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46 確信
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「それでは、私は失礼します」
「ああ、教えてくれてありがとう」
リリアンはそれだけ言うと執務室を出て行った。
彼女が出て行ったことで再びヴェロニカ公爵と二人きりになる。
机の上にはリリアンが持ってきた手紙が未だ置かれている。
その手紙を見て私はハァとため息をついた。
(……しかし驚いたな。まさかフレイアがそのようなことをしていただなんて……)
驚きと同時に、怒りもこみ上げてくる。
私も表に出していないだけで、ヴェロニカ公爵と同じ気持ちである。
公爵の言う通り、あの女には何としてでも制裁を加えなければならない。
もちろんレスタリア公爵家もだが。
(……しかし、それに気付けなかった私も無能だ)
あの頃の自分の無能さを改めて感じて落胆した。
今、私の胸は悔しさでいっぱいだ。
しかし、それと同時にある疑問が私の頭の中に浮かんできた。
(……王妃に宛てられた手紙をくすねるだなんて、そんなことただの愛妾に出来るのか?)
よくよく考えてみればそうだ。
あの手紙は何故フランチェスカの元へ届かなかったのだろう。
フレイアが盗んだといえばそれまでだが、どうも私はそのことが引っ掛かった。
(………………………もしかすると、)
そこで私はあることに気が付いた。
(まさか……いや、でもありえないことではない……!)
そう思った私はすぐにヴェロニカ公爵に声をかけた。
「公爵」
「はい、陛下」
「一つ、頼みたいことがあるんだ――」
◇◆◇◆◇◆
その後、ヴェロニカ公爵のいなくなった部屋で私は一人考え込んでいた。
(おそらく惚れ薬を作ったのはローレンの薬師たちだ。つまり、レスタリア公爵家はローレン王国と裏で繋がっている)
私の頭の中に少し前のアレクとの会話が蘇ってくる。
『ローレン王国に腕の良い薬師がいるという話を知っていますか?』
アレクは何気なく言ったのだろうが、私にはそれがどうも引っ掛かっていた。
普通の薬師は惚れ薬など作れないのだ。
あれは何百年も前にこの世から消えたものなのだから。
(……それにしてはやけに完成度が高かった)
実際、私はその薬のせいでフレイアに盲目的になっていた。
あのときのことを思い出すと今でもゾッとする。
全てがあの女の言いなりで、あの女以外は何も見えなかった。
「……」
毒が完全に抜けたあの日から私はずっと考えていたことがあった。
あの薬は一体誰が作り、どのようにしてフレイアの元へ渡ったのだろうか。
よほど腕の立つ薬師が作ったにちがいない。
つまり、ローレンの薬師たちが作ったというのが最も濃厚だ。
用意周到なレスタリア公爵のことだ。
王家を倒すために裏でローレンと手を組んでいても不思議ではない。
そしてそれとは他に、私はもう一つ確信していることがあった。
(おそらく、王宮の使用人たちの中にレスタリア公爵家の手の者がいる)
王族に宛てられる手紙というのは時に重要なことが書かれているときがある。
そのため、間違っても他の人間の手に渡らないように管理はしっかりとされている。
それをただの愛妾であるフレイアが盗めるはずがないのだ。
そうなると、王宮の使用人の中にレスタリア公爵家の手の者がいるとしか考えられなかった。
それもかなり上の者だろう。
フランチェスカの筆跡を真似し、父上を欺いたのもおそらくその者の仕業だ。
フレイアに文字の読み書きは出来ないからそのようなことを出来るはずがないのだ。
その時点で王宮の中にフレイア側の人間がいるのはたしかだろう。
(一体誰だ?誰なんだ?)
私は頭をフル回転させながらも、ヴェロニカ公爵が部屋に戻ってくるのをただ待った。
「ああ、教えてくれてありがとう」
リリアンはそれだけ言うと執務室を出て行った。
彼女が出て行ったことで再びヴェロニカ公爵と二人きりになる。
机の上にはリリアンが持ってきた手紙が未だ置かれている。
その手紙を見て私はハァとため息をついた。
(……しかし驚いたな。まさかフレイアがそのようなことをしていただなんて……)
驚きと同時に、怒りもこみ上げてくる。
私も表に出していないだけで、ヴェロニカ公爵と同じ気持ちである。
公爵の言う通り、あの女には何としてでも制裁を加えなければならない。
もちろんレスタリア公爵家もだが。
(……しかし、それに気付けなかった私も無能だ)
あの頃の自分の無能さを改めて感じて落胆した。
今、私の胸は悔しさでいっぱいだ。
しかし、それと同時にある疑問が私の頭の中に浮かんできた。
(……王妃に宛てられた手紙をくすねるだなんて、そんなことただの愛妾に出来るのか?)
よくよく考えてみればそうだ。
あの手紙は何故フランチェスカの元へ届かなかったのだろう。
フレイアが盗んだといえばそれまでだが、どうも私はそのことが引っ掛かった。
(………………………もしかすると、)
そこで私はあることに気が付いた。
(まさか……いや、でもありえないことではない……!)
そう思った私はすぐにヴェロニカ公爵に声をかけた。
「公爵」
「はい、陛下」
「一つ、頼みたいことがあるんだ――」
◇◆◇◆◇◆
その後、ヴェロニカ公爵のいなくなった部屋で私は一人考え込んでいた。
(おそらく惚れ薬を作ったのはローレンの薬師たちだ。つまり、レスタリア公爵家はローレン王国と裏で繋がっている)
私の頭の中に少し前のアレクとの会話が蘇ってくる。
『ローレン王国に腕の良い薬師がいるという話を知っていますか?』
アレクは何気なく言ったのだろうが、私にはそれがどうも引っ掛かっていた。
普通の薬師は惚れ薬など作れないのだ。
あれは何百年も前にこの世から消えたものなのだから。
(……それにしてはやけに完成度が高かった)
実際、私はその薬のせいでフレイアに盲目的になっていた。
あのときのことを思い出すと今でもゾッとする。
全てがあの女の言いなりで、あの女以外は何も見えなかった。
「……」
毒が完全に抜けたあの日から私はずっと考えていたことがあった。
あの薬は一体誰が作り、どのようにしてフレイアの元へ渡ったのだろうか。
よほど腕の立つ薬師が作ったにちがいない。
つまり、ローレンの薬師たちが作ったというのが最も濃厚だ。
用意周到なレスタリア公爵のことだ。
王家を倒すために裏でローレンと手を組んでいても不思議ではない。
そしてそれとは他に、私はもう一つ確信していることがあった。
(おそらく、王宮の使用人たちの中にレスタリア公爵家の手の者がいる)
王族に宛てられる手紙というのは時に重要なことが書かれているときがある。
そのため、間違っても他の人間の手に渡らないように管理はしっかりとされている。
それをただの愛妾であるフレイアが盗めるはずがないのだ。
そうなると、王宮の使用人の中にレスタリア公爵家の手の者がいるとしか考えられなかった。
それもかなり上の者だろう。
フランチェスカの筆跡を真似し、父上を欺いたのもおそらくその者の仕業だ。
フレイアに文字の読み書きは出来ないからそのようなことを出来るはずがないのだ。
その時点で王宮の中にフレイア側の人間がいるのはたしかだろう。
(一体誰だ?誰なんだ?)
私は頭をフル回転させながらも、ヴェロニカ公爵が部屋に戻ってくるのをただ待った。
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