貴方が選んだのは全てを捧げて貴方を愛した私ではありませんでした

ましゅぺちーの

文字の大きさ
上 下
9 / 54

楽しい時間

しおりを挟む
「クリス、今日はどこへ連れて行ってくれるの?」


私が尋ねるとクリスはにっこり微笑みながら答えてくれる。


「今日は王都にあるカフェに行こう。」


「カフェ?」


「あぁ、スイーツが絶品らしいんだ。」


スイーツ。と聞いて私は目を輝かせる。


「ほんと!?」


「エレンは昔から甘い物に目がないだろう?」


クリスが笑いながら言った。


「ふふ、そんな昔のこと覚えていてくれたのね・・・。」


「当然だろ。エレンのことならなんでも知ってる。」


クリス・・・。


クリスはいつも私を楽しませてくれる。


嬉しい・・・。





「エレン、ここがさっき言ったカフェだ。」


「おしゃれなところなのね。」


そう言うとクリスは微笑んだ。


「気に入ったか?」


「ええ、とっても!」





クリスがドアを開けて、私を中に入れてくれる。


2人で席に着くとクリスが私に尋ねる。


「エレン、何頼む?」


「どうしようかな・・・何がオススメかしら?」


「このいちごタルトはどうだ?エレンが好きそうだ。」


いちごタルト。子供の頃よく食べていたものだ。


「ならそれにするわ。クリスは?」


「俺はチョコレートタルトにしようかな。」


そう言うとクリスがお店の人を呼ぶ。


「ご注文はお決まりでしょうか?」


若い女の人がやってくる。


「いちごタルトをチョコタルトを一つずつお願いします。」


私がお店の人に対して言う。


「かしこまりました。」





しばらくして、私たちのテーブルに注文したものが運ばれてきた。


「お待たせしました。いちごタルトとチョコタルトになります。」


「ありがとうございます。」


お店の人にお礼を言い、私たちは食べ始める。


「美味しい!クリス、とっても美味しいわ!」


いちごタルトを一口食べた私はクリスに対して言う。


「エレンの口に合ってよかったよ。」


チョコタルトを食べているクリスがそんな私を見て笑う。


「クリスのそれは美味しいの?」


そう尋ねるとクリスが私をじっと見て言った。


「一口食べてみるか?」


「いいの!?」


するとクリスは自分のフォークで一口分のいちごタルトを取り、私の口元に持ってくる。


「はい、あ~ん。」


!?


「ク、クリス・・・こんなの恥ずかしいわ。」


恥ずかしがって食べようとしない私を見てクリスが言う。


「別に良いだろう。エレンは今フリーなんだし。」


それはそうだけど・・・!


私は覚悟を決めてチョコタルトを頬張る。


それを見たクリスは満足げな顔をする。


「・・・美味しいわ。」


「だろ?エレンのも一口俺にくれよ。」


「えっ!?」


クリスの顔を見ると口を開けて待っていた。


私は顔を赤くしながらもいちごタルトを一口取ってクリスの口元に持って行った。


「美味いな。」


そう言って微笑むクリスに信じられないほど胸がドキドキした。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

義妹ばかりを溺愛して何もかも奪ったので縁を切らせていただきます。今さら寄生なんて許しません!

ユウ
恋愛
10歳の頃から伯爵家の嫁になるべく厳しい花嫁修業を受け。 貴族院を卒業して伯爵夫人になるべく努力をしていたアリアだったが事あるごと実娘と比べられて来た。 実の娘に勝る者はないと、嫌味を言われ。 嫁でありながら使用人のような扱いに苦しみながらも嫁として口答えをすることなく耐えて来たが限界を感じていた最中、義妹が出戻って来た。 そして告げられたのは。 「娘が帰って来るからでていってくれないかしら」 理不尽な言葉を告げられ精神的なショックを受けながらも泣く泣く家を出ることになった。 …はずだったが。 「やった!自由だ!」 夫や舅は申し訳ない顔をしていたけど、正直我儘放題の姑に我儘で自分を見下してくる義妹と縁を切りたかったので同居解消を喜んでいた。 これで解放されると心の中で両手を上げて喜んだのだが… これまで尽くして来た嫁を放り出した姑を世間は良しとせず。 生活費の負担をしていたのは息子夫婦で使用人を雇う事もできず生活が困窮するのだった。 縁を切ったはずが… 「生活費を負担してちょうだい」 「可愛い妹の為でしょ?」 手のひらを返すのだった。

お二人共、どうぞお幸せに……もう二度と勘違いはしませんから

結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【もう私は必要ありませんよね?】 私には2人の幼なじみがいる。一人は美しくて親切な伯爵令嬢。もう一人は笑顔が素敵で穏やかな伯爵令息。 その一方、私は貴族とは名ばかりのしがない男爵家出身だった。けれど2人は身分差に関係なく私に優しく接してくれるとても大切な存在であり、私は密かに彼に恋していた。 ある日のこと。病弱だった父が亡くなり、家を手放さなければならない 自体に陥る。幼い弟は父の知り合いに引き取られることになったが、私は住む場所を失ってしまう。 そんな矢先、幼なじみの彼に「一生、面倒をみてあげるから家においで」と声をかけられた。まるで夢のような誘いに、私は喜んで彼の元へ身を寄せることになったのだが―― ※ 他サイトでも投稿中   途中まで鬱展開続きます(注意)

【完結】婚約破棄はしたいけれど傍にいてほしいなんて言われましても、私は貴方の母親ではありません

すだもみぢ
恋愛
「彼女は私のことを好きなんだって。だから君とは婚約解消しようと思う」 他の女性に言い寄られて舞い上がり、10年続いた婚約を一方的に解消してきた王太子。 今まで婚約者だと思うからこそ、彼のフォローもアドバイスもしていたけれど、まだそれを当たり前のように求めてくる彼に驚けば。 「君とは結婚しないけれど、ずっと私の側にいて助けてくれるんだろう?」 貴方は私を母親だとでも思っているのでしょうか。正直気持ち悪いんですけれど。 王妃様も「あの子のためを思って我慢して」としか言わないし。 あんな男となんてもう結婚したくないから我慢するのも嫌だし、非難されるのもイヤ。なんとかうまいこと立ち回って幸せになるんだから!

【完結】婚姻無効になったので新しい人生始めます~前世の記憶を思い出して家を出たら、愛も仕事も手に入れて幸せになりました~

Na20
恋愛
セレーナは嫁いで三年が経ってもいまだに旦那様と使用人達に受け入れられないでいた。 そんな時頭をぶつけたことで前世の記憶を思い出し、家を出ていくことを決意する。 「…そうだ、この結婚はなかったことにしよう」 ※ご都合主義、ふんわり設定です ※小説家になろう様にも掲載しています

そんなに妹が好きなら死んであげます。

克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。 『思い詰めて毒を飲んだら周りが動き出しました』 フィアル公爵家の長女オードリーは、父や母、弟や妹に苛め抜かれていた。 それどころか婚約者であるはずのジェイムズ第一王子や国王王妃にも邪魔者扱いにされていた。 そもそもオードリーはフィアル公爵家の娘ではない。 イルフランド王国を救った大恩人、大賢者ルーパスの娘だ。 異世界に逃げた大魔王を追って勇者と共にこの世界を去った大賢者ルーパス。 何の音沙汰もない勇者達が死んだと思った王達は……

いつだって二番目。こんな自分とさよならします!

椿蛍
恋愛
小説『二番目の姫』の中に転生した私。 ヒロインは第二王女として生まれ、いつも脇役の二番目にされてしまう運命にある。 ヒロインは婚約者から嫌われ、両親からは差別され、周囲も冷たい。 嫉妬したヒロインは暴走し、ラストは『お姉様……。私を救ってくれてありがとう』ガクッ……で終わるお話だ。  そんなヒロインはちょっとね……って、私が転生したのは二番目の姫!? 小説どおり、私はいつも『二番目』扱い。 いつも第一王女の姉が優先される日々。 そして、待ち受ける死。 ――この運命、私は変えられるの? ※表紙イラストは作成者様からお借りしてます。

俺はお前ではなく、彼女を一生涯愛し護り続けると決めたんだ! そう仰られた元婚約者様へ。貴方が愛する人が、夜会で大問題を起こしたようですよ?

柚木ゆず
恋愛
※9月20日、本編完結いたしました。明日21日より番外編として、ジェラール親子とマリエット親子の、最後のざまぁに関するお話を投稿させていただきます。  お前の家ティレア家は、財の力で爵位を得た新興貴族だ! そんな歴史も品もない家に生まれた女が、名家に生まれた俺に相応しいはずがない! 俺はどうして気付かなかったんだ――。  婚約中に心変わりをされたクレランズ伯爵家のジェラール様は、沢山の暴言を口にしたあと、一方的に婚約の解消を宣言しました。  そうしてジェラール様はわたしのもとを去り、曰く『お前と違って貴族然とした女性』であり『気品溢れる女性』な方と新たに婚約を結ばれたのですが――  ジェラール様。貴方の婚約者であるマリエット様が、侯爵家主催の夜会で大問題を起こしてしまったみたいですよ?

妹と婚約者が結婚したけど、縁を切ったから知りません

編端みどり
恋愛
妹は何でもわたくしの物を欲しがりますわ。両親、使用人、ドレス、アクセサリー、部屋、食事まで。 最後に取ったのは婚約者でした。 ありがとう妹。初めて貴方に取られてうれしいと思ったわ。

処理中です...