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迎え

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~リリーシャ視点~



そして舞踏会の日がやって来た。


私はレナルド殿下が贈ってくれたドレスに身を包み、公爵邸で彼の迎えを待っていた。本当は私が殿下の元へ行こうと思っていたが、彼が家まで迎えに行くと言って聞かなかった。そのため、王宮までは彼と共に行くことになる。


(レナルド殿下、早く来ないかなぁ・・・)


私は胸を高鳴らせながら殿下が来るのをじっと待っていた。




「リリーシャ!」


「リリーシャ様!」


部屋にいた私に声を掛けたのはルパートお兄様とその婚約者のルイーゼ様だった。


「お兄様!ルイーゼ様!」


お兄様はあの後毎日のように私に謝罪の手紙を送り、それだけではなくわざわざ領地まで来て直接謝罪をしてくれた。そのため、長い間ギクシャクしていた関係も今ではすっかり元通りだ。


ちなみにお兄様はララ様とは完全に縁を切ったらしく、今はルイーゼ様一筋だ。ラブラブになっていた二人を見て最初はかなり驚いたものだ。私はルイーゼ様の気持ちを知っていたからそれがとても嬉しかった。


「リリーシャ、それはレナルド殿下から貰ったドレスか?」


「はい、レナルド殿下がこの間贈ってくださって・・・」


「まぁ、何て素敵なドレスなのでしょう!自分の瞳の色のドレスを贈るだなんてレナルド殿下は本当にリリーシャ様のことがお好きなようですね」


ルイーゼ様がクスクス笑いながら私に対してそう言った。


微笑ましそうに見つめられて何だか恥ずかしくなる。


「っ!ルイーゼ様だってお兄様の瞳の色のドレスを着ているではありませんか!」


「「!!!」」


私の言葉に二人は顔を赤くした。どうやら本当にお互いに惚れ込んでいるようである。


義姉となるルイーゼ様との仲も良好で、これからも良い関係を築いていけそうだ。


(お兄様と結婚するのがララ様ではなくて良かったわ・・・)


このとき、私は心の底からそう思った。お兄様が目を覚ましてくれて本当に良かった。ルイーゼ様は素敵な方だということを私はよく知っている。


私は恥ずかしそうに顔を赤らめている二人を見てクスクスと笑った。


なんだかんだお似合いの二人だなと思う。


「―お嬢様!レナルド殿下がいらっしゃいました!」


「!」


侍女のその声に私はビクリとした。


(ど、どうしよう・・・!)


レナルド殿下が来ることをあれほど待ち望んでいたというのに、いざ来たとなると彼の元へ向かうことをためらっている自分がいる。彼に会うのが何だか恥ずかしく感じる。これが恋というものなのだろうか。


「リリーシャ、何をしているんだ?レナルド殿下がいらっしゃったんだ。ほら、早く行ってこい」


「そうですわ、リリーシャ様。殿下をお待たせしてはいけません!」


殿下の元へ向かうことを戸惑っていた私をお兄様とルイーゼ様が後押しした。


私は二人のその言葉で覚悟を決めた。


「え、ええ。それでは、行ってきますわ」


私はお兄様とルイーゼ様にそれだけ告げてレナルド殿下の元へと向かった。




◇◆◇◆◇◆



私は侍女について部屋を出た後、エントランスへと向かった。


(あ・・・)


エントランスでは既にレナルド殿下が待っていた。いつもと違って正装姿の彼にドキッとした。


「レナルド殿下・・・」


私が無意識に出した声に彼がこちらを振り向いた。


「リリーシャ嬢・・・」


私を見た殿下は驚いたように目を丸くして固まった。


(・・・・・どうしたんだろう?)


どこか変だっただろうか、もしかしたらドレスが似合っていなかったのかと不安になった。


しかし、私の予想とは裏腹に彼はフッと微笑んで言った。


「・・・・・・・とても、綺麗だな」


「!?!?!?」


殿下の言葉に顔がカァーッと赤くなるのを感じ取った。


そんなことは婚約者だった王太子殿下にも言われたことがない。レナルド殿下はこんなことを平然と言う人だったのかと少し驚いた。


彼は先ほどからずっと顔が赤いままの私を面白そうに眺めている。からかうような彼の顔にもまたドキドキしている自分がいる。





「―リリーシャ嬢、そろそろ行こうか」


しばらくして、レナルド殿下がそう言いながら私に手を差し出した。


「・・・・・・・・はい」


私は自分をからかうレナルド殿下を恨めしく思いながらも彼の手を取った。


そして、二人一緒に王宮へ向かう馬車へと乗り込んだ。


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