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三章
戦い① ダリウス視点
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「わざわざあんな結界まで張って、そこまでしてあの王を死なせたくないのか?」
「……」
互いの力がぶつかり合う最中、俺は目の前にいる男に質問を投げかけた。
「何故お前ほどの男があんな愚王についている?何が目的だ?」
「それをお前が知る必要があるのか?」
ローレルは不快だとでも言うように眉をひそめた。
「ただ気になっただけだ」
「そうだな……私には私の目的があるとだけ言っておこう」
「そうか……」
(やはり……この男、王を利用して何かしようとしている……!)
純粋に国王を慕い、忠誠を誓っているというわけではなさそうだった。
そして、ヤツの言う”目的”とやらはどこか危険な香りがする。
この男はここでやってしまった方が良いかもしれない。
(最初から、倒すべきは国王ではなくこの男だったのか……)
グレイの襲撃事件だってこの男が王を唆したに違いない。
国王アルベルトは臆病で、あのように突発的な行動を起こすとは思えなかった。
(どちらにせよ、主君に手を出されたらやらないわけにはいかないが……)
男は想像以上に強かった。
これが伝説であり、最強でもある魔術師の力だというのか。
先ほどから何度も攻撃魔法を繰り出しているものの、受け止められるか避けられるかでまともに当たらない。
それに加え、男はこの状況において余裕そうな笑みすら浮かべていた。
自分よりも格上だということを、認めざるを得なかった。
「そろそろ私も反撃させてもらおう」
「!」
そのとき、ローレルが魔法を唱えた。
驚いて動きを止めたのも束の間、巨大な闇魔法が足元に現れ、俺はそこに引きずり込まれていく。
「くっ……!」
完全に呑み込まれる前に何とか魔法を発動し、闇から抜け出すことに成功した。
(闇魔法とは……危険だな)
俺が抜け出すのを予想していたのか、ローレルは楽しそうに笑った。
「自力で抜け出せたのはお前が初めてだ。やはり只者ではなさそうだな」
「……」
ゆっくりと立ち上がった俺に、ローレルが口の端を上げた。
「お前はここで死ぬには惜しい人材だ。どうだ、もし降伏するなら私の部下として迎えてやろう」
「ハハ……そんなの、死んだ方がマシだな」
俺は誰かさんとは違って王太子グレイフォードに忠誠を誓っている。
幼い頃からの親友であり、尊敬する主でもあるアイツを裏切るくらいだったら今ここでこの男に負ける方がずっとマシだ。
「――ダリウス!!!」
「――ダリウス様!」
そのとき、結界の外から声が聞こえた。
(防音魔法を発動させているのに何故……)
声がした方を振り返ると、グレイとその婚約者のフルール公爵令嬢が俺をじっと見つめていた。
「ダリウス様、負けないでください!」
「必ず生きてソイツに勝つんだ!!!」
グレイとフルール嬢の声は先ほどよりも鮮明に俺の耳に入った。
「あの二人、私がお前に負けることを望んでいるようだな」
ローレルが面白そうに笑みを深めた。
「ああ、すぐにそうなるだろうな」
「……何だと?」
頭から流れた血を俺はそっと拭った。
そして、ローレルに再び向き合った。
「あの二人の幸せのためだ。――お前にはここで死んでもらう」
「……」
互いの力がぶつかり合う最中、俺は目の前にいる男に質問を投げかけた。
「何故お前ほどの男があんな愚王についている?何が目的だ?」
「それをお前が知る必要があるのか?」
ローレルは不快だとでも言うように眉をひそめた。
「ただ気になっただけだ」
「そうだな……私には私の目的があるとだけ言っておこう」
「そうか……」
(やはり……この男、王を利用して何かしようとしている……!)
純粋に国王を慕い、忠誠を誓っているというわけではなさそうだった。
そして、ヤツの言う”目的”とやらはどこか危険な香りがする。
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これが伝説であり、最強でもある魔術師の力だというのか。
先ほどから何度も攻撃魔法を繰り出しているものの、受け止められるか避けられるかでまともに当たらない。
それに加え、男はこの状況において余裕そうな笑みすら浮かべていた。
自分よりも格上だということを、認めざるを得なかった。
「そろそろ私も反撃させてもらおう」
「!」
そのとき、ローレルが魔法を唱えた。
驚いて動きを止めたのも束の間、巨大な闇魔法が足元に現れ、俺はそこに引きずり込まれていく。
「くっ……!」
完全に呑み込まれる前に何とか魔法を発動し、闇から抜け出すことに成功した。
(闇魔法とは……危険だな)
俺が抜け出すのを予想していたのか、ローレルは楽しそうに笑った。
「自力で抜け出せたのはお前が初めてだ。やはり只者ではなさそうだな」
「……」
ゆっくりと立ち上がった俺に、ローレルが口の端を上げた。
「お前はここで死ぬには惜しい人材だ。どうだ、もし降伏するなら私の部下として迎えてやろう」
「ハハ……そんなの、死んだ方がマシだな」
俺は誰かさんとは違って王太子グレイフォードに忠誠を誓っている。
幼い頃からの親友であり、尊敬する主でもあるアイツを裏切るくらいだったら今ここでこの男に負ける方がずっとマシだ。
「――ダリウス!!!」
「――ダリウス様!」
そのとき、結界の外から声が聞こえた。
(防音魔法を発動させているのに何故……)
声がした方を振り返ると、グレイとその婚約者のフルール公爵令嬢が俺をじっと見つめていた。
「ダリウス様、負けないでください!」
「必ず生きてソイツに勝つんだ!!!」
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「あの二人、私がお前に負けることを望んでいるようだな」
ローレルが面白そうに笑みを深めた。
「ああ、すぐにそうなるだろうな」
「……何だと?」
頭から流れた血を俺はそっと拭った。
そして、ローレルに再び向き合った。
「あの二人の幸せのためだ。――お前にはここで死んでもらう」
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