39 / 52
迎え
しおりを挟む
~リリーシャ視点~
そして舞踏会の日がやって来た。
私はレナルド殿下が贈ってくれたドレスに身を包み、公爵邸で彼の迎えを待っていた。本当は私が殿下の元へ行こうと思っていたが、彼が家まで迎えに行くと言って聞かなかった。そのため、王宮までは彼と共に行くことになる。
(レナルド殿下、早く来ないかなぁ・・・)
私は胸を高鳴らせながら殿下が来るのをじっと待っていた。
「リリーシャ!」
「リリーシャ様!」
部屋にいた私に声を掛けたのはルパートお兄様とその婚約者のルイーゼ様だった。
「お兄様!ルイーゼ様!」
お兄様はあの後毎日のように私に謝罪の手紙を送り、それだけではなくわざわざ領地まで来て直接謝罪をしてくれた。そのため、長い間ギクシャクしていた関係も今ではすっかり元通りだ。
ちなみにお兄様はララ様とは完全に縁を切ったらしく、今はルイーゼ様一筋だ。ラブラブになっていた二人を見て最初はかなり驚いたものだ。私はルイーゼ様の気持ちを知っていたからそれがとても嬉しかった。
「リリーシャ、それはレナルド殿下から貰ったドレスか?」
「はい、レナルド殿下がこの間贈ってくださって・・・」
「まぁ、何て素敵なドレスなのでしょう!自分の瞳の色のドレスを贈るだなんてレナルド殿下は本当にリリーシャ様のことがお好きなようですね」
ルイーゼ様がクスクス笑いながら私に対してそう言った。
微笑ましそうに見つめられて何だか恥ずかしくなる。
「っ!ルイーゼ様だってお兄様の瞳の色のドレスを着ているではありませんか!」
「「!!!」」
私の言葉に二人は顔を赤くした。どうやら本当にお互いに惚れ込んでいるようである。
義姉となるルイーゼ様との仲も良好で、これからも良い関係を築いていけそうだ。
(お兄様と結婚するのがララ様ではなくて良かったわ・・・)
このとき、私は心の底からそう思った。お兄様が目を覚ましてくれて本当に良かった。ルイーゼ様は素敵な方だということを私はよく知っている。
私は恥ずかしそうに顔を赤らめている二人を見てクスクスと笑った。
なんだかんだお似合いの二人だなと思う。
「―お嬢様!レナルド殿下がいらっしゃいました!」
「!」
侍女のその声に私はビクリとした。
(ど、どうしよう・・・!)
レナルド殿下が来ることをあれほど待ち望んでいたというのに、いざ来たとなると彼の元へ向かうことをためらっている自分がいる。彼に会うのが何だか恥ずかしく感じる。これが恋というものなのだろうか。
「リリーシャ、何をしているんだ?レナルド殿下がいらっしゃったんだ。ほら、早く行ってこい」
「そうですわ、リリーシャ様。殿下をお待たせしてはいけません!」
殿下の元へ向かうことを戸惑っていた私をお兄様とルイーゼ様が後押しした。
私は二人のその言葉で覚悟を決めた。
「え、ええ。それでは、行ってきますわ」
私はお兄様とルイーゼ様にそれだけ告げてレナルド殿下の元へと向かった。
◇◆◇◆◇◆
私は侍女について部屋を出た後、エントランスへと向かった。
(あ・・・)
エントランスでは既にレナルド殿下が待っていた。いつもと違って正装姿の彼にドキッとした。
「レナルド殿下・・・」
私が無意識に出した声に彼がこちらを振り向いた。
「リリーシャ嬢・・・」
私を見た殿下は驚いたように目を丸くして固まった。
(・・・・・どうしたんだろう?)
どこか変だっただろうか、もしかしたらドレスが似合っていなかったのかと不安になった。
しかし、私の予想とは裏腹に彼はフッと微笑んで言った。
「・・・・・・・とても、綺麗だな」
「!?!?!?」
殿下の言葉に顔がカァーッと赤くなるのを感じ取った。
そんなことは婚約者だった王太子殿下にも言われたことがない。レナルド殿下はこんなことを平然と言う人だったのかと少し驚いた。
彼は先ほどからずっと顔が赤いままの私を面白そうに眺めている。からかうような彼の顔にもまたドキドキしている自分がいる。
「―リリーシャ嬢、そろそろ行こうか」
しばらくして、レナルド殿下がそう言いながら私に手を差し出した。
「・・・・・・・・はい」
私は自分をからかうレナルド殿下を恨めしく思いながらも彼の手を取った。
そして、二人一緒に王宮へ向かう馬車へと乗り込んだ。
そして舞踏会の日がやって来た。
私はレナルド殿下が贈ってくれたドレスに身を包み、公爵邸で彼の迎えを待っていた。本当は私が殿下の元へ行こうと思っていたが、彼が家まで迎えに行くと言って聞かなかった。そのため、王宮までは彼と共に行くことになる。
(レナルド殿下、早く来ないかなぁ・・・)
私は胸を高鳴らせながら殿下が来るのをじっと待っていた。
「リリーシャ!」
「リリーシャ様!」
部屋にいた私に声を掛けたのはルパートお兄様とその婚約者のルイーゼ様だった。
「お兄様!ルイーゼ様!」
お兄様はあの後毎日のように私に謝罪の手紙を送り、それだけではなくわざわざ領地まで来て直接謝罪をしてくれた。そのため、長い間ギクシャクしていた関係も今ではすっかり元通りだ。
ちなみにお兄様はララ様とは完全に縁を切ったらしく、今はルイーゼ様一筋だ。ラブラブになっていた二人を見て最初はかなり驚いたものだ。私はルイーゼ様の気持ちを知っていたからそれがとても嬉しかった。
「リリーシャ、それはレナルド殿下から貰ったドレスか?」
「はい、レナルド殿下がこの間贈ってくださって・・・」
「まぁ、何て素敵なドレスなのでしょう!自分の瞳の色のドレスを贈るだなんてレナルド殿下は本当にリリーシャ様のことがお好きなようですね」
ルイーゼ様がクスクス笑いながら私に対してそう言った。
微笑ましそうに見つめられて何だか恥ずかしくなる。
「っ!ルイーゼ様だってお兄様の瞳の色のドレスを着ているではありませんか!」
「「!!!」」
私の言葉に二人は顔を赤くした。どうやら本当にお互いに惚れ込んでいるようである。
義姉となるルイーゼ様との仲も良好で、これからも良い関係を築いていけそうだ。
(お兄様と結婚するのがララ様ではなくて良かったわ・・・)
このとき、私は心の底からそう思った。お兄様が目を覚ましてくれて本当に良かった。ルイーゼ様は素敵な方だということを私はよく知っている。
私は恥ずかしそうに顔を赤らめている二人を見てクスクスと笑った。
なんだかんだお似合いの二人だなと思う。
「―お嬢様!レナルド殿下がいらっしゃいました!」
「!」
侍女のその声に私はビクリとした。
(ど、どうしよう・・・!)
レナルド殿下が来ることをあれほど待ち望んでいたというのに、いざ来たとなると彼の元へ向かうことをためらっている自分がいる。彼に会うのが何だか恥ずかしく感じる。これが恋というものなのだろうか。
「リリーシャ、何をしているんだ?レナルド殿下がいらっしゃったんだ。ほら、早く行ってこい」
「そうですわ、リリーシャ様。殿下をお待たせしてはいけません!」
殿下の元へ向かうことを戸惑っていた私をお兄様とルイーゼ様が後押しした。
私は二人のその言葉で覚悟を決めた。
「え、ええ。それでは、行ってきますわ」
私はお兄様とルイーゼ様にそれだけ告げてレナルド殿下の元へと向かった。
◇◆◇◆◇◆
私は侍女について部屋を出た後、エントランスへと向かった。
(あ・・・)
エントランスでは既にレナルド殿下が待っていた。いつもと違って正装姿の彼にドキッとした。
「レナルド殿下・・・」
私が無意識に出した声に彼がこちらを振り向いた。
「リリーシャ嬢・・・」
私を見た殿下は驚いたように目を丸くして固まった。
(・・・・・どうしたんだろう?)
どこか変だっただろうか、もしかしたらドレスが似合っていなかったのかと不安になった。
しかし、私の予想とは裏腹に彼はフッと微笑んで言った。
「・・・・・・・とても、綺麗だな」
「!?!?!?」
殿下の言葉に顔がカァーッと赤くなるのを感じ取った。
そんなことは婚約者だった王太子殿下にも言われたことがない。レナルド殿下はこんなことを平然と言う人だったのかと少し驚いた。
彼は先ほどからずっと顔が赤いままの私を面白そうに眺めている。からかうような彼の顔にもまたドキドキしている自分がいる。
「―リリーシャ嬢、そろそろ行こうか」
しばらくして、レナルド殿下がそう言いながら私に手を差し出した。
「・・・・・・・・はい」
私は自分をからかうレナルド殿下を恨めしく思いながらも彼の手を取った。
そして、二人一緒に王宮へ向かう馬車へと乗り込んだ。
158
お気に入りに追加
4,214
あなたにおすすめの小説
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
アリシアの恋は終わったのです。
ことりちゃん
恋愛
昼休みの廊下で、アリシアはずっとずっと大好きだったマークから、いきなり頬を引っ叩かれた。
その瞬間、アリシアの恋は終わりを迎えた。
そこから長年の虚しい片想いに別れを告げ、新しい道へと歩き出すアリシア。
反対に、後になってアリシアの想いに触れ、遅すぎる行動に出るマーク。
案外吹っ切れて楽しく過ごす女子と、どうしようもなく後悔する残念な男子のお話です。
ーーーーー
12話で完結します。
よろしくお願いします(´∀`)
婚約破棄直前に倒れた悪役令嬢は、愛を抱いたまま退場したい
矢口愛留
恋愛
【全11話】
学園の卒業パーティーで、公爵令嬢クロエは、第一王子スティーブに婚約破棄をされそうになっていた。
しかし、婚約破棄を宣言される前に、クロエは倒れてしまう。
クロエの余命があと一年ということがわかり、スティーブは、自身の感じていた違和感の元を探り始める。
スティーブは真実にたどり着き、クロエに一つの約束を残して、ある選択をするのだった。
※一話あたり短めです。
※ベリーズカフェにも投稿しております。
命を狙われたお飾り妃の最後の願い
幌あきら
恋愛
【異世界恋愛・ざまぁ系・ハピエン】
重要な式典の真っ最中、いきなりシャンデリアが落ちた――。狙われたのは王妃イベリナ。
イベリナ妃の命を狙ったのは、国王の愛人ジャスミンだった。
短め連載・完結まで予約済みです。設定ゆるいです。
『ベビ待ち』の女性の心情がでてきます。『逆マタハラ』などの表現もあります。苦手な方はお控えください、すみません。
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
【完結】大好きな貴方、婚約を解消しましょう
凛蓮月
恋愛
大好きな貴方、婚約を解消しましょう。
私は、恋に夢中で何も見えていなかった。
だから、貴方に手を振り払われるまで、嫌われていることさえ気付か
なかったの。
※この作品は「小説家になろう」内の「名も無き恋の物語【短編集】」「君と甘い一日を」より抜粋したものです。
2022/9/5
隣国の王太子の話【王太子は、婚約者の愛を得られるか】完結しました。
お見かけの際はよろしくお願いしますm(_ _ )m
【完結】愛したあなたは本当に愛する人と幸せになって下さい
高瀬船
恋愛
伯爵家のティアーリア・クランディアは公爵家嫡男、クライヴ・ディー・アウサンドラと婚約秒読みの段階であった。
だが、ティアーリアはある日クライヴと彼の従者二人が話している所に出くわし、聞いてしまう。
クライヴが本当に婚約したかったのはティアーリアの妹のラティリナであったと。
ショックを受けるティアーリアだったが、愛する彼の為自分は身を引く事を決意した。
【誤字脱字のご報告ありがとうございます!小っ恥ずかしい誤字のご報告ありがとうございます!個別にご返信出来ておらず申し訳ございません( •́ •̀ )】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる