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18 愛人との遭遇
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「本当、いつ見ても華やかね……」
「奥様によくお似合いだと思います」
「そうかしら?」
第二王子と会ってから数週間が経ったある日のこと。
私は侍女と共に、近いうちに王宮で開かれる舞踏会のドレスを選んでいた。
(本当は家に呼ぶべきなんだろうけど……)
今日はブティックへ直接足を運んでいた。
理由はただ単に外に出たかったからだ。
公爵夫人である以上、そう簡単には外出など出来ない。
ずっと部屋にこもっているというのは息が詰まる。
それで気分転換も兼ねて久々に王都へ来たのである。
公爵邸にいる使用人たちは家に帰らず愛人にかまけている当主に愛想を尽かしたのか、私の行動に口出ししてくることは無くなった。
そのおかげで今こうやって自由に動けているわけだ。
「今日はありがとう、おかげで楽しく買い物出来たわ」
「侍女として、これくらいは当然のことでございます」
侍女と会話をしながら店を出ると、横から歩いてきた女性とぶつかった。
――「キャッ!!!」
女性は尻もちをついて倒れ込み、私は寸でのところで侍女に体を支えられた。
「あ、ありがとう……」
「この方を誰だと思っているんですか!!!」
私の体を支える侍女がぶつかった女を怒鳴り付けた。
「誰って……知らないわよ!私は……」
私の正体に気付いていないのか、女が言い返そうとした。
このままでは言い争いが始まってしまう。
ここは人目が多すぎる。
それだけは避けなければと慌てて口を開いた。
「ちょ、ちょっと待って……」
体勢を整えた私は、そのときようやく座り込む女の顔をしっかりと視界に入れた。
「あ、貴方は……!」
「……」
驚くことに、目を丸くしてこちらを見上げている女はキャロラインにそっくりだった。
(一瞬、本人かと思ったわ……)
キャロラインのことをよく知っている人物でも本人だと見間違えてしまうほどだろう。
私だって同じだ。
しかし、王太子妃が一人でこんなところを歩いているわけがないという考えに至り別人だと悟った。
それが意味するのは、つまり――
(この人が……アーノルドの愛人のエイミーね……)
どうやら私は王都で偶然夫の愛人に出会ってしまったようだ。
(写真で見るよりもずっとそっくりね……)
見れば見るほどよく似ている。
これだけそっくりなら、キャロラインの代わりを彼女に求めてしまうのも頷ける。
「奥様、大丈夫ですか?」
「ええ、私は平気だから心配しないで」
キャロラインにそっくりな女――エイミーはスカートに付いた汚れを手で払いながらゆっくりと立ち上がった。
「いたた……」
「……」
ぶつかっておいて謝罪すら無いようだ。
そんな彼女の態度にしびれを切らしたのか、侍女が冷たく言い放った。
「……奥様に何か言うことがあるのではないですか?」
「何よ?奥様って誰のこと?」
しかし、エイミーは悪びれる様子も無く、彼女の言葉をフンッと鼻で笑った。
ついに限界を迎えたのだろう、侍女が一歩前に出た。
「こちらにいらっしゃるのはアーノルド・フリーデル公爵閣下の奥様であらせられるシェリル・フリーデル公爵夫人です」
「……アーノルド?奥様?」
それを聞いたエイミーの唇が醜く弧を描いた。
「奥様によくお似合いだと思います」
「そうかしら?」
第二王子と会ってから数週間が経ったある日のこと。
私は侍女と共に、近いうちに王宮で開かれる舞踏会のドレスを選んでいた。
(本当は家に呼ぶべきなんだろうけど……)
今日はブティックへ直接足を運んでいた。
理由はただ単に外に出たかったからだ。
公爵夫人である以上、そう簡単には外出など出来ない。
ずっと部屋にこもっているというのは息が詰まる。
それで気分転換も兼ねて久々に王都へ来たのである。
公爵邸にいる使用人たちは家に帰らず愛人にかまけている当主に愛想を尽かしたのか、私の行動に口出ししてくることは無くなった。
そのおかげで今こうやって自由に動けているわけだ。
「今日はありがとう、おかげで楽しく買い物出来たわ」
「侍女として、これくらいは当然のことでございます」
侍女と会話をしながら店を出ると、横から歩いてきた女性とぶつかった。
――「キャッ!!!」
女性は尻もちをついて倒れ込み、私は寸でのところで侍女に体を支えられた。
「あ、ありがとう……」
「この方を誰だと思っているんですか!!!」
私の体を支える侍女がぶつかった女を怒鳴り付けた。
「誰って……知らないわよ!私は……」
私の正体に気付いていないのか、女が言い返そうとした。
このままでは言い争いが始まってしまう。
ここは人目が多すぎる。
それだけは避けなければと慌てて口を開いた。
「ちょ、ちょっと待って……」
体勢を整えた私は、そのときようやく座り込む女の顔をしっかりと視界に入れた。
「あ、貴方は……!」
「……」
驚くことに、目を丸くしてこちらを見上げている女はキャロラインにそっくりだった。
(一瞬、本人かと思ったわ……)
キャロラインのことをよく知っている人物でも本人だと見間違えてしまうほどだろう。
私だって同じだ。
しかし、王太子妃が一人でこんなところを歩いているわけがないという考えに至り別人だと悟った。
それが意味するのは、つまり――
(この人が……アーノルドの愛人のエイミーね……)
どうやら私は王都で偶然夫の愛人に出会ってしまったようだ。
(写真で見るよりもずっとそっくりね……)
見れば見るほどよく似ている。
これだけそっくりなら、キャロラインの代わりを彼女に求めてしまうのも頷ける。
「奥様、大丈夫ですか?」
「ええ、私は平気だから心配しないで」
キャロラインにそっくりな女――エイミーはスカートに付いた汚れを手で払いながらゆっくりと立ち上がった。
「いたた……」
「……」
ぶつかっておいて謝罪すら無いようだ。
そんな彼女の態度にしびれを切らしたのか、侍女が冷たく言い放った。
「……奥様に何か言うことがあるのではないですか?」
「何よ?奥様って誰のこと?」
しかし、エイミーは悪びれる様子も無く、彼女の言葉をフンッと鼻で笑った。
ついに限界を迎えたのだろう、侍女が一歩前に出た。
「こちらにいらっしゃるのはアーノルド・フリーデル公爵閣下の奥様であらせられるシェリル・フリーデル公爵夫人です」
「……アーノルド?奥様?」
それを聞いたエイミーの唇が醜く弧を描いた。
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