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呼び出し アレクサンドルside

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王太子の愚行の噂は確実に学園に広まった。


そのせいで王太子は学園に居づらくなっているようだ。


否定するにも出来ないらしい。


そうだよな。


だって全部事実だもんな~!


俺は必死で笑いをこらえた。


「クソッ!!!一体誰があのことを広めたんだ!!!」


王太子はかなり荒れているようだ。


まぁ、そりゃそうだよな。


過去の自分の恥ずかしい行いが広まってるんだから。


俺だったら学園に居られなくなるかな。


ララはそれを見て王太子と少し距離を置こうとしていた。


そうだ、それでいい。


そのまま俺の元へ来い・・・!


俺の計画は確実にうまくいっていた。


・・・はずだ。



さすがにやりすぎたのか。




王家がこの話を広めた者を調査しているという噂が流れ始めた。



マ、マズイ・・・!


これがバレたら俺は終わりだ・・・!


だ、だけど大丈夫だ。


いざというときは逆らえない下位貴族に罪を擦り付ければいい。


そうすれば、俺の命は助かるはずだ。


オーガストも、オブライト公爵にリリーシャ嬢を陥れたことを問い詰められた時、王太子に罪を擦り付けたと聞く。


はは・・・


俺らって似た者同士だな。


まさか自分の嫌っている男と似ているとは。





しかし、そんなことを考えてた俺にはすぐに地獄が訪れた。



「アレクサンドル・フレイル伯爵令息。我々は王家の者です。今すぐ王宮へ来ていただけますか?」


「・・・」


終わった。


俺の人生終わった。


「・・・それ、断ることとかって・・・」


「できません。国王陛下からの呼び出しですので。」


おいおい、国王陛下からかよ!


よりにもよってあの怖いおじさんに呼び出されたのかよ!


俺、どうなる?


もしかして、ルパートやオーガストと同じように廃嫡されるのか!?


待て待て!それは困る!


俺は何が何でもララと添い遂げたいんだ!


こんなところで退場するわけにはいかないんだ!




俺は絶望しながらも王宮行きの馬車に乗っていた。


その中で俺はこんなことを考えた。


・・・待てよ。


別に罰せられないんじゃないか?


だってこれ全て事実だろ?


事実を言ったところで何が悪いんだ。


少なくとも、極刑に課されることは無さそうだ。


そう思って俺は安堵の息を吐いた。


しかし、そんな俺の考えは甘かったことを後で知る。





王宮に着き、俺は謁見の間へと向かう。


あの怖いおっさんと会うのは嫌だけど・・・。


まぁどうせ重くても領地での謹慎くらいだろ。


ララと会えなくなるのは困るが、王太子が学園からいなくなるんだったら別にいいか。


俺はその時、のんきにそんなことを考えていた。


この後に来る地獄など知りもせずに―



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