上 下
30 / 52

プロポーズ フレッドside

しおりを挟む
しかし私はそこまで気にしなかった。


ルパート、オーガスト、アレクサンドルはララに恋心を抱いていたからな。


ライバルが減るんだったらこちらとしてはありがたい。


これからはずっとララを独り占め出来るのだと思うと嬉しくて仕方がなかった。


・・・しかし


何故だろう。


何だか嫌な予感がする―





◆◇◆◇◆◇◆◇



現在、学園での私の評判は最悪だ。


ララと遊び呆けていて成績が下がっていたこともあるが、私の過去の悪行の噂が何故か学園中に広まっていたのだ。


誰が広めたのかは分からない。


全て本当のことだったため何とも言えなかった。


気付けば私の周りにはララ以外誰もいなくなっていた。


入学式の日は令嬢たちに囲まれていたのにな。


まぁ、ララさえいてくれればそれでいいが。


それにしても一体誰が噂を広めたんだ?


過去に交際していた令嬢たちの実家は既に取り潰しになっているし・・・。


そんなことを考えていた時、聞き慣れた声がした。


「フレッド様ぁ~!」


「!」


ララだ。


声のした方に目をやると、ララがこちらへ駆け寄ってきていた。


「あっ・・・フレッド様・・・。」


私は駆け寄ってきたララをギュッと抱きしめた。


するとララは頬を染めて俯いた。


照れているようだ。


私はそんなララの頭を優しく撫でる。


「あの・・・フレッド様・・・」


ララが顔を上げて私の目をじっと見つめた。


「ララ・・・フレッド様にお願いがあるんです・・・。」


「何だい?」


ララにこんな風にお願いされたら断れない。


「来週舞踏会があるじゃないですか。それにフレッド様のパートナーとして参加したいんです・・・。」


「!」


私はララの言葉を聞いて彼女を強く抱きしめた。


「フ、フレッド様!?」


ララは私の腕の中であたふたとしている。


きっと照れているのだろう。


本当に愛らしい。


私はララの手を取って跪いた。


「フレッド様・・・!」


「もちろんだよ、ララ。私も来週の舞踏会には君を誘おうと思っていたんだ。是非、私のパートナーとして参加してほしい。ドレスやアクセサリーは私がプレゼントする。当日は男爵邸まで迎えに行くから待っていてくれ。その日の舞踏会で私たちの婚約を発表しよう。」


・・・しまった。


やってしまったと思った。


私は勢い余ってララにプロポーズしてしまった。


さすがに早すぎたか・・・?


私はそんな心配をしていたのだが、ララはニッコリと笑みを浮かべた。


「もちろんです、フレッド様・・・!」


「・・・!」


ララの目は潤んでいて泣いているように見えた。


それを見て私まで泣きそうになってしまった。


愛する人と一緒になれるというのはこんなにも嬉しいことなんだな。


ララ、必ず君を幸せにしてみせる―



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。

友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」 貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。 「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」 耳を疑いそう聞き返すも、 「君も、その方が良いのだろう?」 苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。 全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。 絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。 だったのですが。

アリシアの恋は終わったのです。

ことりちゃん
恋愛
昼休みの廊下で、アリシアはずっとずっと大好きだったマークから、いきなり頬を引っ叩かれた。 その瞬間、アリシアの恋は終わりを迎えた。 そこから長年の虚しい片想いに別れを告げ、新しい道へと歩き出すアリシア。 反対に、後になってアリシアの想いに触れ、遅すぎる行動に出るマーク。 案外吹っ切れて楽しく過ごす女子と、どうしようもなく後悔する残念な男子のお話です。 ーーーーー 12話で完結します。 よろしくお願いします(´∀`)

婚約破棄が成立したので遠慮はやめます

カレイ
恋愛
 婚約破棄を喰らった侯爵令嬢が、それを逆手に遠慮をやめ、思ったことをそのまま口に出していく話。

婚約破棄直前に倒れた悪役令嬢は、愛を抱いたまま退場したい

矢口愛留
恋愛
【全11話】 学園の卒業パーティーで、公爵令嬢クロエは、第一王子スティーブに婚約破棄をされそうになっていた。 しかし、婚約破棄を宣言される前に、クロエは倒れてしまう。 クロエの余命があと一年ということがわかり、スティーブは、自身の感じていた違和感の元を探り始める。 スティーブは真実にたどり着き、クロエに一つの約束を残して、ある選択をするのだった。 ※一話あたり短めです。 ※ベリーズカフェにも投稿しております。

命を狙われたお飾り妃の最後の願い

幌あきら
恋愛
【異世界恋愛・ざまぁ系・ハピエン】 重要な式典の真っ最中、いきなりシャンデリアが落ちた――。狙われたのは王妃イベリナ。 イベリナ妃の命を狙ったのは、国王の愛人ジャスミンだった。 短め連載・完結まで予約済みです。設定ゆるいです。 『ベビ待ち』の女性の心情がでてきます。『逆マタハラ』などの表現もあります。苦手な方はお控えください、すみません。

王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!

gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ? 王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。 国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから! 12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。

平凡令嬢は婚約者を完璧な妹に譲ることにした

カレイ
恋愛
 「平凡なお前ではなくカレンが姉だったらどんなに良かったか」  それが両親の口癖でした。  ええ、ええ、確かに私は容姿も学力も裁縫もダンスも全て人並み程度のただの凡人です。体は弱いが何でも器用にこなす美しい妹と比べるとその差は歴然。  ただ少しばかり先に生まれただけなのに、王太子の婚約者にもなってしまうし。彼も妹の方が良かったといつも嘆いております。  ですから私決めました!  王太子の婚約者という席を妹に譲ることを。  

【完結】あの子の代わり

野村にれ
恋愛
突然、しばらく会っていなかった従姉妹の婚約者と、 婚約するように言われたベルアンジュ・ソアリ。 ソアリ伯爵家は持病を持つ妹・キャリーヌを中心に回っている。 18歳のベルアンジュに婚約者がいないのも、 キャリーヌにいないからという理由だったが、 今回は両親も断ることが出来なかった。 この婚約でベルアンジュの人生は回り始める。

処理中です...