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72 消えた妻 オリバー視点
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そして夜になった。
(何だかドキドキするな……)
私は今、公爵邸の庭園でローザが来るのを待っていた。
先ほどから心臓がうるさいくらいに音を立てている。
初めて国王陛下に謁見したときでさえもこんなには緊張していなかった。
人生で初めてのプロポーズをするのだから当然のことだろう。
(ローザはまだか……)
私は暗い夜の中で一人ローザを待ち続けた。
真っ黒な空には星が光り輝いている。
ローザには昼に大事な話があるから今日の夜に庭園へ来るようにと侍女を通して告げてある。
きっと彼女もプロポーズをされるのだと勘付いているだろう。
もしかするとローザもまた、私と同じ気持ちで来るのを憚っているのかもしれない。
(あるいは勉強が忙しいのか……まぁいい、気長に待とう)
私は星空を眺めて適当に時間を潰すことにした。
――一時間後。
(何故こんなにも遅いんだ……!)
私は未だにローザを待ち続けていた。
約束の時間から既に一時間が過ぎている。
いくら何でも、こんなのはおかしい。
(寒いな……)
冷たい夜の風が吹き抜けている。
私ももう限界だった。
(……ひとまず中に入ろう)
私は諦めて公爵邸に入り、ローザの侍女を呼びつけた。
「おい、ローザは何をしている?」
「とっくに旦那様のところに行っているのではなかったのですか」
「私の元には来ていないぞ」
私の言葉に、その場にいた使用人全員が驚きを隠せないでいた。
「お前たち、ちゃんとローザに伝えたのか?」
「と、当然でございます……!」
使用人たちがウソをついているかもしれないと、じっと彼らの目を見つめてみるが嘘は無さそうだった。
(……なら一体、何故来ないんだ?)
ローザと出会ってから、彼女が私との約束を破ったことなど一度も無かった。
どれだけ考えてもローザが来ない理由が分からない。
もしかして、彼女の身に何かあったのだろうか。
そう思うと、居ても経っても居られなかった。
私は困惑する使用人たちを置き去りにして、ローザの部屋へと急いだ。
「ローザ!」
私はノックも無しに彼女の部屋のドアを開けた。
「ローザ……ッ!?」
驚くことに、部屋には誰もいなかった。
(これは一体……)
ローザはどこに行ったのか。
私は彼女を見つけるためにクローゼットなど、人が隠れていそうな場所を探し回った。
しかしとうとう、ローザは見つからなかった。
部屋にある窓の鍵は空いており、宝飾品類は全て持ち出されていた。
(まさか……拉致!?)
その結論に辿り着くまで、そう時間はかからなかった。
怒りで頭が真っ白になりそうだったが必死で堪え、冷静に部屋の中を歩き回った。
(何か……何か手掛かりは無いか……)
犯人の痕跡を探そうと、机の引き出しなど至る所を漁った。
(ん……?何だこれ……?)
私はその途中で引き出しの中にしまわれていたあるものに目を留めた。
おそらくローザに宛てられたのであろう、手紙のようだった。
人の手紙を勝手に見るなど近しい仲だったとしても最低なことだが、私の手は勝手に封筒を開いていた。
そして、手紙に書かれていた文章を見て思考が止まった。
(ラブレター……?)
(何だかドキドキするな……)
私は今、公爵邸の庭園でローザが来るのを待っていた。
先ほどから心臓がうるさいくらいに音を立てている。
初めて国王陛下に謁見したときでさえもこんなには緊張していなかった。
人生で初めてのプロポーズをするのだから当然のことだろう。
(ローザはまだか……)
私は暗い夜の中で一人ローザを待ち続けた。
真っ黒な空には星が光り輝いている。
ローザには昼に大事な話があるから今日の夜に庭園へ来るようにと侍女を通して告げてある。
きっと彼女もプロポーズをされるのだと勘付いているだろう。
もしかするとローザもまた、私と同じ気持ちで来るのを憚っているのかもしれない。
(あるいは勉強が忙しいのか……まぁいい、気長に待とう)
私は星空を眺めて適当に時間を潰すことにした。
――一時間後。
(何故こんなにも遅いんだ……!)
私は未だにローザを待ち続けていた。
約束の時間から既に一時間が過ぎている。
いくら何でも、こんなのはおかしい。
(寒いな……)
冷たい夜の風が吹き抜けている。
私ももう限界だった。
(……ひとまず中に入ろう)
私は諦めて公爵邸に入り、ローザの侍女を呼びつけた。
「おい、ローザは何をしている?」
「とっくに旦那様のところに行っているのではなかったのですか」
「私の元には来ていないぞ」
私の言葉に、その場にいた使用人全員が驚きを隠せないでいた。
「お前たち、ちゃんとローザに伝えたのか?」
「と、当然でございます……!」
使用人たちがウソをついているかもしれないと、じっと彼らの目を見つめてみるが嘘は無さそうだった。
(……なら一体、何故来ないんだ?)
ローザと出会ってから、彼女が私との約束を破ったことなど一度も無かった。
どれだけ考えてもローザが来ない理由が分からない。
もしかして、彼女の身に何かあったのだろうか。
そう思うと、居ても経っても居られなかった。
私は困惑する使用人たちを置き去りにして、ローザの部屋へと急いだ。
「ローザ!」
私はノックも無しに彼女の部屋のドアを開けた。
「ローザ……ッ!?」
驚くことに、部屋には誰もいなかった。
(これは一体……)
ローザはどこに行ったのか。
私は彼女を見つけるためにクローゼットなど、人が隠れていそうな場所を探し回った。
しかしとうとう、ローザは見つからなかった。
部屋にある窓の鍵は空いており、宝飾品類は全て持ち出されていた。
(まさか……拉致!?)
その結論に辿り着くまで、そう時間はかからなかった。
怒りで頭が真っ白になりそうだったが必死で堪え、冷静に部屋の中を歩き回った。
(何か……何か手掛かりは無いか……)
犯人の痕跡を探そうと、机の引き出しなど至る所を漁った。
(ん……?何だこれ……?)
私はその途中で引き出しの中にしまわれていたあるものに目を留めた。
おそらくローザに宛てられたのであろう、手紙のようだった。
人の手紙を勝手に見るなど近しい仲だったとしても最低なことだが、私の手は勝手に封筒を開いていた。
そして、手紙に書かれていた文章を見て思考が止まった。
(ラブレター……?)
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