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隣国の第二王子殿下

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「あの・・・私でいいのですか・・・?」


私がそう言うとレナルド殿下は優しく微笑んだ。


「君がいいんだよ、リリーシャ嬢。」


「・・・!」


私が良いだなんてそんなことを言ってくれるレナルド殿下に嬉しくなる。


「レナルド殿下・・・。」


レナルド殿下とは何回か関わったことがある。


隣国の王子殿下として私や王太子殿下と交流があったし。


そのたびに優しく接してくれてとても心が温かくなったのを覚えてる。


正直彼のことはあまりよく知らない。


だけど、私は―





「・・・はい、殿下。」


「・・・!」


私がそう答えるとレナルド殿下が嬉しそうな顔をする。


「私と・・・婚約してくれるってことか?リリーシャ嬢。」


「はい・・・。私で良ければ・・・。」


私の言葉にレナルド殿下はパァッと顔を輝かせた。


「ありがとう、リリーシャ嬢。本当に嬉しい。今日は人生最高の日だ!」


「それはいくらなんでも大げさなんじゃ・・・」


「リリーシャ嬢は知らないだろう。私がどれだけ長い間君を思っていたか。」


「・・・!」


レナルド殿下って結構一途なのね・・・。


嬉しいけど。


「プロポーズの返事ももらえたし今日のところはこれで失礼する。また明日来るよ。」


レナルド殿下はどうやらこの後予定があるようだ。


そりゃ王子殿下なんだからかなり忙しいわよね。


「あ、はい。分かりました。」


私はレナルド殿下を見送って部屋に戻った。





・・・頭が追い付かないわ。


レナルド殿下といえば隣国で次期国王になると言われている人物だ。


同腹の兄である第一王子殿下は病弱であまり表舞台に姿を出さない。


だから第二王子であるレナルド殿下が王太子になるのではないかと言われている。


貴族令嬢からの人気も高い。


そんな人が私をずっと好きだったとは・・・。


「・・・」


思い出すだけで胸がドキドキする。





王太子殿下に婚約破棄されてからまだ一週間も経っていないのに・・・。


まさか隣国の第二王子殿下にプロポーズされるとは思わなかった。


王太子殿下に婚約破棄されて、もう新しい婚約は望めないだろうと思っていたし、レナルド殿下が私を好きだったと言ってくれた時は本当に嬉しかった。


王太子であるフレッド殿下とは政略結婚で愛は無かった。


それでも私は彼のことを次第にお慕いするようになっていったのだけれど。


だけど一方通行の恋はやはり苦しくて、悲しくて。


男爵令嬢を見て優しい顔をする王太子殿下を見て何度も心が痛んだ。


そして婚約破棄をされたその日、私の心は壊れた。


私は・・・幸せになっていいの・・・?


・・・私を心から愛してくれる彼となら幸せになれるかもしれない。


このときの私は心の底からそう思った。


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