虐げられた皇女は父の愛人とその娘に復讐する

ましゅぺちーの

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皇太子アルフレッド編

苦痛でしかない日々

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―両親の仲が悪くなったのはいつからだっただろうか。


私が幼い頃はまだ仲が良かったような気がする。


もうほとんど覚えていないが。


アルフレッドの記憶の中の母親は穏やかで優しい人だった。


父親は・・・


変わってしまった。


妹のシャーロットが生まれて、それから父は母の元に訪れることは無くなった。


数年後には、父親は愛妾とその娘を皇宮に召し上げた。


だけど私にとっての妹はシャーロットだけだ。


あんな見るからに出自の怪しい女は妹ではない。


シャーロットを守るのは母との約束だ。


私はそのために生きているのだから―





「アルフレッドお兄様!」


前から走ってくるのは愛妾の娘であるプリシラだ。


走るだなんてみっともない。


「・・・やぁ、プリシラ。」


私はいら立つ気持ちを必死で抑えながら返事をした。


「アルフレッドお兄様!今から一緒にお茶しませんか!」


「今から帝王学の授業があるんだ。悪いけど、行けそうにないな。」


「え・・・そんな・・・。」


プリシラはショックを受けたような顔をする。


忌々しい。


「―プリシラ。あまりお兄様を困らせてはいけませんよ。」


そう言って歩いてきたのはプリシラの母親である愛妾キャサリンだ。


朝からこの二人に遭遇するとは、最悪だ。


「お母様!」


「ごめんなさいね、アル。プリシラは我儘だから・・・。」


分かってるならちゃんと教育しろよ。


「・・・いえ、お気になさらないでください。」


「あらほんと?アルは本当に優しいのね!・・・あの子と違って。」


俺はその言葉にカッとなった。


あの子とはシャーロットのことだろう。


「お姉様は私のことが好きじゃないみたい・・・。いつもきつく当たってくるの・・・。」


プリシラはそう言って悲し気に目を伏せた。


嘘つけ。


虐げてるのはむしろお前らのほうだろう。


私が何も知らないとでも思っているのか。


「・・・ええ、そうですね・・・。」


だけどここで私がシャーロットを庇えばこの2人のシャーロットに対する仕打ちはもっとひどくなるだろう。


プリシラは癇癪もちで気に入らないことがあるとすぐ他人に当たり散らすからだ。


それにこの2人には皇帝の寵愛という最大の武器がある。


今の私では太刀打ちできなかった。


「・・・そろそろ授業の時間ですので。」


「あ!お兄様、頑張ってくださいね!」


「だけど今度はお茶会に参加してほしいものだわ。」


「はい、分かりました。」


そう言って私は二人の前を去った。


はぁ・・・あの二人と話すだけでとんでもなく疲れる。


父上とキャサリンとプリシラと食事を共にするというだけでも苦痛だというのに、お茶会までするとなると耐えられそうにない。


はぁ~・・・。本当に疲れる・・・。


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