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王の愚行
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それからしばらくして、クリスティーナ様と陛下も二人一緒に庭園から去って行った。
「・・・」
庭園に一人取り残された私は考え込んだ。
リリア様が心配だ。
嫉妬に狂って何かやらかさなければいいが。彼女は本当に陛下のことを愛しているからあの光景を見て耐えられるかどうか・・・
(それにしても、陛下があそこまで誰かを寵愛するのは初めてね・・・今までだってあんなことは一度も無かったわ)
私の夫はよほど美貌の愛妾に惚れ込んでいるらしい。クリスティーナ様は誰から見ても美しい方だし陛下の気持ちは分からなくもないが、陛下の立場からして他の妃たちにも平等に愛を与えなければいけないのではないだろうか。
誰か一人を偏愛するのは妃同士の衝突の原因になってしまうからだ。
(私が進言したところで無駄だとは思うけどね・・・)
陛下は私の言うことを聞く人ではないから。彼の寵愛している愛人たちが言えば首を縦に振ってくれるかもしれないが・・・
(・・・もう戻りましょう)
彼らのことを思い出して気分が悪くなった私はそこで一旦陛下と愛人たちのことを考えるのをやめて執務室へと戻った。
執務室へと戻るために王宮の廊下を歩いていたとき、向こう側から陛下の侍従が慌ただしい様子で走ってきた。
(ん・・・?何かしら・・・?)
彼はキョロキョロと誰かを探していて、私を見るなりすぐに駆け寄って来た。
「王妃陛下!」
「そんなに急いで、どうしたの?」
侍従は私の前で立ち止まるとハァハァと息を整えた。
(こんなに慌てるだなんて珍しい・・・何かトラブルでもあったのかしら・・・?)
「何かあったの?緊急事態?」
「そ、それが・・・」
私の問いに侍従は言いにくそうな顔をした。
「王妃陛下、国王陛下を見ておりませんか?」
「え、陛下・・・?」
陛下ならついさっき庭園でクリスティーナ様といるところを見たばかりだ。彼はもしかして陛下を探しているのだろうか。
「ええ、見たわよ」
「一体どこで!?」
「王宮の庭園で、クリスティーナ様と二人でいたわ」
「・・・!」
私の言葉に侍従の顔が青くなっていった。
「あら、大丈夫?」
「・・・はい、平気です」
「全然大丈夫そうじゃないけれど」
「・・・申し訳ありません」
侍従は目の下にクマが出来ていて、かなり疲れているように見える。最近寝れていないのだろうか。どちらにせよ心配だ。
「何かあったなら私に言ってちょうだい。出来る限りのことはするわ」
「あ、いや・・・」
侍従は気まずそうな顔をした。
(言いにくいことなのかしら?)
そう思ったものの、放っておけないと思った私は彼の言葉を待った。それから少しして、彼の口から発せられたのは衝撃的な事実だった。
「じ、実は・・・国王陛下が執務をまるでされなくなってしまったのです」
「・・・・・・・・・え!?」
(それはどういうこと!?)
陛下が執務をしていないだなんて、初めて聞いた。
「クリスティーナ様が愛妾として王宮に上がってから陛下はクリスティーナ様との時間を優先し、仕事を放棄するようになってしまわれました」
「ウ、ウソ・・・」
(あの人、そんなことしてたの!?)
私はその言葉に驚きを隠せなかった。今までだってそんなことは一度も無かったからだ。それほどにクリスティーナ様に溺れているということだろうか。
「王妃陛下」
侍従は助けてくださいとでも言わんばかりの顔で私を見つめた。
(そうね・・・これは王妃である私が何とかするしかないわ・・・)
そう思った私は泣きそうな顔になっている彼に言った。
「陛下の仕事を私の元に持って来てちょうだい。王妃の私で代行できるものは私が処理するわ」
「・・・!ありがとうございます、王妃陛下!」
私の言葉に侍従はパァッと嬉しそうな顔をした。
「では一度陛下の執務室に戻ります!私も出来る限りのことはお手伝いいたします!」
「ええ、お願いね」
侍従が立ち去って一人になった私はハァとため息をついた。
(まさか陛下がそんなことを・・・)
私は愚かな行動を繰り返す自分の夫にショックを受けた。
「・・・だけどちょうど良かった」
これで完全に陛下に対する何かが吹っ切れたような気がする。もうあの人には何の未練も無い。
私はこの日、引きずっていた過去に完全に別れを告げて執務室へと戻った。
「・・・」
庭園に一人取り残された私は考え込んだ。
リリア様が心配だ。
嫉妬に狂って何かやらかさなければいいが。彼女は本当に陛下のことを愛しているからあの光景を見て耐えられるかどうか・・・
(それにしても、陛下があそこまで誰かを寵愛するのは初めてね・・・今までだってあんなことは一度も無かったわ)
私の夫はよほど美貌の愛妾に惚れ込んでいるらしい。クリスティーナ様は誰から見ても美しい方だし陛下の気持ちは分からなくもないが、陛下の立場からして他の妃たちにも平等に愛を与えなければいけないのではないだろうか。
誰か一人を偏愛するのは妃同士の衝突の原因になってしまうからだ。
(私が進言したところで無駄だとは思うけどね・・・)
陛下は私の言うことを聞く人ではないから。彼の寵愛している愛人たちが言えば首を縦に振ってくれるかもしれないが・・・
(・・・もう戻りましょう)
彼らのことを思い出して気分が悪くなった私はそこで一旦陛下と愛人たちのことを考えるのをやめて執務室へと戻った。
執務室へと戻るために王宮の廊下を歩いていたとき、向こう側から陛下の侍従が慌ただしい様子で走ってきた。
(ん・・・?何かしら・・・?)
彼はキョロキョロと誰かを探していて、私を見るなりすぐに駆け寄って来た。
「王妃陛下!」
「そんなに急いで、どうしたの?」
侍従は私の前で立ち止まるとハァハァと息を整えた。
(こんなに慌てるだなんて珍しい・・・何かトラブルでもあったのかしら・・・?)
「何かあったの?緊急事態?」
「そ、それが・・・」
私の問いに侍従は言いにくそうな顔をした。
「王妃陛下、国王陛下を見ておりませんか?」
「え、陛下・・・?」
陛下ならついさっき庭園でクリスティーナ様といるところを見たばかりだ。彼はもしかして陛下を探しているのだろうか。
「ええ、見たわよ」
「一体どこで!?」
「王宮の庭園で、クリスティーナ様と二人でいたわ」
「・・・!」
私の言葉に侍従の顔が青くなっていった。
「あら、大丈夫?」
「・・・はい、平気です」
「全然大丈夫そうじゃないけれど」
「・・・申し訳ありません」
侍従は目の下にクマが出来ていて、かなり疲れているように見える。最近寝れていないのだろうか。どちらにせよ心配だ。
「何かあったなら私に言ってちょうだい。出来る限りのことはするわ」
「あ、いや・・・」
侍従は気まずそうな顔をした。
(言いにくいことなのかしら?)
そう思ったものの、放っておけないと思った私は彼の言葉を待った。それから少しして、彼の口から発せられたのは衝撃的な事実だった。
「じ、実は・・・国王陛下が執務をまるでされなくなってしまったのです」
「・・・・・・・・・え!?」
(それはどういうこと!?)
陛下が執務をしていないだなんて、初めて聞いた。
「クリスティーナ様が愛妾として王宮に上がってから陛下はクリスティーナ様との時間を優先し、仕事を放棄するようになってしまわれました」
「ウ、ウソ・・・」
(あの人、そんなことしてたの!?)
私はその言葉に驚きを隠せなかった。今までだってそんなことは一度も無かったからだ。それほどにクリスティーナ様に溺れているということだろうか。
「王妃陛下」
侍従は助けてくださいとでも言わんばかりの顔で私を見つめた。
(そうね・・・これは王妃である私が何とかするしかないわ・・・)
そう思った私は泣きそうな顔になっている彼に言った。
「陛下の仕事を私の元に持って来てちょうだい。王妃の私で代行できるものは私が処理するわ」
「・・・!ありがとうございます、王妃陛下!」
私の言葉に侍従はパァッと嬉しそうな顔をした。
「では一度陛下の執務室に戻ります!私も出来る限りのことはお手伝いいたします!」
「ええ、お願いね」
侍従が立ち去って一人になった私はハァとため息をついた。
(まさか陛下がそんなことを・・・)
私は愚かな行動を繰り返す自分の夫にショックを受けた。
「・・・だけどちょうど良かった」
これで完全に陛下に対する何かが吹っ切れたような気がする。もうあの人には何の未練も無い。
私はこの日、引きずっていた過去に完全に別れを告げて執務室へと戻った。
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