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77 終わりからの始まり

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それから一週間後、裁判が行われレスタリア公爵とフレイアは死刑になり公爵家は没落した。
この判決に異議を唱える者は誰もいない。
反逆罪なので死刑は当然のことである。


ウィルベルト王国の歴史ある家門の一つが取り潰しになった。
それも家格は王家の次に地位の高い公爵家。
これによってウィルベルト王国で公爵家はフランチェスカの生家であるヴェロニカ公爵家一つになった。


そしてついさっき二人の処刑が行われたばかりだった。


終始茫然自失なレスタリア公爵と、泣き喚いているフレイア。
死を間近に控えた二人の反応は対照的なものだった。


私はそこで地下牢にいるフレイアに会いに行ったときのことを思い出した。


『アンタがマクシミリアン様を殺したのね!!!このクソ男!!!地獄に堕ちればいいわ!!!』


フレイアは私を見るなり頭ごなしに罵倒した。
やはりフレイアはレスタリア公子に惚れ込んでいたようだ。
彼女は私が公子を殺したということを知ってからずっと牢の中で暴れていた。
薬の影響があったとはいえ、一時はこんなのに入れ込んでいたのかと思うと自分が情けなくてしょうがない。


私はそんなフレイアを冷たい目で見下ろして淡々と告げた。


『安心しろ、すぐにお前もアイツの元へ行くことになる』
『……!』


その言葉でフレイアは自身の死が近いことを悟ったのか、ガックリと項垂れた。
それが私とあの女が最後にした会話だった。


二人を処刑した後は何だかとても清々しい気分になった。
首を切り落とされた公爵とフレイアの遺体を見ると、公爵家が没落したのだという実感が湧いた。


(この国を乗っ取ろうとする愚か者たちはもういない……)


私は大切な人たちとの約束を果たした。
これからウィルベルト王国は更に進化を遂げていく。





***







「おい、ローレンの薬師たちはどうしている?」
「陛下のご慈悲に感激しています。きっと彼らはこれから陛下に忠誠を誓い続けるでしょう」
「そうか」


ローレンとレスタリア公爵家との戦争を終え、私は宰相と執務室にいた。


レスタリア公爵家を倒して終わりではなかった。
今回の戦争で王国には甚大な被害が出た。
一刻も早く王国を建て直す必要がある。
レスタリア公爵家の財産を没収し、ローレンに賠償金の支払いを求めたがどちらも限界があった。


ちなみに今回戦争を仕掛けたローレン王は退位させ地下牢に閉じ込めたため、王太子が新しく王となっている。
まだまだやることは山積みである。


「陛下、壊れた橋の復興にかかる費用は……」
「……」
「陛下、こちらの資料にも目を通して……」
「……」


(ああ、もう!頭が痛くなりそうだ!)


どうやら私が賢王になる道のりはまだまだ長いらしい。


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