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廃嫡 ルパートside
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俺は目の前が真っ暗のまま屋敷に入った。
屋敷に入ると使用人たちが俺を見て何かヒソヒソ話していた。
だけど今の俺にとってはそんなの気にならなかった。
俺は・・・廃嫡になるのか・・・?今まで公爵家を継ぐために努力してきたのに・・・
それだけが俺の頭の中を占めていた。
いや、大丈夫だ。オブライト公爵家の男児は俺だけ。女児が爵位を継ぐなんて聞いたことないし、きっと廃嫡になることはないだろう。
しばらくして執事に父上のいる執務室へと通される。
久しぶりに見た父上は険しい顔をしていた。
「・・・ルパート。お前は自分が何をしたか分かっているのか?」
何をしたか。
「父上、俺はただララに嫌がらせをした悪女を断罪しただけです。」
俺は何も間違ったことをしていない。
リリーシャはララを苦しめた悪女だ。
そんな俺に父は呆れたような顔をする。
「実の妹を悪女呼ばわりか?」
「あんなのはもう妹ではありません!」
俺はハッキリと告げた。
父上はリリーシャに騙されているんだ。
俺も騙されていた時期があった。
リリーシャは普段は猫をかぶっているんだ。
「父上!リリーシャはララに嫌がらせを繰り返していたんです!それがリリーシャの本性なんですよ!父上たちの前では猫をかぶっていましたが・・・」
「もう黙れ。」
父上に一喝され押し黙る。
「ルパート、お前はリリーシャがその男爵令嬢に嫌がらせをしていたというが、証拠はあるのか?」
「ララがそう言っていたんです!」
「その男爵令嬢が嘘をついているという可能性もあるだろう?」
父上の言葉を聞いた俺は頭に血がのぼった。
「ララが嘘をつくはずがありません!ララは優しくて女神のような女性なんです!父上はララを知らないからそんなことが言えるんです!」
俺は気づけば父上に怒鳴っていた。
父上は相変わらず俺を呆れた顔で見ている。
「・・・ルパート。」
そして悲し気な表情をした。
「育て方を間違えた。お前を廃嫡とする。」
!?
嘘だろ・・・!?
「ち、父上・・・何故・・・」
「今のお前は次期オブライト公爵にふさわしくないからだ。」
「ですが!オブライト公爵家の男児は俺だけです!」
そうだ、オブライト公爵家の男児は俺だけなんだ。これは脅しだ。
恐れることなんて何もない。
「・・・それに関しては養子をとるか・・・リリーシャに跡を継がせるつもりだ。」
な、なんだと・・・!?
「父上!女が爵位を継ぐだなんてそんな話聞いたことありません!」
「たしかに前例はないが・・・不可能なことではない。それに、今のお前よりもよっぽどリリーシャのほうが跡取りにふさわしい。」
「そんな・・・!」
そうして俺はオブライト公爵家の嫡男から外された。
屋敷に入ると使用人たちが俺を見て何かヒソヒソ話していた。
だけど今の俺にとってはそんなの気にならなかった。
俺は・・・廃嫡になるのか・・・?今まで公爵家を継ぐために努力してきたのに・・・
それだけが俺の頭の中を占めていた。
いや、大丈夫だ。オブライト公爵家の男児は俺だけ。女児が爵位を継ぐなんて聞いたことないし、きっと廃嫡になることはないだろう。
しばらくして執事に父上のいる執務室へと通される。
久しぶりに見た父上は険しい顔をしていた。
「・・・ルパート。お前は自分が何をしたか分かっているのか?」
何をしたか。
「父上、俺はただララに嫌がらせをした悪女を断罪しただけです。」
俺は何も間違ったことをしていない。
リリーシャはララを苦しめた悪女だ。
そんな俺に父は呆れたような顔をする。
「実の妹を悪女呼ばわりか?」
「あんなのはもう妹ではありません!」
俺はハッキリと告げた。
父上はリリーシャに騙されているんだ。
俺も騙されていた時期があった。
リリーシャは普段は猫をかぶっているんだ。
「父上!リリーシャはララに嫌がらせを繰り返していたんです!それがリリーシャの本性なんですよ!父上たちの前では猫をかぶっていましたが・・・」
「もう黙れ。」
父上に一喝され押し黙る。
「ルパート、お前はリリーシャがその男爵令嬢に嫌がらせをしていたというが、証拠はあるのか?」
「ララがそう言っていたんです!」
「その男爵令嬢が嘘をついているという可能性もあるだろう?」
父上の言葉を聞いた俺は頭に血がのぼった。
「ララが嘘をつくはずがありません!ララは優しくて女神のような女性なんです!父上はララを知らないからそんなことが言えるんです!」
俺は気づけば父上に怒鳴っていた。
父上は相変わらず俺を呆れた顔で見ている。
「・・・ルパート。」
そして悲し気な表情をした。
「育て方を間違えた。お前を廃嫡とする。」
!?
嘘だろ・・・!?
「ち、父上・・・何故・・・」
「今のお前は次期オブライト公爵にふさわしくないからだ。」
「ですが!オブライト公爵家の男児は俺だけです!」
そうだ、オブライト公爵家の男児は俺だけなんだ。これは脅しだ。
恐れることなんて何もない。
「・・・それに関しては養子をとるか・・・リリーシャに跡を継がせるつもりだ。」
な、なんだと・・・!?
「父上!女が爵位を継ぐだなんてそんな話聞いたことありません!」
「たしかに前例はないが・・・不可能なことではない。それに、今のお前よりもよっぽどリリーシャのほうが跡取りにふさわしい。」
「そんな・・・!」
そうして俺はオブライト公爵家の嫡男から外された。
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