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40 ローレン王国の薬師
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「……」
(う~~~~~ん……………)
私は諜報員が部屋から出て行った後ずっと考え込んでいたが、結局この情報だけではどれだけ考えても分からなかった。
自分の頭がもっと柔軟であればよかったのになと思う。
毒は随分前に抜けているはずなのに、何故だか今日は体が重く感じた。
最近あまり寝てないからだろうか。
それでも、フランチェスカが亡くなったときに比べればだいぶマシではあるが。
しかし、公爵がいつ動くか分からないというのに呑気に寝ている気にもなれなかった。
睡眠時間は出来るだけ最小限に抑えるべきだ。
「ハァ……」
私はついため息をついてしまっていた。
このままでは頭がパンクしてしまいそうだ。
――コンコン
「陛下、失礼します」
考え込んでいたそのとき、アレクがノックをして部屋に入ってきた。
「……アレクか」
「はい、ただいま戻りました」
アレクはそう言いながら私の傍まで来た。
目をこすっていて眠そうにしている。
最近少し働かせすぎただろうか。
(……アレクにまでいなくなられたら困る)
アレクは優秀な男だ。
仕事のときはいつも私をサポートしてくれている。
実際に、私はかなりこの男に助けられてきた。
いや、それだけではない。
優秀なのもあるが、アレクは私の幼馴染だ。
フランチェスカと同じで幼い頃からずっと苦楽を共にしてきた。
私はもう誰も不幸にしたくないし、失いたくなかった。
私はそう思い、アレクに対して言った。
「アレク、お前ももう休んだらどうだ。今日はもう遅い」
最近の私の睡眠時間はかなり短くなっている。
そのため、いつも私の傍にいるアレクもあまり寝ていないのだろう。
アレクを私の我儘に付き合わせるわけにはいかない。
(……私はともかく、アレクはきちんと休ませるべきだ)
しかし、アレクは私の言葉に納得いかないと言ったような顔をしていた。
「陛下はどうされるのですか?」
「私はやることがあるから……」
「それなら、私もここにいますよ」
アレクは迷うことなくそう言った。
「…………いいのか?」
「はい、一緒に頑張りましょう」
アレクは疲れを吹き飛ばすかのようにニッコリと笑ってみせた。
「……」
心配だが、こうハッキリと言われたら断ることなど出来ない。
(……本当に、良い部下を持ったな)
自分は本当に境遇に恵まれているなと思う。
結局私は、アレクと共に執務を開始した。
「アレク、疲れていないか?」
執務を初めてから数十分が経ったとき、私はアレクに尋ねた。
本人は休むことを拒んだが、顔は疲れが溜まっているように見える。
もし体調が悪いのであれば、さすがに働かせるわけにはいかない。
「うーん、疲れていないって言ったら嘘になりますね」
私の問いに、アレクは軽く笑いながら言った。
「やっぱりな……」
やはり無理をさせていたようだ。
私についてきてくれる部下たちを大切にしていたつもりだったが、気付かないうちに過重労働させてしまっていたらしい。
(……何で気付けなかったんだ)
自分の不甲斐なさに落ち込んだ。
項垂れた私を見てアレクが言った。
「でも、それを言ったら陛下もでしょう?」
「…………私は平気だ」
「顔に出てますよ、陛下」
「うっ……」
アレクにそう言われて何も言い返せなくなった。
本音を言えば、私もかなり疲れていたからだ。
最近はやることが多すぎてろくに休憩も取れない。
「……まぁ、そうだな」
アレクに隠し事は出来ないと思い、私は正直に答えた。
「正直に言うと、私も結構疲れている。最近仕事が忙しくてあまり寝れていない。……だけどいちいち休憩を取っていたらいつまで経っても終わらないだろう?」
「それもそうですね……」
それからアレクは少し考え込んだ後にボソリと呟いた。
「はぁ……こういうとき、フランチェスカ様が笑顔で頑張って!とか言ってくれたら疲れなんて一気に吹っ飛ぶんだろうなぁ……」
「たしかにな……」
激しく共感。
しかし彼女はもういない。
「「はぁ~~~………」」
私とアレクは二人同時に大きなため息をついた。
長い間一緒にいるせいか、気が合うらしい。
しかし、いつまでも世間話をしているわけにもいかない。
「アレク、ボーっとしているこの時間が無駄だ。仕事するぞ」
「そうですね、そろそろ始めましょうか」
それから私とアレクは目の前にある仕事に再び取り掛かった。
二人の間を沈黙が流れた。
シーンとした部屋の中には執務を処理している私のペンの音だけが鳴り響いている。
そんなとき、アレクが突然私に声をかけた。
「あ、そういえば陛下」
「何だ?」
私は机の上の執務を処理しながら返事をした。
「ローレン王国に腕の良い薬師がいるという話を知っていますか?」
「…………ローレンに?」
アレクの話を聞いた私は思わず手を止めた。
(……あのローレン王国にそんな薬師がいたのか)
ローレンの意外な一面だった。
「はい、私もつい最近知ったのですがそうみたいですよ」
「…………そうなのか」
私はそこでようやくアレクの方を見た。
「ええ、ですから疲労回復効果のある薬とかを頼んでみてもいいかもしれませんね」
アレクは私と目が合うと、ニコッと笑って言った。
(腕の良い薬師……………か)
何故だか分からないが、このときの私にはそれがすごく心に引っ掛かった。
(う~~~~~ん……………)
私は諜報員が部屋から出て行った後ずっと考え込んでいたが、結局この情報だけではどれだけ考えても分からなかった。
自分の頭がもっと柔軟であればよかったのになと思う。
毒は随分前に抜けているはずなのに、何故だか今日は体が重く感じた。
最近あまり寝てないからだろうか。
それでも、フランチェスカが亡くなったときに比べればだいぶマシではあるが。
しかし、公爵がいつ動くか分からないというのに呑気に寝ている気にもなれなかった。
睡眠時間は出来るだけ最小限に抑えるべきだ。
「ハァ……」
私はついため息をついてしまっていた。
このままでは頭がパンクしてしまいそうだ。
――コンコン
「陛下、失礼します」
考え込んでいたそのとき、アレクがノックをして部屋に入ってきた。
「……アレクか」
「はい、ただいま戻りました」
アレクはそう言いながら私の傍まで来た。
目をこすっていて眠そうにしている。
最近少し働かせすぎただろうか。
(……アレクにまでいなくなられたら困る)
アレクは優秀な男だ。
仕事のときはいつも私をサポートしてくれている。
実際に、私はかなりこの男に助けられてきた。
いや、それだけではない。
優秀なのもあるが、アレクは私の幼馴染だ。
フランチェスカと同じで幼い頃からずっと苦楽を共にしてきた。
私はもう誰も不幸にしたくないし、失いたくなかった。
私はそう思い、アレクに対して言った。
「アレク、お前ももう休んだらどうだ。今日はもう遅い」
最近の私の睡眠時間はかなり短くなっている。
そのため、いつも私の傍にいるアレクもあまり寝ていないのだろう。
アレクを私の我儘に付き合わせるわけにはいかない。
(……私はともかく、アレクはきちんと休ませるべきだ)
しかし、アレクは私の言葉に納得いかないと言ったような顔をしていた。
「陛下はどうされるのですか?」
「私はやることがあるから……」
「それなら、私もここにいますよ」
アレクは迷うことなくそう言った。
「…………いいのか?」
「はい、一緒に頑張りましょう」
アレクは疲れを吹き飛ばすかのようにニッコリと笑ってみせた。
「……」
心配だが、こうハッキリと言われたら断ることなど出来ない。
(……本当に、良い部下を持ったな)
自分は本当に境遇に恵まれているなと思う。
結局私は、アレクと共に執務を開始した。
「アレク、疲れていないか?」
執務を初めてから数十分が経ったとき、私はアレクに尋ねた。
本人は休むことを拒んだが、顔は疲れが溜まっているように見える。
もし体調が悪いのであれば、さすがに働かせるわけにはいかない。
「うーん、疲れていないって言ったら嘘になりますね」
私の問いに、アレクは軽く笑いながら言った。
「やっぱりな……」
やはり無理をさせていたようだ。
私についてきてくれる部下たちを大切にしていたつもりだったが、気付かないうちに過重労働させてしまっていたらしい。
(……何で気付けなかったんだ)
自分の不甲斐なさに落ち込んだ。
項垂れた私を見てアレクが言った。
「でも、それを言ったら陛下もでしょう?」
「…………私は平気だ」
「顔に出てますよ、陛下」
「うっ……」
アレクにそう言われて何も言い返せなくなった。
本音を言えば、私もかなり疲れていたからだ。
最近はやることが多すぎてろくに休憩も取れない。
「……まぁ、そうだな」
アレクに隠し事は出来ないと思い、私は正直に答えた。
「正直に言うと、私も結構疲れている。最近仕事が忙しくてあまり寝れていない。……だけどいちいち休憩を取っていたらいつまで経っても終わらないだろう?」
「それもそうですね……」
それからアレクは少し考え込んだ後にボソリと呟いた。
「はぁ……こういうとき、フランチェスカ様が笑顔で頑張って!とか言ってくれたら疲れなんて一気に吹っ飛ぶんだろうなぁ……」
「たしかにな……」
激しく共感。
しかし彼女はもういない。
「「はぁ~~~………」」
私とアレクは二人同時に大きなため息をついた。
長い間一緒にいるせいか、気が合うらしい。
しかし、いつまでも世間話をしているわけにもいかない。
「アレク、ボーっとしているこの時間が無駄だ。仕事するぞ」
「そうですね、そろそろ始めましょうか」
それから私とアレクは目の前にある仕事に再び取り掛かった。
二人の間を沈黙が流れた。
シーンとした部屋の中には執務を処理している私のペンの音だけが鳴り響いている。
そんなとき、アレクが突然私に声をかけた。
「あ、そういえば陛下」
「何だ?」
私は机の上の執務を処理しながら返事をした。
「ローレン王国に腕の良い薬師がいるという話を知っていますか?」
「…………ローレンに?」
アレクの話を聞いた私は思わず手を止めた。
(……あのローレン王国にそんな薬師がいたのか)
ローレンの意外な一面だった。
「はい、私もつい最近知ったのですがそうみたいですよ」
「…………そうなのか」
私はそこでようやくアレクの方を見た。
「ええ、ですから疲労回復効果のある薬とかを頼んでみてもいいかもしれませんね」
アレクは私と目が合うと、ニコッと笑って言った。
(腕の良い薬師……………か)
何故だか分からないが、このときの私にはそれがすごく心に引っ掛かった。
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