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破滅の足音 オーガストside

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リリーシャ嬢が断罪され、学園から姿を消した時私はホッとした。


これでもう私の罪が明らかにされることはない。


私はまたララと一緒にいれる。


そう思っていた。


しかし、そんな日々は長くは続かなかった。



ある日を境に周囲の人間が私を見てヒソヒソと噂するようになった。


なんだ・・・?


何が起きている・・・?


私は不思議に思ったが、気にしないことにした。


私はララへのアプローチで忙しかったためそんなことを気にしている暇はなかったからだ。


今日も私はララに近づく男たちを牽制しながら、彼女への贈り物を選ぶのだ。


ララはちょっとした贈り物でも物凄く喜んでくれる。


普通の貴族令嬢とかと違う。


私はララのそこに惹かれたのだ。


ララと結ばれることが出来るのなら周りのやつらのことなど気にしない。








だがそんな私をよそに私の周囲に少しずつ変化が現れていった。


ルパートが廃嫡されたのだ。


ルパートは公爵邸で父親から廃嫡を言い渡されたらしい。


つまりあいつはもうオブライト公爵家の嫡男ではない。


父親である現オブライト公爵が引退すればルパートは平民になる。


そのせいか、公爵邸から戻ったルパートは抜け殻のようになっていた。


ルパートの廃嫡を聞いた私はやったと思った。


これでライバルが一人減ったと。


ルパートはあの三人の中でも一番忌々しい男だった。


ララのことを好きだと言いながら彼女の言うことをあまり信じない。


現にリリーシャ嬢の件でも彼女を庇うような発言をしていた。


ルパートが廃嫡されてからララは私たちにルパートとあまり関わらないほうがいいと言い始めた。


最初は何故だろうと思っていたが、その理由は後々分かった。


ララは私たちを思ってそう言っていたのだ。


公爵家を廃嫡になったルパートと名家の嫡男である私たちでは釣り合わないから一緒にいるべきではないと。


あぁ、ララはなんて優しい子なんだ・・・。


どんな時も私たちを一番に思ってくれる。


私の中のララへの好感度は上がり続けている。


その時にララは自分のことを「聖女」だと言っていたが特に気にならなかった。


ララはこんなに優しくて美しいのだから、私の中ではもう聖女だ。


それから私とフレッド殿下とアレクサンドルは学園のほとんどの時間をララと過ごすようになった。


ララと過ごす時間は幸せだった。


ララの笑顔を見るだけで癒された。


フレッド殿下とアレクサンドルの存在が邪魔だったが、後々排除していけばいい。


ララの心を手に入れるのは私なのだから。









この時の私は幸せな日々が続いていくのだと信じて疑わなかった。



破滅はすぐそこまで来ていたとも知らずに―

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