上 下
16 / 52

破滅の足音 オーガストside

しおりを挟む
リリーシャ嬢が断罪され、学園から姿を消した時私はホッとした。


これでもう私の罪が明らかにされることはない。


私はまたララと一緒にいれる。


そう思っていた。


しかし、そんな日々は長くは続かなかった。



ある日を境に周囲の人間が私を見てヒソヒソと噂するようになった。


なんだ・・・?


何が起きている・・・?


私は不思議に思ったが、気にしないことにした。


私はララへのアプローチで忙しかったためそんなことを気にしている暇はなかったからだ。


今日も私はララに近づく男たちを牽制しながら、彼女への贈り物を選ぶのだ。


ララはちょっとした贈り物でも物凄く喜んでくれる。


普通の貴族令嬢とかと違う。


私はララのそこに惹かれたのだ。


ララと結ばれることが出来るのなら周りのやつらのことなど気にしない。








だがそんな私をよそに私の周囲に少しずつ変化が現れていった。


ルパートが廃嫡されたのだ。


ルパートは公爵邸で父親から廃嫡を言い渡されたらしい。


つまりあいつはもうオブライト公爵家の嫡男ではない。


父親である現オブライト公爵が引退すればルパートは平民になる。


そのせいか、公爵邸から戻ったルパートは抜け殻のようになっていた。


ルパートの廃嫡を聞いた私はやったと思った。


これでライバルが一人減ったと。


ルパートはあの三人の中でも一番忌々しい男だった。


ララのことを好きだと言いながら彼女の言うことをあまり信じない。


現にリリーシャ嬢の件でも彼女を庇うような発言をしていた。


ルパートが廃嫡されてからララは私たちにルパートとあまり関わらないほうがいいと言い始めた。


最初は何故だろうと思っていたが、その理由は後々分かった。


ララは私たちを思ってそう言っていたのだ。


公爵家を廃嫡になったルパートと名家の嫡男である私たちでは釣り合わないから一緒にいるべきではないと。


あぁ、ララはなんて優しい子なんだ・・・。


どんな時も私たちを一番に思ってくれる。


私の中のララへの好感度は上がり続けている。


その時にララは自分のことを「聖女」だと言っていたが特に気にならなかった。


ララはこんなに優しくて美しいのだから、私の中ではもう聖女だ。


それから私とフレッド殿下とアレクサンドルは学園のほとんどの時間をララと過ごすようになった。


ララと過ごす時間は幸せだった。


ララの笑顔を見るだけで癒された。


フレッド殿下とアレクサンドルの存在が邪魔だったが、後々排除していけばいい。


ララの心を手に入れるのは私なのだから。









この時の私は幸せな日々が続いていくのだと信じて疑わなかった。



破滅はすぐそこまで来ていたとも知らずに―

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結160万pt】王太子妃に決定している公爵令嬢の婚約者はまだ決まっておりません。王位継承権放棄を狙う王子はついでに側近を叩き直したい

宇水涼麻
恋愛
 ピンク髪ピンク瞳の少女が王城の食堂で叫んだ。 「エーティル様っ! ラオルド様の自由にしてあげてくださいっ!」  呼び止められたエーティルは未来の王太子妃に決定している公爵令嬢である。  王太子と王太子妃となる令嬢の婚約は簡単に解消できるとは思えないが、エーティルはラオルドと婚姻しないことを軽く了承する。  その意味することとは?  慌てて現れたラオルド第一王子との関係は?  なぜこのような状況になったのだろうか?  ご指摘いただき一部変更いたしました。  みなさまのご指摘、誤字脱字修正で読みやすい小説になっていっております。 今後ともよろしくお願いします。 たくさんのお気に入り嬉しいです! 大変励みになります。 ありがとうございます。 おかげさまで160万pt達成! ↓これよりネタバレあらすじ 第一王子の婚約解消を高らかに願い出たピンクさんはムーガの部下であった。 親類から王太子になることを強要され辟易しているが非情になれないラオルドにエーティルとムーガが手を差し伸べて王太子権放棄をするために仕組んだのだ。 ただの作戦だと思っていたムーガであったがいつの間にかラオルドとピンクさんは心を通わせていた。

わたくし、残念ながらその書類にはサインしておりませんの。

朝霧心惺
恋愛
「リリーシア・ソフィア・リーラー。冷酷卑劣な守銭奴女め、今この瞬間を持って俺は、貴様との婚約を破棄する!!」  テオドール・ライリッヒ・クロイツ侯爵令息に高らかと告げられた言葉に、リリーシアは純白の髪を靡かせ高圧的に微笑みながら首を傾げる。 「誰と誰の婚約ですって?」 「俺と!お前のだよ!!」  怒り心頭のテオドールに向け、リリーシアは真実を告げる。 「わたくし、残念ながらその書類にはサインしておりませんの」

私を追い出した結果、飼っていた聖獣は誰にも懐かないようです

天宮有
恋愛
 子供の頃、男爵令嬢の私アミリア・ファグトは助けた小犬が聖獣と判明して、飼うことが決まる。  数年後――成長した聖獣は家を守ってくれて、私に一番懐いていた。  そんな私を妬んだ姉ラミダは「聖獣は私が拾って一番懐いている」と吹聴していたようで、姉は侯爵令息ケドスの婚約者になる。  どうやらラミダは聖獣が一番懐いていた私が邪魔なようで、追い出そうと目論んでいたようだ。  家族とゲドスはラミダの嘘を信じて、私を蔑み追い出そうとしていた。

【完結】『妹の結婚の邪魔になる』と家族に殺されかけた妖精の愛し子の令嬢は、森の奥で引きこもり魔術師と出会いました。

蜜柑
恋愛
メリルはアジュール王国侯爵家の長女。幼いころから妖精の声が聞こえるということで、家族から気味悪がられ、屋敷から出ずにひっそりと暮らしていた。しかし、花の妖精の異名を持つ美しい妹アネッサが王太子と婚約したことで、両親はメリルを一族の恥と思い、人知れず殺そうとした。 妖精たちの助けで屋敷を出たメリルは、時間の止まったような不思議な森の奥の一軒家で暮らす魔術師のアルヴィンと出会い、一緒に暮らすことになった。

幼馴染が夫を奪った後に時間が戻ったので、婚約を破棄します

天宮有
恋愛
バハムス王子の婚約者になった私ルーミエは、様々な問題を魔法で解決していた。 結婚式で起きた問題を解決した際に、私は全ての魔力を失ってしまう。 中断していた結婚式が再開すると「魔力のない者とは関わりたくない」とバハムスが言い出す。 そしてバハムスは、幼馴染のメリタを妻にしていた。 これはメリタの計画で、私からバハムスを奪うことに成功する。 私は城から追い出されると、今まで力になってくれた魔法使いのジトアがやって来る。 ずっと好きだったと告白されて、私のために時間を戻す魔法を編み出したようだ。 ジトアの魔法により時間を戻すことに成功して、私がバハムスの妻になってない時だった。 幼馴染と婚約者の本心を知ったから、私は婚約を破棄します。

義母様から「あなたは婚約相手として相応しくない」と言われたので、家出してあげました。

新野乃花(大舟)
恋愛
婚約関係にあったカーテル伯爵とアリスは、相思相愛の理想的な関係にあった。しかし、それを快く思わない伯爵の母が、アリスの事を執拗に口で攻撃する…。その行いがしばらく繰り返されたのち、アリスは自らその姿を消してしまうこととなる。それを知った伯爵は自らの母に対して怒りをあらわにし…。

真実の愛がどうなろうと関係ありません。

希猫 ゆうみ
恋愛
伯爵令息サディアスはメイドのリディと恋に落ちた。 婚約者であった伯爵令嬢フェルネは無残にも婚約を解消されてしまう。 「僕はリディと真実の愛を貫く。誰にも邪魔はさせない!」 サディアスの両親エヴァンズ伯爵夫妻は激怒し、息子を勘当、追放する。 それもそのはずで、フェルネは王家の血を引く名門貴族パートランド伯爵家の一人娘だった。 サディアスからの一方的な婚約解消は決して許されない裏切りだったのだ。 一ヶ月後、愛を信じないフェルネに新たな求婚者が現れる。 若きバラクロフ侯爵レジナルド。 「あら、あなたも真実の愛を実らせようって仰いますの?」 フェルネの曾祖母シャーリンとレジナルドの祖父アルフォンス卿には悲恋の歴史がある。 「子孫の我々が結婚しようと関係ない。聡明な妻が欲しいだけだ」 互いに塩対応だったはずが、気づくとクーデレ夫婦になっていたフェルネとレジナルド。 その頃、真実の愛を貫いたはずのサディアスは…… (予定より長くなってしまった為、完結に伴い短編→長編に変更しました)

両親から謝ることもできない娘と思われ、妹の邪魔する存在と決めつけられて養子となりましたが、必要のないもの全てを捨てて幸せになれました

珠宮さくら
恋愛
伯爵家に生まれたユルシュル・バシュラールは、妹の言うことばかりを信じる両親と妹のしていることで、最低最悪な婚約者と解消や破棄ができたと言われる日々を送っていた。 一見良いことのように思えることだが、実際は妹がしていることは褒められることではなかった。 更には自己中な幼なじみやその異母妹や王妃や側妃たちによって、ユルシュルは心労の尽きない日々を送っているというのにそれに気づいてくれる人は周りにいなかったことで、ユルシュルはいつ倒れてもおかしくない状態が続いていたのだが……。

処理中です...