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番外編
24 暴走 リリー視点
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それからというもの、私は密かに王妃に嫌がらせをするようになった。
(バレなければいいんだわ……ただ、あの女を陛下の傍から離すことさえ出来れば……)
嫌がらせをするとは言っても相手は王妃であり元公爵令嬢。
そのためあまり過激なことは出来ず、どれもくだらないものとなってしまうことだけが残念だった。
王妃への嫌がらせはすぐに王宮内で話題になった。
「王妃陛下のドレスがズタズタに切り裂かれていて……!」
「宝飾品も消えているわ!一体誰が……!」
「あれは国王陛下が王妃陛下に贈った大切な物だというのに……」
そんな慌てふためく侍女たちを見た私はニヤリとほくそ笑んだ。
(貴方みたいなのが陛下から贈り物をされるなんておこがましいのよ……)
当然、彼から義務的に贈られたプレゼントは侍女に命じて全て処分させておいた。
陛下がプレゼントを贈るような相手は私だけで良いからだ。
運命の赤い糸で結ばれた私たちを引き裂く女に配慮する必要なんてない。
ヒロインとヒーローの恋の障害となる邪魔者は早いうちに退場しなければならない。
きっと彼も喜んでくれるはずだ。
そう思って、私はさらに嫌がらせを繰り返した。
最初は小さなことから始まったが、慣れてきたのか次第に大胆な行動を取るようになった。
昼は悠々自適な暮らしをし、夜は彼に愛される。
そんな幸せな生活に変化が訪れたのは王宮に上がってから一年が過ぎた頃だった。
「――近頃王妃陛下の身辺で不審なことが起きており、国王陛下が護衛を増やすことを決めたそうです」
「……何ですって?」
思わず手に持っていたティーカップを床に叩きつけそうになった。
(どうして彼があの女を気にかけるのよ……!)
理解出来ないし、納得いかない。
彼の頭の中にいるのは私だけで良い。
私だって四六時中彼しか頭に無いのだから。
王妃への嫉妬の炎がメラメラと燃えていくのを感じる。
僅かに残っていた理性などどこかへ飛んでいってしまったようだ。
(あの女……)
――もっと痛い目に遭わせてやらなければ分からないのか。
***
「リリー、最近王妃の周辺で不審なことばかり起きているんだが、何か知っていることは無いか?」
「陛下……」
夜、いつものようにベッドを共にしていた彼にそんなことを尋ねられてギクリとした。
(まさか、私の仕業だとバレて……!?)
一瞬焦ったが、すぐに心を落ち着かせた。
バレたところでどうなるというのだ。
彼は私を心から愛していて、王妃のことは愛していない。
だから気付かれたところで私が罰せられることは絶対に無い。
むしろ彼はよくやったと私を褒めてくれるはずだ。
王妃がいなくなれば、私たちの愛を妨げるものは何も無くなるから。
「陛下、私は何も知りません……本当です……」
「リリー……」
上目遣いで陛下を見つめると、彼は困ったように眉を下げた。
「私を信じてください、陛下……」
「そんなのは当然だ」
ああ、やはり彼は私を信じている、愛している。
――その事実だけで私の心は満たされた。
(バレなければいいんだわ……ただ、あの女を陛下の傍から離すことさえ出来れば……)
嫌がらせをするとは言っても相手は王妃であり元公爵令嬢。
そのためあまり過激なことは出来ず、どれもくだらないものとなってしまうことだけが残念だった。
王妃への嫌がらせはすぐに王宮内で話題になった。
「王妃陛下のドレスがズタズタに切り裂かれていて……!」
「宝飾品も消えているわ!一体誰が……!」
「あれは国王陛下が王妃陛下に贈った大切な物だというのに……」
そんな慌てふためく侍女たちを見た私はニヤリとほくそ笑んだ。
(貴方みたいなのが陛下から贈り物をされるなんておこがましいのよ……)
当然、彼から義務的に贈られたプレゼントは侍女に命じて全て処分させておいた。
陛下がプレゼントを贈るような相手は私だけで良いからだ。
運命の赤い糸で結ばれた私たちを引き裂く女に配慮する必要なんてない。
ヒロインとヒーローの恋の障害となる邪魔者は早いうちに退場しなければならない。
きっと彼も喜んでくれるはずだ。
そう思って、私はさらに嫌がらせを繰り返した。
最初は小さなことから始まったが、慣れてきたのか次第に大胆な行動を取るようになった。
昼は悠々自適な暮らしをし、夜は彼に愛される。
そんな幸せな生活に変化が訪れたのは王宮に上がってから一年が過ぎた頃だった。
「――近頃王妃陛下の身辺で不審なことが起きており、国王陛下が護衛を増やすことを決めたそうです」
「……何ですって?」
思わず手に持っていたティーカップを床に叩きつけそうになった。
(どうして彼があの女を気にかけるのよ……!)
理解出来ないし、納得いかない。
彼の頭の中にいるのは私だけで良い。
私だって四六時中彼しか頭に無いのだから。
王妃への嫉妬の炎がメラメラと燃えていくのを感じる。
僅かに残っていた理性などどこかへ飛んでいってしまったようだ。
(あの女……)
――もっと痛い目に遭わせてやらなければ分からないのか。
***
「リリー、最近王妃の周辺で不審なことばかり起きているんだが、何か知っていることは無いか?」
「陛下……」
夜、いつものようにベッドを共にしていた彼にそんなことを尋ねられてギクリとした。
(まさか、私の仕業だとバレて……!?)
一瞬焦ったが、すぐに心を落ち着かせた。
バレたところでどうなるというのだ。
彼は私を心から愛していて、王妃のことは愛していない。
だから気付かれたところで私が罰せられることは絶対に無い。
むしろ彼はよくやったと私を褒めてくれるはずだ。
王妃がいなくなれば、私たちの愛を妨げるものは何も無くなるから。
「陛下、私は何も知りません……本当です……」
「リリー……」
上目遣いで陛下を見つめると、彼は困ったように眉を下げた。
「私を信じてください、陛下……」
「そんなのは当然だ」
ああ、やはり彼は私を信じている、愛している。
――その事実だけで私の心は満たされた。
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