21 / 30
20.選択の時
しおりを挟む
2人にとって必要な情報であり…作戦持ち掛けるための前置きとして話すのは良い機会…とばかりに、アクテは集落の昔語り…語り部として継承される内容の一部を掻い摘んで…意識下の口頭にて伝授する。
「モーイが聞いたことあるのは当たり前だい。色んな所で歌われている滅びから始まる詩のシッポの方で歌われてる内容じゃ。まぁ、最近の詩歌う詩人はシッポの方の詩はあまり使わないから珍しいかもしれんな…」
モーイが耳にした理由をアクテが語った。
「まぁ、往古の時代については、一般の伝承にも…語り部の記憶から取り出した記録にも…無いから本当のところは分からないがな…」
往古の滅びは、語り部の記憶の記録の始まり以前の出来事らしかった。
「じゃがな、樹海の均衡と遷化の波については詳細ではないが…記録があるんだい。負の魔力が溢れ満ちるときに起こる…とされているだ」
ミーティとモーイは黙って聞き入る。
「そして集落がある場所は、負の魔力が集まり湧き出す場所なんじゃよ…。往古よりデュアービル…神通る地…と、この土地が呼ばれていたのはそのせいだい。魔輝は管理も制御出来んが、湧き出しは管理できる…だからワシら樹海の民は、サルトゥスで往古の機構働かぬようになった時、王国と取引したんだい」
「取引?」
ミーティが思わず疑問投げかける。
「穢れた魔力を闇石に集め、王国に納品することで…王国の管理地だった此の場所を使用する許可をもらい、代わりに湧き出しの処理を…使命として請け負ったんだい」
アクテが話す…とばっちりの様な迷惑としか言い様のない余計な契約に、思わず呆れるミーティ。
「なにも…この広い樹海でワザワザそんな場所を選んで許可をもらわなくたって…」
「もともと王国の管理地だった時からワシら一族が責任者じゃった…だからまぁ、ある意味、王国からの独立…と言った感じだったんじゃ。それに、遣らにゃぁ全体が住めん土地になっちまうだい…この地に住むなら必要なことなんじゃ」
アクテは諦めとも達観とも取れるような口調で話す。
「まぁ、これ以上を知りたければ…此の空間を掌握して探す能力展開出来るようになれば、自ずと謎は解けるだい。それよりも今は集まっちゃったヤツを何とかせんとな…」
そしてニタリと企む笑みを浮かべる。
「方法は3つ程考えられる」
指を立てながら提示する。
「まず1つめ。お前さんの闇石を剥がす方法。此れは手順を探し出すのに時間がかかるから直ぐには難しい…だが、お前さんの様な2種持ちならでは可能な非常手段として伝えておく。但し実行した場合の相応の危険性もある」
ミーティは予想外の方法を聞き、呆気にとられて継ぐ言葉思い付かなかったが…アクテは構わず続ける。
「2つめは、穢れと魔力を分離して穢れのみを処理して消すこと。実際に出来るなら最善ではあるが…今のお前さんには難しいだろう…」
此れは負の魔力…穢れた魔力を取り込んだ本人のみが出来る技。穢れと魔力を分離して回路の行きつく先へ穢れのみを送り届ける…大賢者が用いる方法である。
それ故に、今のミーティには出来ない…とアクテは判断した。
「3つめは、今集まっている穢れた魔力を方向付け、回路の先へ送ること。此れが残されている選択肢であり…実質はこの一択だ」
アクテが可能であると判断し選んだ方法。
これは賢者が行う方法であり、器を要する技である…。
「ワシらが遣るべきことは、ミーティの回路を使いモーイが魔力操作し、ワシが導く…此れが最良の道筋だい」
「…なぁ、それって婆ちゃんどうなるんだ?」
「まぁ、なるようになるだよ…」
アクテは強い意志持つ笑みを浮かべるが、それを打ち砕くぐらい強い真剣な表情でミーティが述べる。
「婆ちゃんも助かる策で無ければ、オレはその話に乗らないよ」
「…遣らざるを得ないんじゃ。遣らねばこの一帯…集落は勿論、近場の街まで負の魔力に飲み込まれるぞ…穢れた魔力の導きが連鎖して起こってしまった時点で、個人の思いなんぞ越えた話になっちまってるんだ」
その言葉から感じられるアクテの覚悟に、ミーティもモーイも説得する言葉を失う。
危機的状態であり、残り時間少ないのは理解しているが納得はできる選択ではなかった。それでも動かざるを得なかったのだ。
意識下…3人で手を繋ぐ。
不服はあるが意思をまとめ、穢れた魔力の流れを探り…辿り着く。
そして、アクテが事態終息させるために指示を出していく。
「モーイは魔力の流れに干渉して少し流れを乱し紛れ込み、此方の魔力の影響を刻み込むんだ」
「アタシは魔力回路が…」
「関係ないだ。此処はミーティの意識下に存在する空間、魔力も回路もミーティのが存在する。必要なのは操作する意思と動かす技術だい」
力強くアクテが断言する。
「大丈夫だい。こんだけ太っとい回路なら、少しぐらい潰しちまっても問題ないさ」
生命に関わり魔力の根源となる回路を事も無げに適当に扱おうとする2人に、少し怯えて情けない顔をするミーティ。その横で、アクテは楽しげにニタリと悪い笑みを浮かべる。
「わかった、遣ってみるよ」
いつもの雰囲気を感じられる会話で少し肩の力抜けたモーイが、アクテの導きで魔力操作を行い始める。
アクテはモーイの背後から手を添え、補助してくれた。
優しく力強く手本となる魔力の流れを作り出し、一緒に穢れた魔力へ干渉する。
「ミーティの意識下であり…直接関わるよりは影響受けにくい。だが奴ほどお気楽呑気じゃないワシらは、負の魔力の影響を受けやすいから気を付けろ! 特にワシが手を離したら気を抜くな! …初めの衝撃に耐えれば、その後は楽になるぞ」
その言葉と共にアクテの手が離れる。
「!!!!!」
モーイは絶句する。
魔力そのものの強さや衝撃は大したことは無かったが、穢れた魔力の影響力は凄まじかった。
自分自身の中に存在する悪しき…忌まわしき記憶。両親の願いを聞き入れてしまった事や、仕事で片付けてきた者達の事など、そこから吐き気のするような感情が掘り起こされる。
自身を奈落の底へ突き落とし…更に追いかけ…くびり殺していく様な…過去にもたらされた、ありとあらゆる不快な記憶と感情…自虐的思いが次から次へと溢れ出す。
目の前に引きずり出された心を責め苛む様な数々の記憶から、顔を背けひたすら耐える。それでも湧き起こる苦しさに、無意識に…意識下なのに…涙が溢れ出る。
その時、背後から支える様に…ふわりと包み込まれた。
ミーティが、優しくモーイを包み込んでいる。
「オレが一緒に居るから…側に居るから…」
心配そうにミーティはモーイを抱き締めていた。
「ばっ、婆ちゃんも居るだろ!!!」
思わず正気を取り戻す。
「あぁ、まぁだくたばっとらんぞぉ! 曾孫が出来る日が近付くのぉ、善き事だい」
生暖かい目で見守られてしまい居たたまれないモーイ。
「ミーティの熱い包容で落ち着いたか? 上手く干渉し制御する事は出来た様だな…立派に支え手となれる男子に育ってて婆は安心しただい…」
そしてアクテが真剣な目で2人を見やり口を開く。
「そんじゃあ、ワシが出口開き持っていくから、モーイは魔力が逸れない様に流れを維持して…ミーティは押し出す様に圧をかけ続けるんじゃ」
そして満面の笑みを浮かべ…別れの言葉を告げる。
「辛い時はお互い支え合えば乗り越えられる事も多かろう…お前さん達が幸せであることを心から願っとるだい」
するとアクテは有無を言わせる間を与えず闇石に流れ込んだ魔力を掴み、流れ込みつつある魔力を誘い…闇石の中へ一歩進み…其の身を捧げ負の魔力を導こうとした瞬間…ミーティが叫び拒絶する。
「ダメだ!!」
その断固とした行動を制止する叫びは、ミーティの意識下での最終的な事象の権限持つ自身での決定。それは入り込んだ他者の意思だろうと何だろうと、この意識下全てのモノの行動を縛る。
「オレ、こんな選択望んでないよ! 婆ちゃんの犠牲の上に立ちたくない!」
「この期に及んで馬鹿言ってるんじゃないだ!!」
その一刻を争うかの様な状況下での制止に、アクテが憤る。それでも駄々っ子の様に譲らない。
「それでも嫌なもんは嫌だ!」
「あぁ、アタシも同じだ」
モーイもミーティに同意する。
「馬鹿もんが!!! お前さん達の…集落の…周りのもんらの…未来が…!」
「オレらだって勿論だけど、婆ちゃんだって大切だ! 手をこまねいて見過ごすのは悪手だけど、犠牲になることが凄いことじゃない!! 一緒に助かった方がもっと凄いんだ!!」
「今から何が出来ると言うんじゃ」
「2番目の作戦で行こう! オレ頑張るから、穢れを魔力から引き剥がそう! そうすれば勝手に消えるじゃんか」
穢れた魔力の問題点は、魔力に負の意思伴う故に悪影響もたらすことである。
それが別物ならば…魔力は魔石の中に留まれば良い。
穢れた…負の思い纏う意思は留まる力を持たぬ…ただの思いでしかなくなる。
妄執の分離は、通常大賢者が賢者の石を介して行うものである。しかも大賢者でさえも失敗することもあるのだ。
それだけ手強い執着と言うことであり、その力が魔力を歪める。
「可能性が有るならオレはそっちを選びたい」
そしてモーイの方を向く。
「丸く収めるための手っ取り早くて楽な方法は、誰かが犠牲になることかも知れない。だけど、オレはオレの婆ちゃんを見捨てたくない…巻き込んでごめんな!」
「アタシも同じ思いだ…って言っただろ!」
「そんじゃあ、オレ魔力操作は下手くそだからさ、手伝ってくれ」
「あぁ、任せろ!」
モーイは自信持ち力強く答える。
「婆ちゃんもその導いたヤツ、チャッチャと持ってきてくれよ」
事も無げに言うミーティに、アクテは大きな溜め息をつく。
「全く、とんだ頑固者めが…」
そして諦めと共に…少し嬉しそうにアクテも覚悟を決めるのだった。
「モーイが聞いたことあるのは当たり前だい。色んな所で歌われている滅びから始まる詩のシッポの方で歌われてる内容じゃ。まぁ、最近の詩歌う詩人はシッポの方の詩はあまり使わないから珍しいかもしれんな…」
モーイが耳にした理由をアクテが語った。
「まぁ、往古の時代については、一般の伝承にも…語り部の記憶から取り出した記録にも…無いから本当のところは分からないがな…」
往古の滅びは、語り部の記憶の記録の始まり以前の出来事らしかった。
「じゃがな、樹海の均衡と遷化の波については詳細ではないが…記録があるんだい。負の魔力が溢れ満ちるときに起こる…とされているだ」
ミーティとモーイは黙って聞き入る。
「そして集落がある場所は、負の魔力が集まり湧き出す場所なんじゃよ…。往古よりデュアービル…神通る地…と、この土地が呼ばれていたのはそのせいだい。魔輝は管理も制御出来んが、湧き出しは管理できる…だからワシら樹海の民は、サルトゥスで往古の機構働かぬようになった時、王国と取引したんだい」
「取引?」
ミーティが思わず疑問投げかける。
「穢れた魔力を闇石に集め、王国に納品することで…王国の管理地だった此の場所を使用する許可をもらい、代わりに湧き出しの処理を…使命として請け負ったんだい」
アクテが話す…とばっちりの様な迷惑としか言い様のない余計な契約に、思わず呆れるミーティ。
「なにも…この広い樹海でワザワザそんな場所を選んで許可をもらわなくたって…」
「もともと王国の管理地だった時からワシら一族が責任者じゃった…だからまぁ、ある意味、王国からの独立…と言った感じだったんじゃ。それに、遣らにゃぁ全体が住めん土地になっちまうだい…この地に住むなら必要なことなんじゃ」
アクテは諦めとも達観とも取れるような口調で話す。
「まぁ、これ以上を知りたければ…此の空間を掌握して探す能力展開出来るようになれば、自ずと謎は解けるだい。それよりも今は集まっちゃったヤツを何とかせんとな…」
そしてニタリと企む笑みを浮かべる。
「方法は3つ程考えられる」
指を立てながら提示する。
「まず1つめ。お前さんの闇石を剥がす方法。此れは手順を探し出すのに時間がかかるから直ぐには難しい…だが、お前さんの様な2種持ちならでは可能な非常手段として伝えておく。但し実行した場合の相応の危険性もある」
ミーティは予想外の方法を聞き、呆気にとられて継ぐ言葉思い付かなかったが…アクテは構わず続ける。
「2つめは、穢れと魔力を分離して穢れのみを処理して消すこと。実際に出来るなら最善ではあるが…今のお前さんには難しいだろう…」
此れは負の魔力…穢れた魔力を取り込んだ本人のみが出来る技。穢れと魔力を分離して回路の行きつく先へ穢れのみを送り届ける…大賢者が用いる方法である。
それ故に、今のミーティには出来ない…とアクテは判断した。
「3つめは、今集まっている穢れた魔力を方向付け、回路の先へ送ること。此れが残されている選択肢であり…実質はこの一択だ」
アクテが可能であると判断し選んだ方法。
これは賢者が行う方法であり、器を要する技である…。
「ワシらが遣るべきことは、ミーティの回路を使いモーイが魔力操作し、ワシが導く…此れが最良の道筋だい」
「…なぁ、それって婆ちゃんどうなるんだ?」
「まぁ、なるようになるだよ…」
アクテは強い意志持つ笑みを浮かべるが、それを打ち砕くぐらい強い真剣な表情でミーティが述べる。
「婆ちゃんも助かる策で無ければ、オレはその話に乗らないよ」
「…遣らざるを得ないんじゃ。遣らねばこの一帯…集落は勿論、近場の街まで負の魔力に飲み込まれるぞ…穢れた魔力の導きが連鎖して起こってしまった時点で、個人の思いなんぞ越えた話になっちまってるんだ」
その言葉から感じられるアクテの覚悟に、ミーティもモーイも説得する言葉を失う。
危機的状態であり、残り時間少ないのは理解しているが納得はできる選択ではなかった。それでも動かざるを得なかったのだ。
意識下…3人で手を繋ぐ。
不服はあるが意思をまとめ、穢れた魔力の流れを探り…辿り着く。
そして、アクテが事態終息させるために指示を出していく。
「モーイは魔力の流れに干渉して少し流れを乱し紛れ込み、此方の魔力の影響を刻み込むんだ」
「アタシは魔力回路が…」
「関係ないだ。此処はミーティの意識下に存在する空間、魔力も回路もミーティのが存在する。必要なのは操作する意思と動かす技術だい」
力強くアクテが断言する。
「大丈夫だい。こんだけ太っとい回路なら、少しぐらい潰しちまっても問題ないさ」
生命に関わり魔力の根源となる回路を事も無げに適当に扱おうとする2人に、少し怯えて情けない顔をするミーティ。その横で、アクテは楽しげにニタリと悪い笑みを浮かべる。
「わかった、遣ってみるよ」
いつもの雰囲気を感じられる会話で少し肩の力抜けたモーイが、アクテの導きで魔力操作を行い始める。
アクテはモーイの背後から手を添え、補助してくれた。
優しく力強く手本となる魔力の流れを作り出し、一緒に穢れた魔力へ干渉する。
「ミーティの意識下であり…直接関わるよりは影響受けにくい。だが奴ほどお気楽呑気じゃないワシらは、負の魔力の影響を受けやすいから気を付けろ! 特にワシが手を離したら気を抜くな! …初めの衝撃に耐えれば、その後は楽になるぞ」
その言葉と共にアクテの手が離れる。
「!!!!!」
モーイは絶句する。
魔力そのものの強さや衝撃は大したことは無かったが、穢れた魔力の影響力は凄まじかった。
自分自身の中に存在する悪しき…忌まわしき記憶。両親の願いを聞き入れてしまった事や、仕事で片付けてきた者達の事など、そこから吐き気のするような感情が掘り起こされる。
自身を奈落の底へ突き落とし…更に追いかけ…くびり殺していく様な…過去にもたらされた、ありとあらゆる不快な記憶と感情…自虐的思いが次から次へと溢れ出す。
目の前に引きずり出された心を責め苛む様な数々の記憶から、顔を背けひたすら耐える。それでも湧き起こる苦しさに、無意識に…意識下なのに…涙が溢れ出る。
その時、背後から支える様に…ふわりと包み込まれた。
ミーティが、優しくモーイを包み込んでいる。
「オレが一緒に居るから…側に居るから…」
心配そうにミーティはモーイを抱き締めていた。
「ばっ、婆ちゃんも居るだろ!!!」
思わず正気を取り戻す。
「あぁ、まぁだくたばっとらんぞぉ! 曾孫が出来る日が近付くのぉ、善き事だい」
生暖かい目で見守られてしまい居たたまれないモーイ。
「ミーティの熱い包容で落ち着いたか? 上手く干渉し制御する事は出来た様だな…立派に支え手となれる男子に育ってて婆は安心しただい…」
そしてアクテが真剣な目で2人を見やり口を開く。
「そんじゃあ、ワシが出口開き持っていくから、モーイは魔力が逸れない様に流れを維持して…ミーティは押し出す様に圧をかけ続けるんじゃ」
そして満面の笑みを浮かべ…別れの言葉を告げる。
「辛い時はお互い支え合えば乗り越えられる事も多かろう…お前さん達が幸せであることを心から願っとるだい」
するとアクテは有無を言わせる間を与えず闇石に流れ込んだ魔力を掴み、流れ込みつつある魔力を誘い…闇石の中へ一歩進み…其の身を捧げ負の魔力を導こうとした瞬間…ミーティが叫び拒絶する。
「ダメだ!!」
その断固とした行動を制止する叫びは、ミーティの意識下での最終的な事象の権限持つ自身での決定。それは入り込んだ他者の意思だろうと何だろうと、この意識下全てのモノの行動を縛る。
「オレ、こんな選択望んでないよ! 婆ちゃんの犠牲の上に立ちたくない!」
「この期に及んで馬鹿言ってるんじゃないだ!!」
その一刻を争うかの様な状況下での制止に、アクテが憤る。それでも駄々っ子の様に譲らない。
「それでも嫌なもんは嫌だ!」
「あぁ、アタシも同じだ」
モーイもミーティに同意する。
「馬鹿もんが!!! お前さん達の…集落の…周りのもんらの…未来が…!」
「オレらだって勿論だけど、婆ちゃんだって大切だ! 手をこまねいて見過ごすのは悪手だけど、犠牲になることが凄いことじゃない!! 一緒に助かった方がもっと凄いんだ!!」
「今から何が出来ると言うんじゃ」
「2番目の作戦で行こう! オレ頑張るから、穢れを魔力から引き剥がそう! そうすれば勝手に消えるじゃんか」
穢れた魔力の問題点は、魔力に負の意思伴う故に悪影響もたらすことである。
それが別物ならば…魔力は魔石の中に留まれば良い。
穢れた…負の思い纏う意思は留まる力を持たぬ…ただの思いでしかなくなる。
妄執の分離は、通常大賢者が賢者の石を介して行うものである。しかも大賢者でさえも失敗することもあるのだ。
それだけ手強い執着と言うことであり、その力が魔力を歪める。
「可能性が有るならオレはそっちを選びたい」
そしてモーイの方を向く。
「丸く収めるための手っ取り早くて楽な方法は、誰かが犠牲になることかも知れない。だけど、オレはオレの婆ちゃんを見捨てたくない…巻き込んでごめんな!」
「アタシも同じ思いだ…って言っただろ!」
「そんじゃあ、オレ魔力操作は下手くそだからさ、手伝ってくれ」
「あぁ、任せろ!」
モーイは自信持ち力強く答える。
「婆ちゃんもその導いたヤツ、チャッチャと持ってきてくれよ」
事も無げに言うミーティに、アクテは大きな溜め息をつく。
「全く、とんだ頑固者めが…」
そして諦めと共に…少し嬉しそうにアクテも覚悟を決めるのだった。
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説
王都交通整理隊第19班~王城前の激混み大通りは、平民ばかりの“落ちこぼれ”第19班に任せろ!~
柳生潤兵衛
ファンタジー
ボウイング王国の王都エ―バスには、都内を守護する騎士の他に多くの衛視隊がいる。
騎士を含む彼らは、貴族平民問わず魔力の保有者の中から選抜され、その能力によって各隊に配属されていた。
王都交通整理隊は、都内の大通りの馬車や荷台の往来を担っているが、衛視の中では最下層の職種とされている。
その中でも最も立場が弱いのが、平民班長のマーティンが率いる第19班。班員も全員平民で個性もそれぞれ。
大きな待遇差もある。
ある日、そんな王都交通整理隊第19班に、国王主催の夜会の交通整理という大きな仕事が舞い込む。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
虚無からはじめる異世界生活 ~最強種の仲間と共に創造神の加護の力ですべてを解決します~
すなる
ファンタジー
追記《イラストを追加しました。主要キャラのイラストも可能であれば徐々に追加していきます》
猫を庇って死んでしまった男は、ある願いをしたことで何もない世界に転生してしまうことに。
不憫に思った神が特例で加護の力を授けた。実はそれはとてつもない力を秘めた創造神の加護だった。
何もない異世界で暮らし始めた男はその力使って第二の人生を歩み出す。
ある日、偶然にも生前助けた猫を加護の力で召喚してしまう。
人が居ない寂しさから猫に話しかけていると、その猫は加護の力で人に進化してしまった。
そんな猫との共同生活からはじまり徐々に動き出す異世界生活。
男は様々な異世界で沢山の人と出会いと加護の力ですべてを解決しながら第二の人生を謳歌していく。
そんな男の人柄に惹かれ沢山の者が集まり、いつしか男が作った街は伝説の都市と語られる存在になってく。
(
転生して捨てられたけど日々是好日だね。【二章・完】
ぼん@ぼおやっじ
ファンタジー
おなじみ異世界に転生した主人公の物語。
転生はデフォです。
でもなぜか神様に見込まれて魔法とか魔力とか失ってしまったリウ君の物語。
リウ君は幼児ですが魔力がないので馬鹿にされます。でも周りの大人たちにもいい人はいて、愛されて成長していきます。
しかしリウ君の暮らす村の近くには『タタリ』という恐ろしいものを封じた祠があたのです。
この話は第一部ということでそこまでは完結しています。
第一部ではリウ君は自力で成長し、戦う力を得ます。
そして…
リウ君のかっこいい活躍を見てください。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる