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憎悪 王太子side
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僕は自室でずっと考え込んでいた。
何故だ?
何故こんな急に周囲が変わるんだ?
誰かが裏で何かしているとしか思えなかった。
そうだとしたら一体誰が?
一人で考えていると急にドアがバンッと開く。
驚いてそちらを見ると
「エイドリアン様ぁ~~~!!!」
リサが泣きそうな顔でこちらへ駆け寄ってくる。
「リ、リサ?どうしたんだ?」
「エイドリアン様っ。うぅっ・・・」
リサは泣いていた。
「リサ、何かあったのか?」
僕は泣きわめくリサを抱きしめ、優しく問う。
「エイドリアン様っ。部屋にいたら急に矢が飛んできたんですぅ・・・うぅっ・・・。」
リサは泣きながらそう言った。
「何だと・・・!?」
そいつは僕だけじゃなく、リサの命まで狙っているのか!!!
僕はこの事実にはらわたが煮えくり返った。
許さない・・・!許さないぞ・・・!
「リサ・・・怖かったな。傍にいてあげられなくてごめん。」
「エイドリアン様・・・。」
僕はリサと見つめ合うと力強く彼女を抱きしめた。
未だ泣きわめくリサを慰めながら2人で自室のソファに腰掛ける。
「リサ。実はさっき僕のところにも矢が飛んできたんだ。」
そう言うとリサは驚いた顔をする。
「えっ!エイドリアン様のところにもですかぁ?」
「あぁ。誰かが僕とリサの命を狙っているのは確かだろう。」
「エイドリアン様。リサ怖いですぅ~。」
そう言ってリサは抱き着いてくる。
「大丈夫だよ。リサ。君のことは僕が命に代えても守るから。」
リサを強く抱きしめながらそう言う。
「だけど一体誰がやったのだろうか・・・。第二王子派の誰かか?でもシャルルとは別に仲が悪いわけではないし・・・。」
僕の言葉にリサは目を伏せた。
「あ、あのエイドリアン様・・・。」
リサが悲し気な表情を浮かべて何かを言おうとしている。
「何だ?」
「私は・・・今回の首謀者はきっとエレン様ではないかと思うのです。」
その言葉に僕は驚いた。
エレンがそんなことをするだろうか?
にわかには信じられない。
「リサ。何故そう思うんだい?」
リサに理由を聞いてみる。
「実は私・・・エレン様にずっと嫌がらせを受けていたんです。」
「何だと・・・?」
「王宮で会うといつも平民のくせにとか下賤だとか陰口を叩かれていたんです。」
その瞬間ついさっき王宮の使用人達に言われたことを思い出した。
「平民の息子」
「なぜあんなのが王宮にいるのかしら」
「下賤な血が混じってるくせに」
僕は頭に血がのぼった。
リサが・・・リサがそんなことを言われていただなんて!!!
許せないぞ・・・エレン・・・!
その時から僕は一連の犯人がエレンだと思い込み、憎悪を抱くようになった。
「リサ、辛い思いをさせてすまない。」
「いえ、いいんです・・・本当のことですから・・・。」
「良いわけがないだろう!君は僕の婚約者で未来の王妃だ!」
「エイドリアン様・・・。」
そう言って僕は自室を出ようとする。
「エイドリアン様。どちらへ行かれるのですか?」
「ローラン公爵家へ抗議に行く。」
「エイドリアン様・・・!」
リサが嬉しそうな声をあげる。
部屋を出る瞬間、リサが口元を歪ませているのに、僕が気づくことはなかった。
何故だ?
何故こんな急に周囲が変わるんだ?
誰かが裏で何かしているとしか思えなかった。
そうだとしたら一体誰が?
一人で考えていると急にドアがバンッと開く。
驚いてそちらを見ると
「エイドリアン様ぁ~~~!!!」
リサが泣きそうな顔でこちらへ駆け寄ってくる。
「リ、リサ?どうしたんだ?」
「エイドリアン様っ。うぅっ・・・」
リサは泣いていた。
「リサ、何かあったのか?」
僕は泣きわめくリサを抱きしめ、優しく問う。
「エイドリアン様っ。部屋にいたら急に矢が飛んできたんですぅ・・・うぅっ・・・。」
リサは泣きながらそう言った。
「何だと・・・!?」
そいつは僕だけじゃなく、リサの命まで狙っているのか!!!
僕はこの事実にはらわたが煮えくり返った。
許さない・・・!許さないぞ・・・!
「リサ・・・怖かったな。傍にいてあげられなくてごめん。」
「エイドリアン様・・・。」
僕はリサと見つめ合うと力強く彼女を抱きしめた。
未だ泣きわめくリサを慰めながら2人で自室のソファに腰掛ける。
「リサ。実はさっき僕のところにも矢が飛んできたんだ。」
そう言うとリサは驚いた顔をする。
「えっ!エイドリアン様のところにもですかぁ?」
「あぁ。誰かが僕とリサの命を狙っているのは確かだろう。」
「エイドリアン様。リサ怖いですぅ~。」
そう言ってリサは抱き着いてくる。
「大丈夫だよ。リサ。君のことは僕が命に代えても守るから。」
リサを強く抱きしめながらそう言う。
「だけど一体誰がやったのだろうか・・・。第二王子派の誰かか?でもシャルルとは別に仲が悪いわけではないし・・・。」
僕の言葉にリサは目を伏せた。
「あ、あのエイドリアン様・・・。」
リサが悲し気な表情を浮かべて何かを言おうとしている。
「何だ?」
「私は・・・今回の首謀者はきっとエレン様ではないかと思うのです。」
その言葉に僕は驚いた。
エレンがそんなことをするだろうか?
にわかには信じられない。
「リサ。何故そう思うんだい?」
リサに理由を聞いてみる。
「実は私・・・エレン様にずっと嫌がらせを受けていたんです。」
「何だと・・・?」
「王宮で会うといつも平民のくせにとか下賤だとか陰口を叩かれていたんです。」
その瞬間ついさっき王宮の使用人達に言われたことを思い出した。
「平民の息子」
「なぜあんなのが王宮にいるのかしら」
「下賤な血が混じってるくせに」
僕は頭に血がのぼった。
リサが・・・リサがそんなことを言われていただなんて!!!
許せないぞ・・・エレン・・・!
その時から僕は一連の犯人がエレンだと思い込み、憎悪を抱くようになった。
「リサ、辛い思いをさせてすまない。」
「いえ、いいんです・・・本当のことですから・・・。」
「良いわけがないだろう!君は僕の婚約者で未来の王妃だ!」
「エイドリアン様・・・。」
そう言って僕は自室を出ようとする。
「エイドリアン様。どちらへ行かれるのですか?」
「ローラン公爵家へ抗議に行く。」
「エイドリアン様・・・!」
リサが嬉しそうな声をあげる。
部屋を出る瞬間、リサが口元を歪ませているのに、僕が気づくことはなかった。
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