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21 第二王子の考え
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「よく来たな、公爵夫人」
「第二王子殿下にご挨拶申し上げます」
ある日の正午。
私は王子宮の一室にて、第二王子グレイと密かに会っていた。
王太子夫妻は新婚旅行に行っているらしく、今この国にはいない。
そして国王夫妻も基本的に第二王子殿下の動向を気にすることは無い。
それが功を奏した。
「久しぶりだな」
「お久しぶりです、殿下」
殿下に挨拶を済ませた私は、正面の椅子に座った。
「公爵は変わらないか?」
「はい、相変わらず家に帰ってくることはありません」
「そうか、王太子妃によく似たあの女に骨抜きになっているようだな」
殿下が眉をひそめた。
私は少し前にエイミーと遭遇したときのことを彼に話した。
「そうか……彼らも兄上も趣味が良くないな。まぁ、まともな女であれば四人の男の愛人なんてしないだろうが」
「まったくですね」
彼の言葉に頷いた。
兄と違ってまともな感性を持っているようで安心した。
ふと目の前にいる殿下をじっくりと見つめると、あることに気が付いた。
(グレイ殿下……寝不足かしら?)
久々に目にする殿下は何故か前に会ったときよりもやつれて見えた。
よく見たら目の下にクマがある、よく眠れていないのだろうか。
「殿下、とても疲れているように見えますが……」
「ああ……」
尋ねると、彼は額を手で押さえて溜息をついた。
どうやら何かわけがあるようだ。
「実は……王太子妃が何かと関わってくるようになってな」
「王太子妃殿下が?」
その名前を聞いた私は、不快感を隠しきれなかった。
(どうしてキャロラインが……)
殿下は義姉となったキャロラインに悩まされているようだった。
「突然茶に誘ったり、部屋にやってきたりと何を考えているのか……」
「面倒なことになりましたね、殿下」
(義弟になる人と仲良くなりたいのかしら?いいえ、でもキャロラインならそのような考えはしないはず……)
彼女は地位が高く、見目麗しい男が好きだった。
実際、学園内でも高位貴族ばかりをターゲットにしていたほどだ。
ナイゼル王太子の腹違いの弟であるグレイ殿下は地位の高さに加えて王国で最も美しいと称されていた。
考えられることはただ一つ。
(もしかして……グレイ殿下を狙っているというの……!?)
今度は第二王子殿下に狙いを定めたのか。
キャロラインは危険だ、男を落とす天才と言ってもいいだろう。
「殿下……王太子妃は殿下を狙っているのかもしれません……」
「そのようだな、おかげで兄上からは前よりもずっと警戒されているよ」
(ビアンカ様を蹴落としてまで王太子妃になったっていうのに……)
キャロラインが第二王子殿下を狙っている理由がどうしても理解出来なかった。
地位も夫からの愛も全てを得ている。
これほど幸せな女性はこの国にはいないだろう。
(悩みの種が一つ増えてしまったわね……)
聡明なグレイ殿下がキャロラインの手に落ちるとは思えないが、彼女の性格上一度狙った獲物は絶対に逃さないだろう。
王太子妃という身分である以上断り続けることも難しい。
だからこそこんなにも疲弊しているのだろう。
ビアンカ様を失った上に、その原因となった女と親しくしなければならないだなんて、彼の心中は計り知れない。
「殿下……」
「平気だ、これくらいでへこたれるような男ではないからな」
彼は私を安心させるように笑った。
その切ない笑みが余計に辛かった。
「実は……私に良い考えがあるんだ」
「……良い考え、でございますか……?」
殿下がニヤリと不敵な笑みを浮かべた。
「――ああ、アイツらを一斉排除する良い方法がな」
「第二王子殿下にご挨拶申し上げます」
ある日の正午。
私は王子宮の一室にて、第二王子グレイと密かに会っていた。
王太子夫妻は新婚旅行に行っているらしく、今この国にはいない。
そして国王夫妻も基本的に第二王子殿下の動向を気にすることは無い。
それが功を奏した。
「久しぶりだな」
「お久しぶりです、殿下」
殿下に挨拶を済ませた私は、正面の椅子に座った。
「公爵は変わらないか?」
「はい、相変わらず家に帰ってくることはありません」
「そうか、王太子妃によく似たあの女に骨抜きになっているようだな」
殿下が眉をひそめた。
私は少し前にエイミーと遭遇したときのことを彼に話した。
「そうか……彼らも兄上も趣味が良くないな。まぁ、まともな女であれば四人の男の愛人なんてしないだろうが」
「まったくですね」
彼の言葉に頷いた。
兄と違ってまともな感性を持っているようで安心した。
ふと目の前にいる殿下をじっくりと見つめると、あることに気が付いた。
(グレイ殿下……寝不足かしら?)
久々に目にする殿下は何故か前に会ったときよりもやつれて見えた。
よく見たら目の下にクマがある、よく眠れていないのだろうか。
「殿下、とても疲れているように見えますが……」
「ああ……」
尋ねると、彼は額を手で押さえて溜息をついた。
どうやら何かわけがあるようだ。
「実は……王太子妃が何かと関わってくるようになってな」
「王太子妃殿下が?」
その名前を聞いた私は、不快感を隠しきれなかった。
(どうしてキャロラインが……)
殿下は義姉となったキャロラインに悩まされているようだった。
「突然茶に誘ったり、部屋にやってきたりと何を考えているのか……」
「面倒なことになりましたね、殿下」
(義弟になる人と仲良くなりたいのかしら?いいえ、でもキャロラインならそのような考えはしないはず……)
彼女は地位が高く、見目麗しい男が好きだった。
実際、学園内でも高位貴族ばかりをターゲットにしていたほどだ。
ナイゼル王太子の腹違いの弟であるグレイ殿下は地位の高さに加えて王国で最も美しいと称されていた。
考えられることはただ一つ。
(もしかして……グレイ殿下を狙っているというの……!?)
今度は第二王子殿下に狙いを定めたのか。
キャロラインは危険だ、男を落とす天才と言ってもいいだろう。
「殿下……王太子妃は殿下を狙っているのかもしれません……」
「そのようだな、おかげで兄上からは前よりもずっと警戒されているよ」
(ビアンカ様を蹴落としてまで王太子妃になったっていうのに……)
キャロラインが第二王子殿下を狙っている理由がどうしても理解出来なかった。
地位も夫からの愛も全てを得ている。
これほど幸せな女性はこの国にはいないだろう。
(悩みの種が一つ増えてしまったわね……)
聡明なグレイ殿下がキャロラインの手に落ちるとは思えないが、彼女の性格上一度狙った獲物は絶対に逃さないだろう。
王太子妃という身分である以上断り続けることも難しい。
だからこそこんなにも疲弊しているのだろう。
ビアンカ様を失った上に、その原因となった女と親しくしなければならないだなんて、彼の心中は計り知れない。
「殿下……」
「平気だ、これくらいでへこたれるような男ではないからな」
彼は私を安心させるように笑った。
その切ない笑みが余計に辛かった。
「実は……私に良い考えがあるんだ」
「……良い考え、でございますか……?」
殿下がニヤリと不敵な笑みを浮かべた。
「――ああ、アイツらを一斉排除する良い方法がな」
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