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二章
殿下へのプレゼント
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そしてついに殿下と王妃陛下にプレゼントを渡す日がやってきた。
庭師が用意してくれた花束を手に、私は王宮へ向かう馬車に乗っていた。
(それにしても、本当に綺麗……)
右手には殿下に渡すための赤い薔薇の花束。
そして左手には、王妃陛下に渡すための赤いガーベラの花束を持っていた。
私が王妃陛下のために選んだのはガーベラという花だった。
何故この花にしたのか。
それについては直感で選んだというのが一番大きいだろう。
しかし、やはり私の目は間違っていなかったと今になってそう思った。
庭園の中でも存在感を放っていた赤いガーベラの花。
たった一輪だけでもこんなにも美しく見えるところが王妃陛下によく似ているなと思ったのだ。
赤色を選んだのは美しさの中に秘められた力強さを感じたからだ。
そういうところが王妃陛下と似ている。
(喜んでもらえるかしらね……)
馬車の中で終始私の胸はドキドキしていた。
「――お嬢様、着きましたよ」
「あら、ありがとう」
どうやら馬車が王宮に着いたようだ。
(何だかいつもより短く感じたわね)
緊張していたせいか、普段よりもこの道がとても短いように感じた。
御者の手を借りて馬車から降りると、すぐに殿下の姿が目に入った。
国王陛下がいつ接触してくるか分からないため、私が王宮へ来るときは毎回殿下が一番に出迎えをしてくれるのだ。
そんな彼の優しさに胸が温かくなる。
もちろん私だって彼に一番に会えるのは嬉しいことだった。
「殿下!」
「セシリア!」
私の姿を見た殿下が嬉しそうにこちらへ駆け寄って来た。
そんな彼の顔を見るのももう慣れた。
そして彼は私をギュッと抱き締めた。
私への気持ちを打ち明けてからの彼は少々――いや、かなり甘すぎるのだ。
「セシリア、会いたかったよ」
「殿下……私もです」
今となっては両想いだということをお互いが誰よりも知っているので、わざわざ隠す必要も無い。
(それにしても、毎回毎回会いたかったと言っているような気がするのは気のせいかしら?)
そんな疑念を抱いた私は、心の中でクスリと笑った。
決して不快ではなかったからだ。
しばらく抱き合ってから身体をゆっくりと離した殿下が、私の手に持っている物を珍しそうに見た。
「セシリア、それは何だ?」
「あ、これは……」
私は持っていた花束のうちの片方を殿下に差し出した。
赤い薔薇の花束だ。
「殿下、私からのプレゼントです。どうぞ受け取ってください」
「え、俺にか……?」
「はい、公爵家の離れにはとても花が美しく咲いている庭園があるのですよ」
殿下は少しだけ固まった後、そっと花束を受け取った。
「……ありがとう、大事にするよ」
「喜んでくださったのなら良かったです」
殿下はとても大事そうに赤い薔薇に触れた。
王太子殿下と花。
これほど似合わない組み合わせは他にあるだろうか。
そんなことを考えた私はフフッと笑みを溢した。
「いつか、殿下にもその場所を見ていただきたいです。本当に美しいんですから」
「ああ、もちろんだ。お前が好きな場所なら俺も好きになりたい」
殿下はフッと笑った後、私の頭を優しく撫でた。
そこでふと何かに気付いたかのように尋ねた。
「セシリア、そっちの花は……?」
「これは、王妃陛下に贈るために用意したものです」
「母上に……」
殿下は少しだけ考え込む素振りを見せた後に優しい口調で言った。
「そうか、喜んでもらえるといいな」
「はい、殿下」
私が殿下が自然に差し出した手に自分の手を重ねて王宮の廊下を歩き出した。
行き先は一つ。
(……どうか、上手くいきますように)
庭師が用意してくれた花束を手に、私は王宮へ向かう馬車に乗っていた。
(それにしても、本当に綺麗……)
右手には殿下に渡すための赤い薔薇の花束。
そして左手には、王妃陛下に渡すための赤いガーベラの花束を持っていた。
私が王妃陛下のために選んだのはガーベラという花だった。
何故この花にしたのか。
それについては直感で選んだというのが一番大きいだろう。
しかし、やはり私の目は間違っていなかったと今になってそう思った。
庭園の中でも存在感を放っていた赤いガーベラの花。
たった一輪だけでもこんなにも美しく見えるところが王妃陛下によく似ているなと思ったのだ。
赤色を選んだのは美しさの中に秘められた力強さを感じたからだ。
そういうところが王妃陛下と似ている。
(喜んでもらえるかしらね……)
馬車の中で終始私の胸はドキドキしていた。
「――お嬢様、着きましたよ」
「あら、ありがとう」
どうやら馬車が王宮に着いたようだ。
(何だかいつもより短く感じたわね)
緊張していたせいか、普段よりもこの道がとても短いように感じた。
御者の手を借りて馬車から降りると、すぐに殿下の姿が目に入った。
国王陛下がいつ接触してくるか分からないため、私が王宮へ来るときは毎回殿下が一番に出迎えをしてくれるのだ。
そんな彼の優しさに胸が温かくなる。
もちろん私だって彼に一番に会えるのは嬉しいことだった。
「殿下!」
「セシリア!」
私の姿を見た殿下が嬉しそうにこちらへ駆け寄って来た。
そんな彼の顔を見るのももう慣れた。
そして彼は私をギュッと抱き締めた。
私への気持ちを打ち明けてからの彼は少々――いや、かなり甘すぎるのだ。
「セシリア、会いたかったよ」
「殿下……私もです」
今となっては両想いだということをお互いが誰よりも知っているので、わざわざ隠す必要も無い。
(それにしても、毎回毎回会いたかったと言っているような気がするのは気のせいかしら?)
そんな疑念を抱いた私は、心の中でクスリと笑った。
決して不快ではなかったからだ。
しばらく抱き合ってから身体をゆっくりと離した殿下が、私の手に持っている物を珍しそうに見た。
「セシリア、それは何だ?」
「あ、これは……」
私は持っていた花束のうちの片方を殿下に差し出した。
赤い薔薇の花束だ。
「殿下、私からのプレゼントです。どうぞ受け取ってください」
「え、俺にか……?」
「はい、公爵家の離れにはとても花が美しく咲いている庭園があるのですよ」
殿下は少しだけ固まった後、そっと花束を受け取った。
「……ありがとう、大事にするよ」
「喜んでくださったのなら良かったです」
殿下はとても大事そうに赤い薔薇に触れた。
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これほど似合わない組み合わせは他にあるだろうか。
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そこでふと何かに気付いたかのように尋ねた。
「セシリア、そっちの花は……?」
「これは、王妃陛下に贈るために用意したものです」
「母上に……」
殿下は少しだけ考え込む素振りを見せた後に優しい口調で言った。
「そうか、喜んでもらえるといいな」
「はい、殿下」
私が殿下が自然に差し出した手に自分の手を重ねて王宮の廊下を歩き出した。
行き先は一つ。
(……どうか、上手くいきますように)
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