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皇女シャーロット編
初めての感情
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私はアーク公爵令息に抱えられたまま皇医のもとに辿り着いた。
皇医は私を見るなり驚いた顔をした。
「アーク公子様!?なぜシャーロット皇女殿下といらっしゃるのですか!?プリシラ様はどちらに!?」
皇医は非難するように私を見た。
「目の前に怪我人がいるというのにそんなことを気にするなんてお前はそれでも皇医か?」
「っ・・・。」
アーク公爵令息の気迫に皇医がたじろぐ。
「わ、分かりました・・・。診させていただきます・・・。」
皇医は納得いかない顔をしながらも私を診て治療を施していく。
「終わりました。」
皇医が治療を終えて離れていったのを見てアーク公爵令息は私に話しかける。
「シャーロット皇女殿下、大丈夫ですか?」
「はい、しっかり手当てもしてもらったしもう大丈夫です。ありがとうございました。」
アーク公爵令息はフッと微笑む。
「ご挨拶が遅れましたね。私はアーク公爵家の長男、フレデリックと申します。」
フレデリック・アーク
私も聞いたことのある名前だ。
アーク公爵家はライドーン帝国の筆頭公爵家である。
目の前にいる人物をよく見てみる。
サラサラした黒髪に宝石のような赤い瞳を持った美丈夫だ。
それに加えてアーク公爵令息フレデリックは騎士として非常に優秀だと聞いた。
そりゃ、プリシラも好きになるわけだわ・・・。
「初めまして、アーク公爵令息様。シャーロット・ライドーンです。皇女とは言っても名ばかりなのであまりお気になさらず・・・。」
私が苦笑いしながらそう言うとアーク公爵令息は悲し気な顔をする。
「・・・殿下はあんな扱いを受けていい人間ではありません。」
私はその言葉に少し心が温かくなった。
私にそんなこと言ってくれる人初めてだわ。
「・・・ありがとうございます、アーク公爵令息様。私は大丈夫ですから。」
するとアーク公爵令息が顔を上げて私を視界に入れた。
その顔には変わらずに悲しみが浮かんでいる。
「皇女殿下。・・・少しだけ私の話を聞いてくださいませんか。」
「話・・・ですか?構いませんが・・・。」
私がそう答えるとアーク公爵令息はポツリポツリと話し始める。
「皇帝陛下の愛妾であるキャサリン様は・・・亡き皇后陛下が悪女であり、その娘であるシャーロット皇女殿下も同じだという噂を広めていらっしゃるようですが・・・それを信じているのは平民と下位貴族くらいです。」
そういえばさっきもそんなようなことを言っていた。
「皇后陛下・・・いえ、フレア様は元々ライドーン帝国の名門公爵家の出身ですから。高位貴族は皇后となる前のフレア様と関わりがあった者が多く・・・その者たちは皆口を揃えて「フレア様は悪女ではない」と言うのです。」
そうだったのか。
高位貴族の人達はお母様を信じてくれていたんだ・・・!
その事実に嬉しくなった。
「平民や下位貴族がその噂を信じているのはフレア様と関わったことがないからでしょう。この皇宮の使用人達は平民や下位貴族の者ばかりです。だからあんなくだらない噂を信じるのです。」
アーク公爵令息はそう言いながら私の手を取った。
「皇女殿下。誰も味方がいないだなんて思わないでください。少なくとも、私や高位貴族たちは皆皇后陛下と皇女殿下の味方です。」
「アーク公爵令息様・・・!」
その時だった。
「フレデリック様~!どこにいるの~?」
っ!!!
これは、プリシラの声・・・!
「どうやら、ここまでのようです。」
アーク公爵令息はそう言って私に笑いかける。
「第二皇女殿下がお呼びのようなので行ってまいります。皇女殿下。」
もう行ってしまうの・・・?
「それでは失礼いたします。お大事になさってください。」
アーク公爵令息は一礼すると部屋を出て行った。。
ドキドキ
何かしら・・・。
こんな感情、私知らない―!
皇医は私を見るなり驚いた顔をした。
「アーク公子様!?なぜシャーロット皇女殿下といらっしゃるのですか!?プリシラ様はどちらに!?」
皇医は非難するように私を見た。
「目の前に怪我人がいるというのにそんなことを気にするなんてお前はそれでも皇医か?」
「っ・・・。」
アーク公爵令息の気迫に皇医がたじろぐ。
「わ、分かりました・・・。診させていただきます・・・。」
皇医は納得いかない顔をしながらも私を診て治療を施していく。
「終わりました。」
皇医が治療を終えて離れていったのを見てアーク公爵令息は私に話しかける。
「シャーロット皇女殿下、大丈夫ですか?」
「はい、しっかり手当てもしてもらったしもう大丈夫です。ありがとうございました。」
アーク公爵令息はフッと微笑む。
「ご挨拶が遅れましたね。私はアーク公爵家の長男、フレデリックと申します。」
フレデリック・アーク
私も聞いたことのある名前だ。
アーク公爵家はライドーン帝国の筆頭公爵家である。
目の前にいる人物をよく見てみる。
サラサラした黒髪に宝石のような赤い瞳を持った美丈夫だ。
それに加えてアーク公爵令息フレデリックは騎士として非常に優秀だと聞いた。
そりゃ、プリシラも好きになるわけだわ・・・。
「初めまして、アーク公爵令息様。シャーロット・ライドーンです。皇女とは言っても名ばかりなのであまりお気になさらず・・・。」
私が苦笑いしながらそう言うとアーク公爵令息は悲し気な顔をする。
「・・・殿下はあんな扱いを受けていい人間ではありません。」
私はその言葉に少し心が温かくなった。
私にそんなこと言ってくれる人初めてだわ。
「・・・ありがとうございます、アーク公爵令息様。私は大丈夫ですから。」
するとアーク公爵令息が顔を上げて私を視界に入れた。
その顔には変わらずに悲しみが浮かんでいる。
「皇女殿下。・・・少しだけ私の話を聞いてくださいませんか。」
「話・・・ですか?構いませんが・・・。」
私がそう答えるとアーク公爵令息はポツリポツリと話し始める。
「皇帝陛下の愛妾であるキャサリン様は・・・亡き皇后陛下が悪女であり、その娘であるシャーロット皇女殿下も同じだという噂を広めていらっしゃるようですが・・・それを信じているのは平民と下位貴族くらいです。」
そういえばさっきもそんなようなことを言っていた。
「皇后陛下・・・いえ、フレア様は元々ライドーン帝国の名門公爵家の出身ですから。高位貴族は皇后となる前のフレア様と関わりがあった者が多く・・・その者たちは皆口を揃えて「フレア様は悪女ではない」と言うのです。」
そうだったのか。
高位貴族の人達はお母様を信じてくれていたんだ・・・!
その事実に嬉しくなった。
「平民や下位貴族がその噂を信じているのはフレア様と関わったことがないからでしょう。この皇宮の使用人達は平民や下位貴族の者ばかりです。だからあんなくだらない噂を信じるのです。」
アーク公爵令息はそう言いながら私の手を取った。
「皇女殿下。誰も味方がいないだなんて思わないでください。少なくとも、私や高位貴族たちは皆皇后陛下と皇女殿下の味方です。」
「アーク公爵令息様・・・!」
その時だった。
「フレデリック様~!どこにいるの~?」
っ!!!
これは、プリシラの声・・・!
「どうやら、ここまでのようです。」
アーク公爵令息はそう言って私に笑いかける。
「第二皇女殿下がお呼びのようなので行ってまいります。皇女殿下。」
もう行ってしまうの・・・?
「それでは失礼いたします。お大事になさってください。」
アーク公爵令息は一礼すると部屋を出て行った。。
ドキドキ
何かしら・・・。
こんな感情、私知らない―!
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