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11 後悔
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あの後しばらく、私は部屋でくつろいでいた。
本当なら外に出たかったが、レアに何をされるか分からなかったため出られなかった。
(・・・・・・暇だな)
部屋の中には先ほどの侍女もいた。
特にすることもなかったため、私はその侍女に話しかけた。
「なぁ・・・」
私は彼女の名前を知らない。王妃の周りにいる人間に興味など無かったからだ。
「どうかしましたか?」
私が声をかけると彼女はくるりと振り返った。
その顔はとても穏やかだった。
(・・・何て言うべきか)
私は所々言葉に詰まりながらも彼女に尋ねた。
「えっと・・・その・・・私のこと、どう思ってる?」
「・・・」
侍女は私のその言葉にポカンと口を開けて固まった。
(あ、まずい)
私は侍女の反応を見て、変なことを聞いてしまったと後悔した。
怪しまれただろうか。不審に思われたかもしれない。そう思うと途端に不安になった。
しかし、彼女はその後意外な反応を示した。
「うふふ、王妃陛下ったら急にどうなさったのですか」
侍女はそう言ってクスクスと笑った。
(よかった・・・バレていないみたいだ・・・)
ひとまずそのことに安堵した。
そして私は再び口を開いた。
「いや・・・その・・・私が、周りの人からどう思われているか気になったというか・・・」
「あら、そうだったのですね。王妃陛下がそのようなことをおっしゃるだなんて珍しい」
彼女は優しい顔でそう言った。
「・・・」
あの女はいつも侍女とこんな風に話しているのだろうか。高位貴族の令嬢は傲慢な者が多い。だから自分より下の立場の人間を見下す傾向にある。あいつもそうだと思っていた。だけど、それは私の勘違いだったのではないか。
今なら不思議とそう思えた。
「王妃陛下はとっても素敵なお方ですよ。私が平民だからと見下すこともせず、いつも優しく接してくださいます。私はそんな王妃陛下にどれだけ助けられたことか」
侍女は嬉しそうに頬を染めて言った。
「・・・」
(あぁ、やはりそうだったのだな)
レアの言っていた王妃からの嫌がらせというのは本当に全てが嘘だったようだ。レアは王妃が平民だからという理由できつく当たってくるのだと言っていた。もし王妃が本当にそんな人間であれば、平民出身の侍女に対してもレアと同じように接しているはずだ。だけど目の前にいる侍女は打算ではなく本心から王妃を慕っているように見えた。
(私は・・・レアの言うことだけを信じ・・・自分の目で確かめようともしなかった・・・)
今思えば何て愚かだったのだろう。レアが嘘をついているという可能性も十分にあったはずだ。
私は今まで本当に彼女に酷いことをしてきた。
私は侍女の話を聞いて後悔に苛まれた。
それから侍女はさらに言葉を続けた。
「私だけではありません。王妃陛下は本当にたくさんの方から慕われております」
「・・・」
どうやら王妃は本当は素晴らしい人間だったようだ。ただ私が気付かなかったというだけで周りにいる人間は皆彼女のことを好いていた。
「・・・国王陛下も少しは王妃陛下のことを見てほしいものです」
「・・・」
そう言った侍女の顔はどこか悲しそうだった。
(そうだな・・・私は・・・もっと彼女のことをしっかりと見るべきだった・・・)
今になって気付くだなんて遅すぎた。
「王妃陛下はずっと国王陛下のことが好きだったのに・・・」
「・・・!」
(そういえば・・・昨日も似たようなことを聞いた気が・・・)
王妃は私のことが好きだったのだと。あのときはただ侍女が冗談で言っているだけだと思っていた。私の普段の態度からして、王妃が私を好いているはずがないと思っていたからだ。
(君は・・・こんな私のことが・・・ずっと好きだったのか・・・?)
本当なら外に出たかったが、レアに何をされるか分からなかったため出られなかった。
(・・・・・・暇だな)
部屋の中には先ほどの侍女もいた。
特にすることもなかったため、私はその侍女に話しかけた。
「なぁ・・・」
私は彼女の名前を知らない。王妃の周りにいる人間に興味など無かったからだ。
「どうかしましたか?」
私が声をかけると彼女はくるりと振り返った。
その顔はとても穏やかだった。
(・・・何て言うべきか)
私は所々言葉に詰まりながらも彼女に尋ねた。
「えっと・・・その・・・私のこと、どう思ってる?」
「・・・」
侍女は私のその言葉にポカンと口を開けて固まった。
(あ、まずい)
私は侍女の反応を見て、変なことを聞いてしまったと後悔した。
怪しまれただろうか。不審に思われたかもしれない。そう思うと途端に不安になった。
しかし、彼女はその後意外な反応を示した。
「うふふ、王妃陛下ったら急にどうなさったのですか」
侍女はそう言ってクスクスと笑った。
(よかった・・・バレていないみたいだ・・・)
ひとまずそのことに安堵した。
そして私は再び口を開いた。
「いや・・・その・・・私が、周りの人からどう思われているか気になったというか・・・」
「あら、そうだったのですね。王妃陛下がそのようなことをおっしゃるだなんて珍しい」
彼女は優しい顔でそう言った。
「・・・」
あの女はいつも侍女とこんな風に話しているのだろうか。高位貴族の令嬢は傲慢な者が多い。だから自分より下の立場の人間を見下す傾向にある。あいつもそうだと思っていた。だけど、それは私の勘違いだったのではないか。
今なら不思議とそう思えた。
「王妃陛下はとっても素敵なお方ですよ。私が平民だからと見下すこともせず、いつも優しく接してくださいます。私はそんな王妃陛下にどれだけ助けられたことか」
侍女は嬉しそうに頬を染めて言った。
「・・・」
(あぁ、やはりそうだったのだな)
レアの言っていた王妃からの嫌がらせというのは本当に全てが嘘だったようだ。レアは王妃が平民だからという理由できつく当たってくるのだと言っていた。もし王妃が本当にそんな人間であれば、平民出身の侍女に対してもレアと同じように接しているはずだ。だけど目の前にいる侍女は打算ではなく本心から王妃を慕っているように見えた。
(私は・・・レアの言うことだけを信じ・・・自分の目で確かめようともしなかった・・・)
今思えば何て愚かだったのだろう。レアが嘘をついているという可能性も十分にあったはずだ。
私は今まで本当に彼女に酷いことをしてきた。
私は侍女の話を聞いて後悔に苛まれた。
それから侍女はさらに言葉を続けた。
「私だけではありません。王妃陛下は本当にたくさんの方から慕われております」
「・・・」
どうやら王妃は本当は素晴らしい人間だったようだ。ただ私が気付かなかったというだけで周りにいる人間は皆彼女のことを好いていた。
「・・・国王陛下も少しは王妃陛下のことを見てほしいものです」
「・・・」
そう言った侍女の顔はどこか悲しそうだった。
(そうだな・・・私は・・・もっと彼女のことをしっかりと見るべきだった・・・)
今になって気付くだなんて遅すぎた。
「王妃陛下はずっと国王陛下のことが好きだったのに・・・」
「・・・!」
(そういえば・・・昨日も似たようなことを聞いた気が・・・)
王妃は私のことが好きだったのだと。あのときはただ侍女が冗談で言っているだけだと思っていた。私の普段の態度からして、王妃が私を好いているはずがないと思っていたからだ。
(君は・・・こんな私のことが・・・ずっと好きだったのか・・・?)
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