39 / 127
一章
くじ引き
しおりを挟む
フォンド侯爵令息は驚いた顔で私を見ていた。
しかし、今の私にとってはそれどころではない。
このままずっと一人ぼっちで行動することになるのではないかという恐怖から解放されて、堪えていた涙が出てきそうになっていた。
「良かった!本当に良かった!」
「……ッ!?」
安心して彼の手をギュッと握ると、侯爵令息はビクリとなった。
「な、何故君が……」
「あ、すみません!私ったらつい!」
そこでようやく自分の失態に気付いた私は慌てて彼から手を離した。
(いけないわ……いくら焦っていたからってこんな風に気安く異性の体に触ってしまうだなんて……)
このことが王妃教育を担当する講師たちに知られたらとんでもないことになるだろう。
私はすぐに彼に事情を説明した。
「実は私、知人と一緒にお忍びでここへ来ていたのですが……はぐれてしまったんです」
「やっぱりそうだったか」
フォンド侯爵令息は予想通りだとでも言わんばかりに私をじっと見つめた。
勘が良いようだ。
「それでフォンド侯爵令息の姿を見つけたので……追いかけてきました」
「……」
それに対して彼は呆れたような顔をした。
(侯爵令息もきっとお忍びで来ているのね……でも一人で?)
よく見てみると、彼は私と同じく平民の男の子が着るような服を着用している。
それでも貴族特有のオーラは隠せていないが。
「あの、失礼ですがお一人ですか?」
「……いや、マリアンヌの荷物持ちとしてついて来たけど……長くなりそうだからどっかで座っててくれって」
「あら、まぁ……」
私の反応を見て、フォンド侯爵令息が不快そうに顔をしかめた。
「……まさか僕が友達いないから一人で来てるとでも思ってたの?」
「あ……」
正直心のどこかでそう思ってはいたが、まさか本人に勘付かれていたとは。
今世での私は思っていることが顔に出やすいらしい。
気が抜けているのかもしれない。
「……いえ、決してそんなことは」
「……」
彼が私をジト目で見つめた。
(す、すごく疑われてる!)
焦った私は、話を逸らした。
「フォ、フォンド侯爵令息!せっかくだから一緒に回りましょうよ!」
「……それって二人でってこと?変に誤解されたらどうするつもり?僕は婚約者とかいないからいいけど……君は……」
「迷子になった私を知人の元まで送り届けていたって言えばいいんですよ!」
(何より、もう一人でいるのは嫌だしね)
オルレリアン王国の王都は決して治安が良い場所ではない。
一人でいた女性が暴漢に襲われたり人攫いに遭ったという話は何度か聞いたことがある。
だからこそ、私はどうしても彼と行動を共にしたかったのだ。
それを除いても、侯爵令息には恩があるし。
「フォンド侯爵令息、こんなところに女の子が一人でいたらどうなるか分からないわけではないでしょう?」
「……」
結局侯爵令息は渋々、私の提案に頷いた。
(良かった……!)
それから私たちは二人で歩き出した。
「この間のお礼も兼ねて、今日は私に奢らせてください」
「お礼?」
「殿下とのことです!」
「あぁ、あれか……」
彼に助けられたのは紛れも無い事実である。
だからこそ、どうしてもお礼がしたかったのだ。
「お腹空いてませんか?何か食べたいものとかありますか?」
「いや、僕は別に……」
「もう、何でもいいんですよ!」
「そうは言ってもなぁ……」
食べ物に興味が無いのか、彼は気が乗らないというような顔をしていた。
(男の子なのに私より少食なのね……)
何だか自分の食い意地恥ずかしくなってきた。
考えてみれば婚約者である殿下もそれほど食べる人では無く、お茶会で用意されたお菓子はほとんど私の胃の中に吸収されている。
「じゃあ、ああいうのはどうですか」
「……あれは?」
そこで私が指を差したのは射的や輪投げなどのゲームコーナーだ。
(ああいうのなら、男の子でも楽しめるでしょ!)
「楽しそうじゃないですか!行ってみませんか?」
「……そうだな」
彼が静かに頷き、私たちはその一帯へと歩みを進めた。
たくさんの店が立ち並んでいたが、その中で侯爵令息が興味を示したのは意外なものだった。
「……くじ引き?」
「……」
彼は数多くある屋台のくじ引きのコーナーに目を奪われていた。
「あれがやりたいんですか?」
「……いや、あの三等のやつ」
そこでフォンド侯爵令息が指を差したのは、後ろに置かれている景品の中にあったクマのぬいぐるみだった。
(……侯爵令息ってああいうの好きなのかしら?)
私の考えていることに気付いたのか、彼が慌てて首を横に振った。
「ち、違う!ただ、年の離れた従姉妹に贈ったら喜ぶかと思っただけで……」
「へぇ~!従姉妹さんいるんですね!何歳になるんですか?」
「今年で八歳だ」
「じゃあ、何が何でも取ってあげないとですね!」
侯爵令息は毒舌ではあるが、根は優しい人のようだ。
「くじ引き一回お願いします!」
「はい、ありがとうございます!」
私はミリアに内緒で持って来ていたお金の入った小袋を懐から取り出した。
(足りなかったらどうしようって念のため持って来ておいたんだよね、良かった!)
店主にお金を払った私は、後ろにいた侯爵令息の方を振り返った。
「さぁ、ラルフ様!くじを引いてください!」
「……君が代金を払ったのだから君が引くべきだろう」
「え、私が引いていいんですか?」
「ああ」
(……遠慮しているのかしら?でもそれなら強要はしない方がいいわよね)
フォンド侯爵令息の顔をチラリと確認した私は、意を決してくじ引きに臨んだ。
「――残念!参加賞のクッキーです!」
「は、外れたぁ……」
私が店主から受け取ったのは外れくじを引いた人がもらえるクッキーだ。
(たった一枚だけ……これじゃ腹の足しにもならないわ……)
「もう一回!もう一回するわ!」
今までに感じたことのない悔しさを覚えた私は、もう一度くじ引きにチャレンジすることにした。
しかし結果は――
「――五等!お菓子の詰め合わせセット!」
「ぐぬぬ……」
そしてさらに――
「――六等!この夏楽しめる花火セット!」
「むう……」
何度挑戦したところで、なかなか欲しいものが手に入らない。
しかしそれでも私は諦めなかった。
「も、もう一回!」
「お、おい!もういいよ!金の無駄に……」
気付けば私はフォンド侯爵令息の制止も聞かずに再びくじを引いていた。
(今度こそ……今度こそ絶対に……!)
私はどうか当たりますようにと願いを込めて数多くのくじの中から一つを引き抜いた。
「えいっ!」
「お……これは……」
私の引いたくじを確認した店主の顔がパァッと明るいものになった。
そして、チャリンチャリンというベルの音が辺り一帯に鳴り響いた。
「おめでとうございます!三等!」
「や、や、やった~!!!」
ついに私は、目的である三等を引き当てたのである。
(ああ、こんなにも嬉しいのはいつぶりかしら!)
喜びのあまり、私は人目があるにもかかわらずキャッキャッと飛び跳ねてしまっていた。
「……」
そんな私の様子を、侯爵令息は後ろからじっと見つめていた。
しかし、今の私にとってはそれどころではない。
このままずっと一人ぼっちで行動することになるのではないかという恐怖から解放されて、堪えていた涙が出てきそうになっていた。
「良かった!本当に良かった!」
「……ッ!?」
安心して彼の手をギュッと握ると、侯爵令息はビクリとなった。
「な、何故君が……」
「あ、すみません!私ったらつい!」
そこでようやく自分の失態に気付いた私は慌てて彼から手を離した。
(いけないわ……いくら焦っていたからってこんな風に気安く異性の体に触ってしまうだなんて……)
このことが王妃教育を担当する講師たちに知られたらとんでもないことになるだろう。
私はすぐに彼に事情を説明した。
「実は私、知人と一緒にお忍びでここへ来ていたのですが……はぐれてしまったんです」
「やっぱりそうだったか」
フォンド侯爵令息は予想通りだとでも言わんばかりに私をじっと見つめた。
勘が良いようだ。
「それでフォンド侯爵令息の姿を見つけたので……追いかけてきました」
「……」
それに対して彼は呆れたような顔をした。
(侯爵令息もきっとお忍びで来ているのね……でも一人で?)
よく見てみると、彼は私と同じく平民の男の子が着るような服を着用している。
それでも貴族特有のオーラは隠せていないが。
「あの、失礼ですがお一人ですか?」
「……いや、マリアンヌの荷物持ちとしてついて来たけど……長くなりそうだからどっかで座っててくれって」
「あら、まぁ……」
私の反応を見て、フォンド侯爵令息が不快そうに顔をしかめた。
「……まさか僕が友達いないから一人で来てるとでも思ってたの?」
「あ……」
正直心のどこかでそう思ってはいたが、まさか本人に勘付かれていたとは。
今世での私は思っていることが顔に出やすいらしい。
気が抜けているのかもしれない。
「……いえ、決してそんなことは」
「……」
彼が私をジト目で見つめた。
(す、すごく疑われてる!)
焦った私は、話を逸らした。
「フォ、フォンド侯爵令息!せっかくだから一緒に回りましょうよ!」
「……それって二人でってこと?変に誤解されたらどうするつもり?僕は婚約者とかいないからいいけど……君は……」
「迷子になった私を知人の元まで送り届けていたって言えばいいんですよ!」
(何より、もう一人でいるのは嫌だしね)
オルレリアン王国の王都は決して治安が良い場所ではない。
一人でいた女性が暴漢に襲われたり人攫いに遭ったという話は何度か聞いたことがある。
だからこそ、私はどうしても彼と行動を共にしたかったのだ。
それを除いても、侯爵令息には恩があるし。
「フォンド侯爵令息、こんなところに女の子が一人でいたらどうなるか分からないわけではないでしょう?」
「……」
結局侯爵令息は渋々、私の提案に頷いた。
(良かった……!)
それから私たちは二人で歩き出した。
「この間のお礼も兼ねて、今日は私に奢らせてください」
「お礼?」
「殿下とのことです!」
「あぁ、あれか……」
彼に助けられたのは紛れも無い事実である。
だからこそ、どうしてもお礼がしたかったのだ。
「お腹空いてませんか?何か食べたいものとかありますか?」
「いや、僕は別に……」
「もう、何でもいいんですよ!」
「そうは言ってもなぁ……」
食べ物に興味が無いのか、彼は気が乗らないというような顔をしていた。
(男の子なのに私より少食なのね……)
何だか自分の食い意地恥ずかしくなってきた。
考えてみれば婚約者である殿下もそれほど食べる人では無く、お茶会で用意されたお菓子はほとんど私の胃の中に吸収されている。
「じゃあ、ああいうのはどうですか」
「……あれは?」
そこで私が指を差したのは射的や輪投げなどのゲームコーナーだ。
(ああいうのなら、男の子でも楽しめるでしょ!)
「楽しそうじゃないですか!行ってみませんか?」
「……そうだな」
彼が静かに頷き、私たちはその一帯へと歩みを進めた。
たくさんの店が立ち並んでいたが、その中で侯爵令息が興味を示したのは意外なものだった。
「……くじ引き?」
「……」
彼は数多くある屋台のくじ引きのコーナーに目を奪われていた。
「あれがやりたいんですか?」
「……いや、あの三等のやつ」
そこでフォンド侯爵令息が指を差したのは、後ろに置かれている景品の中にあったクマのぬいぐるみだった。
(……侯爵令息ってああいうの好きなのかしら?)
私の考えていることに気付いたのか、彼が慌てて首を横に振った。
「ち、違う!ただ、年の離れた従姉妹に贈ったら喜ぶかと思っただけで……」
「へぇ~!従姉妹さんいるんですね!何歳になるんですか?」
「今年で八歳だ」
「じゃあ、何が何でも取ってあげないとですね!」
侯爵令息は毒舌ではあるが、根は優しい人のようだ。
「くじ引き一回お願いします!」
「はい、ありがとうございます!」
私はミリアに内緒で持って来ていたお金の入った小袋を懐から取り出した。
(足りなかったらどうしようって念のため持って来ておいたんだよね、良かった!)
店主にお金を払った私は、後ろにいた侯爵令息の方を振り返った。
「さぁ、ラルフ様!くじを引いてください!」
「……君が代金を払ったのだから君が引くべきだろう」
「え、私が引いていいんですか?」
「ああ」
(……遠慮しているのかしら?でもそれなら強要はしない方がいいわよね)
フォンド侯爵令息の顔をチラリと確認した私は、意を決してくじ引きに臨んだ。
「――残念!参加賞のクッキーです!」
「は、外れたぁ……」
私が店主から受け取ったのは外れくじを引いた人がもらえるクッキーだ。
(たった一枚だけ……これじゃ腹の足しにもならないわ……)
「もう一回!もう一回するわ!」
今までに感じたことのない悔しさを覚えた私は、もう一度くじ引きにチャレンジすることにした。
しかし結果は――
「――五等!お菓子の詰め合わせセット!」
「ぐぬぬ……」
そしてさらに――
「――六等!この夏楽しめる花火セット!」
「むう……」
何度挑戦したところで、なかなか欲しいものが手に入らない。
しかしそれでも私は諦めなかった。
「も、もう一回!」
「お、おい!もういいよ!金の無駄に……」
気付けば私はフォンド侯爵令息の制止も聞かずに再びくじを引いていた。
(今度こそ……今度こそ絶対に……!)
私はどうか当たりますようにと願いを込めて数多くのくじの中から一つを引き抜いた。
「えいっ!」
「お……これは……」
私の引いたくじを確認した店主の顔がパァッと明るいものになった。
そして、チャリンチャリンというベルの音が辺り一帯に鳴り響いた。
「おめでとうございます!三等!」
「や、や、やった~!!!」
ついに私は、目的である三等を引き当てたのである。
(ああ、こんなにも嬉しいのはいつぶりかしら!)
喜びのあまり、私は人目があるにもかかわらずキャッキャッと飛び跳ねてしまっていた。
「……」
そんな私の様子を、侯爵令息は後ろからじっと見つめていた。
230
お気に入りに追加
5,913
あなたにおすすめの小説
【完結】わたしが嫌いな幼馴染の執着から逃げたい。
たろ
恋愛
今まで何とかぶち壊してきた婚約話。
だけど今回は無理だった。
突然の婚約。
え?なんで?嫌だよ。
幼馴染のリヴィ・アルゼン。
ずっとずっと友達だと思ってたのに魔法が使えなくて嫌われてしまった。意地悪ばかりされて嫌われているから避けていたのに、それなのになんで婚約しなきゃいけないの?
好き過ぎてリヴィはミルヒーナに意地悪したり冷たくしたり。おかげでミルヒーナはリヴィが苦手になりとにかく逃げてしまう。
なのに気がつけば結婚させられて……
意地悪なのか優しいのかわからないリヴィ。
戸惑いながらも少しずつリヴィと幸せな結婚生活を送ろうと頑張り始めたミルヒーナ。
なのにマルシアというリヴィの元恋人が現れて……
「離縁したい」と思い始めリヴィから逃げようと頑張るミルヒーナ。
リヴィは、ミルヒーナを逃したくないのでなんとか関係を修復しようとするのだけど……
◆ 短編予定でしたがやはり長編になってしまいそうです。
申し訳ありません。
【完結】二度目の恋はもう諦めたくない。
たろ
恋愛
セレンは15歳の時に16歳のスティーブ・ロセスと結婚した。いわゆる政略的な結婚で、幼馴染でいつも喧嘩ばかりの二人は歩み寄りもなく一年で離縁した。
その一年間をなかったものにするため、お互い全く別のところへ移り住んだ。
スティーブはアルク国に留学してしまった。
セレンは国の文官の試験を受けて働くことになった。配属は何故か騎士団の事務員。
本人は全く気がついていないが騎士団員の間では
『可愛い子兎』と呼ばれ、何かと理由をつけては事務室にみんな足を運ぶこととなる。
そんな騎士団に入隊してきたのが、スティーブ。
お互い結婚していたことはなかったことにしようと、話すこともなく目も合わせないで過ごした。
本当はお互い好き合っているのに素直になれない二人。
そして、少しずつお互いの誤解が解けてもう一度……
始めの数話は幼い頃の出会い。
そして結婚1年間の話。
再会と続きます。
【完結】内緒で死ぬことにした〜いつかは思い出してくださいわたしがここにいた事を、なぜわたしは生まれ変わったの?〜
たろ
恋愛
この話は
『内緒で死ぬことにした 〜いつかは思い出してくださいわたしがここにいた事を〜』
の続編です。
アイシャが亡くなった後、リサはルビラ王国の公爵の息子であるハイド・レオンバルドと結婚した。
そして、アイシャを産んだ。
父であるカイザも、リサとハイドも、アイシャが前世のそのままの姿で転生して、自分たちの娘として生まれてきたことを知っていた。
ただアイシャには昔の記憶がない。
だからそのことは触れず、新しいアイシャとして慈しみ愛情を与えて育ててきた。
アイシャが家族に似ていない、自分は一体誰の子供なのだろうと悩んでいることも知らない。
親戚にあたる王子や妹に、意地悪を言われていることも両親は気が付いていない。
アイシャの心は、少しずつ壊れていくことに……
明るく振る舞っているとは知らずに可愛いアイシャを心から愛している両親と祖父。
アイシャを助け出して心を救ってくれるのは誰?
◆ ◆ ◆
今回もまた辛く悲しい話しが出てきます。
無理!またなんで!
と思われるかもしれませんが、アイシャは必ず幸せになります。
もし読んでもいいなと思う方のみ、読んで頂けたら嬉しいです。
多分かなりイライラします。
すみません、よろしくお願いします
★内緒で死ぬことにした の最終話
キリアン君15歳から14歳
アイシャ11歳から10歳
に変更しました。
申し訳ありません。
【完結】浮気された私は貴方の子どもを内緒で育てます 時々番外編
たろ
恋愛
朝目覚めたら隣に見慣れない女が裸で寝ていた。
レオは思わずガバッと起きた。
「おはよう〜」
欠伸をしながらこちらを見ているのは結婚前に、昔付き合っていたメアリーだった。
「なんでお前が裸でここにいるんだ!」
「あら、失礼しちゃうわ。昨日無理矢理連れ込んで抱いたのは貴方でしょう?」
レオの妻のルディアは事実を知ってしまう。
子どもが出来たことでルディアと別れてメアリーと再婚するが………。
ルディアはレオと別れた後に妊娠に気づきエイミーを産んで育てることになった。
そしてレオとメアリーの子どものアランとエイミーは13歳の時に学園で同級生となってしまう。
レオとルディアの誤解が解けて結ばれるのか?
エイミーが恋を知っていく
二つの恋のお話です
【完結】内緒で死ぬことにした 〜いつかは思い出してくださいわたしがここにいた事を〜
たろ
恋愛
手術をしなければ助からないと言われました。
でもわたしは利用価値のない人間。
手術代など出してもらえるわけもなく……死ぬまで努力し続ければ、いつかわたしのことを、わたしの存在を思い出してくれるでしょうか?
少しでいいから誰かに愛されてみたい、死ぬまでに一度でいいから必要とされてみたい。
生きることを諦めた女の子の話です
★異世界のゆるい設定です
【完結】妹にあげるわ。
たろ
恋愛
なんでも欲しがる妹。だったら要らないからあげるわ。
婚約者だったケリーと妹のキャサリンが我が家で逢瀬をしていた時、妹の紅茶の味がおかしかった。
それだけでわたしが殺そうとしたと両親に責められた。
いやいやわたし出かけていたから!知らないわ。
それに婚約は半年前に解消しているのよ!書類すら見ていないのね?お父様。
なんでも欲しがる妹。可愛い妹が大切な両親。
浮気症のケリーなんて喜んで妹にあげるわ。ついでにわたしのドレスも宝石もどうぞ。
家を追い出されて意気揚々と一人で暮らし始めたアリスティア。
もともと家を出る計画を立てていたので、ここから幸せに………と思ったらまた妹がやってきて、今度はアリスティアの今の生活を欲しがった。
だったら、この生活もあげるわ。
だけどね、キャサリン……わたしの本当に愛する人たちだけはあげられないの。
キャサリン達に痛い目に遭わせて……アリスティアは幸せになります!
冤罪から逃れるために全てを捨てた。
四折 柊
恋愛
王太子の婚約者だったオリビアは冤罪をかけられ捕縛されそうになり全てを捨てて家族と逃げた。そして以前留学していた国の恩師を頼り、新しい名前と身分を手に入れ幸せに過ごす。1年が過ぎ今が幸せだからこそ思い出してしまう。捨ててきた国や自分を陥れた人達が今どうしているのかを。(視点が何度も変わります)
【完結】婚約破棄した王子と男爵令嬢のその後……は幸せ?……な訳ない!
たろ
恋愛
「エリザベス、君との婚約を破棄する」
「どうしてそんな事を言うのですか?わたしが何をしたと言うのでしょう」
「君は僕の愛するイライザに対して嫌がらせをしただろう、そんな意地の悪い君のことは愛せないし結婚など出来ない」
「……愛せない……わかりました。殿下……の言葉を……受け入れます」
なんで君がそんな悲しそうな顔をするんだ?
この話は婚約破棄をして、父親である陛下に嘘で固めて公爵令嬢のエリザベスを貶めたと怒られて
「そんなにその男爵令嬢が好きなら王族をやめて男爵に婿に行け」と言われ、廃嫡される王子のその後のお話です。
頭脳明晰、眉目秀麗、みんなが振り向くかっこいい殿下……なのにエリザベスの前では残念な男。
★軽い感じのお話です
そして、殿下がひたすら残念です
広ーい気持ちで読んでいただけたらと思います
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる