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それからさらに数日後。
「お兄様!」
「カテリーナ、急にどうした!?」
私は急遽グレンお兄様を王宮へと呼び寄せていた。かなり忙しいはずなのに、すぐに駆けつけてくれたお兄様には本当に感謝しかない。
「お兄様、落ち着いて聞いてください。側妃様たちの罪について調べ直したところ、ある事実が分かったんです」
「ある事実?それは一体何だ?」
お兄様が不思議そうに首を傾げた。私はそんなお兄様にハッキリと告げた。
「お兄様、やはり三人の罪に関してはクリスティーナ様は無関係ではありませんでした」
「・・・何ッ!?」
それを聞いたお兄様は驚きすぎて大声を上げていた。結界を張っていなければ部屋の外にまで聞こえていただろう。
そうなるのも無理はない。お兄様の調査では三人の犯した罪は全て事実であるということが証明されているのだから。
「カテリーナ、それは一体どういう意味だ?」
お兄様が切羽詰まった顔で尋ねた。
「追放された三名の方々の消息が分からなくなっています」
「何?」
「そのことを疑問に思った私は、侍従に追放された方々とクリスティーナ様の関係を調べてみたのです。そしたら・・・」
「そしたら?」
「一連の事件は、クリスティーナ様が意図的に起こしたことだったのです」
「何だって・・・?」
お兄様は怪訝そうな顔をして少しだけ考え込んだ後、口を開いた。
「だが、カテリーナ。あの三人の罪は紛れもなく事実だ。それを意図的にだなんて・・・」
「ええ、ですからクリスティーナ様があのお三方に罪を犯すように誘導したのですよ」
「・・・!」
そう、三人の犯した罪は全て裏でクリスティーナ様が関わっていた。
まずは第一側妃のリリア様だ。リリア様は直接クリスティーナ様とは関わっていないが、どうやらクリスティーナ様が彼女に意図的に陛下との逢瀬を見せつけていたようなのである。
実際、クリスティーナ様が陛下とよく逢瀬をしていた場所はリリア様のお気に入りの場所だった。
次にローズ様とイブリン様。あの二人に関しても同じである。ローズ様とイブリン様はクリスティーナ様と親交があった。クリスティーナ様が二人を唆したのだ。
おそらく彼女は事前に調べていたのだろう。
側妃や愛妾たちの性格、好きな物や嫌いな物、細かい情報まで全て。
(本当に恐ろしいわね・・・)
クリスティーナ様はかなり用意周到なようである。
「そういうことだったのか・・・」
「はい、お兄様」
お兄様はしばらく黙り込んだ後、私の名前を呼んだ。
「――カテリーナ」
「はい」
「この件は王弟殿下に報告しよう」
「お兄様・・・」
「もしかしたら、あの愚王を王座から引きずり下ろすのが少々早くなるかもしれない。それだけは覚悟しておいてくれ」
「・・・!」
その言葉に、私はハッとなった。
少し前までの私ならきっとお兄様の行動を止めていただろう。しかし、今は違う。
「はい、分かりました、お兄様!」
私は決意のこもった目で、お兄様にそう答えた。
「お兄様!」
「カテリーナ、急にどうした!?」
私は急遽グレンお兄様を王宮へと呼び寄せていた。かなり忙しいはずなのに、すぐに駆けつけてくれたお兄様には本当に感謝しかない。
「お兄様、落ち着いて聞いてください。側妃様たちの罪について調べ直したところ、ある事実が分かったんです」
「ある事実?それは一体何だ?」
お兄様が不思議そうに首を傾げた。私はそんなお兄様にハッキリと告げた。
「お兄様、やはり三人の罪に関してはクリスティーナ様は無関係ではありませんでした」
「・・・何ッ!?」
それを聞いたお兄様は驚きすぎて大声を上げていた。結界を張っていなければ部屋の外にまで聞こえていただろう。
そうなるのも無理はない。お兄様の調査では三人の犯した罪は全て事実であるということが証明されているのだから。
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お兄様が切羽詰まった顔で尋ねた。
「追放された三名の方々の消息が分からなくなっています」
「何?」
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「そしたら?」
「一連の事件は、クリスティーナ様が意図的に起こしたことだったのです」
「何だって・・・?」
お兄様は怪訝そうな顔をして少しだけ考え込んだ後、口を開いた。
「だが、カテリーナ。あの三人の罪は紛れもなく事実だ。それを意図的にだなんて・・・」
「ええ、ですからクリスティーナ様があのお三方に罪を犯すように誘導したのですよ」
「・・・!」
そう、三人の犯した罪は全て裏でクリスティーナ様が関わっていた。
まずは第一側妃のリリア様だ。リリア様は直接クリスティーナ様とは関わっていないが、どうやらクリスティーナ様が彼女に意図的に陛下との逢瀬を見せつけていたようなのである。
実際、クリスティーナ様が陛下とよく逢瀬をしていた場所はリリア様のお気に入りの場所だった。
次にローズ様とイブリン様。あの二人に関しても同じである。ローズ様とイブリン様はクリスティーナ様と親交があった。クリスティーナ様が二人を唆したのだ。
おそらく彼女は事前に調べていたのだろう。
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(本当に恐ろしいわね・・・)
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「そういうことだったのか・・・」
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「――カテリーナ」
「はい」
「この件は王弟殿下に報告しよう」
「お兄様・・・」
「もしかしたら、あの愚王を王座から引きずり下ろすのが少々早くなるかもしれない。それだけは覚悟しておいてくれ」
「・・・!」
その言葉に、私はハッとなった。
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「はい、分かりました、お兄様!」
私は決意のこもった目で、お兄様にそう答えた。
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