12 / 54
守ってくれたのは
しおりを挟む
「殿下が・・・・公爵邸に来ている・・・?」
隣にいるマリーナも驚愕の表情を浮かべていた。
「何故今さら殿下がいらっしゃたのでしょうか・・・・。」
マリーナがそう言うと若い侍女が答える。
「分かりません・・・。ですがお嬢様にお会いしたいと言っておられます。」
今日はお父様もお母様も仕事で不在だ。
「お嬢様、無理に行く必要はありません。そもそも先触れもなく邸に訪れた殿下に非があります。体調が悪いと言ってお断りすることも・・・。」
マリーナは私を気遣ってくれた。
「いいえ、大丈夫よ。マリーナ。心配してくれてありがとう。」
「お嬢様!」
「殿下は今どこに?」
若い侍女に尋ねる。
「客間にお通ししてあります。」
「すぐに向かうわ。殿下を待たせるわけにはいかないから。」
私は引き留めるマリーナを説得して客間へ向かった。
そして私は殿下の待つ客間へと足を踏み入れた。
そこには別れを切り出された時と全く変わらない殿下が座っていた。
前と違うのは・・・私を見る目に憎悪の感情が宿っていることだった。
(何なの・・・?)
「お久しぶりです、殿下。私に何か御用でしょうか。」
私は挨拶をしながら殿下に尋ねる。
「エレン、君には失望したよ。」
殿下が相変わらず憎しみのこもった目で私を見つめる。
「何のことでしょうか?」
「しらばっくれる気か!?君はずっと影でリサに嫌がらせをしていたのだろう?」
殿下が声を荒げる。
(何ですって・・・?)
「私はそんなことしていませんわ。」
私は冷静に否定する。
「いい加減認めろ!」
だが殿下も退かない。
「第一証拠はありますの?」
「リサの証言だ!」
それが証拠というのか・・・。
(エイドリアン殿下はここまで愚かだったの・・・?)
その瞬間、私の中でエイドリアン殿下に対して残っていた未練が消えたような気がした。
「殿下、本人の証言だけでは証拠として不十分です。王族ともあろう方が、物事をそんな風に判断してはいけませんわ。」
私は殿下に対する反撃を始めた。
「リサが嘘をついていると言うのか!?」
殿下がさらに声を荒げた。
「その可能性も十分ありえるでしょう。私を問い詰めたいのであればその前に現場を目撃した者がいないか、きちんと裏をとるべきでした。まさか何も準備しないでここへ訪れたのですか?」
そう言われて恥をかいたのか、殿下は顔を赤くして私を怒鳴りつける。
「っ・・・!うるさいっ!大体君はいつも僕に説教をしてきて・・・」
その瞬間殿下の手が伸びてくる。
(・・・!?殴られるっ!!)
私は思わず目を閉じた。
(・・・あれ?何も起きない?)
恐る恐る目を開けると、目の前には大きな背中。
「・・・クリス・・・?」
「女に手を上げるとは、関心しませんね。殿下。」
「・・・モーガン公爵令息っ・・・!」
クリスが私を守るように前に立ち、殿下の腕をつかんでいた。
隣にいるマリーナも驚愕の表情を浮かべていた。
「何故今さら殿下がいらっしゃたのでしょうか・・・・。」
マリーナがそう言うと若い侍女が答える。
「分かりません・・・。ですがお嬢様にお会いしたいと言っておられます。」
今日はお父様もお母様も仕事で不在だ。
「お嬢様、無理に行く必要はありません。そもそも先触れもなく邸に訪れた殿下に非があります。体調が悪いと言ってお断りすることも・・・。」
マリーナは私を気遣ってくれた。
「いいえ、大丈夫よ。マリーナ。心配してくれてありがとう。」
「お嬢様!」
「殿下は今どこに?」
若い侍女に尋ねる。
「客間にお通ししてあります。」
「すぐに向かうわ。殿下を待たせるわけにはいかないから。」
私は引き留めるマリーナを説得して客間へ向かった。
そして私は殿下の待つ客間へと足を踏み入れた。
そこには別れを切り出された時と全く変わらない殿下が座っていた。
前と違うのは・・・私を見る目に憎悪の感情が宿っていることだった。
(何なの・・・?)
「お久しぶりです、殿下。私に何か御用でしょうか。」
私は挨拶をしながら殿下に尋ねる。
「エレン、君には失望したよ。」
殿下が相変わらず憎しみのこもった目で私を見つめる。
「何のことでしょうか?」
「しらばっくれる気か!?君はずっと影でリサに嫌がらせをしていたのだろう?」
殿下が声を荒げる。
(何ですって・・・?)
「私はそんなことしていませんわ。」
私は冷静に否定する。
「いい加減認めろ!」
だが殿下も退かない。
「第一証拠はありますの?」
「リサの証言だ!」
それが証拠というのか・・・。
(エイドリアン殿下はここまで愚かだったの・・・?)
その瞬間、私の中でエイドリアン殿下に対して残っていた未練が消えたような気がした。
「殿下、本人の証言だけでは証拠として不十分です。王族ともあろう方が、物事をそんな風に判断してはいけませんわ。」
私は殿下に対する反撃を始めた。
「リサが嘘をついていると言うのか!?」
殿下がさらに声を荒げた。
「その可能性も十分ありえるでしょう。私を問い詰めたいのであればその前に現場を目撃した者がいないか、きちんと裏をとるべきでした。まさか何も準備しないでここへ訪れたのですか?」
そう言われて恥をかいたのか、殿下は顔を赤くして私を怒鳴りつける。
「っ・・・!うるさいっ!大体君はいつも僕に説教をしてきて・・・」
その瞬間殿下の手が伸びてくる。
(・・・!?殴られるっ!!)
私は思わず目を閉じた。
(・・・あれ?何も起きない?)
恐る恐る目を開けると、目の前には大きな背中。
「・・・クリス・・・?」
「女に手を上げるとは、関心しませんね。殿下。」
「・・・モーガン公爵令息っ・・・!」
クリスが私を守るように前に立ち、殿下の腕をつかんでいた。
255
お気に入りに追加
4,020
あなたにおすすめの小説

思い出してしまったのです
月樹《つき》
恋愛
同じ姉妹なのに、私だけ愛されない。
妹のルルだけが特別なのはどうして?
婚約者のレオナルド王子も、どうして妹ばかり可愛がるの?
でもある時、鏡を見て思い出してしまったのです。
愛されないのは当然です。
だって私は…。

毒家族から逃亡、のち側妃
チャイムン
恋愛
四歳下の妹ばかり可愛がる両親に「あなたにかけるお金はないから働きなさい」
十二歳で告げられたベルナデットは、自立と家族からの脱却を夢見る。
まずは王立学院に奨学生として入学して、文官を目指す。
夢は自分で叶えなきゃ。
ところが妹への縁談話がきっかけで、バシュロ第一王子が動き出す。

【完結】婿入り予定の婚約者は恋人と結婚したいらしい 〜そのひと爵位継げなくなるけどそんなに欲しいなら譲ります〜
早奈恵
恋愛
【完結】ざまぁ展開あります⚫︎幼なじみで婚約者のデニスが恋人を作り、破談となってしまう。困ったステファニーは急遽婿探しをする事になる。⚫︎新しい相手と婚約発表直前『やっぱりステファニーと結婚する』とデニスが言い出した。⚫︎辺境伯になるにはステファニーと結婚が必要と気が付いたデニスと辺境伯夫人になりたかった恋人ブリトニーを前に、ステファニーは新しい婚約者ブラッドリーと共に対抗する。⚫︎デニスの恋人ブリトニーが不公平だと言い、デニスにもチャンスをくれと縋り出す。⚫︎そしてデニスとブラッドが言い合いになり、決闘することに……。

妹と婚約者が結婚したけど、縁を切ったから知りません
編端みどり
恋愛
妹は何でもわたくしの物を欲しがりますわ。両親、使用人、ドレス、アクセサリー、部屋、食事まで。
最後に取ったのは婚約者でした。
ありがとう妹。初めて貴方に取られてうれしいと思ったわ。

もう、愛はいりませんから
さくたろう
恋愛
ローザリア王国公爵令嬢ルクレティア・フォルセティに、ある日突然、未来の記憶が蘇った。
王子リーヴァイの愛する人を殺害しようとした罪により投獄され、兄に差し出された毒を煽り死んだ記憶だ。それが未来の出来事だと確信したルクレティアは、そんな未来に怯えるが、その記憶のおかしさに気がつき、謎を探ることにする。そうしてやがて、ある人のひたむきな愛を知ることになる。

【完結】で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?
Debby
恋愛
キャナリィ・ウィスタリア侯爵令嬢とクラレット・メイズ伯爵令嬢は困惑していた。
最近何故か良く目にする平民の生徒──エボニーがいる。
とても可愛らしい女子生徒であるが視界の隅をウロウロしていたりジッと見られたりするため嫌でも目に入る。立場的に視線を集めることも多いため、わざわざ声をかけることでも無いと放置していた。
クラレットから自分に任せて欲しいと言われたことも理由のひとつだ。
しかし一度だけ声をかけたことを皮切りに身に覚えの無い噂が学園内を駆け巡る。
次期フロスティ公爵夫人として日頃から所作にも気を付けているキャナリィはそのような噂を信じられてしまうなんてと反省するが、それはキャナリィが婚約者であるフロスティ公爵令息のジェードと仲の良いエボニーに嫉妬しての所業だと言われ──
「私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」
そう問うたキャナリィは
「それはこちらの台詞だ。どうしてエボニーを執拗に苛めるのだ」
逆にジェードに問い返されたのだった。
★★★★★★
覗いて下さりありがとうございます。
女性向けHOTランキングで最高20位までいくことができました。(本編)
沢山の方に読んでいただけて嬉しかったので、続き?を書きました(*^^*)
★花言葉は「恋の勝利」
本編より過去→未来
ジェードとクラレットのお話
★ジェード様の憂鬱【読み切り】
ジェードの暗躍?(エボニーのお相手)のお話

手放したくない理由
ねむたん
恋愛
公爵令嬢エリスと王太子アドリアンの婚約は、互いに「務め」として受け入れたものだった。貴族として、国のために結ばれる。
しかし、王太子が何かと幼馴染のレイナを優先し、社交界でも「王太子妃にふさわしいのは彼女では?」と囁かれる中、エリスは淡々と「それならば、私は不要では?」と考える。そして、自ら婚約解消を申し出る。
話し合いの場で、王妃が「辛い思いをさせてしまってごめんなさいね」と声をかけるが、エリスは本当にまったく辛くなかったため、きょとんとする。その様子を見た周囲は困惑し、
「……王太子への愛は芽生えていなかったのですか?」
と問うが、エリスは「愛?」と首を傾げる。
同時に、婚約解消に動揺したアドリアンにも、側近たちが「殿下はレイナ嬢に恋をしていたのでは?」と問いかける。しかし、彼もまた「恋……?」と首を傾げる。
大人たちは、その光景を見て、教育の偏りを大いに後悔することになる。

真実の愛がどうなろうと関係ありません。
希猫 ゆうみ
恋愛
伯爵令息サディアスはメイドのリディと恋に落ちた。
婚約者であった伯爵令嬢フェルネは無残にも婚約を解消されてしまう。
「僕はリディと真実の愛を貫く。誰にも邪魔はさせない!」
サディアスの両親エヴァンズ伯爵夫妻は激怒し、息子を勘当、追放する。
それもそのはずで、フェルネは王家の血を引く名門貴族パートランド伯爵家の一人娘だった。
サディアスからの一方的な婚約解消は決して許されない裏切りだったのだ。
一ヶ月後、愛を信じないフェルネに新たな求婚者が現れる。
若きバラクロフ侯爵レジナルド。
「あら、あなたも真実の愛を実らせようって仰いますの?」
フェルネの曾祖母シャーリンとレジナルドの祖父アルフォンス卿には悲恋の歴史がある。
「子孫の我々が結婚しようと関係ない。聡明な妻が欲しいだけだ」
互いに塩対応だったはずが、気づくとクーデレ夫婦になっていたフェルネとレジナルド。
その頃、真実の愛を貫いたはずのサディアスは……
(予定より長くなってしまった為、完結に伴い短編→長編に変更しました)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる