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第一側妃の追放
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それは突然のことだった。
「い、今何て・・・?」
陛下が執務を疎かにするようになってから少し経ち、久しぶりに部屋でゆっくりくつろいでいた私は侍女からその知らせを聞いて驚きを隠せなかった。
「そ、それが・・・第一側妃様が・・・」
どうか私の聞き間違いであってほしい。そう願う私に、侍女は深刻そうな顔で告げた。
「―陛下のご寵愛するクリスティーナ様に嫌がらせを繰り返していたとして王宮から追放されました」
「・・・」
どうやら聞き間違いではなかったらしい。
「う、嘘でしょう・・・?」
私は額を手で押さえた。
(リリア様・・・どうしてそんなことをしたの・・・)
たしかに彼女ならやりかねないが、そんなことをしたところで何の意味もない。正妃ならまだしも、彼女の身分は側妃だった。それも数多くいるうちの一人に過ぎない。
リリア様は陛下の心を取り戻したくてやったのかもしれないが逆効果だ。今回の件で陛下の心は完全にリリア様から離れていっただろう。
私は頭を抱えながらも侍女に尋ねた。
「ということは、リリア様はもう王宮にはいらっしゃらないの?」
「はい・・・陛下の怒りを買い、着の身着のまま追い出されたそうです・・・」
「なんと・・・」
このときばかりはリリア様に同情した。いつも私を見下していて嫌な人ではあったけれど、それでも彼女の陛下への愛は本物だった。最初に側妃として迎えられてからずっと傍で陛下を支え続けていたのだから。
(着の身着のままだなんていくらなんでも可哀相すぎるわ)
リリア様の性格からして市井で生きていくなど到底無理だろう。つまり彼女に待っているのは野垂れ死に。もしかして陛下はそれを分かっていて彼女を王宮から追い出したのだろうか。
リリア様の行く末を想像して何だか複雑な気持ちになった。もちろんリリア様のことは好きではないが、彼女が苦しんで死ぬことまでは望んでいなかったからだ。
「それと・・・今回の第一側妃様の処遇に関してですが、どうやらクリスティーナ様の口添えもあったようなのです」
「・・・クリスティーナ様の?」
侍女のその言葉に驚いた。
ついにあの愛妾は国王の仕事にまで関与し始めたのか。それを黙認する陛下も陛下だが。
「はい、国王陛下は当初怒り狂って第一側妃様を処刑しようとしたそうです。それを止めたのがクリスティーナ様だと・・・」
「止めた・・・?陛下がリリア様を処刑することを?」
「はい、陛下の侍従の方から聞いた話ですので間違いないかと」
侍女は軽く頷きながらそう言った。私はそれを聞いて少し考え込んだ。
(・・・クリスティーナ様)
あの方が何を考えているのかが本当に分からない。こんなにも行動が予測出来ない人は初めてだ。今以上に警戒を強めた方がいいだろう。そして、それと同時に私は今回の一件を聞いてあることを心に決めた。
(クリスティーナ様が何かをしでかす前に動き出す必要があるわね)
私は部屋にいた侍女に向かって口を開いた。
「お兄様―いいえ、公爵閣下を王宮へ呼んでちょうだい」
「い、今何て・・・?」
陛下が執務を疎かにするようになってから少し経ち、久しぶりに部屋でゆっくりくつろいでいた私は侍女からその知らせを聞いて驚きを隠せなかった。
「そ、それが・・・第一側妃様が・・・」
どうか私の聞き間違いであってほしい。そう願う私に、侍女は深刻そうな顔で告げた。
「―陛下のご寵愛するクリスティーナ様に嫌がらせを繰り返していたとして王宮から追放されました」
「・・・」
どうやら聞き間違いではなかったらしい。
「う、嘘でしょう・・・?」
私は額を手で押さえた。
(リリア様・・・どうしてそんなことをしたの・・・)
たしかに彼女ならやりかねないが、そんなことをしたところで何の意味もない。正妃ならまだしも、彼女の身分は側妃だった。それも数多くいるうちの一人に過ぎない。
リリア様は陛下の心を取り戻したくてやったのかもしれないが逆効果だ。今回の件で陛下の心は完全にリリア様から離れていっただろう。
私は頭を抱えながらも侍女に尋ねた。
「ということは、リリア様はもう王宮にはいらっしゃらないの?」
「はい・・・陛下の怒りを買い、着の身着のまま追い出されたそうです・・・」
「なんと・・・」
このときばかりはリリア様に同情した。いつも私を見下していて嫌な人ではあったけれど、それでも彼女の陛下への愛は本物だった。最初に側妃として迎えられてからずっと傍で陛下を支え続けていたのだから。
(着の身着のままだなんていくらなんでも可哀相すぎるわ)
リリア様の性格からして市井で生きていくなど到底無理だろう。つまり彼女に待っているのは野垂れ死に。もしかして陛下はそれを分かっていて彼女を王宮から追い出したのだろうか。
リリア様の行く末を想像して何だか複雑な気持ちになった。もちろんリリア様のことは好きではないが、彼女が苦しんで死ぬことまでは望んでいなかったからだ。
「それと・・・今回の第一側妃様の処遇に関してですが、どうやらクリスティーナ様の口添えもあったようなのです」
「・・・クリスティーナ様の?」
侍女のその言葉に驚いた。
ついにあの愛妾は国王の仕事にまで関与し始めたのか。それを黙認する陛下も陛下だが。
「はい、国王陛下は当初怒り狂って第一側妃様を処刑しようとしたそうです。それを止めたのがクリスティーナ様だと・・・」
「止めた・・・?陛下がリリア様を処刑することを?」
「はい、陛下の侍従の方から聞いた話ですので間違いないかと」
侍女は軽く頷きながらそう言った。私はそれを聞いて少し考え込んだ。
(・・・クリスティーナ様)
あの方が何を考えているのかが本当に分からない。こんなにも行動が予測出来ない人は初めてだ。今以上に警戒を強めた方がいいだろう。そして、それと同時に私は今回の一件を聞いてあることを心に決めた。
(クリスティーナ様が何かをしでかす前に動き出す必要があるわね)
私は部屋にいた侍女に向かって口を開いた。
「お兄様―いいえ、公爵閣下を王宮へ呼んでちょうだい」
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