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番外編
23 愛 リリー視点
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そして、ついに夜になった。
「――リリー」
「陛下!」
彼は約束通り、本当に私の元へとやって来た。
優しい笑みを浮かべて、駆け寄る私を胸に抱く。
勢いのままその頬に口付けをすると、彼がフッと笑った。
(やっぱり、彼は私を愛しているんだわ!)
こうするたびに、私に対する彼の深い愛を感じる。
愛されているのは私だ、絶対にあの女ではない。
私たちは真実の愛で結ばれている。
彼の手を取り、部屋にあるベッドへと誘う。
「陛下……愛しています……」
「リリー……」
ベッドの上で彼と愛を交わす時間は何よりも幸せだった。
彼がいるだけで私は幸せになれる、彼だって私がいるだけで幸せになれる。
そう信じて疑わなかった。
(そうよ、私たちは運命なんだから)
一通り愛を確かめ合った後、二人一緒にベッドに横になった。
彼のたくましい腕が私の体を抱き締める。
「陛下……今日の夕方、王妃陛下にお会いしました」
「……王妃に?」
彼の声が突然低くなった。
愛する女と正妻をあまり会わせたくないのだろう、不満があるみたいだ。
私を抱き締める彼の腕に力が入る。
「王妃には関わるなと、言わなかったか?」
「たまたま廊下でお会いして……挨拶を交わしただけです、陛下」
「そうか……王妃は何か言っていたか?」
「早くここでの暮らしに慣れると良いわねと……王妃様が何を考えていらっしゃるのか分からなくて……」
「……」
私が不安げに陛下を見つめると、彼は安心させるようにクスッと笑った。
「君は何もしなくていい、ただここにいればいい」
「陛下……」
彼のその言葉で、胸の奥がとても温かくなった。
面倒なことなんて何もしなくていい、傍にいるだけで良いだなんて、私は本当にとても愛されている。
また一つ、彼を好きになった。
こんなにも誰かを好きになってのは初めてだ。
これまで男性から好意を寄せられることは多くあったが、逆は一度も無かった。
(毎日毎日彼への愛が増すばかりだわ……)
このときの私の頭の中は既に彼のことでいっぱいで、少し前までは恋愛関係にあったリアムのことなどとっくに忘れていた。
あの男が今どうなっているかなんて気にもならない。
どうすればもっと彼に愛されるか、今の私にはそれしか頭になかった。
(やっぱり……あの女には消えてもらうべきだわ……)
私の脳裏をよぎった一人の女。
彼の正式な妻である王妃だった。
最初こそ、リアムのときのように寵姫として贅沢三昧な暮らしが出来ればそれで良いと思っていたが、今ではその気持ちも徐々に変化しつつある。
――彼の一番になりたい。
彼は私だけのもので、私も彼だけのもの。
他人が入る隙なんて絶対に与えない。
(絶対に彼を私だけのものにしてみせるわ……)
私はそう心に誓いながら、既に眠りに就いている陛下の胸にそっと顔をうずめた。
「――リリー」
「陛下!」
彼は約束通り、本当に私の元へとやって来た。
優しい笑みを浮かべて、駆け寄る私を胸に抱く。
勢いのままその頬に口付けをすると、彼がフッと笑った。
(やっぱり、彼は私を愛しているんだわ!)
こうするたびに、私に対する彼の深い愛を感じる。
愛されているのは私だ、絶対にあの女ではない。
私たちは真実の愛で結ばれている。
彼の手を取り、部屋にあるベッドへと誘う。
「陛下……愛しています……」
「リリー……」
ベッドの上で彼と愛を交わす時間は何よりも幸せだった。
彼がいるだけで私は幸せになれる、彼だって私がいるだけで幸せになれる。
そう信じて疑わなかった。
(そうよ、私たちは運命なんだから)
一通り愛を確かめ合った後、二人一緒にベッドに横になった。
彼のたくましい腕が私の体を抱き締める。
「陛下……今日の夕方、王妃陛下にお会いしました」
「……王妃に?」
彼の声が突然低くなった。
愛する女と正妻をあまり会わせたくないのだろう、不満があるみたいだ。
私を抱き締める彼の腕に力が入る。
「王妃には関わるなと、言わなかったか?」
「たまたま廊下でお会いして……挨拶を交わしただけです、陛下」
「そうか……王妃は何か言っていたか?」
「早くここでの暮らしに慣れると良いわねと……王妃様が何を考えていらっしゃるのか分からなくて……」
「……」
私が不安げに陛下を見つめると、彼は安心させるようにクスッと笑った。
「君は何もしなくていい、ただここにいればいい」
「陛下……」
彼のその言葉で、胸の奥がとても温かくなった。
面倒なことなんて何もしなくていい、傍にいるだけで良いだなんて、私は本当にとても愛されている。
また一つ、彼を好きになった。
こんなにも誰かを好きになってのは初めてだ。
これまで男性から好意を寄せられることは多くあったが、逆は一度も無かった。
(毎日毎日彼への愛が増すばかりだわ……)
このときの私の頭の中は既に彼のことでいっぱいで、少し前までは恋愛関係にあったリアムのことなどとっくに忘れていた。
あの男が今どうなっているかなんて気にもならない。
どうすればもっと彼に愛されるか、今の私にはそれしか頭になかった。
(やっぱり……あの女には消えてもらうべきだわ……)
私の脳裏をよぎった一人の女。
彼の正式な妻である王妃だった。
最初こそ、リアムのときのように寵姫として贅沢三昧な暮らしが出来ればそれで良いと思っていたが、今ではその気持ちも徐々に変化しつつある。
――彼の一番になりたい。
彼は私だけのもので、私も彼だけのもの。
他人が入る隙なんて絶対に与えない。
(絶対に彼を私だけのものにしてみせるわ……)
私はそう心に誓いながら、既に眠りに就いている陛下の胸にそっと顔をうずめた。
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