12 / 30
12. 駄々をこねる
しおりを挟む宿を出て空港に。次は砂漠の国だ、マンモンに少し前に奇怪な事件があったと聞いている。
以前砂漠の国に行った時はセネカと一緒で、遺跡調査の護衛をしたんだったか。その結果巨大な魔物と戦う羽目になったり……色々あったな。
この国で『黒』に頼まれて牢獄の国に行き、迂闊にもルシフェルの封印を解いて、そこで──
『ヘル、ヘル! ヘールー!』
たしっ、とアルの前足が座っていた僕の肩に置かれる。
「…………アル。あぁ、ごめん。何?」
ご機嫌取りにと頭を撫で、自分でも驚く程に疲れた声で返事をした。
『私達が乗る便が来た。早く行こう』
「……うん」
『どうかしたのか?』
僕の顔の前で首を傾げるアル。その仕草は可愛らしく、僕の心を癒してくれる。僕が好きなアルの仕草の中の一つだ、幾つもあるその中には先程の前足を肩や膝に乗せる行為もある。
「…………なんでもない、行こ」
こんな誤魔化しは通用しないだろう。だが追求さえ逃れられればそれでいい。僕はアルの視線を背に感じながら、飛行機へ走った。
砂漠の国の空港には苦い思い出がある。方位磁石の北と南を間違えて反対方向に進んだあの思い出だ。
『なぁ頭領、自分地図読めるん?』
「完璧だよ。僕地図読むの得意なんだ」
『……ヘルにそんな雑用はさせられん。私が請け負おう』
同じ轍を踏む事のないよう気合を入れていたのだが、アルに地図を奪われてしまった。
失った信用は戻って来ないのかと気を落としていると、僕の手に地図が戻ってくる。
『やめろ犬神! ヘルは方向音痴なんだ、真昼間の砂漠で迷うのは死に直結する!』
「僕は方向音痴じゃない!」
『なんや方向音痴なんか、せやったら任せられへんわ。ほら地図寄越し』
酒呑が背後から地図を奪い、アルに渡す。そしてまた僕の手に戻ってくる。
『聞いていなかったのか犬神!』
「カヤ……僕を信用してくれるんだね。大好きだよカヤ!」
なんとも粗末な茶番劇。けれども僕にとっては信用を感じられる佳作だ。
『犬神ってほぼ自我あれへんよな』
『主人の願い叶えるだけの道具ですからねぇ、思考もないし……恨みくらいしか残ってへんのちゃう』
鬼達のカヤへの無礼な戯言など捨て置いて地図を読む。
アルが行こうとしていた方向は正反対だ。
『ほら、方向音痴だろう』
歩き出した僕の胴に尾を絡め、アルがため息を吐く。
「アルが方向音痴なんだよ」
『……犬神、主人が死んでもいいのか』
ゆら、と目の前の景色が歪む──違う、僕をすり抜けてカヤが半透明の姿を現したのだ。
『兟、殞?……シヌ。死? 喪? 失?』
『ヘルは方向音痴だ。ヘルに地図を与えるとヘルは死ぬ』
そんな説明が通ってたまるか、僕はそう叫んだがアルは意に介さない。
『鄙、ヤ、イャ……ャ、嫌、否、否』
『忠実だけが主人の助けになるとは限らない』
『犬神に言葉通じるわけあれへんやろ。学習もせえへんし、主人の為にっちゅー思考もあれへんねん』
景色の歪みが消える。カヤがまた不可視になったのだ。そして僕の手から地図は消えていた。
『嘘やろ……犬同士やからか?』
『ふん、主人への尽くし方というものが少しは分かったようだな。それとな、鬼、私は狼だ! 犬ではない! 狼! だ!』
何度願っても、口に出しても地図は僕の手に戻らない。しかも願う度に悲しそうな鳴き声が耳元で聞こえる。罪悪感が湧いてきた。
『しっかし……空港からえっらい遠く作ってくれとるわ。見えもせぇへん』
『砂漠の国は昔戦争しぃはってなぁ。それが起こる前は街は空港の辺りまであった……らしいですよ、酒呑様』
『よお知っとんな』
『CAのお姉さんが色々教えてくれはりました。あの人えらいべっぴんさんやったわぁ。立てば芍薬……ゆうのはあの人ん為の言葉や、ゆうくらいのべっぴんさん』
『なんやと羨ましい。寝んかったらよかったわ。んで? 胸とか腰とか……具体的に』
彼らと共にいる時間が長くなって初めて知ったが、鬼の会話というのはかなりくだらない。今のご時世学生だってもっと有意義な話をしている、僕は学生だった事がないからから詳しくは分からないけれども。
「…………疲れたー、ねぇまだ着かないの? やっぱりアルが方向音痴なんだよ」
『あと少しでオアシスがある。そこで暫し休もう』
「少しって……見えてもいないのに。もうやだ疲れたよー、乗せてよアルー」
『嫌だ。自分で歩け。私の方が暑いんだ』
裸足に毛皮、アルの方が暑いのは分かっている。だがもう歩きたくないという思いの方が強い。
ぼうっと空を見て歩いていると、突然僕の体が宙に浮かぶ。下を見れば半透明の犬の背があった。カヤが乗せてくれたのだ。
「カヤ大好き!」
『犬神、ヘルを甘やかすな! 尽くし方を考えろと言っただろう。ヘルはもう少し体力を付けなければならない、分からないのか!』
『せやからなんで犬神と話せるん……なんなん自分ら。のぉ茨木』
『……犬神の方が特殊、とか』
酒呑はカヤの顔を覗き込み、適当な話題を振る。
僕はあまり上手く話せていないと思っているのだが、生態を知っている鬼達には少しでも話せるのは不思議な事らしい。
『なぁなぁ俺とも話してーな』
『オ……ニ酒……カ……ネ減、御主人様、困ル。殺……殺ス殺ス殺スッ!』
「わっ!? カ、カヤ、暴れないで! 落ちちゃうよ!」
カヤは突然牙を向き暴れ出した。僕は背から振り落とされかけ、アルの尾に支えられる。
『犬神! 乗せるならちゃんと乗せろ!』
『……御主人様? 御主人様、ゴメン。ナァイ、御主ジ様……許、孖嚃ェ?』
「だ、大丈夫だよ。大丈夫、ありがと」
不安そうに僕を見上げるカヤの頭を撫で、後方に移動した酒呑を見る。
『なんか知らんけど俺あかんわ』
『嫌われてはりましたねぇ』
『嫌われとったんかあれ。目に入るもん全部にあぁいう反応するんちゃうん』
「カヤはそんなに凶暴じゃないよ」
少し気性は荒いようだが、心根は優しい良い仔だ。そう考えなければ背に乗ってられない、丸呑みにされた恐怖はまだ克服していないのだ。
『ん……おい、オアシスだ。見えるか』
アルはそう言うが、僕にはオアシスなんて見えない。辛うじて生えている木が見えるかな……と言ったところだ。アルの感覚は僕の何倍あるのだろうか。
『そろそろやねぇ。酒呑様、空のひょうたん用意してはります?』
『あの水ぜーんぶ酒やったら入れよ思うんやけど』
『……酒呑様? うちらは鬼とはいえ生きもんや、水は必須や分かってはりますか』
『冗談や冗談。そない怒りなや』
声色はいつも通り穏やかで、表情もいつも通りの微笑みで、怒っているようには全く見えなかった。僕には子供を諭す母親にすら見えたのに、酒呑は残っていた酒を飲み干した。
鬼の怒り方はああなのだろうか、それなら表情や声色に怯えなくて済む。羨ましい事だ。
以前砂漠の国に行った時はセネカと一緒で、遺跡調査の護衛をしたんだったか。その結果巨大な魔物と戦う羽目になったり……色々あったな。
この国で『黒』に頼まれて牢獄の国に行き、迂闊にもルシフェルの封印を解いて、そこで──
『ヘル、ヘル! ヘールー!』
たしっ、とアルの前足が座っていた僕の肩に置かれる。
「…………アル。あぁ、ごめん。何?」
ご機嫌取りにと頭を撫で、自分でも驚く程に疲れた声で返事をした。
『私達が乗る便が来た。早く行こう』
「……うん」
『どうかしたのか?』
僕の顔の前で首を傾げるアル。その仕草は可愛らしく、僕の心を癒してくれる。僕が好きなアルの仕草の中の一つだ、幾つもあるその中には先程の前足を肩や膝に乗せる行為もある。
「…………なんでもない、行こ」
こんな誤魔化しは通用しないだろう。だが追求さえ逃れられればそれでいい。僕はアルの視線を背に感じながら、飛行機へ走った。
砂漠の国の空港には苦い思い出がある。方位磁石の北と南を間違えて反対方向に進んだあの思い出だ。
『なぁ頭領、自分地図読めるん?』
「完璧だよ。僕地図読むの得意なんだ」
『……ヘルにそんな雑用はさせられん。私が請け負おう』
同じ轍を踏む事のないよう気合を入れていたのだが、アルに地図を奪われてしまった。
失った信用は戻って来ないのかと気を落としていると、僕の手に地図が戻ってくる。
『やめろ犬神! ヘルは方向音痴なんだ、真昼間の砂漠で迷うのは死に直結する!』
「僕は方向音痴じゃない!」
『なんや方向音痴なんか、せやったら任せられへんわ。ほら地図寄越し』
酒呑が背後から地図を奪い、アルに渡す。そしてまた僕の手に戻ってくる。
『聞いていなかったのか犬神!』
「カヤ……僕を信用してくれるんだね。大好きだよカヤ!」
なんとも粗末な茶番劇。けれども僕にとっては信用を感じられる佳作だ。
『犬神ってほぼ自我あれへんよな』
『主人の願い叶えるだけの道具ですからねぇ、思考もないし……恨みくらいしか残ってへんのちゃう』
鬼達のカヤへの無礼な戯言など捨て置いて地図を読む。
アルが行こうとしていた方向は正反対だ。
『ほら、方向音痴だろう』
歩き出した僕の胴に尾を絡め、アルがため息を吐く。
「アルが方向音痴なんだよ」
『……犬神、主人が死んでもいいのか』
ゆら、と目の前の景色が歪む──違う、僕をすり抜けてカヤが半透明の姿を現したのだ。
『兟、殞?……シヌ。死? 喪? 失?』
『ヘルは方向音痴だ。ヘルに地図を与えるとヘルは死ぬ』
そんな説明が通ってたまるか、僕はそう叫んだがアルは意に介さない。
『鄙、ヤ、イャ……ャ、嫌、否、否』
『忠実だけが主人の助けになるとは限らない』
『犬神に言葉通じるわけあれへんやろ。学習もせえへんし、主人の為にっちゅー思考もあれへんねん』
景色の歪みが消える。カヤがまた不可視になったのだ。そして僕の手から地図は消えていた。
『嘘やろ……犬同士やからか?』
『ふん、主人への尽くし方というものが少しは分かったようだな。それとな、鬼、私は狼だ! 犬ではない! 狼! だ!』
何度願っても、口に出しても地図は僕の手に戻らない。しかも願う度に悲しそうな鳴き声が耳元で聞こえる。罪悪感が湧いてきた。
『しっかし……空港からえっらい遠く作ってくれとるわ。見えもせぇへん』
『砂漠の国は昔戦争しぃはってなぁ。それが起こる前は街は空港の辺りまであった……らしいですよ、酒呑様』
『よお知っとんな』
『CAのお姉さんが色々教えてくれはりました。あの人えらいべっぴんさんやったわぁ。立てば芍薬……ゆうのはあの人ん為の言葉や、ゆうくらいのべっぴんさん』
『なんやと羨ましい。寝んかったらよかったわ。んで? 胸とか腰とか……具体的に』
彼らと共にいる時間が長くなって初めて知ったが、鬼の会話というのはかなりくだらない。今のご時世学生だってもっと有意義な話をしている、僕は学生だった事がないからから詳しくは分からないけれども。
「…………疲れたー、ねぇまだ着かないの? やっぱりアルが方向音痴なんだよ」
『あと少しでオアシスがある。そこで暫し休もう』
「少しって……見えてもいないのに。もうやだ疲れたよー、乗せてよアルー」
『嫌だ。自分で歩け。私の方が暑いんだ』
裸足に毛皮、アルの方が暑いのは分かっている。だがもう歩きたくないという思いの方が強い。
ぼうっと空を見て歩いていると、突然僕の体が宙に浮かぶ。下を見れば半透明の犬の背があった。カヤが乗せてくれたのだ。
「カヤ大好き!」
『犬神、ヘルを甘やかすな! 尽くし方を考えろと言っただろう。ヘルはもう少し体力を付けなければならない、分からないのか!』
『せやからなんで犬神と話せるん……なんなん自分ら。のぉ茨木』
『……犬神の方が特殊、とか』
酒呑はカヤの顔を覗き込み、適当な話題を振る。
僕はあまり上手く話せていないと思っているのだが、生態を知っている鬼達には少しでも話せるのは不思議な事らしい。
『なぁなぁ俺とも話してーな』
『オ……ニ酒……カ……ネ減、御主人様、困ル。殺……殺ス殺ス殺スッ!』
「わっ!? カ、カヤ、暴れないで! 落ちちゃうよ!」
カヤは突然牙を向き暴れ出した。僕は背から振り落とされかけ、アルの尾に支えられる。
『犬神! 乗せるならちゃんと乗せろ!』
『……御主人様? 御主人様、ゴメン。ナァイ、御主ジ様……許、孖嚃ェ?』
「だ、大丈夫だよ。大丈夫、ありがと」
不安そうに僕を見上げるカヤの頭を撫で、後方に移動した酒呑を見る。
『なんか知らんけど俺あかんわ』
『嫌われてはりましたねぇ』
『嫌われとったんかあれ。目に入るもん全部にあぁいう反応するんちゃうん』
「カヤはそんなに凶暴じゃないよ」
少し気性は荒いようだが、心根は優しい良い仔だ。そう考えなければ背に乗ってられない、丸呑みにされた恐怖はまだ克服していないのだ。
『ん……おい、オアシスだ。見えるか』
アルはそう言うが、僕にはオアシスなんて見えない。辛うじて生えている木が見えるかな……と言ったところだ。アルの感覚は僕の何倍あるのだろうか。
『そろそろやねぇ。酒呑様、空のひょうたん用意してはります?』
『あの水ぜーんぶ酒やったら入れよ思うんやけど』
『……酒呑様? うちらは鬼とはいえ生きもんや、水は必須や分かってはりますか』
『冗談や冗談。そない怒りなや』
声色はいつも通り穏やかで、表情もいつも通りの微笑みで、怒っているようには全く見えなかった。僕には子供を諭す母親にすら見えたのに、酒呑は残っていた酒を飲み干した。
鬼の怒り方はああなのだろうか、それなら表情や声色に怯えなくて済む。羨ましい事だ。
0
お気に入りに追加
19
あなたにおすすめの小説


【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】
ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。
【完結】「私は善意に殺された」
まほりろ
恋愛
筆頭公爵家の娘である私が、母親は身分が低い王太子殿下の後ろ盾になるため、彼の婚約者になるのは自然な流れだった。
誰もが私が王太子妃になると信じて疑わなかった。
私も殿下と婚約してから一度も、彼との結婚を疑ったことはない。
だが殿下が病に倒れ、その治療のため異世界から聖女が召喚され二人が愛し合ったことで……全ての運命が狂い出す。
どなたにも悪意はなかった……私が不運な星の下に生まれた……ただそれだけ。
※無断転載を禁止します。
※朗読動画の無断配信も禁止します。
※他サイトにも投稿中。
※表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。
「Copyright(C)2022-九頭竜坂まほろん」
※小説家になろうにて2022年11月19日昼、日間異世界恋愛ランキング38位、総合59位まで上がった作品です!

【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?

魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。

聖女は聞いてしまった
夕景あき
ファンタジー
「道具に心は不要だ」
父である国王に、そう言われて育った聖女。
彼女の周囲には、彼女を心を持つ人間として扱う人は、ほとんどいなくなっていた。
聖女自身も、自分の心の動きを無視して、聖女という治癒道具になりきり何も考えず、言われた事をただやり、ただ生きているだけの日々を過ごしていた。
そんな日々が10年過ぎた後、勇者と賢者と魔法使いと共に聖女は魔王討伐の旅に出ることになる。
旅の中で心をとり戻し、勇者に恋をする聖女。
しかし、勇者の本音を聞いてしまった聖女は絶望するのだった·····。
ネガティブ思考系聖女の恋愛ストーリー!
※ハッピーエンドなので、安心してお読みください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる