婚約破棄された公爵令嬢ですが、どうやら周りの人たちは私の味方のようです。

ましゅぺちーの

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私は一人領地にある家でくつろいでいた。


王太子の婚約者だった頃は常に忙しかったため、何だか新鮮だ。


次は何をしようかな・・・。


そう考えていた時、部屋の扉がノックされた。


―コンコン


ガチャリ


部屋に入ってきたのは私の侍女だった。


「お嬢様、お客様がお見えです。」


「?一体誰かしら?」


今日は来客の予定は無かったはず。


私は不思議に思いながらも客間へと向かった。





ガチャ


客間のドアを開け、中へ入る。


そこには―



「・・・えっ!?」



「久しぶりだね、リリーシャ嬢。」


何とそこにいたのは隣国の第二王子殿下であるレナルド様だった。


レナルド殿下は、見目麗しく文武両道。


そのため貴族令嬢たちからとてつもない人気を誇っているにもかかわらず未だ婚約者がいないことでも有名だ。


「レ、レナルド殿下!?何故ここに!?」


「リリーシャ嬢に会いに来たんだ。」


ええ!?私に!?


レナルド殿下はニッコリと微笑みながらそう言った。


レナルド殿下が私に何の用なの・・・?


王太子殿下に婚約破棄されたことが関係しているのかしら・・・?


「あの・・・レナルド殿下・・・。私に何かご用でしょうか?」


私はレナルド殿下に尋ねた。


「あぁ、そうだな。少し話をしようか。とりあえず座って。」


「は、はい。」


私は客間のソファにレナルド殿下と向かい合って座った。


レナルド殿下は私が座るのを確認して口を開いた。


「昔・・・もう何年も前の話だ。私はある少女に一目惚れした。」


「・・・」


一目惚れ・・・?


「隣国の第二王子としてこの国の舞踏会に招待されて王宮に訪れた時の話だ。高位貴族の令嬢であるにもかかわらず穏やかで優しく、低位貴族を見下すようなこともしない。何て素敵な女性なのだろうと思った。そしてすぐに婚約を申し込もうと。しかし、問題があった。



その女性は、この国の王太子の婚約者だった。」




「え・・・」


それって・・・もしかして・・・


胸がドキドキと高鳴っている。



そこまで言うとレナルド殿下は私の元へと歩み寄る。


「リリーシャ嬢、もう既に気付いているとは思うが私が一目惚れした相手は君だ。舞踏会で見た君の優しい穏やかな笑みに惚れた。本当は諦めようと思っていた。他国の王太子妃に恋をするなどあってはならないことだから。


しかし、君が王太子に婚約破棄されたという話を聞いて急いで君の元まで来た。


私は君が好きだ。初めて見た頃からずっと君を想っている。


リリーシャ嬢、どうか私と婚約してくれないか。」


レナルド殿下はそう言うと私の前に跪いた。


「・・・」



えええええええええええええ!?


レ、レナルド殿下が私に婚約を申し込んだ!?


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