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推し ララside
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そのまま私は学園での生活を謳歌していた。
時々貴族令嬢から苦言を呈されることもあったが、私はそのたびに攻略キャラたちに泣きついた。彼女たちにされたことをほんの少し・・・いや、かなり大げさに言えば攻略キャラたちは激怒してその令嬢たちに文句を言いに行ってくれた。
そのたびにざまあみろと思った。この世界は私を中心に回っている。私は皆から愛されるヒロインなのだからそうなって当然だ。
それからは次第に私に何か言ってくる人もいなくなった。このとき私は内心ほくそ笑んだ。いつものように嫌味を言ってくる令嬢たちに完全勝利したのだから。
しかし、一つだけ誤算があった。
それは悪役令嬢であるリリーシャが嫌がらせをしてこないことだ。リリーシャがしてくることといえば、他の貴族令嬢と同じようにせいぜい苦言を呈することくらいで、ゲームの中で行っていた足を引っ掛けたり教科書を破ったりなどの過激なことは一切してこなかった。
そのことに私は焦った。
王太子とリリーシャが婚約破棄をしてくれなければ、私がレナルドと出会えなくなるからだ。
王太子は完全に私にベタ惚れだが、リリーシャとの婚約をどうしていいか分からないようだった。相手は公爵家の令嬢だから破棄したくても出来ないのだろう。そのことに私は頭を悩ませた。
(私を愛してるならさっさと婚約破棄しなさいよね!ホンット使えないんだから!)
そんなときだった。
神が私に味方してくれたのだ。
私物がよく壊されたり汚されたりするようになった。これは使えると思った。
おそらく犯人はリリーシャではない。それは分かっていたが、私は私の幸せのためにリリーシャを犯人に仕立て上げることにした。
(ハァ~・・・犯人は多分オーガストね・・・私を手に入れるためにこんなことするだなんて気持ち悪ッ!)
オーガストのヒロインに対する執着に鳥肌が立ったが、それもレナルドルートに入るまでの辛抱だ。
レナルドと親しくさえなれば誰も私に手を出すことなど出来ない。だって彼は隣国の第二王子であり、次期国王でもあるのだから。
私はレナルドとの幸せな結婚生活を思い浮かべて胸を躍らせた。
◇◆◇◆◇◆
それから私はリリーシャに嫌がらせをされていると攻略キャラたちに泣きついた。
もちろん全員が激怒した。ルパートだけはなかなか私の言うことを信じてくれなかったが、あとの三人は私の作り話をすぐに信じた。このときになって王太子はようやくリリーシャと婚約破棄をすると言ってくれた。特にオーガストに関しては私に対する嫌がらせをリリーシャに擦り付けたかったのか、積極的に断罪の準備に協力していた。
(本当にチョロすぎるわ・・・人生イージーモードね)
そうして王太子と悪役令嬢リリーシャの婚約は無事に破棄された。
どこまでも完璧だったあの女の泣き顔を見れなかったのはショックだったが、これでレナルドを攻略することが出来るのだと思うと物凄く嬉しくなった。
念のため王太子以外の攻略キャラたちとの関係も切らなかった。
高位貴族である彼らと行動を共にした方がレナルドに会える可能性が上がるかもしれなかったからだ。それにリリーシャを断罪した件で学園の生徒たちの私を見る目が完全に変わった。私に向けられたその視線に込められていたのは侮蔑、軽蔑、憎悪だった。一人になったら何をされるか分からないという不安もあったため、四人との関係を続けていた。
今日もまた私は学園で彼らとお茶会をしている。
私の目の前では四人のイケメンたちが私を巡って争っている。
しかし私は彼らのことなど眼中にも無い。
(ハァ・・・早く来てくれないかなぁ、私の王子様)
そのときの私の頭の中はレナルドのことでいっぱいだったのから。
時々貴族令嬢から苦言を呈されることもあったが、私はそのたびに攻略キャラたちに泣きついた。彼女たちにされたことをほんの少し・・・いや、かなり大げさに言えば攻略キャラたちは激怒してその令嬢たちに文句を言いに行ってくれた。
そのたびにざまあみろと思った。この世界は私を中心に回っている。私は皆から愛されるヒロインなのだからそうなって当然だ。
それからは次第に私に何か言ってくる人もいなくなった。このとき私は内心ほくそ笑んだ。いつものように嫌味を言ってくる令嬢たちに完全勝利したのだから。
しかし、一つだけ誤算があった。
それは悪役令嬢であるリリーシャが嫌がらせをしてこないことだ。リリーシャがしてくることといえば、他の貴族令嬢と同じようにせいぜい苦言を呈することくらいで、ゲームの中で行っていた足を引っ掛けたり教科書を破ったりなどの過激なことは一切してこなかった。
そのことに私は焦った。
王太子とリリーシャが婚約破棄をしてくれなければ、私がレナルドと出会えなくなるからだ。
王太子は完全に私にベタ惚れだが、リリーシャとの婚約をどうしていいか分からないようだった。相手は公爵家の令嬢だから破棄したくても出来ないのだろう。そのことに私は頭を悩ませた。
(私を愛してるならさっさと婚約破棄しなさいよね!ホンット使えないんだから!)
そんなときだった。
神が私に味方してくれたのだ。
私物がよく壊されたり汚されたりするようになった。これは使えると思った。
おそらく犯人はリリーシャではない。それは分かっていたが、私は私の幸せのためにリリーシャを犯人に仕立て上げることにした。
(ハァ~・・・犯人は多分オーガストね・・・私を手に入れるためにこんなことするだなんて気持ち悪ッ!)
オーガストのヒロインに対する執着に鳥肌が立ったが、それもレナルドルートに入るまでの辛抱だ。
レナルドと親しくさえなれば誰も私に手を出すことなど出来ない。だって彼は隣国の第二王子であり、次期国王でもあるのだから。
私はレナルドとの幸せな結婚生活を思い浮かべて胸を躍らせた。
◇◆◇◆◇◆
それから私はリリーシャに嫌がらせをされていると攻略キャラたちに泣きついた。
もちろん全員が激怒した。ルパートだけはなかなか私の言うことを信じてくれなかったが、あとの三人は私の作り話をすぐに信じた。このときになって王太子はようやくリリーシャと婚約破棄をすると言ってくれた。特にオーガストに関しては私に対する嫌がらせをリリーシャに擦り付けたかったのか、積極的に断罪の準備に協力していた。
(本当にチョロすぎるわ・・・人生イージーモードね)
そうして王太子と悪役令嬢リリーシャの婚約は無事に破棄された。
どこまでも完璧だったあの女の泣き顔を見れなかったのはショックだったが、これでレナルドを攻略することが出来るのだと思うと物凄く嬉しくなった。
念のため王太子以外の攻略キャラたちとの関係も切らなかった。
高位貴族である彼らと行動を共にした方がレナルドに会える可能性が上がるかもしれなかったからだ。それにリリーシャを断罪した件で学園の生徒たちの私を見る目が完全に変わった。私に向けられたその視線に込められていたのは侮蔑、軽蔑、憎悪だった。一人になったら何をされるか分からないという不安もあったため、四人との関係を続けていた。
今日もまた私は学園で彼らとお茶会をしている。
私の目の前では四人のイケメンたちが私を巡って争っている。
しかし私は彼らのことなど眼中にも無い。
(ハァ・・・早く来てくれないかなぁ、私の王子様)
そのときの私の頭の中はレナルドのことでいっぱいだったのから。
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