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本編
26 被害者の会
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「え、ひ、被害者・・・?」
「ええ、私たちは皆アンジェリカ王女殿下に”婚約者を奪われた者たち”です」
淡々とそう口にしたフローレス公女。表情は変わらなかったが、彼女の瞳の奥には激しい憎悪が宿っていた。
それはフローレス公女だけではなく、お茶会に参加していた令嬢たち全員だった。ほんわかしていたお茶会が一瞬で地獄のような空気となる。
(アンジェリカ王女殿下に婚約者を奪われた・・・?それもここにいる全員が・・・?でも王女殿下ってたしか今まで誰かと婚約を結んだことは無いはず・・・)
アンジェリカ王女殿下は王太子殿下と同じく類稀なる美貌を持ち合わせているにもかかわらず誰とも婚約を結ばないことで有名だった。
私はその言葉の意味をすぐに理解することが出来ず、怒りのオーラを放つ令嬢たちに怖気づきながらも尋ねた。
「それは一体どういう・・・」
「そうですわね・・・まずは私から説明致しましょう」
そうしてフローレス公女は自身の過去について語り始めた。
「私には少し前まで婚約こそしていませんでしたが、密かにお付き合いしていた方がおりました」
「・・・」
そう言ったフローレス公女の顔はどこか悲しそうだった。
「お相手は伯爵家のご令息だったのですが、知人の紹介で出会い次第に惹かれていきました。そして私たちは交際を始め、婚約まであと少しといったところで相手の方に異変が訪れたのです」
「異変・・・ですか・・・?」
「ええ、突然のことでしたわ。忙しいから会えないと言われたり、結婚について話すとはぐらかされたりすることが多くなりました」
「え・・・」
それを聞いた私は令嬢たちの前だというのに驚きを隠しきれなかった。
なぜならそれは―
(まさに、少し前の私とアレックスじゃない・・・!)
「そしてある日、突然呼び出されたと思ったら別れを告げられました」
「・・・」
私はフローレス公女の話をじっと聞いていた。一度経験したからか、その先の展開がいとも簡単に想像出来てしまう。
(もしかして・・・それは・・・)
フローレス公女はそこまで言うと俯いた。
「理由は”アンジェリカ王女殿下を好きになったから”でしたわ」
「・・・!」
下を向いているため彼女の顔は見えなかったが、その声は微かに震えていた。きっとまだ傷が完全に癒えていないのだろう。周りの令嬢たちもそんなフローレス公女を見て怒りで体を震わせていた。
(やっぱりそうだったんだ・・・)
驚きすぎて言葉も出ない私をよそに、フローレス公女は再び口を開いた。
「それだけではありません。その方はそれを聞いてもまだ縋りつく私に対して信じられないことを口にしました」
「・・・信じられないこと、ですか?」
「―もう既に王女殿下とキスまで済ませている、と」
「う、嘘でしょう・・・?」
(まさかそれも私と同じなの・・・?)
そのとき、私の頭の中に”あのときの記憶”が蘇ってきた。
『アレックス様・・・愛しています・・・』
個室の中で二人だけの世界に入り込んでいた王女殿下と私の婚約者。あれを見たときはもちろん正気ではいられなかったし、何度もアレックスと王女殿下を恨んだ。
(私だけじゃ・・・なかったの・・・?)
「私は本当に彼のことが好きでした。冷たくされても泣きついてしまうほどに。今思えば、あの頃の私は本当に愚かでしたわ」
「公女様・・・」
しかし、フローレス公女に降り注いだ悲劇はこれだけではなかったそうだ。婚約者の浮気が発覚した後、フローレス公女は何とアンジェリカ王女殿下に文句を言いにいったという。
『アンジェリカ王女殿下!どうして私の恋人と関係を持ったりしたのですか!』
『あらあら、フローレス公女。それは一体何のことかしら?』
怒りで声を荒げるフローレス公女に対して王女殿下は見下すような笑みを向けた。
『とぼけないでください!彼とキスまで済ませたというのは本当ですか!?』
『・・・ハァ、これだから子供は。本当に面倒くさいですわ』
『なッ!?』
涙を流しながら問い詰めたフローレス公女に王女殿下は冷たい目を向けた。
『仮にあなたの恋人が私を好きになったとして、それはあなたに魅力が無いのが原因でしょう?』
『ぐぬぬ・・・』
『彼は幼いあなたより私の方が良いみたいね。あなたは私に女として負けたのよ』
その言葉にフローレス公女はこみ上げてくる悔しさを堪えるかのように唇を噛んだ。
しかし、どうしても聞きたいことがあったフローレス公女は至って冷静に王女殿下に尋ねた。
『・・・・・それでは、王女殿下は彼と結婚するおつもりなのですか』
『え?結婚?』
『はい、彼は私に対して王女殿下と結婚したいと言っていましたが・・・』
『キャハハハ!!!するわけないじゃない!!!』
『!?』
それに対して、王女殿下がフローレス公女に向けたのは醜悪な笑み。
『あの男はただの遊びよ!遊びで関係を持った男と結婚なんてするわけないじゃない』
『王女殿下・・・』
それからフローレス公女は一週間もの間、悔しさと悲しみで涙が止まらなかったという。
その話を聞いた私は絶句した。
「そ、そんなことが・・・!?」
「ええ、全て事実ですわ。あの後、恋人だった伯爵令息は格上の公爵家の令嬢である私と付き合っていながら不貞をしたとしてご両親に勘当され、平民になりましたわ。ただの平民が王女殿下と結婚出来るはずもないので、彼の恋はこのような形で終わりを迎えてしまいましたが」
フローレス公女はそう言ってお茶を一口飲んだ。今はだいぶ落ち着いたようで、いつものように完璧な淑女の姿に戻っていた。
(な、なんというか無様ね・・・)
遊ばれたのは少し可哀相な気もするが、彼に同情は出来ない。誘惑に負けてフローレス公女を裏切ったのだから。
「私だけではありません。ここにいる全員が似たようなことを王女殿下にされていますわ」
「ぜ、全員が・・・」
どうやらアンジェリカ王女殿下の被害に遭っていたのは私だけではなかったらしい。フローレス公女のその言葉を皮切りに、令嬢たちが次々と声を上げた。
「私も王女殿下に婚約者を奪われましたわ!婚約して七年も経っていたのに・・・」
「私もです!」
「私も!」
お茶会に参加していた令嬢たちは今まで溜めていた怒りが爆発したかのように口々にそう言った。
「そこで私たちは、アンジェリカ王女殿下被害者の会を結成しましたの」
「被害者の会・・・ですか?」
「ええ、聖女様をお呼びしたのはそれに関することですわ」
「そうだったのですね・・・」
どうやらあのときのフローレス公女の言葉は本当だったようだ。彼女を少しでも怪しんでいた自分が、今となっては恥ずかしい。
そのとき、突然フローレス公女が私を真剣な眼差しで見つめた。
「―聖女様。どうか、私たちに聖女様のお話を聞かせていただけませんか?」
「・・・!」
フローレス公女にそう言われて戸惑った自分がいた。
アレックスと王女殿下に関することを誰かに話したいと思ったことは無かった。思い出すだけで辛くなることだったし、相手が王女殿下だから話したところできっと私が悪者扱いされてしまうだけだと諦めていた。
(だけど・・・この人たちなら・・・)
―私の痛みを、少しは分かってくれるんじゃ・・・?
じっと黙り込む私を見たフローレス公女が気遣うように言った。
「言いにくいことは話さなくてかまいません」
「・・・・・・いえ、全てお話します」
もしここで話さなかったら、私はずっと辛い記憶を一人で抱えることになる。溜めてある怒りは、いつかは爆発する。話せば少しは楽になるかもしれない。
私は一度深呼吸をしてから口を開いた。
「私は―」
「ええ、私たちは皆アンジェリカ王女殿下に”婚約者を奪われた者たち”です」
淡々とそう口にしたフローレス公女。表情は変わらなかったが、彼女の瞳の奥には激しい憎悪が宿っていた。
それはフローレス公女だけではなく、お茶会に参加していた令嬢たち全員だった。ほんわかしていたお茶会が一瞬で地獄のような空気となる。
(アンジェリカ王女殿下に婚約者を奪われた・・・?それもここにいる全員が・・・?でも王女殿下ってたしか今まで誰かと婚約を結んだことは無いはず・・・)
アンジェリカ王女殿下は王太子殿下と同じく類稀なる美貌を持ち合わせているにもかかわらず誰とも婚約を結ばないことで有名だった。
私はその言葉の意味をすぐに理解することが出来ず、怒りのオーラを放つ令嬢たちに怖気づきながらも尋ねた。
「それは一体どういう・・・」
「そうですわね・・・まずは私から説明致しましょう」
そうしてフローレス公女は自身の過去について語り始めた。
「私には少し前まで婚約こそしていませんでしたが、密かにお付き合いしていた方がおりました」
「・・・」
そう言ったフローレス公女の顔はどこか悲しそうだった。
「お相手は伯爵家のご令息だったのですが、知人の紹介で出会い次第に惹かれていきました。そして私たちは交際を始め、婚約まであと少しといったところで相手の方に異変が訪れたのです」
「異変・・・ですか・・・?」
「ええ、突然のことでしたわ。忙しいから会えないと言われたり、結婚について話すとはぐらかされたりすることが多くなりました」
「え・・・」
それを聞いた私は令嬢たちの前だというのに驚きを隠しきれなかった。
なぜならそれは―
(まさに、少し前の私とアレックスじゃない・・・!)
「そしてある日、突然呼び出されたと思ったら別れを告げられました」
「・・・」
私はフローレス公女の話をじっと聞いていた。一度経験したからか、その先の展開がいとも簡単に想像出来てしまう。
(もしかして・・・それは・・・)
フローレス公女はそこまで言うと俯いた。
「理由は”アンジェリカ王女殿下を好きになったから”でしたわ」
「・・・!」
下を向いているため彼女の顔は見えなかったが、その声は微かに震えていた。きっとまだ傷が完全に癒えていないのだろう。周りの令嬢たちもそんなフローレス公女を見て怒りで体を震わせていた。
(やっぱりそうだったんだ・・・)
驚きすぎて言葉も出ない私をよそに、フローレス公女は再び口を開いた。
「それだけではありません。その方はそれを聞いてもまだ縋りつく私に対して信じられないことを口にしました」
「・・・信じられないこと、ですか?」
「―もう既に王女殿下とキスまで済ませている、と」
「う、嘘でしょう・・・?」
(まさかそれも私と同じなの・・・?)
そのとき、私の頭の中に”あのときの記憶”が蘇ってきた。
『アレックス様・・・愛しています・・・』
個室の中で二人だけの世界に入り込んでいた王女殿下と私の婚約者。あれを見たときはもちろん正気ではいられなかったし、何度もアレックスと王女殿下を恨んだ。
(私だけじゃ・・・なかったの・・・?)
「私は本当に彼のことが好きでした。冷たくされても泣きついてしまうほどに。今思えば、あの頃の私は本当に愚かでしたわ」
「公女様・・・」
しかし、フローレス公女に降り注いだ悲劇はこれだけではなかったそうだ。婚約者の浮気が発覚した後、フローレス公女は何とアンジェリカ王女殿下に文句を言いにいったという。
『アンジェリカ王女殿下!どうして私の恋人と関係を持ったりしたのですか!』
『あらあら、フローレス公女。それは一体何のことかしら?』
怒りで声を荒げるフローレス公女に対して王女殿下は見下すような笑みを向けた。
『とぼけないでください!彼とキスまで済ませたというのは本当ですか!?』
『・・・ハァ、これだから子供は。本当に面倒くさいですわ』
『なッ!?』
涙を流しながら問い詰めたフローレス公女に王女殿下は冷たい目を向けた。
『仮にあなたの恋人が私を好きになったとして、それはあなたに魅力が無いのが原因でしょう?』
『ぐぬぬ・・・』
『彼は幼いあなたより私の方が良いみたいね。あなたは私に女として負けたのよ』
その言葉にフローレス公女はこみ上げてくる悔しさを堪えるかのように唇を噛んだ。
しかし、どうしても聞きたいことがあったフローレス公女は至って冷静に王女殿下に尋ねた。
『・・・・・それでは、王女殿下は彼と結婚するおつもりなのですか』
『え?結婚?』
『はい、彼は私に対して王女殿下と結婚したいと言っていましたが・・・』
『キャハハハ!!!するわけないじゃない!!!』
『!?』
それに対して、王女殿下がフローレス公女に向けたのは醜悪な笑み。
『あの男はただの遊びよ!遊びで関係を持った男と結婚なんてするわけないじゃない』
『王女殿下・・・』
それからフローレス公女は一週間もの間、悔しさと悲しみで涙が止まらなかったという。
その話を聞いた私は絶句した。
「そ、そんなことが・・・!?」
「ええ、全て事実ですわ。あの後、恋人だった伯爵令息は格上の公爵家の令嬢である私と付き合っていながら不貞をしたとしてご両親に勘当され、平民になりましたわ。ただの平民が王女殿下と結婚出来るはずもないので、彼の恋はこのような形で終わりを迎えてしまいましたが」
フローレス公女はそう言ってお茶を一口飲んだ。今はだいぶ落ち着いたようで、いつものように完璧な淑女の姿に戻っていた。
(な、なんというか無様ね・・・)
遊ばれたのは少し可哀相な気もするが、彼に同情は出来ない。誘惑に負けてフローレス公女を裏切ったのだから。
「私だけではありません。ここにいる全員が似たようなことを王女殿下にされていますわ」
「ぜ、全員が・・・」
どうやらアンジェリカ王女殿下の被害に遭っていたのは私だけではなかったらしい。フローレス公女のその言葉を皮切りに、令嬢たちが次々と声を上げた。
「私も王女殿下に婚約者を奪われましたわ!婚約して七年も経っていたのに・・・」
「私もです!」
「私も!」
お茶会に参加していた令嬢たちは今まで溜めていた怒りが爆発したかのように口々にそう言った。
「そこで私たちは、アンジェリカ王女殿下被害者の会を結成しましたの」
「被害者の会・・・ですか?」
「ええ、聖女様をお呼びしたのはそれに関することですわ」
「そうだったのですね・・・」
どうやらあのときのフローレス公女の言葉は本当だったようだ。彼女を少しでも怪しんでいた自分が、今となっては恥ずかしい。
そのとき、突然フローレス公女が私を真剣な眼差しで見つめた。
「―聖女様。どうか、私たちに聖女様のお話を聞かせていただけませんか?」
「・・・!」
フローレス公女にそう言われて戸惑った自分がいた。
アレックスと王女殿下に関することを誰かに話したいと思ったことは無かった。思い出すだけで辛くなることだったし、相手が王女殿下だから話したところできっと私が悪者扱いされてしまうだけだと諦めていた。
(だけど・・・この人たちなら・・・)
―私の痛みを、少しは分かってくれるんじゃ・・・?
じっと黙り込む私を見たフローレス公女が気遣うように言った。
「言いにくいことは話さなくてかまいません」
「・・・・・・いえ、全てお話します」
もしここで話さなかったら、私はずっと辛い記憶を一人で抱えることになる。溜めてある怒りは、いつかは爆発する。話せば少しは楽になるかもしれない。
私は一度深呼吸をしてから口を開いた。
「私は―」
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