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27 断罪③
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「そ、それは一体どういうことだ……?」
王太子殿下はキャロラインの言葉の意味が理解出来ないようで、瞬きも忘れて愛する女の微笑みをじっと見つめていた。
「言葉通りの意味よ。私、貴方のことをすごく愛してるけれどアーノルド様たちのことも愛しているの」
「キャロライン……」
顔が青くなっていく王太子殿下の頬をキャロラインは優しく撫でた。
その優しい手付きが今では恐ろしく感じるほど不気味だった。
「こうなるのは仕方が無いことだったのよ、だって彼らが可哀相だし」
「可哀相……?」
「貴方だけが私を独り占めするだなんて不公平でしょう?」
「何を……言って……」
(理解出来ないのも当然だわ)
真実の愛とはこの世の誰か一人にのみ抱く感情。
ただお互いだけを死ぬまで想い続ける。
愛で結ばれた両親を見て育った王太子はそう思って生きてきたに違いない。
しかし、キャロラインの考えは違う。
「わ、私を一番に愛しているから……だから私のプロポーズを受け入れたのではなかったのか……!?」
「私は全員を平等に愛しているわ」
「そ、そんな……」
殿下は泣きそうな顔になっていた。
キャロラインが選んだのは自分、彼女が愛しているのは自分だけ、そう信じていたのだろう。
「本気でアーノルドたちのことを愛しているというのか……!?」
「ええ、そうよ。貴方は私が好きでもない男と体の関係を持つ女だと思っているの?」
「い、いや……そういうわけでは……」
「なら、分かってくれるわね?」
「……」
王太子殿下が黙り込んだ。
おそらくキャロラインを愛する気持ちはまだ残っているのだろう。
だからこそ、不貞の事実が受け入れられないのだ。
この国では一妻多夫なんてものは無い。
王が世継ぎを多く作るために側室を娶ることはあれど、王妃が同じことをすればそれは不貞になってしまう。
彼女はそれを理解しているのだろうか。
「ねぇ、ナイゼル様。結婚するときに言ってたわよね?私の望みは何でも叶えてくれるって」
「言ったが……それは十分叶えたではないか!ドレスや宝石、君が欲しいと言ったものは何だって買った!私との結婚生活の何が不満だったというんだ!」
殿下が騒ぎ出すと、キャロラインの目が途端に冷たくなった。
彼女は小さなため息をつき、氷のように冷たい表情を変えることなく言った。
「――退屈だったのよ、貴方との結婚生活は」
「な、何だと……?」
「貴方って話はつまらないし、ただ地位が高いだけの男って感じ?」
「キャロライン……」
そこで彼女は王太子殿下からこちらに視線を移した。
正確に言えば、私ではなく横にいた第二王子殿下だ。
殿下を見つめる彼女の目がキラキラと輝いた。
「その分、グレイ様はとっても素敵な人よね!あんなに完璧な人は初めて見たわ!地位も富も名誉も全て持っていて……まさに私の理想の王子様って感じ!」
「グ、グレイ……?」
王太子殿下の顔がグニャリと歪んだ。
しかし当の本人はそんな夫のことなど気にも留めていないようで、その視線は第二王子殿下に固定されている。
(だから第二王子殿下を狙っていたというわけね)
立ち上がったキャロラインが殿下に駆け寄った。
「グレイ様!貴方を私の一番にしてあげるわ!だから私の恋人に――」
「――触るな」
手が触れる直前、第二王子殿下がキャロラインの手を払い除けた。
「………………………え?」
王太子殿下はキャロラインの言葉の意味が理解出来ないようで、瞬きも忘れて愛する女の微笑みをじっと見つめていた。
「言葉通りの意味よ。私、貴方のことをすごく愛してるけれどアーノルド様たちのことも愛しているの」
「キャロライン……」
顔が青くなっていく王太子殿下の頬をキャロラインは優しく撫でた。
その優しい手付きが今では恐ろしく感じるほど不気味だった。
「こうなるのは仕方が無いことだったのよ、だって彼らが可哀相だし」
「可哀相……?」
「貴方だけが私を独り占めするだなんて不公平でしょう?」
「何を……言って……」
(理解出来ないのも当然だわ)
真実の愛とはこの世の誰か一人にのみ抱く感情。
ただお互いだけを死ぬまで想い続ける。
愛で結ばれた両親を見て育った王太子はそう思って生きてきたに違いない。
しかし、キャロラインの考えは違う。
「わ、私を一番に愛しているから……だから私のプロポーズを受け入れたのではなかったのか……!?」
「私は全員を平等に愛しているわ」
「そ、そんな……」
殿下は泣きそうな顔になっていた。
キャロラインが選んだのは自分、彼女が愛しているのは自分だけ、そう信じていたのだろう。
「本気でアーノルドたちのことを愛しているというのか……!?」
「ええ、そうよ。貴方は私が好きでもない男と体の関係を持つ女だと思っているの?」
「い、いや……そういうわけでは……」
「なら、分かってくれるわね?」
「……」
王太子殿下が黙り込んだ。
おそらくキャロラインを愛する気持ちはまだ残っているのだろう。
だからこそ、不貞の事実が受け入れられないのだ。
この国では一妻多夫なんてものは無い。
王が世継ぎを多く作るために側室を娶ることはあれど、王妃が同じことをすればそれは不貞になってしまう。
彼女はそれを理解しているのだろうか。
「ねぇ、ナイゼル様。結婚するときに言ってたわよね?私の望みは何でも叶えてくれるって」
「言ったが……それは十分叶えたではないか!ドレスや宝石、君が欲しいと言ったものは何だって買った!私との結婚生活の何が不満だったというんだ!」
殿下が騒ぎ出すと、キャロラインの目が途端に冷たくなった。
彼女は小さなため息をつき、氷のように冷たい表情を変えることなく言った。
「――退屈だったのよ、貴方との結婚生活は」
「な、何だと……?」
「貴方って話はつまらないし、ただ地位が高いだけの男って感じ?」
「キャロライン……」
そこで彼女は王太子殿下からこちらに視線を移した。
正確に言えば、私ではなく横にいた第二王子殿下だ。
殿下を見つめる彼女の目がキラキラと輝いた。
「その分、グレイ様はとっても素敵な人よね!あんなに完璧な人は初めて見たわ!地位も富も名誉も全て持っていて……まさに私の理想の王子様って感じ!」
「グ、グレイ……?」
王太子殿下の顔がグニャリと歪んだ。
しかし当の本人はそんな夫のことなど気にも留めていないようで、その視線は第二王子殿下に固定されている。
(だから第二王子殿下を狙っていたというわけね)
立ち上がったキャロラインが殿下に駆け寄った。
「グレイ様!貴方を私の一番にしてあげるわ!だから私の恋人に――」
「――触るな」
手が触れる直前、第二王子殿下がキャロラインの手を払い除けた。
「………………………え?」
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