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守ってくれたのは

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「殿下が・・・・公爵邸に来ている・・・?」


隣にいるマリーナも驚愕の表情を浮かべていた。


「何故今さら殿下がいらっしゃたのでしょうか・・・・。」


マリーナがそう言うと若い侍女が答える。


「分かりません・・・。ですがお嬢様にお会いしたいと言っておられます。」


今日はお父様もお母様も仕事で不在だ。


「お嬢様、無理に行く必要はありません。そもそも先触れもなく邸に訪れた殿下に非があります。体調が悪いと言ってお断りすることも・・・。」


マリーナは私を気遣ってくれた。


「いいえ、大丈夫よ。マリーナ。心配してくれてありがとう。」


「お嬢様!」


「殿下は今どこに?」


若い侍女に尋ねる。


「客間にお通ししてあります。」


「すぐに向かうわ。殿下を待たせるわけにはいかないから。」


私は引き留めるマリーナを説得して客間へ向かった。










そして私は殿下の待つ客間へと足を踏み入れた。


そこには別れを切り出された時と全く変わらない殿下が座っていた。


前と違うのは・・・私を見る目に憎悪の感情が宿っていることだった。


(何なの・・・?)


「お久しぶりです、殿下。私に何か御用でしょうか。」


私は挨拶をしながら殿下に尋ねる。


「エレン、君には失望したよ。」


殿下が相変わらず憎しみのこもった目で私を見つめる。


「何のことでしょうか?」


「しらばっくれる気か!?君はずっと影でリサに嫌がらせをしていたのだろう?」


殿下が声を荒げる。


(何ですって・・・?)


「私はそんなことしていませんわ。」


私は冷静に否定する。


「いい加減認めろ!」


だが殿下も退かない。


「第一証拠はありますの?」


「リサの証言だ!」


それが証拠というのか・・・。


(エイドリアン殿下はここまで愚かだったの・・・?)


その瞬間、私の中でエイドリアン殿下に対して残っていた未練が消えたような気がした。


「殿下、本人の証言だけでは証拠として不十分です。王族ともあろう方が、物事をそんな風に判断してはいけませんわ。」


私は殿下に対する反撃を始めた。


「リサが嘘をついていると言うのか!?」


殿下がさらに声を荒げた。


「その可能性も十分ありえるでしょう。私を問い詰めたいのであればその前に現場を目撃した者がいないか、きちんと裏をとるべきでした。まさか何も準備しないでここへ訪れたのですか?」


そう言われて恥をかいたのか、殿下は顔を赤くして私を怒鳴りつける。


「っ・・・!うるさいっ!大体君はいつも僕に説教をしてきて・・・」


その瞬間殿下の手が伸びてくる。


(・・・!?殴られるっ!!)


私は思わず目を閉じた。






(・・・あれ?何も起きない?)


恐る恐る目を開けると、目の前には大きな背中。


「・・・クリス・・・?」


「女に手を上げるとは、関心しませんね。殿下。」


「・・・モーガン公爵令息っ・・・!」


クリスが私を守るように前に立ち、殿下の腕をつかんでいた。


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