言で集まった影達は消え、動き出す。
サランラキブも念のため、怪しまれずに街中に出られる機会を狙った。選任の儀で与えられる試練を受けるための外出は格好の機会となった。
あとは実行までの時間を潰すだけだ。
偶然、ニュールとフレイリアルを見かけた。呑気に反対の縁で屋台で買った物を食べたりしているようだった。
「気を抜きすぎたら詰まらないよ…ふふっ、時間もあるし、僕も少しご挨拶しておこうかな」
既に高度な隠蔽と静穏の魔力を纏っているサランラキブは二人に気づかれることも無く、噴水の反対側の縁で寛ぎ小さくつぶやいた。
昼時が近づいたのか、商業組合の建物の一番上にある時告げの鐘に、時番が二人ほど現れた。それぞれが手元に高価な水晶魔石の期計りを持ち、鐘をつく準備をしている。
準備をしていた二人が頷き合い、一人が撞木を振り上げる。
サランラキブは高度な隠蔽魔力を展開したまま、更に両手に魔石を一つずつ追加した。そして、片方の手の魔石で二人の斜め向かい2階建ての建物の屋根辺りに反射結界を展開した。
更に撞木が鐘に当たる瞬間を待ち、魔石を上空へ投げ反射結界に上空から大火力の魔力を鋭利に研ぎ澄ませ打ち込んだ
昼時の鐘の音と共に、その魔力は見事ニュールが展開する結界に直撃した。
祭りの中心から距離のある商会地区は人も疎らであり、被害を受けた人は居なかったようだが驚いた人々は我先にと建物内へと避難して行った。
『結界を崩せなかったのは残念だけど、良い挨拶になったよね…それに手応えはあった方が面白いからね』
自身も避難する振りをしつつその場を立ち去る。
そして合図をして影を呼びつけ次の指示を出す。
既に主要な仕掛けは準備万端。
「影クン達はヤッパリ僕の守護者候補を引き受けてくれないでしょ? だから守護者候補No.4クンにでも知らせて成功したら守護者にしてあげるよって伝えてあげて」
『面白い方が盛り上がる。あの御方に報告する時、過程も楽しんで頂かないと…』
サランラキブは、あの御方に捧げる瞬間を想像し愉悦に浸る。
「既に境界壁が面白い事になっているから。次は王城内も面白くしないとね」
選任の儀 控えの間。
フレイリアルが爆弾発言をした責任を取り、皆に大賢者に纏わる知られざる説明をある程度打ち明けた。
「つまり大賢者様は塔と繋がりが絶たれるような状態になってしまうと、生命の維持が難しくなるんだな…」
ニュールはフレイの説明を掻い摘まんで確認した。
横で聞いていたモモハルムア様もニュールの後に、その後に続くべき要約を述べる。
「そして大賢者様の命が失われれば、この国は国として存続できないような状態になる…と」
「「「「………」」」」
その場の4人は沈黙し、その予想外の状況を反芻しつつ飲み込んだ。
「動揺したり悲しんだりしてる暇はありませんわ!」
モモハルムアが最初に動き始めた。そして皆に火をつける。
「大賢者様が危険な状態でそれが私たちに取っても危機ならば、大賢者様を救いに行けば良いのです」
前向きに語り始めた。
フレイ達が予想外の深刻な話をしている中、周りの普段とは違う物々しい雰囲気に当てられ怯えていたコレルラーダ様が近くの兵を捕まえ強圧的に問う。
「いっいったい…なっ何があったんだ!」
8歳なら当然だと思うが、怯えが前面に出てしまい一寸情けなさが漂う。
「詳しい事は分かりませんが、王城に何者かが侵入し危害を加えているとのことで此方で守らせていただいてますのでご安心ください」
兵は爽やかな面持ちで真面目そうに誠実に答え、コレルラーダ様を安心させた。
しかし、この兵は影であった。
エリミア王城門兵の一人として入り込んでいた。
その兵はコレルラーダの問いかけに答えた後、元居た配置に戻り小さく呟いた。
「でも、そろそろ時間が来るみたいだから動かないと怒られちゃいますから…」
それと同時に小さな鋭い魔力が、灯りを2つほど破壊した。すでに夕時は過ぎていたので外は薄暗く、部屋の照度が一気に下がる。
事態の変動に多くのものが動揺し、開け放たれている窓からベランダを通り抜け庭へ降りてゆく。
皆の流れに乗り室外への道程に着こうとすると、少し離れたところにいたいじめっ子筆頭のエシェリキアが、微笑みを浮かべながら仲間を率いてやってきてフレイリアル達の進路を断つ。
『何かコイツは…』
ニュールはエシェリキアが発する純粋に研ぎ澄まされた思いを察知した。
それを察知すると同時にエシェリキアが手にした魔石から、大威力の魔力が此方に向けて迸る…純粋で迷いの無い殺意として。
既にこの国の中にはヴェステの間者が現在40名ほど潜んでいる。
普段は各都市に潜み計画の実行に向けて静かに蠢く。
この5年をかけて密かに入り込んだ。
より実践を経験している精鋭の《影》も3名付き、一人はその中でも更に優れた《四》だった。
このエリミア辺境王国は大した特産物も鉱石も無く、取り立てて商売になるような物が手に入る場所でも無かった。国名の辺境が語るように、地理的にも袋小路であり土地としても利用価値は少なく面白味は皆無である。
ただ、一度国内に入ってみると解るが、文化水準と使われている機構の整合性が取れていない。
この国の都市に存在する機構は今の技術では産み出せないようなものなのに、管理され利用されていること事態がおかしい。
《超越遺物》
各国の重要文献を探しても、痕跡すら残っていないような機構や技術の総称。どの国でもこれを再現する事は難しい。
ヴェステ王立魔石研究所
纏められている資料にもたいしたことは載っていない。
この国で存在して利用されてる、その機構に対する疑問や関連した話が一切漏れ出てこない違和感。
『だからこそ、あの御方は自身の手で謎を解きたいのだろう』
サランラキブはあの御方を思い恍惚とした表情のなかに沈む。
「エリミアに存在すると思われる超越遺物は、大賢者の中に眠る莫大な情報礎石に基づいて利用されているか、残された文献等によって制御されているのではと思われる」
ヴェステの研究機関で直接回答された報告は中途半端であった。
ほとんど漏れてこない噂をかき集め、賢者の塔の秘密を解明したくて見悶えているであろう、あの御方の尊いお姿が目に浮かぶ。
『是非手に入れて差し上げねば自分自身が許せない』
そう決意し、サーラはサランラキブとなりこの国に入った。
だが、この国を侵略するための侵入は簡単ではない。
老朽化していて隙だらけの様だが、全周囲を取り囲む境界壁は健在である。
この壁の外にはそれぞれ、広がる砂漠と国境門前の渓谷、山側は人が踏み入る事の出来ない険しき峰々があり、残る場所は魔物が跋扈する樹海がある。
侵入するに当たって障害となるであろうものに囲まれている。
大規模な軍隊を用いて長期で攻略する事はできるであろう。
だが、密かに落とすのは難しい。
しかも、境界壁は綿密に連携した魔石によって繋がり動く強固な結界であると言うことは研究の成果として報告されている。
過去その壁の謎や、外から無効化することに挑んできた者達は沢山いたが、そこに至った者はまだいない。
防衛機構としては完璧と言える水準である。
この技術は未だ完全に再現する事は出来ていない超越遺物の一つであるが、弱点は解明している。
その強固な結界の中にいる人々は完璧ではない。
欲もあれば、抜けもある。
人の心ほど不安定で危うく攻略しやすいものは無いと研究所での勉強で理論を学び、それを更に実践で試してきたサランラキブには手に取るように理解できた。
実際、サランラキブや潜入した者達が入ったのは堂々と正面の国境門からである。
『僕にならこの国を内から破壊することは容易い。あの方の期待に答えなければ…』
既に心の境界を越えてしまったサランラキブには至高の御方のために尽くすことしか思い浮かばないし、それ以外に何が起きようと手段でしかないものに意味はない。
選任の儀のある昼下がり。
街中の噴水の縁に座り、幼い子供のように水を玩びながらサランラキブは実行部隊を纏める影達に確認した。
近くの建物の隙間に忍び、サランラキブ以外の物がその存在を悟ることなど無い状態で影達は潜む。
「準備は出来ているな」
「御意」
「時間を合わせて実行せよ」
その指令で無言で集まった影達は消え、動き出す。
サランラキブも念のため、怪しまれずに街中に出られる機会を狙った。選任の儀で与えられる試練を受けるための外出は格好の機会となった。
あとは実行までの時間を潰すだけだ。
偶然、ニュールとフレイリアルを見かけた。呑気に反対の縁で屋台で買った物を食べたりしているようだった。
「気を抜きすぎたら詰まらないよ…ふふっ、時間もあるし、僕も少しご挨拶しておこうかな」
既に高度な隠蔽と静穏の魔力を纏っているサランラキブは二人に気づかれることも無く、噴水の反対側の縁で寛ぎ小さくつぶやいた。
昼時が近づいたのか、商業組合の建物の一番上にある時告げの鐘に、時番が二人ほど現れた。それぞれが手元に高価な水晶魔石の期計りを持ち、鐘をつく準備をしている。
準備をしていた二人が頷き合い、一人が撞木を振り上げる。
サランラキブは高度な隠蔽魔力を展開したまま、更に両手に魔石を一つずつ追加した。そして、片方の手の魔石で二人の斜め向かい2階建ての建物の屋根辺りに反射結界を展開した。
更に撞木が鐘に当たる瞬間を待ち、魔石を上空へ投げ反射結界に上空から大火力の魔力を鋭利に研ぎ澄ませ打ち込んだ
昼時の鐘の音と共に、その魔力は見事ニュールが展開する結界に直撃した。
祭りの中心から距離のある商会地区は人も疎らであり、被害を受けた人は居なかったようだが驚いた人々は我先にと建物内へと避難して行った。
『結界を崩せなかったのは残念だけど、良い挨拶になったよね…それに手応えはあった方が面白いからね』
自身も避難する振りをしつつその場を立ち去る。
そして合図をして影を呼びつけ次の指示を出す。
既に主要な仕掛けは準備万端。
「影クン達はヤッパリ僕の守護者候補を引き受けてくれないでしょ? だから守護者候補No.4クンにでも知らせて成功したら守護者にしてあげるよって伝えてあげて」
『面白い方が盛り上がる。あの御方に報告する時、過程も楽しんで頂かないと…』
サランラキブは、あの御方に捧げる瞬間を想像し愉悦に浸る。
「既に境界壁が面白い事になっているから。次は王城内も面白くしないとね」
選任の儀 控えの間。
フレイリアルが爆弾発言をした責任を取り、皆に大賢者に纏わる知られざる説明をある程度打ち明けた。
「つまり大賢者様は塔と繋がりが絶たれるような状態になってしまうと、生命の維持が難しくなるんだな…」
ニュールはフレイの説明を掻い摘まんで確認した。
横で聞いていたモモハルムア様もニュールの後に、その後に続くべき要約を述べる。
「そして大賢者様の命が失われれば、この国は国として存続できないような状態になる…と」
「「「「………」」」」
その場の4人は沈黙し、その予想外の状況を反芻しつつ飲み込んだ。
「動揺したり悲しんだりしてる暇はありませんわ!」
モモハルムアが最初に動き始めた。そして皆に火をつける。
「大賢者様が危険な状態でそれが私たちに取っても危機ならば、大賢者様を救いに行けば良いのです」
前向きに語り始めた。
フレイ達が予想外の深刻な話をしている中、周りの普段とは違う物々しい雰囲気に当てられ怯えていたコレルラーダ様が近くの兵を捕まえ強圧的に問う。
「いっいったい…なっ何があったんだ!」
8歳なら当然だと思うが、怯えが前面に出てしまい一寸情けなさが漂う。
「詳しい事は分かりませんが、王城に何者かが侵入し危害を加えているとのことで此方で守らせていただいてますのでご安心ください」
兵は爽やかな面持ちで真面目そうに誠実に答え、コレルラーダ様を安心させた。
しかし、この兵は影であった。
エリミア王城門兵の一人として入り込んでいた。
その兵はコレルラーダの問いかけに答えた後、元居た配置に戻り小さく呟いた。
「でも、そろそろ時間が来るみたいだから動かないと怒られちゃいますから…」
それと同時に小さな鋭い魔力が、灯りを2つほど破壊した。すでに夕時は過ぎていたので外は薄暗く、部屋の照度が一気に下がる。
事態の変動に多くのものが動揺し、開け放たれている窓からベランダを通り抜け庭へ降りてゆく。
皆の流れに乗り室外への道程に着こうとすると、少し離れたところにいたいじめっ子筆頭のエシェリキアが、微笑みを浮かべながら仲間を率いてやってきてフレイリアル達の進路を断つ。
『何かコイツは…』
ニュールはエシェリキアが発する純粋に研ぎ澄まされた思いを察知した。
それを察知すると同時にエシェリキアが手にした魔石から、大威力の魔力が此方に向けて迸る…純粋で迷いの無い殺意として。
0
お気に入りに追加
46
あなたにおすすめの小説
旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】
ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。

【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?
婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪
naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。
「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」
まっ、いいかっ!
持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!


結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。
どうも、死んだはずの悪役令嬢です。
西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。
皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。
アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。
「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」
こっそり呟いた瞬間、
《願いを聞き届けてあげるよ!》
何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。
「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」
義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。
今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで…
ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。
はたしてアシュレイは元に戻れるのか?
剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。
ざまあが書きたかった。それだけです。
転生悪役令嬢に仕立て上げられた幸運の女神様は家門から勘当されたので、自由に生きるため、もう、ほっといてください。今更戻ってこいは遅いです
青の雀
ファンタジー
公爵令嬢ステファニー・エストロゲンは、学園の卒業パーティで第2王子のマリオットから突然、婚約破棄を告げられる
それも事実ではない男爵令嬢のリリアーヌ嬢を苛めたという冤罪を掛けられ、問答無用でマリオットから殴り飛ばされ意識を失ってしまう
そのショックで、ステファニーは前世社畜OL だった記憶を思い出し、日本料理を提供するファミリーレストランを開業することを思いつく
公爵令嬢として、持ち出せる宝石をなぜか物心ついたときには、すでに貯めていて、それを原資として開業するつもりでいる
この国では婚約破棄された令嬢は、キズモノとして扱われることから、なんとか自立しようと修道院回避のために幼いときから貯金していたみたいだった
足取り重く公爵邸に帰ったステファニーに待ち構えていたのが、父からの勘当宣告で……
エストロゲン家では、昔から異能をもって生まれてくるということを当然としている家柄で、異能を持たないステファニーは、前から肩身の狭い思いをしていた
修道院へ行くか、勘当を甘んじて受け入れるか、二者択一を迫られたステファニーは翌早朝にこっそり、家を出た
ステファニー自身は忘れているが、実は女神の化身で何代前の過去に人間との恋でいさかいがあり、無念が残っていたので、神界に帰らず、人間界の中で転生を繰り返すうちに、自分自身が女神であるということを忘れている
エストロゲン家の人々は、ステファニーの恩恵を受け異能を覚醒したということを知らない
ステファニーを追い出したことにより、次々に異能が消えていく……
4/20ようやく誤字チェックが完了しました
もしまだ、何かお気づきの点がありましたら、ご報告お待ち申し上げておりますm(_)m
いったん終了します
思いがけずに長くなってしまいましたので、各単元ごとはショートショートなのですが(笑)
平民女性に転生して、下剋上をするという話も面白いかなぁと
気が向いたら書きますね

【完結】どうやら魔森に捨てられていた忌子は聖女だったようです
山葵
ファンタジー
昔、双子は不吉と言われ後に産まれた者は捨てられたり、殺されたり、こっそりと里子に出されていた。
今は、その考えも消えつつある。
けれど貴族の中には昔の迷信に捕らわれ、未だに双子は家系を滅ぼす忌子と信じる者もいる。
今年、ダーウィン侯爵家に双子が産まれた。
ダーウィン侯爵家は迷信を信じ、後から産まれたばかりの子を馭者に指示し魔森へと捨てた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる