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その後
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その後。
クリスティーナの処刑が行われた。
死刑が確定したときの彼女は泣き喚くわけでもなく、暴れるわけでもなくただ刑の執行をじっと待っていた。
もしかすると、彼女は既に生きることを諦めていたのかもしれない。
彼女にとって、最も大切な人である先代の王妃陛下が亡くなったそのときから。
そして国王陛下は今回の一件が原因で廃位になった。
新しく王位を継いだのは彼の弟であるアルバート王弟殿下。
元々貴族全員が王の愚行を知っていたこともあり、反対する者は誰もいなかった。
陛下はあの日から変わらず抜け殻のようになっていて、離宮でも引きこもっているという。
そして同じく離宮に幽閉されることとなった先王陛下は囲っていた愛人たちの裏切りに怒り心頭であるようだ。
「あの女たちを全員連れ戻せ!一人残らず殺してやる!」とみっともなく騒いでるという。
どうやら陛下は愛人たちが本気で自分のことを愛していると思っていたようだ。
だが、彼女たちを責めることなど出来ないのではないか。
一生離宮で暮らすなど、私だって嫌なのだから。
その時点でもう先王陛下の傍にいる価値はないと考えたのだろう。
ある意味、賢明な判断だと言える。
それに加えてあの後、驚くべきことがもう一つあった。
仕事に復帰した私の元を、ある人物が訪ねてきたのだ。
「王妃陛下!どうか私を王妃陛下の侍女にしてくださいませんか!」
「……何ですって?」
頭を下げながらそう懇願してきたのは陛下の側妃だったアンナ様だ。
「私はあのとき、身を挺して私を守ってくださった王妃陛下に惚れました!王妃陛下のためなら死ねます!陛下に全てを捧げます!」
「……」
そう言った彼女の言葉に嘘があるとは思えなかった。
「分かったから、顔を上げてちょうだい」
「はい!陛下!」
彼女をどうするか悩んでいた私の元に、一部始終を見ていた王弟殿下とお兄様がやってきた。
「カテリーナ、良いんじゃないか。味方が増えて悪いことはないだろう」
「お兄様……」
結局、私はアンナ様の圧に負けて彼女を自分の侍女にした。
「ありがとうございます!王妃陛下!これからは結婚もしません!王妃陛下に一生を捧げます!」
「お、重い……」
アンナ様が嬉しそうな顔で部屋から出て行った後、グレンお兄様がニヤニヤしながら王弟殿下に言った。
「アルバート、これはなかなか大変なことになったな。カテリーナを少しでも傷付けたらアイツが第二のクリスティーナみたいになるかもしれないぞ」
「そ、それは勘弁だ……」
私の執務室に楽しそうな笑い声が響いた。
***
(本当に色んなことがあったなぁ……)
そして今日は、新しく王となった王弟殿下――いや、アルバート国王陛下と私の結婚式である。
「カテリーナ、そろそろ行こうか」
「あ、はい……」
結婚式用の白い服を着たアルバート陛下が、私の隣で優しく微笑んでいる。
ウィルフレッド陛下との結婚式はこんなんじゃなかった。
彼は一度も私を愛してくれなかったのだから。
彼とのことを考えると自然と暗い気持ちになってしまう。
そんな私を見た陛下が優しい口調で声を掛けた。
「カテリーナ、辛い過去は早く忘れるんだ。今君の隣にいるのは誰かな?」
「あ……アルバート様……です……」
「そうだ、私だ」
陛下は、私と婚約してからというもの辛い過去を早く忘れさせようと溢れるほどの愛情を私に注いでくれている。
そんな彼の優しさに思わず笑みが零れた。
「良かった、君が笑顔を取り戻してくれて」
「ふふふ、陛下のおかげですよ」
今の私がいるのは間違いなくアルバート陛下のおかげだ。
彼がこうやってプロポーズをしてくれなかったら、このような未来は訪れなかっただろう。
愛する人と結婚して、幸せに暮らす。
ウィルフレッド陛下と結婚した時点で私は全てを諦めていた。
ウィルフレッド陛下は私に指一本触れずに愛人たちを寵愛していた。
辛かったけど、仕方がないと思っていた。
一生こんな生活が続くのだろう、とも。
「私、こんなに幸せになれるだなんて思っていなかったです」
「ああ、私もだよ。君は兄上の婚約者だったからね。間違っても好きになってはいけない人だった」
「陛下……」
結婚式が行われる会場への入場の扉の前に立った陛下が、私に手を差し伸べながら言った。
「改めて私と結婚してくれますか、カテリーナ」
そう言った彼の姿はまるで、童話に出てくる王子様のようだった。
いや、私にとっては本当に王子様だ。
籠の中の鳥のように、王宮に閉じ込められていた私を光へと連れ出してくれた王子様。
「もちろんです、陛下」
私は陛下の手を取った。
それから私たちは手をギュッと握ったまま光り輝く未来へと足を踏み入れた。
―――――――――――――――――――――――
ここまで読んでくださってありがとうございました!
なかなか更新出来なかったのについてきてくださった方々、本当にありがとうございます!
クリスティーナの処刑が行われた。
死刑が確定したときの彼女は泣き喚くわけでもなく、暴れるわけでもなくただ刑の執行をじっと待っていた。
もしかすると、彼女は既に生きることを諦めていたのかもしれない。
彼女にとって、最も大切な人である先代の王妃陛下が亡くなったそのときから。
そして国王陛下は今回の一件が原因で廃位になった。
新しく王位を継いだのは彼の弟であるアルバート王弟殿下。
元々貴族全員が王の愚行を知っていたこともあり、反対する者は誰もいなかった。
陛下はあの日から変わらず抜け殻のようになっていて、離宮でも引きこもっているという。
そして同じく離宮に幽閉されることとなった先王陛下は囲っていた愛人たちの裏切りに怒り心頭であるようだ。
「あの女たちを全員連れ戻せ!一人残らず殺してやる!」とみっともなく騒いでるという。
どうやら陛下は愛人たちが本気で自分のことを愛していると思っていたようだ。
だが、彼女たちを責めることなど出来ないのではないか。
一生離宮で暮らすなど、私だって嫌なのだから。
その時点でもう先王陛下の傍にいる価値はないと考えたのだろう。
ある意味、賢明な判断だと言える。
それに加えてあの後、驚くべきことがもう一つあった。
仕事に復帰した私の元を、ある人物が訪ねてきたのだ。
「王妃陛下!どうか私を王妃陛下の侍女にしてくださいませんか!」
「……何ですって?」
頭を下げながらそう懇願してきたのは陛下の側妃だったアンナ様だ。
「私はあのとき、身を挺して私を守ってくださった王妃陛下に惚れました!王妃陛下のためなら死ねます!陛下に全てを捧げます!」
「……」
そう言った彼女の言葉に嘘があるとは思えなかった。
「分かったから、顔を上げてちょうだい」
「はい!陛下!」
彼女をどうするか悩んでいた私の元に、一部始終を見ていた王弟殿下とお兄様がやってきた。
「カテリーナ、良いんじゃないか。味方が増えて悪いことはないだろう」
「お兄様……」
結局、私はアンナ様の圧に負けて彼女を自分の侍女にした。
「ありがとうございます!王妃陛下!これからは結婚もしません!王妃陛下に一生を捧げます!」
「お、重い……」
アンナ様が嬉しそうな顔で部屋から出て行った後、グレンお兄様がニヤニヤしながら王弟殿下に言った。
「アルバート、これはなかなか大変なことになったな。カテリーナを少しでも傷付けたらアイツが第二のクリスティーナみたいになるかもしれないぞ」
「そ、それは勘弁だ……」
私の執務室に楽しそうな笑い声が響いた。
***
(本当に色んなことがあったなぁ……)
そして今日は、新しく王となった王弟殿下――いや、アルバート国王陛下と私の結婚式である。
「カテリーナ、そろそろ行こうか」
「あ、はい……」
結婚式用の白い服を着たアルバート陛下が、私の隣で優しく微笑んでいる。
ウィルフレッド陛下との結婚式はこんなんじゃなかった。
彼は一度も私を愛してくれなかったのだから。
彼とのことを考えると自然と暗い気持ちになってしまう。
そんな私を見た陛下が優しい口調で声を掛けた。
「カテリーナ、辛い過去は早く忘れるんだ。今君の隣にいるのは誰かな?」
「あ……アルバート様……です……」
「そうだ、私だ」
陛下は、私と婚約してからというもの辛い過去を早く忘れさせようと溢れるほどの愛情を私に注いでくれている。
そんな彼の優しさに思わず笑みが零れた。
「良かった、君が笑顔を取り戻してくれて」
「ふふふ、陛下のおかげですよ」
今の私がいるのは間違いなくアルバート陛下のおかげだ。
彼がこうやってプロポーズをしてくれなかったら、このような未来は訪れなかっただろう。
愛する人と結婚して、幸せに暮らす。
ウィルフレッド陛下と結婚した時点で私は全てを諦めていた。
ウィルフレッド陛下は私に指一本触れずに愛人たちを寵愛していた。
辛かったけど、仕方がないと思っていた。
一生こんな生活が続くのだろう、とも。
「私、こんなに幸せになれるだなんて思っていなかったです」
「ああ、私もだよ。君は兄上の婚約者だったからね。間違っても好きになってはいけない人だった」
「陛下……」
結婚式が行われる会場への入場の扉の前に立った陛下が、私に手を差し伸べながら言った。
「改めて私と結婚してくれますか、カテリーナ」
そう言った彼の姿はまるで、童話に出てくる王子様のようだった。
いや、私にとっては本当に王子様だ。
籠の中の鳥のように、王宮に閉じ込められていた私を光へと連れ出してくれた王子様。
「もちろんです、陛下」
私は陛下の手を取った。
それから私たちは手をギュッと握ったまま光り輝く未来へと足を踏み入れた。
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ここまで読んでくださってありがとうございました!
なかなか更新出来なかったのについてきてくださった方々、本当にありがとうございます!
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