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刑罰 アレクサンドルside

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「国王陛下。フレイル伯爵令息がご到着されました。」


「入れろ。」


中で国王の声がした。


俺はその声で中に入り、国王に臣下の礼をとった。


「国王陛下、お久しぶりです。フレイル伯爵家の長男、アレクサンドルが参りました。」


「・・・」


国王陛下は黙ったままだ。


しばらくして、口を開いた。


「・・・顔を上げろ。」


「・・・」


俺はそっと顔を上げて国王を見た。


うお、なんか威圧感がすごいな。


大体の貴族はこの人を恐れている。


圧が違うというか、何か怖いんだよな。


王妃陛下はあんなに穏やかな方なのにな。


まさに王って感じの人だ。


国王は冷たい声で俺に尋ねた。


「・・・王太子の過去の愚行を広めたのはそなたか?」


あ、これバレてんな。


まあ呼び出された時から予想はしてたけど・・・。


こうなったら否定するだけ無駄だな。


どうせ重い刑罰は課されないんだから、素直に認めよう。


早く帰ってララに会いたいしな。


「はい、私です。その節は大変申し訳ありませんでした。」


俺は素直に認めた。


「・・・ずいぶんあっさりと認めるんだな。」


まぁ、否定しても時間を奪われるだけだからな。


「はい、本当に悪いことをしたと思っています。」


反省してますアピールもしておこう。


その方が刑が軽くなりそうだ。


「・・・そうか。ではそなたに処分を言い渡そう。」


まぁ、一応王太子の名誉を傷つけたんだから罰はあるか。





「そなたを、退学処分とし、辺境に送ることにする。」


!?


ま、待て!


何でこんな刑が重いんだ!


俺は領地謹慎程度だと思っていた。


・・・なのに。


俺は必死で国王に抗議した。


「待ってください陛下!それはいくらなんでも刑が重すぎます!父が黙っていません!」


「そなたの父なら既に同意した。それと、フレイル伯爵はそなたがしでかしたことに責任を感じて騎士団長の座を副団長に譲ったぞ。」


な、なんだと!?


ではもう父上は騎士団長ではないのか!


「へ、陛下・・・待ってください。私はただ事実を言っただけではありませんか。陛下もご存知でしょう?フレッド王太子殿下がある男爵令嬢と懇意にしていることを。」


「ああ、知っている。」


「では何故!」



「それはこちらが聞きたい。何故そなたは愚かな行いをする王太子を諫めなかった?」


「え・・・。」


「そなたは側近として王太子の愚行を止めるべきだっただろう。それなのに、王太子と一緒にあの男爵令嬢の虜になっていたと聞いたが。」


「・・・!」


た、確かに・・・。


俺はともかく、殿下には婚約者がいた。


俺は、あの時殿下の愚行を止めるべきだった。


しかし・・・


「それなら陛下は何故、王太子殿下を罰しないのですか!」


「あぁ、王太子はもうすぐ廃嫡にする予定だ。あいつは国王の器ではない。」


「・・・!」


ざまあみろ、王太子!


お前も道連れだ!


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