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裏切り ルパートside
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俺はフラフラとした足取りで学園へと戻った。
うそだ・・・。廃嫡になるだなんて・・・。
今までオブライト公爵家の嫡男として熱心に勉学に励んできた。
全てが無駄になったのだ。
だがそれ以上に父上の言った言葉が忘れられなかった。
『ルパート、お前はリリーシャがその男爵令嬢に嫌がらせをしていたというが、証拠はあるのか?』
『その男爵令嬢が嘘をついているという可能性もあるだろう?』
・・・考えてみればリリーシャがララに嫌がらせしている姿を直接見たことはなかったな。
もしかしてララは嘘をついていた?
いや、そんなはずはないと首を横に振る。
ララは優しい子だ。
嘘をつくはずがない。
そう思ってはいても俺は少しずつララに対する不信感が募っていったのだ。
ララに会いに行こう。
俺はいてもたってもいられなくなり、ララに会いに行くことにした。
「ララ!!!」
俺の言葉にララは振り返った。
「ルパート様っ!」
いつもと変わらない愛らしい笑みを浮かべてこちらへ駆け寄ってきてくれる。
その姿を見て俺は確信した。
やはりララが嘘をつくなんてありえないと。
「ルパート様っ。どうしたんですかっ?」
ララが大きくて丸い瞳をぱちくりさせて俺に尋ねた。
ララに全てを打ち明けよう。
ララはきっといつもの優しさで俺を包み込んでくれるだろう。
そう思った。
「ララ、俺はついさっき廃嫡になったんだ。」
「はい、ちゃく?」
ララは廃嫡という言葉が難しくて分からないようだ。
「オブライト公爵家の跡取りから外されたってことだ。」
「え、」
ララは驚いていた。
「・・・ララ。こんな俺でも傍にいてくれるか?」
「もちろんですっ!」
ララは少し考えこむ素振りを見せたがいつもの笑顔で返事をしてくれた。
あぁ、やっぱりララは俺の女神だ。
ララさえいれば廃嫡になったことなんてどうだってことない。
この時の俺は本気でそう思っていた。
後々何が起こるのかも知らずに―
その数日後、学園内でたまたまララを見かけた。
「ララッ!!!」
俺はララの名前を呼び引き止めた。
だがララは俺をちらりと一瞥した後、すぐに去って行ってしまった。
な、何故だ・・・?
いつものララなら嬉しそうに顔を綻ばせて駆け寄ってきてくれるはずだ。
ララは俺に気づいていた。
つまり、無視されたのだ。
ララだけじゃない。
それからの俺は殿下や一緒にいた令息たち全員にいない者扱いされるようになったのだ。
少し前まではララや殿下たちと常に一緒にいたというのに今では自分だけ完全に蚊帳の外だ。
何故だ?
一体何が起こっているんだ―?
うそだ・・・。廃嫡になるだなんて・・・。
今までオブライト公爵家の嫡男として熱心に勉学に励んできた。
全てが無駄になったのだ。
だがそれ以上に父上の言った言葉が忘れられなかった。
『ルパート、お前はリリーシャがその男爵令嬢に嫌がらせをしていたというが、証拠はあるのか?』
『その男爵令嬢が嘘をついているという可能性もあるだろう?』
・・・考えてみればリリーシャがララに嫌がらせしている姿を直接見たことはなかったな。
もしかしてララは嘘をついていた?
いや、そんなはずはないと首を横に振る。
ララは優しい子だ。
嘘をつくはずがない。
そう思ってはいても俺は少しずつララに対する不信感が募っていったのだ。
ララに会いに行こう。
俺はいてもたってもいられなくなり、ララに会いに行くことにした。
「ララ!!!」
俺の言葉にララは振り返った。
「ルパート様っ!」
いつもと変わらない愛らしい笑みを浮かべてこちらへ駆け寄ってきてくれる。
その姿を見て俺は確信した。
やはりララが嘘をつくなんてありえないと。
「ルパート様っ。どうしたんですかっ?」
ララが大きくて丸い瞳をぱちくりさせて俺に尋ねた。
ララに全てを打ち明けよう。
ララはきっといつもの優しさで俺を包み込んでくれるだろう。
そう思った。
「ララ、俺はついさっき廃嫡になったんだ。」
「はい、ちゃく?」
ララは廃嫡という言葉が難しくて分からないようだ。
「オブライト公爵家の跡取りから外されたってことだ。」
「え、」
ララは驚いていた。
「・・・ララ。こんな俺でも傍にいてくれるか?」
「もちろんですっ!」
ララは少し考えこむ素振りを見せたがいつもの笑顔で返事をしてくれた。
あぁ、やっぱりララは俺の女神だ。
ララさえいれば廃嫡になったことなんてどうだってことない。
この時の俺は本気でそう思っていた。
後々何が起こるのかも知らずに―
その数日後、学園内でたまたまララを見かけた。
「ララッ!!!」
俺はララの名前を呼び引き止めた。
だがララは俺をちらりと一瞥した後、すぐに去って行ってしまった。
な、何故だ・・・?
いつものララなら嬉しそうに顔を綻ばせて駆け寄ってきてくれるはずだ。
ララは俺に気づいていた。
つまり、無視されたのだ。
ララだけじゃない。
それからの俺は殿下や一緒にいた令息たち全員にいない者扱いされるようになったのだ。
少し前まではララや殿下たちと常に一緒にいたというのに今では自分だけ完全に蚊帳の外だ。
何故だ?
一体何が起こっているんだ―?
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