3 / 54
破滅はすぐそこに 王太子side
しおりを挟む
「エイドリアン様っ!今日はクッキーを作って来たんですっ!」
そう言ってこちらへ駆け寄ってくるのは僕の愛するリサだ。
「ありがとう。リサ。」
その愛くるしい笑みに自然と僕まで笑顔になる。
リサは平民なので家名を持たない。
だが、僕の愛する人に変わりない。
僕には少し前まで婚約者候補のエレンがいた。
エレンは頭が良く、家柄も良かった。
だから一人で何でも出来てしまう。
エレンとは違ってリサは一人じゃ何も出来なくていつも僕を頼ってくれる。
淑女教育が徹底されてあまり笑わないエレンとは違って、リサはよく笑う。
表情がクルクル変わって愛らしいと思った。
エレンには悪いが、僕はリサを好きになってしまった。
それにエレンはこの先一人でも生きていけるだろう。
リサは僕がいなければ生きていけない。
リサはお菓子作りが得意で、いつも僕に作ってきてくれる。
エレンは婚約者候補だった時、そういうことを全くしてくれなかった。
別にエレンが嫌いだったわけではない。
リサに惹かれてしまっただけだ。
あの優秀で美しいエレンならきっと僕の婚約者候補から外れたとしても縁談がたくさん来るだろうし、大丈夫だ。
「エイドリアン様っ!本当に私をお妃さまにしてくださるんですよね?」
リサは大きな目をぱちくりさせて聞いてくる。
「ああ、そのためにエレンと別れたんだ。エレンに別れを告げる時、君もいただろう?」
「エイドリアン様大好きっ!リサ嬉しい~」
そう言ってリサは僕に抱き着いてくる。
どこまでも愛らしい。
誰がなんと言おうと、僕はリサと結婚したかった。
リサを好きになってからはリサ以外を妃に迎えるなんて考えられなくなった。
「殿下、少しよろしいですか。」
侍従に声をかけられる。
リサとの時間を邪魔しやがって・・・。
そう思いながらもリサを引き離し、リサから離れたところで侍従と向き合う。
「殿下、悪いことは言いません。今からでもエレン様に謝罪し、前の関係に戻るべきです。」
「なんだと?」
侍従が言った言葉に僕は腹が立った。
「僕が愛しているのはリサだけだ!!!」
「リサ様は愛妾になさればよろしいかと・・・」
その瞬間、僕の頭に血が上った。
「愛妾だと!?リサを何だと思ってる!」
僕は侍従をきつく怒鳴りつけた。
「殿下がリサ様を愛する気持ちはよく分かっております。ですがこれは殿下のためを思って・・・」
侍従は懲りずに口うるさく僕に何か言ってきた。
「今すぐ出て行け!」
「っ・・・殿下・・・!」
侍従は納得しない顔をするも、部屋を出て行く。
離れた場所にいたリサが心配そうに駆けてくる。
「エイドリアン様?さっき、愛妾って聞こえたんですけど・・・」
「侍従が馬鹿なことを言ったんだ。僕はリサを正妃にする。」
その瞬間リサの顔がパァッと明るくなる。
「約束ですからね!」
「あぁ。」
この時の僕はこの先リサと共に幸せになれると信じて疑わなかった。
自身の破滅が近づいていることなど気づかずにー
そう言ってこちらへ駆け寄ってくるのは僕の愛するリサだ。
「ありがとう。リサ。」
その愛くるしい笑みに自然と僕まで笑顔になる。
リサは平民なので家名を持たない。
だが、僕の愛する人に変わりない。
僕には少し前まで婚約者候補のエレンがいた。
エレンは頭が良く、家柄も良かった。
だから一人で何でも出来てしまう。
エレンとは違ってリサは一人じゃ何も出来なくていつも僕を頼ってくれる。
淑女教育が徹底されてあまり笑わないエレンとは違って、リサはよく笑う。
表情がクルクル変わって愛らしいと思った。
エレンには悪いが、僕はリサを好きになってしまった。
それにエレンはこの先一人でも生きていけるだろう。
リサは僕がいなければ生きていけない。
リサはお菓子作りが得意で、いつも僕に作ってきてくれる。
エレンは婚約者候補だった時、そういうことを全くしてくれなかった。
別にエレンが嫌いだったわけではない。
リサに惹かれてしまっただけだ。
あの優秀で美しいエレンならきっと僕の婚約者候補から外れたとしても縁談がたくさん来るだろうし、大丈夫だ。
「エイドリアン様っ!本当に私をお妃さまにしてくださるんですよね?」
リサは大きな目をぱちくりさせて聞いてくる。
「ああ、そのためにエレンと別れたんだ。エレンに別れを告げる時、君もいただろう?」
「エイドリアン様大好きっ!リサ嬉しい~」
そう言ってリサは僕に抱き着いてくる。
どこまでも愛らしい。
誰がなんと言おうと、僕はリサと結婚したかった。
リサを好きになってからはリサ以外を妃に迎えるなんて考えられなくなった。
「殿下、少しよろしいですか。」
侍従に声をかけられる。
リサとの時間を邪魔しやがって・・・。
そう思いながらもリサを引き離し、リサから離れたところで侍従と向き合う。
「殿下、悪いことは言いません。今からでもエレン様に謝罪し、前の関係に戻るべきです。」
「なんだと?」
侍従が言った言葉に僕は腹が立った。
「僕が愛しているのはリサだけだ!!!」
「リサ様は愛妾になさればよろしいかと・・・」
その瞬間、僕の頭に血が上った。
「愛妾だと!?リサを何だと思ってる!」
僕は侍従をきつく怒鳴りつけた。
「殿下がリサ様を愛する気持ちはよく分かっております。ですがこれは殿下のためを思って・・・」
侍従は懲りずに口うるさく僕に何か言ってきた。
「今すぐ出て行け!」
「っ・・・殿下・・・!」
侍従は納得しない顔をするも、部屋を出て行く。
離れた場所にいたリサが心配そうに駆けてくる。
「エイドリアン様?さっき、愛妾って聞こえたんですけど・・・」
「侍従が馬鹿なことを言ったんだ。僕はリサを正妃にする。」
その瞬間リサの顔がパァッと明るくなる。
「約束ですからね!」
「あぁ。」
この時の僕はこの先リサと共に幸せになれると信じて疑わなかった。
自身の破滅が近づいていることなど気づかずにー
220
お気に入りに追加
3,976
あなたにおすすめの小説
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
ほらやっぱり、結局貴方は彼女を好きになるんでしょう?
望月 或
恋愛
ベラトリクス侯爵家のセイフィーラと、ライオロック王国の第一王子であるユークリットは婚約者同士だ。二人は周りが羨むほどの相思相愛な仲で、通っている学園で日々仲睦まじく過ごしていた。
ある日、セイフィーラは落馬をし、その衝撃で《前世》の記憶を取り戻す。ここはゲームの中の世界で、自分は“悪役令嬢”だということを。
転入生のヒロインにユークリットが一目惚れをしてしまい、セイフィーラは二人の仲に嫉妬してヒロインを虐め、最後は『婚約破棄』をされ修道院に送られる運命であることを――
そのことをユークリットに告げると、「絶対にその彼女に目移りなんてしない。俺がこの世で愛しているのは君だけなんだ」と真剣に言ってくれたのだが……。
その日の朝礼後、ゲームの展開通り、ヒロインのリルカが転入してくる。
――そして、セイフィーラは見てしまった。
目を見開き、頬を紅潮させながらリルカを見つめているユークリットの顔を――
※作者独自の世界設定です。ゆるめなので、突っ込みは心の中でお手柔らかに願います……。
※たまに第三者視点が入ります。(タイトルに記載)
私は王妃になりません! ~王子に婚約解消された公爵令嬢、街外れの魔道具店に就職する~
瑠美るみ子
恋愛
サリクスは王妃になるため幼少期から虐待紛いな教育をされ、過剰な躾に心を殺された少女だった。
だが彼女が十八歳になったとき、婚約者である第一王子から婚約解消を言い渡されてしまう。サリクスの代わりに妹のヘレナが結婚すると告げられた上、両親から「これからは自由に生きて欲しい」と勝手なことを言われる始末。
今までの人生はなんだったのかとサリクスは思わず自殺してしまうが、精霊達が精霊王に頼んだせいで生き返ってしまう。
好きに死ぬこともできないなんてと嘆くサリクスに、流石の精霊王も酷なことをしたと反省し、「弟子であるユーカリの様子を見にいってほしい」と彼女に仕事を与えた。
王国で有数の魔法使いであるユーカリの下で働いているうちに、サリクスは殺してきた己の心を取り戻していく。
一方で、サリクスが突然いなくなった公爵家では、両親が悲しみに暮れ、何としてでも見つけ出すとサリクスを探し始め……
*小説家になろう様にても掲載しています。*タイトル少し変えました
婚約破棄直前に倒れた悪役令嬢は、愛を抱いたまま退場したい
矢口愛留
恋愛
【全11話】
学園の卒業パーティーで、公爵令嬢クロエは、第一王子スティーブに婚約破棄をされそうになっていた。
しかし、婚約破棄を宣言される前に、クロエは倒れてしまう。
クロエの余命があと一年ということがわかり、スティーブは、自身の感じていた違和感の元を探り始める。
スティーブは真実にたどり着き、クロエに一つの約束を残して、ある選択をするのだった。
※一話あたり短めです。
※ベリーズカフェにも投稿しております。
俺はお前ではなく、彼女を一生涯愛し護り続けると決めたんだ! そう仰られた元婚約者様へ。貴方が愛する人が、夜会で大問題を起こしたようですよ?
柚木ゆず
恋愛
※9月20日、本編完結いたしました。明日21日より番外編として、ジェラール親子とマリエット親子の、最後のざまぁに関するお話を投稿させていただきます。
お前の家ティレア家は、財の力で爵位を得た新興貴族だ! そんな歴史も品もない家に生まれた女が、名家に生まれた俺に相応しいはずがない! 俺はどうして気付かなかったんだ――。
婚約中に心変わりをされたクレランズ伯爵家のジェラール様は、沢山の暴言を口にしたあと、一方的に婚約の解消を宣言しました。
そうしてジェラール様はわたしのもとを去り、曰く『お前と違って貴族然とした女性』であり『気品溢れる女性』な方と新たに婚約を結ばれたのですが――
ジェラール様。貴方の婚約者であるマリエット様が、侯爵家主催の夜会で大問題を起こしてしまったみたいですよ?
「あなたのことはもう忘れることにします。 探さないでください」〜 お飾りの妻だなんてまっぴらごめんです!
友坂 悠
恋愛
あなたのことはもう忘れることにします。
探さないでください。
そう置き手紙を残して妻セリーヌは姿を消した。
政略結婚で結ばれた公爵令嬢セリーヌと、公爵であるパトリック。
しかし婚姻の初夜で語られたのは「私は君を愛することができない」という夫パトリックの言葉。
それでも、いつかは穏やかな夫婦になれるとそう信じてきたのに。
よりにもよって妹マリアンネとの浮気現場を目撃してしまったセリーヌは。
泣き崩れ寝て転生前の記憶を夢に見た拍子に自分が生前日本人であったという意識が蘇り。
もう何もかも捨てて家出をする決意をするのです。
全てを捨てて家を出て、まったり自由に生きようと頑張るセリーヌ。
そんな彼女が新しい恋を見つけて幸せになるまでの物語。
前世と今世の幸せ
夕香里
恋愛
幼い頃から皇帝アルバートの「皇后」になるために妃教育を受けてきたリーティア。
しかし聖女が発見されたことでリーティアは皇后ではなく、皇妃として皇帝に嫁ぐ。
皇帝は皇妃を冷遇し、皇后を愛した。
そのうちにリーティアは病でこの世を去ってしまう。
この世を去った後に訳あってもう一度同じ人生を繰り返すことになった彼女は思う。
「今世は幸せになりたい」と
※小説家になろう様にも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる