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犠牲 オーガストside
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その翌日。
リリーシャ嬢を断罪する少し前のことだ。
フレッド殿下はリリーシャ嬢の兄であるルパートにそのことを話していた。
ルパートは用事があり、昨日は学園へ来ていなかった。
彼はかなり動揺していた。
そりゃそうだろう。
実の妹が今から断罪されるのだから。
「殿下・・・。待ってください・・・。リリーシャはそんなことをするような子ではありません。きっと何か勘違いが・・・」
おい、余計な事を言うな。
ルパートはリリーシャ嬢がそんなことをするわけがないと思っているらしい。
証拠でも捏造して持ってくればよかったかな・・・。
そんな時だった。
ララがルパートの前に出た。
「ルパート様ぁ・・・ララのこと信じてくれないんですかぁ・・・?ララ、悲しい・・・。」
ララは目をうるうるさせながら言った。
それを見たルパートは焦ったように言った。
「い、いや!そういうわけじゃないんだ!俺はララを信じてるよ!」
ルパートはララの涙を見て考えを変えたようだ。
近くでララを見ていたフレッド殿下が心配そうな顔で言った。
「ララ、本当に一緒に来るのか?逆上したあいつに何をされるか分からないというのに。」
「大丈夫ですっ、フレッド様っ!ララはいじめなんかに負けませんからっ!」
ララはそう言って眩しいほどの笑みを見せた。
それを見たフレッド殿下は頬を赤く染めた。
今度は横からアレクサンドルがララに話しかけた。
「ララ、本当に婚約破棄だけでいいのか?殿下の力ならあの悪女を平民にすることも出来る。国外追放にすることだって・・・!」
「良いんですよっ、アレクサンドル様っ!ララはそんなの望んでませんっ!」
ララはアレクサンドルにも笑顔を向けた。
「そうか・・・。君は本当に・・・優しいんだな・・・。」
アレクサンドルは顔を背けながらそう言った。
耳はかなり赤くなっている。
はぁ、本当に忌々しい・・・。
こいつら早くララに振られてしまえばいいのに。
ララは誰にでも優しいからな。
こいつらララの優しさを好意だと勘違いしてるんじゃないのか?
そして私たちはそのすぐ後にリリーシャ嬢を糾弾し、殿下に至っては婚約破棄を突き付けた。
彼女はララへの嫌がらせを否定していた。
当然だろう、本当に彼女はやっていないのだから。
まぁ、そのことを知っているのは私だけだが。
殿下たちは完全に彼女がやったと思い込んでるらしい。
その方が私にとっても好都合だ。
悪いな、リリーシャ嬢。
私とララの幸せな未来のために、犠牲になってくれ―
リリーシャ嬢を断罪する少し前のことだ。
フレッド殿下はリリーシャ嬢の兄であるルパートにそのことを話していた。
ルパートは用事があり、昨日は学園へ来ていなかった。
彼はかなり動揺していた。
そりゃそうだろう。
実の妹が今から断罪されるのだから。
「殿下・・・。待ってください・・・。リリーシャはそんなことをするような子ではありません。きっと何か勘違いが・・・」
おい、余計な事を言うな。
ルパートはリリーシャ嬢がそんなことをするわけがないと思っているらしい。
証拠でも捏造して持ってくればよかったかな・・・。
そんな時だった。
ララがルパートの前に出た。
「ルパート様ぁ・・・ララのこと信じてくれないんですかぁ・・・?ララ、悲しい・・・。」
ララは目をうるうるさせながら言った。
それを見たルパートは焦ったように言った。
「い、いや!そういうわけじゃないんだ!俺はララを信じてるよ!」
ルパートはララの涙を見て考えを変えたようだ。
近くでララを見ていたフレッド殿下が心配そうな顔で言った。
「ララ、本当に一緒に来るのか?逆上したあいつに何をされるか分からないというのに。」
「大丈夫ですっ、フレッド様っ!ララはいじめなんかに負けませんからっ!」
ララはそう言って眩しいほどの笑みを見せた。
それを見たフレッド殿下は頬を赤く染めた。
今度は横からアレクサンドルがララに話しかけた。
「ララ、本当に婚約破棄だけでいいのか?殿下の力ならあの悪女を平民にすることも出来る。国外追放にすることだって・・・!」
「良いんですよっ、アレクサンドル様っ!ララはそんなの望んでませんっ!」
ララはアレクサンドルにも笑顔を向けた。
「そうか・・・。君は本当に・・・優しいんだな・・・。」
アレクサンドルは顔を背けながらそう言った。
耳はかなり赤くなっている。
はぁ、本当に忌々しい・・・。
こいつら早くララに振られてしまえばいいのに。
ララは誰にでも優しいからな。
こいつらララの優しさを好意だと勘違いしてるんじゃないのか?
そして私たちはそのすぐ後にリリーシャ嬢を糾弾し、殿下に至っては婚約破棄を突き付けた。
彼女はララへの嫌がらせを否定していた。
当然だろう、本当に彼女はやっていないのだから。
まぁ、そのことを知っているのは私だけだが。
殿下たちは完全に彼女がやったと思い込んでるらしい。
その方が私にとっても好都合だ。
悪いな、リリーシャ嬢。
私とララの幸せな未来のために、犠牲になってくれ―
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