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策略 フレッドside
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父上と話した後、私は騎士に見張られるようにして部屋へと戻っていた。
ふと後ろを歩いている騎士に目をやると、冷たい目で私を見ていた。
(クソッ!どいつもこいつも私を見下しやがって)
そんな騎士の態度に怒りを覚えたが、今はそんなことを言っている場合ではない。私が平民になるだなんてありえない。父上は本気で言っているのか。もしそうならどうにかしてそれを回避しなければ。
私は歩きながら必死で考えた。
(どうすれば・・・どうすればいい?)
そこで私はあることを思いついた。
(そうだ、これなら!)
私はすぐにそれを実行に移すため、見張りの騎士に話しかけた。
「―おい」
「何でしょうか」
「母上に会わせてくれ」
「それは不可能です」
「ッ!?何故だッ!!!」
そう、私の考えとは母上に会って罰を軽くしてもらうよう父上に掛け合ってもらうことだった。厳格な父上とは違って母上は昔から私に甘かったから泣きつけばいけると思ったのだ。
しかし、そんな私の考えを読んだのかのように騎士は言った。
「王妃陛下はもう殿下の顔も見たくないそうです」
「何だとッ!?」
嘘だ、信じられない。
どんなときも私を大切にしてきたあの母が私の顔も見たくないだなんて。そんなこと言うはずがない。
私は騎士の言葉を信じることが出来なかった。
「お、おい・・・冗談はよせ。あの母上がそんなこと言うわけがないだろう」
「冗談ではありません。舞踏会の後、王妃陛下は殿下がしでかしたことが原因で体調を崩して寝込んでしまわれました」
「な・・・嘘だろう・・・?」
母上が体調を崩したらしい。しかしそれを聞いても私はそこまで何とも思わなかった。今私にとって重要なのは母上の体調ではなかったからだ。
(クソ・・・この作戦は使えないか・・・)
私は心の中でチッと舌打ちをした。
「それならせめてララに!ララに会わせてくれ!」
―罰が軽くならないのなら、もういっそララと二人でどこか遠くへ逃げてしまおう。
私はララなしでは生きていけそうにない。それに、今までララにあげた宝石やドレスを売ればもしかしたら一生暮らせるだけの資金が手に入るのではないか。
そう思っての発言だった。
しかし、騎士は無表情のまま私にハッキリと告げた。
「それも不可能です」
「だから何故だッ!」
私は断固としてそう言った騎士に対して声を荒げた。
「母上はともかく、ララにまで会うなだなんて私に対する嫌がらせか!?」
「いいえ、そうではありません」
「では何故・・・!」
必死になっている私に騎士は淡々と告げた。
「あの男爵令嬢は今罪人として地下牢に入れられています。牢屋の中で意味不明なことを言って暴れており、他人に危害を加える恐れがあるので”まだ”王族である殿下と会わせるわけにはいきません」
「な、何だって・・・?」
騎士の”まだ”という言葉に眉をひそめたが、今そんなことは重要ではなかった。
(意味不明なことを言って暴れているってどういうことだ?)
そのことももちろん気になったが、今はそれ以上に―
「・・・ララは地下牢にいるのか?」
「はい」
私は騎士の言葉を聞いて怒りで震えた。
(私の愛する人に何てことをしているんだ・・・!)
ララが地下牢に入れられていることを平然と肯定してみせる目の前の騎士に殺意を抱いた。
それから私は怒りでどうにかなりそうだったが、何とか抑えて自室へと戻った。
部屋に戻った私の頭を占めていたのは最愛の女―ララだった。
ララが地下牢に閉じ込められている。それを想像しただけで腸が煮えくり返った。
私はどうやってララを地下牢から助け出そうかを考えた。
(どうすればララを助け出せる?)
気付けば自室に戻ってからかなりの時間が経っていた。
「・・・!」
そこで私はあることを思い出してニヤリと笑った。
これならきっと上手くいくはずだ。もし地下牢から出たら遠くに逃げて二人でずっと暮らそう。二度と君を傷つけさせはしない。誰にも触れさせない。
(待っていてくれ、ララ。必ず君を迎えに行くから―)
ふと後ろを歩いている騎士に目をやると、冷たい目で私を見ていた。
(クソッ!どいつもこいつも私を見下しやがって)
そんな騎士の態度に怒りを覚えたが、今はそんなことを言っている場合ではない。私が平民になるだなんてありえない。父上は本気で言っているのか。もしそうならどうにかしてそれを回避しなければ。
私は歩きながら必死で考えた。
(どうすれば・・・どうすればいい?)
そこで私はあることを思いついた。
(そうだ、これなら!)
私はすぐにそれを実行に移すため、見張りの騎士に話しかけた。
「―おい」
「何でしょうか」
「母上に会わせてくれ」
「それは不可能です」
「ッ!?何故だッ!!!」
そう、私の考えとは母上に会って罰を軽くしてもらうよう父上に掛け合ってもらうことだった。厳格な父上とは違って母上は昔から私に甘かったから泣きつけばいけると思ったのだ。
しかし、そんな私の考えを読んだのかのように騎士は言った。
「王妃陛下はもう殿下の顔も見たくないそうです」
「何だとッ!?」
嘘だ、信じられない。
どんなときも私を大切にしてきたあの母が私の顔も見たくないだなんて。そんなこと言うはずがない。
私は騎士の言葉を信じることが出来なかった。
「お、おい・・・冗談はよせ。あの母上がそんなこと言うわけがないだろう」
「冗談ではありません。舞踏会の後、王妃陛下は殿下がしでかしたことが原因で体調を崩して寝込んでしまわれました」
「な・・・嘘だろう・・・?」
母上が体調を崩したらしい。しかしそれを聞いても私はそこまで何とも思わなかった。今私にとって重要なのは母上の体調ではなかったからだ。
(クソ・・・この作戦は使えないか・・・)
私は心の中でチッと舌打ちをした。
「それならせめてララに!ララに会わせてくれ!」
―罰が軽くならないのなら、もういっそララと二人でどこか遠くへ逃げてしまおう。
私はララなしでは生きていけそうにない。それに、今までララにあげた宝石やドレスを売ればもしかしたら一生暮らせるだけの資金が手に入るのではないか。
そう思っての発言だった。
しかし、騎士は無表情のまま私にハッキリと告げた。
「それも不可能です」
「だから何故だッ!」
私は断固としてそう言った騎士に対して声を荒げた。
「母上はともかく、ララにまで会うなだなんて私に対する嫌がらせか!?」
「いいえ、そうではありません」
「では何故・・・!」
必死になっている私に騎士は淡々と告げた。
「あの男爵令嬢は今罪人として地下牢に入れられています。牢屋の中で意味不明なことを言って暴れており、他人に危害を加える恐れがあるので”まだ”王族である殿下と会わせるわけにはいきません」
「な、何だって・・・?」
騎士の”まだ”という言葉に眉をひそめたが、今そんなことは重要ではなかった。
(意味不明なことを言って暴れているってどういうことだ?)
そのことももちろん気になったが、今はそれ以上に―
「・・・ララは地下牢にいるのか?」
「はい」
私は騎士の言葉を聞いて怒りで震えた。
(私の愛する人に何てことをしているんだ・・・!)
ララが地下牢に入れられていることを平然と肯定してみせる目の前の騎士に殺意を抱いた。
それから私は怒りでどうにかなりそうだったが、何とか抑えて自室へと戻った。
部屋に戻った私の頭を占めていたのは最愛の女―ララだった。
ララが地下牢に閉じ込められている。それを想像しただけで腸が煮えくり返った。
私はどうやってララを地下牢から助け出そうかを考えた。
(どうすればララを助け出せる?)
気付けば自室に戻ってからかなりの時間が経っていた。
「・・・!」
そこで私はあることを思い出してニヤリと笑った。
これならきっと上手くいくはずだ。もし地下牢から出たら遠くに逃げて二人でずっと暮らそう。二度と君を傷つけさせはしない。誰にも触れさせない。
(待っていてくれ、ララ。必ず君を迎えに行くから―)
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