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三章

父と娘の再会

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「私は一体何を……」
「お父様!」
「公爵!」
「目が覚めたようだな」


ベッドからゆっくりと体を起こしたお父様は驚いた顔で私を見た。


「お父様!」
「セシリア……?」


その瞳に、以前のような冷たさは感じられなかった。
感極まって泣きそうになる私を見てお父様はポツリと呟いた。


「ああ……リーナにそっくりだな……」
「……!」


お父様は全ての記憶を取り戻したようだった。
私を見て優しく微笑んだ。


それは間違いなく、私が長い間望んでいたものだった。


「セシリア……悪かった……」
「お父様……」


お父様は眉を下げて申し訳なさそうな顔で私を見ていた。
今の謝罪はきっと長年の冷遇に対するものだろう。


目の前にいる父に思いきり抱き着きたい衝動に駆られたが、今はまだやるべきことがある。


「私は……死にかけたのか……?」
「お父様、倒れたことを覚えていらっしゃいますか?」
「ああ、記憶はあるが……何だかとても長い夢を見ていたような気がする」


お父様はポツリポツリとこれまでのことを語り始めた。
お母様のことや、私が生まれたときのこと、国王の悪事の全貌まで。


――そして、母を殺したのが王アルベルトであるということも。


「お前はリーナが産んだたった一人の娘なのに……何故あのような態度を取っていたのか……」
「そんなに落ち込まないでください。お父様はずっと魔術にかけられていたんですから」


こうなった元凶は全て国王にある。
私の人生を滅茶苦茶にしたのは間違いなくあの男だった。


(前世では恩人だったけれど……)


真実を全て知った今、容赦はしない。


「公爵、俺は秘密裏に反乱を企てている。父王をこのまま放っておけないからだ。お前も参戦してくれると心強いんだが……」
「もちろんです、王太子殿下。国王は最愛の妻を殺した仇。私がその戦いに加わらないわけにはいかないでしょう」
「お父様……!」
「助かるよ」


殿下の反乱にお父様率いるフルール公爵家が加わった。
これはかなり心強い。


「反乱を起こすなら出来るだけ早い方がいい」


ずっと黙り込んでいたダリウス様が殿下にそう助言した。


「お前とフルール嬢を襲ったヤツら、おそらく国王の手の者だ。こんなに早く手を出してくるとは想定外だったが」
「そうだな……」
「襲っただと!?セシリア、怪我はないのか!?」
「はい、殿下が守ってくださったので」
「そうか、それなら良かった」


予想通り、私たちを襲撃した黒幕は国王だった。
あちらが仕掛けてきた以上、これ以上先送りには出来ないだろう。


(反乱……戦いが起きるのね……)


相手はこの国のトップ。
かなり大きな戦いになるはずだ。


(ただ指をくわえて見ているだけというわけにはいかないわ……私も聖女として何か出来ることがあれば……)


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