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計画の実行
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そして、計画を実行に移す日がやってくる。
私とクリスとお父様は王宮へ登城していた。
シャルル殿下、お父様、私とクリスの3つのグループで動いていく。
お父様は側妃様とアズリール侯爵のもとへ、シャルル殿下は国王陛下のもとへ向かっている。
そして私とクリスは王宮の廊下を歩いていた。
シャルル殿下からの話によるとエイドリアン殿下はローラン公爵邸を訪れたあの日からずっと自室にこもっているという。
隣にいたクリスが私に話しかける。
「エレン、エイドリアン殿下はどうやらあの平民の女にふられたらしいぞ。」
「えっ!うそっ!?」
私は驚きすぎて開いた口が塞がらなかった。
「ほんとだよ、王宮で話題になってるらしい。」
エイドリアン殿下がリサさんにふられたなんて・・・。
「どうして・・・」
「エレン、知らないのか?あの女は元々エイドリアン殿下の王太子という地位しか見ていなかったんだよ。その地位を失うかもしれないエイドリアン殿下はもうあの女にとっては必要ないんだ。」
「そ、そんな・・・。じゃあリサさんはエイドリアン殿下を愛していたのではなく王妃の座が欲しかっただけということ?」
「そういうことになるな。」
私は驚きと共に僅かな怒りを覚えた。
そんな人に・・・婚約者の座を奪われてしまうなんて・・・。
「まぁ普通に考えれば平民が王妃になれるわけがない。側妃にすらなれない身分だぞ。そのリサという女、勘違いも甚だしいな。」
クリスが少しだけ怒りを滲ませた声で言った。
「ええ、そうね・・・。でもクリスはどうしてリサさんのことをそこまで知っていたの?」
「お前が婚約者候補から外されたと知ってすぐにそのリサという女を調べたんだ。そしたらその女の裏の顔が次々と判明したよ。」
クリスが面白そうに言った。
「裏の顔?」
「何でもあの女、エイドリアン殿下以外の男とも親密な仲だったようだ。」
「え・・・。」
あの人、そこまでヤバい人だったのか・・・。
清廉潔白そうに見えて、実は裏でそんなことをしていたとは。
「エレン、考えてもみろよ。人の婚約者を奪うような女だぜ?他に男がいても不思議じゃないだろ?」
クリスは笑いながら私に尋ねる。
「た、たしかに・・・!」
言われてみればそうだ。
「じゃあエイドリアン殿下はそれが理由で部屋に閉じこもっているの?」
私が尋ねるとクリスは軽く頷く。
「あぁ、多分な。エイドリアン殿下だけはあの女に対して本気だったんだろうな。」
「・・・だけは?」
「っと、着いたぞ。」
気づけばエイドリアン殿下の自室の扉の前まで来ていた。
「エレン、準備はいいか?」
「えぇ、大丈夫よ。」
クリスと私は扉を開け、部屋へと乗り込んだ―
私とクリスとお父様は王宮へ登城していた。
シャルル殿下、お父様、私とクリスの3つのグループで動いていく。
お父様は側妃様とアズリール侯爵のもとへ、シャルル殿下は国王陛下のもとへ向かっている。
そして私とクリスは王宮の廊下を歩いていた。
シャルル殿下からの話によるとエイドリアン殿下はローラン公爵邸を訪れたあの日からずっと自室にこもっているという。
隣にいたクリスが私に話しかける。
「エレン、エイドリアン殿下はどうやらあの平民の女にふられたらしいぞ。」
「えっ!うそっ!?」
私は驚きすぎて開いた口が塞がらなかった。
「ほんとだよ、王宮で話題になってるらしい。」
エイドリアン殿下がリサさんにふられたなんて・・・。
「どうして・・・」
「エレン、知らないのか?あの女は元々エイドリアン殿下の王太子という地位しか見ていなかったんだよ。その地位を失うかもしれないエイドリアン殿下はもうあの女にとっては必要ないんだ。」
「そ、そんな・・・。じゃあリサさんはエイドリアン殿下を愛していたのではなく王妃の座が欲しかっただけということ?」
「そういうことになるな。」
私は驚きと共に僅かな怒りを覚えた。
そんな人に・・・婚約者の座を奪われてしまうなんて・・・。
「まぁ普通に考えれば平民が王妃になれるわけがない。側妃にすらなれない身分だぞ。そのリサという女、勘違いも甚だしいな。」
クリスが少しだけ怒りを滲ませた声で言った。
「ええ、そうね・・・。でもクリスはどうしてリサさんのことをそこまで知っていたの?」
「お前が婚約者候補から外されたと知ってすぐにそのリサという女を調べたんだ。そしたらその女の裏の顔が次々と判明したよ。」
クリスが面白そうに言った。
「裏の顔?」
「何でもあの女、エイドリアン殿下以外の男とも親密な仲だったようだ。」
「え・・・。」
あの人、そこまでヤバい人だったのか・・・。
清廉潔白そうに見えて、実は裏でそんなことをしていたとは。
「エレン、考えてもみろよ。人の婚約者を奪うような女だぜ?他に男がいても不思議じゃないだろ?」
クリスは笑いながら私に尋ねる。
「た、たしかに・・・!」
言われてみればそうだ。
「じゃあエイドリアン殿下はそれが理由で部屋に閉じこもっているの?」
私が尋ねるとクリスは軽く頷く。
「あぁ、多分な。エイドリアン殿下だけはあの女に対して本気だったんだろうな。」
「・・・だけは?」
「っと、着いたぞ。」
気づけばエイドリアン殿下の自室の扉の前まで来ていた。
「エレン、準備はいいか?」
「えぇ、大丈夫よ。」
クリスと私は扉を開け、部屋へと乗り込んだ―
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